このほど政府が決定した平成22年度税制改正大綱は、財源不足を理由にガソリン税の暫定税率を結果的に維持することにしています。しかし、それにより新たな歳出が発生する可能性がクローズアップされています。
平成22年度税制改正大綱には、ガソリン税について暫定税率を廃止して、別の税制措置を講じたうえで暫定税率相当の税率を維持することが盛り込まれました。ガソリン税とは揮発油税・地方道路税の総称です。そして、そのガソリン税には、「道路特定財源」としての目的税が本則の税率に暫定的に上乗せされていて、それが暫定税率としてガソリンを使う人に課税されています。問題は、同大綱でこの道路特定財源を廃止するとしたことにあります。
ガソリン税がガソリンの元売とガソリンスタンドにおいて、仕入れ時に課税される蔵出し税であることから、石油連盟などが暫定税率を廃止した場合、すでに暫定税率が課税されているガソリンの在庫の分は元売やガソリンスタンドに還付するよう政府に求める可能性が高まっているのです。
その理由は、昭和54 年にガソリン税の暫定税率が引き上げられた際に、税負担の公平性を図る観点から、手持品在庫に関しては増税分に係る課税がなされたからです。表面的に税率に変動がないことから、実質的には減税になっていません。暫定税率に代わる税制措置によっては石油連盟の対応も変わる模様です。
なお、暫定税率分を還付するとした場合、政府は総額で約540億円の歳出を余儀なくされることになります。
このほど、政府が決定した平成22年度税制改正大綱では、かねてより日本税理士会連合会などが要望していた納税者の権利救済機関である国税不服審判所の改革が盛り込まれ、税理士らの間で話題となっています。
今回、政府が決定した平成22年度税制改正大綱では、所得税の扶養控除の一部廃止や道路特定財源の暫定税率を形式的に廃止して別の税制を設けて税率を維持することばかりが取り沙汰されていますが、税のプロである税理士らの間では、国税不服審判所の改革が注目されています。
同改革について大綱では、納税環境整備と題して方針が盛り込まれています。具体的には「税が議会制民主主義の根幹であることを考えれば、個別の課税事案に対して納得できない納税者の主張を聞く『国税不服審判所』は、民主主義にとって極めて重要な機関です。しかし、国税不服審判所の現状は、この重要な役割を果たすには十分ではありません。特に、その機能を果たすために最も重要な審判官の多くを国税庁の出身者が占めていることは問題です。そのほかにも証拠書類の閲覧・謄写が認められていないなどの問題があります。これらの観点から、国税不服審判所の組織や人事のあり方、不服申立前置主義の見直し、不利益処分の理由附記などについて、行政不服審査制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、納税者の立場に立って、適正な税務執行が行われていることが国民に明らかになるよう、必要な検討を行います」としています。
役人にとって人事ほど重要なことはありません。政府が国税不服審判所の人事に口出ししてきたことに国税庁職員も驚きを隠せない様子です。
看護学生に貸与した奨学金が免除されたことにより元学生が得た経済的利益について、独立行政法人国立病院機構(国立病院機構、矢崎義雄理事長)が問い合わせていた件で、国税庁が「課税しない」とする見解を表明しました。
国立病院機構は、病院に必要な看護師や助産師の確保を目的として「奨学金貸与規程」を定めて、平成21年4月から、同機構に属する全国145の病院すべての看護学生に対して奨学金制度を実施しています。そして、奨学金の貸与を受けた看護学生は、卒業後、奨学金の貸与を受けた病院で看護師等としてその貸与期間相当の期間業務に従事したときは、奨学金の返還が免除されることになっています。 いわゆる看護師の年季奉公制度のことです。
奨学金の返還を免除するということは、奨学金を受けた学生に経済的利益が発生するということで、その分が所得税の課税所得となる可能性があるわけです。そこで、同機構は、国税庁が定めている所得税基本通達に「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない」とする取り扱いがあることから、それを準用して、奨学金の免除により発生する経済的利益には課税しなくてもよいか、とする照会を国税庁に行っていました。その照会に対して、このほど国税庁は「貴機構が示した事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。
