土地の相続税・贈与税の評価に用いる平成21年分の路線価図の閲覧開始日について、このほど国税庁が7月1日水曜日と発表しました。
かつては路線価の閲覧開始は、8月中旬あたりからでした。その路線価の評定作業も国税庁がスピードアップをはかり、閲覧開始日も年々早くなっていて、今年は7月1日からです
国税庁が公表する路線価とは、土地の相続税・贈与税の税額を計算するための基礎的な数値で、国土交通省が毎年1月1日時点の評価で公表する公示地価と売買実例価格、不動産鑑定士の評価を参考に算出しているものです。路線価とされていることから、主要な道路に面した1平方メートル当たりの土地の評価額として国税庁は毎年公表しています。
国土交通省が発表した平成21年1月1日時点の公示地価は、商業地、住宅地の全国平均はともに3年ぶりに下落に転じました。前年からの下落率は商業地が4・7%(前年はプラス3・8%)、住宅地が3・2%(同プラス1・3%)でした。よって、今年の路線価も下落傾向を示すことが確実視されています。
土地の相続税の評価は、相続発生時の路線価で評価されるため、地価下落傾向の場合、数ヶ月かけて相続財産である土地を売却して換金するよりも、その土地自体を相続税として納める物納を選択した方がおトク。そこで、今年は相続税の物納が相次ぐ可能性があります。
「会社役員の企業規模別給与の実態」がクローズアップされています。これは、全税務署が把握している全国の企業の給与台帳を基に国税庁が調べているものです。
現在、3月決算法人が株主総会を控え決算書類の作成に追われていますが、世界的な経済不況の影響で多くの会社役員が業績の悪化による役員報酬の減額を受け入れています。それだけに、中小企業の間でも、役員に支給する給与をどのように設定するか決めあぐねている感があります。
会社役員の企業規模別給与の実態は、国税庁が毎年実施している「民間給与の実態調査」の中で明らかにされるもので、正式名称は「企業規模別及び給与階級別役員の給与所得者数・給与額」です。
今年に入って明らかにしたものは平成19年12月31日時点のもので、全国約2万件の標本事業所の給与台帳を基に集計しています。したがって、まだ景気が右肩上がりの頃の給与なので、景気が後退している今年の役員給与は大幅な減額を行う会社が増えると予測されています。
そこで、平成19年分の同実態調査の結果を見てみると、資本金2千万円未満の会社役員の平均年間給与は609万4千円でした。そのうち平均月額給料合計額は595万9千円で、平均年間賞与は13万5千円となっています。ちなみに、資本金1億円以上10億円未満の会社役員の平均給与は1,175万円となっています。その内訳は、平均月額給料合計額が1,026万8千円で、平均年間賞与は148万2千円でした。
4月1日から全国で固定資産税の縦覧(閲覧)がスタートしましたが、平成21年度が3年に1度の評価替えの年にあたることから、固定資産価格の縦覧帳簿を閲覧するために全国の市町村役場などに多くの納税者が押し寄せています。
土地価格に一番敏感なのが東京都内に不動産を所有する人たちです。そこで、都庁では、いち早く固定資産税の縦覧をPRし始めました。
そもそも固定資産の評価は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて行われ、市町村長(東京都23区内の場合は都知事)がその価格等を決定することになっています。バブル経済最盛期の頃、地価高騰によりこの固定資産評価格も高額となり、本当に適正価格なのかを疑う人が続出しました。そこで、政府は固定資産課税台帳に登録された価格について、固定資産税(土地・家屋)の納税者に、価格が適正であるかどうかを確認してもらうために、他の土地・家屋と比較できるように縦覧制度を設けたわけです。ただし、同縦覧帳簿を閲覧できる人は「固定資産(土地・家屋)を所有する納税者」と「納税者から縦覧することについて委任を受けている方」に限られています。
東京都では、縦覧期間 を今年4月1日から6月30日までと決め、23区内にある都税事務所において、土、日曜、休日を除く午前9時から午後5時まで本人確認をとったうえで縦覧帳簿が閲覧できるようにしています。
非居住者が支払を受ける小規模企業共済の解約手当金について、このほど東京国税局が一時所得に該当するという見解を示しました。
小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が取扱っているもので、「廃業時の退職金を、老後の生活資金を、転業時の事業資金を、かしこく節税しながら準備いただけます」として、広く利用を呼びかけているものです。
この共済加入者からさきごろ「非居住者(出国して1年以上経つ人)となってからも加入を続けて掛金を支払ってきた私が、このたびの解約に当たり支払を受ける小規模企業共済の解約手当金について所得税法上の一時所得として取り扱って差し支えないか」という事前相談(照会)が東京国税局にありました。
同共済法では、加入者が65歳以上で廃業などを理由として解約した場合、解約手当金は退職所得にあたるとしていますが、照会者は65歳未満で解約が任意解約だったことから、一時所得にあたると判断。それに対して東京国税局は「そのとおり取扱って差し支えない」と回答しました。