ちなみに、奨学金の貸与期間は、看護学校を卒業する年度(最長4年間)とされていて、奨学金の貸与額は、年間40万円から80万円と定められています。そして、貸与期間相当の期間業務に従事したときは、奨学金の返還(1年以上業務に従事した場合は、1年につき1年間分)が免除されることになっています。
夫から暴力を受けている妻に定額給付金を手渡すことを目的として千葉県船橋市が実施している「ひまわり応援手当」に対して、東京国税局が所得税を課税する方針を船橋市に伝えました。
総務省が定めた「定額給付金給付事業費補助金交付要綱」と厚生労働省が定めた「子育て応援特別手当交付金支給要領」によると、定額給付金は、世帯主(一般的には夫)に対して給付するとされているため、世帯主と別居しているドメスティックバイオレンス(DV)被害者(夫からの暴力を受けている妻をいうが、逆のケースもある)とDV被害者と同居する子どもや父母は、給付を受けることができないことが想定されます。そこで、船橋市では、定額給付金を受け取ることができないDV被害者に対し、生活支援と子育て負担の軽減を図ることを目的として、定額給付金等相当額を「ひまわり応援手当」として給付することにしました。
しかし、ひまわり応援手当は、定額給付金そのものではないため、一時所得として所得税が課税される恐れがあるため船橋市は、東京国税局にひまわり応援手当について所得税を課されないものとして取り扱ってよいかどうかを問い合わせていました。
それに対して、このほど東京国税局から返ってきた返事は、「ひまわり応援手当のうち、定額給付金相当額(生活応援手当)は、平成20年度の国の一般会計補正予算における定額給付金給付事業費補助金を財源とするものではなく、市の財源により独自に給付するものですから、非課税とされる定額給付金には該当しません。また、ひまわり応援手当は、景気後退下における生活支援及び子育て負担の軽減を目的として給付されるものですから、非課税とされる心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金にも該当しません」として、「所得税が課税される一時所得として取り扱う」というものでした。
大阪府が「税務窓口業務等」を民間委託することを発表しました。府民の間では、税金の滞納者情報などの漏洩が懸念されています。
大阪府では、公共サービスの質の向上と効率化を同時に実現する取組みとして「大阪版市場化テスト」を推進しています。「税務窓口業務等」の民間委託は、その市場化テストの一環で、正式名称は「税務窓口業務等委託プロポーザル」と呼んでいます。
税務業務を民間に開放するとなると、税金の滞納者情報の漏洩などに不安を感じる人がいるわけですが、それについて大阪府では「民間開放の実施が決定された税務窓口業務等については、府税事務所における公権力の行使や裁量判断を伴う業務、意思決定等に関するものを除く窓口業務、資料のデータ化について包括的に民間に委託することにしている」と説明しています。
委託する具体的な業務については、「府税事務所の窓口及び郵送において、提出される申告書等の受付、確認」、「納税証明書等の作成業務」、「申告書の整理等業務」、「申告書等データ作成」、「運営管理」などです。
大阪府では、引き受けてくれる業者をプロポーザル方式で募集する予定で、公募期間は平成21年12月4日から平成22年1月12日午後5時まで。実際に業務を行ってもらう履行期間については、平成22年2月上旬の契約締結日から平成25年1月31日までとしています。
銀行がリスク商品を販売するときの説明で、顧客の多くが税金について説明不足を感じている―とする調査結果を全国銀行協会(会長=永易克典・三菱東京UFJ銀行頭取)が公表しました。
この調査は、全国銀行協会が今年8月7日から1週間にわたって全国の18歳から79歳までの男女3,500人を対象にインターネットを利用して行った「よりよい銀行づくりのためのアンケート」と題するものです。
同アンケートの中に「リスク性商品検討/購入時の銀行からの説明について」とする項目があり、まず注目されるのが「あなたが資産運用する際に、商品や金融機関に対して重視するのはどのようなことですか」とする質問です。回答者の傾向を見てみると、資産運用時の重視点としては、「元本が保証されている」が53.9%で最も高く、次に「小さい金額から利用できる」(43.1%)が続いていて、2大ポイントとなっています。実際に利用している資産運用商品で、2007年10月以降に契約・購入したものを尋ねたところ「定期預金」(22.6%)、「株式取引」(13.2%)、「投資信託」(9.1%)、「外貨預金」(5.2%)、「国債」(4.4%)などといった状況でした。
そういった商品を契約するときの銀行側の商品説明について「説明が不足と感じるようなことはありましたか」とする質問で、驚かされるのが「税金面」についての不足感が上位にあがっていたことでした。具体的には、回答者たちは、「手数料」(28.4%)、「中途解約の可否」(26.6%)、「税金面」(24.4%)、「実際の手取り額」(22.9%)といった順番で商品説明に対して不足感を覚えていました。確かに、預金の利息に利子税がいくらかかるとか、定期預金を相続するときに相続税がいくらになるといった説明をする銀行は少ないようです。
国税庁が、来春の「平成21年分の所得税確定申告期」において例年と同じようにe-Taxとe-Taxヘルプデスクの受付時間を拡大することを決めました。
自宅や会社のパソコンでインターネットを通じて国税の申告や納付、各種届出が行えるe-Taxは、パソコンが1家庭に1台の時代となったいま、利用者が年々急増しています。そこで、国税庁では来年の所得税の確定申告期も利用時間帯の拡充を図ることにしました。
まずe-Taxについては、通常、月曜日から金曜日(祝日等及び12月29日から1月3日を除く)の午前8時30分から午後9時までを送信可能時間としていますが、来年1月18日(月)から3月15日(月)までは24時間送信可能とすることにしています。なお、1月18日(月)は、午前8時30分から利用可能ですが、期限の3月16日(火)については0時を過ぎて受信した申告データは、申告期限後に提出されたものとみなされるので注意が必要です。
一方、e-Taxヘルプデスクとは、e-Taxの利用開始のための手続やe-Taxソフトとその利用のためのパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応する窓口です。ナビダイヤル(0570で始まる電話番号)を利用すると、全国どこからでも市内通話料金で利用できることから、多くの納税者から好評を得ているものです。国税庁では、このe-Tax ヘルプデスクの受付時間についても、通常、月曜日から金曜日(祝日等及び12月29日から1月3日を除く)までの午前9時から午後5時までとしているものを、来年1月18日(月)から3月15日(月)までは、月曜日から金曜日(祝日を除く)、及び2月21、28日、3月7、14日の日曜日については、午前9時から午後8時までとする予定です。
大阪府が、もっと「府税」に親しみをもってもらうために、第6回大阪モーターショーに府税ブースを出展し、PRを行います。
大阪モーターショーは、西日本最大規模の自動車ショーとして定着しているもので、今年で開催第6回目を数えるイベントです。また、1999年の第1回開催以来、隔年で開かれているこのショーは、過去5回とも4日間で30万人を超える来場者を集め、関西地区の自動車販売の活性化に大きく貢献しています。
大阪府では、この大阪モーターショーが府税のことをPRするには打ってつけの場となると判断。開催日となる今年12月4日から12月7日まで府税ブースを設けて税に関するクイズや輪投げ大会などを催すことにしました。会場は、大阪市住之江区にあるインテックス大阪で、府税ブースは4号館に出展する予定です。クイズや輪投げ大会など家族で楽しめるイベントでは、参加者に賞品を進呈するほか、来場者全員にタッピーイラスト入り風船やペーパークラフト(車型貯金箱)をプレゼントすることにしています。
府税ブースでは、イベントの他に府の事業をパネルなどで紹介。具体的には、12月4、5日には「御堂筋イルミネーション事業」、「大阪ミュージアム構想」、「MIDWAY OSAKA」、「人権推進事業」を、そして、12月6、7日には、「まいど子でもカード事業」、「箕面グリーンロード料金割引社会実験事業」、「新名神高速道路事業」などを写真やイラストなどを使って紹介する予定です。