また、同時に照会者は「解約手当金の一時所得の計算で、居住者時代に支払った掛け金は支出した金額(経費)として控除してはいけないが、出国後に払った掛け金は経費となるのではないか」とする質問をしていました。これについても東京国税局は「そのとおり取扱って差し支えない」と回答しています。
今年4月1日からスタートした平成21年度税制改正で、中小企業優遇税制のひとつとなっている欠損金の繰戻し還付を適用する会社に対して、国税庁が届出書や還付請求書の提出期限について注意を喚起しています。
欠損金の繰戻し還付とは、法人に赤字(欠損)がでた場合に黒字だった前事業年度の損金(経費)とすることができ、過去に納めた法人税が戻ってくるという制度です。適用するには、欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告していて、しかも、その申告書は期限内に提出していることが要件となっています。
なお、この欠損金の繰戻し還付については、法律で平成4年4月1日から平成22年3月31日まで適用が停止されています。政府は、現在の経済金融情勢を踏まえ、景気回復の起爆剤とするために、今回の税制改正で同制度について中小法人に限り不適用措置を解除しました。ポイントは、平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額について適用できるようにしたことです。
そこで、国税庁は中小法人に対して、同制度を適用するには所定の届出書と還付請求書を確定申告書と同時に提出することが要件となっていることに注意するよう呼びかけています。
平成21年度税制改正に盛り込まれた土地税制の改正で、土地取引に動きが出始めています。意外と負担が大きかった登録免許税が軽減されたことも土地取引にインパクトを与えています。
今回の税制改正で行われた登録免許税の改正は、「土地の売買による所有権の移転登記」と「土地の所有権の信託の登記」に関する軽減税率を2年間延長するというものです。土地の売買に当たっては譲渡所得税や契約書に印紙税が課税されます。それに加えて課税される登録免許税は、土地取引を冷え込ませるひとつの要因でした。その登録免許税が次のように改正されています。
まず、土地の売買による所有権の移転の登記に関する登録免許税の税率について、本則2.0%のところを平成21年4月1日から2年間1.0%とされました。そして、平成23年4月1日から1年間1.3%とされ、平成24年4月1日から1年間1.5%となります。
次に、土地の所有権の信託の登記に関する登録免許税ですが、これについても本則0.4%のところを平成21年4月1日から2年間0.2%とされました。平成23年4月1日から1年間0.25%とされ、平成24年4月1日から1年間0.3%とされます。
国税庁が3月決算法人の申告が集中する5月末について、国税庁の電子申告システム(e-Tax)の受付時間を拡大することを公表ました。
e-Taxは、会社にあるパソコンを使って、インターネットを通じて法人税や消費税の申告ができることから、毎年利用する法人が急増しています。法人税の申告だけを見ても、昨年度は510,626件の利用がありましたが、今年度は今年3月2日現在ですでに935,643件が利用しています。
とくに国内企業300万社の約20%が法人税の申告を行う3月決算法人の確定申告が5月末に控えていることから、利用件数は100万件を突破するとみられていて、国税庁としては、その受入れ態勢を整えているところです。今回のe-Taxの受付時間の拡大も、その受入れ態勢の整備の一環で、申告が集中する今年5月末について、受け付け時間を一時変更することにしています。
具体的には、e-Taxの受付時間について、通常は月曜日から金曜日(祝日等を除く)までの午前8時30分から午後9時までですが、今年5月28日(木)、同月29日(金)同月30日(土)、6月1日(月)については、受付時間を午前8時30分から午後10時30分まで延長するとしています。
4月1日からスタートした全国の小、中、高校の教員に関する免許更新制度で、国税庁が更新講習の受講料について消費税を非課税とする取扱いを決めました。
教員免許更新制は、全国の小、中、高校の教員について「教員として必要な資質能力の保持」を目的として、平成19年6月に教育職員免許法が改正され、今年4月1日にスタートしたものです。
原則として、今年4月1日以降に授与された教員免許状の有効期間について「10年間」とし、この有効期間の満了までに免許状更新講習を受講・修了して、免許管理者から免許状の有効期間の更新を受けなければ、有効期間満了と同時に免許状が失効することになります。更新講習の受講対象者は、校長や教頭を除く教員で、現職だけでなく、教員採用内定者や臨時任用(非常勤)教員、過去に教員として勤務した経験のある人も含まれています。
こうした免許状更新講習は、各実施機関が任意に定めた受講料を徴収して実施することになっているため、その受講料に消費税が課税される可能性がありました。そこで、文部省が「講習の実施機関が国、地方公共団体など法令に基づき国や地方公共団体の委託を受けた者であり、しかも、講習自体が法令に基づく資格を維持するためであることが要件とされているので、税法上の『国又は指定法人等』が実施する講習に該当し、免許状更新講習に係る役務の提供について消費税は非課税と解して差し支えないか」として国税庁に照会していました。これに対して、このほど国税庁が容認したわけです。