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1万884件から4千億円の申告漏れ把握―昨年度の相続税調査の結果

2008年12月22日

2008年6月までの1年間(平成19事務年度)に全国の税務署・国税局が実施した相続税調査の結果を国税庁が公表しました。それによると、海外に資産を移して相続税を逃れる手口による申告漏れが過去最高となっています。

今回の相続税調査の対象時期は、平成17年中と平成18年中に発生した相続を中心として実施したものです。総調査件数は1万3845件(対前事務年度比98.5%)で、このうち申告漏れ件数は1万1884件(同98.5%)でした。申告漏れ割合は85.8%で、前事務年度と同じ割合となっています。

申告漏れ課税価格は4119億円(対前事務年度比101.0%)で、これを申告漏れ1件当たりで見てみると、3466万円(同102.5%)となっています。また、追徴税額は941億円(同100.2%)で、これを申告漏れ1件当たりで見てみると792万円(同101.7%)でした。

今回の相続税調査で国税当局は、海外に資産を移すなどして相続税を逃れる事案を集中的に洗った模様です。407件(対前事務年度比111.8%)に対して調査が実施されていて、そのうち、申告漏れがあったのは334件(同114.4%)でした。申告漏れ課税価格は308億円(同208.0%)と高額で、国税庁も「過去最高の申告漏れ課税価格だ」と説明しています。なお、申告漏れ1件当たりの金額は9227万円(同181.8%)となっています。

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所得税の確定申告書送信時間を24時間に―国税庁e-Tax

2008年12月22日

平成20年分の所得税の確定申告において国税庁では、電子申告システム(e-Tax)とe-Taxヘルプデスクの受付時間を拡大することにしています。

e-Taxは、会社や自宅のパソコンからインターネットを通じて国税の申告・納付ができる国税の電子申告システムです。通常は、土日祝日を除く月曜日から金曜日の平日午前8時30分から午後9時の間だけ申告データの送信が可能とされていますが、この送信可能時間について、国税庁では、平成21年1月19日(月)から3月16日(月)まで24時間に拡大することにしています。

なお、1月19日は、午前8時30分から利用でき、3月17日の0時を過ぎて受信した平成20年分の所得税確定申告データは、確定申告期限後に提出されたものとなるので注意が必要です。

一方、e-Taxヘルプデスクの受付時間についても、通常は土日祝日を除く月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時までとされていますが、平成21年1月19日(月)から3月16日(月)までは土日祝日を除く月曜日から金曜日と、2月22日と3月1日の日曜日の午前9時から午後8時については、受付けることにしています。e-Taxヘルプデスクとは、e-Taxの利用開始のための手続やe-Taxソフト及びその利用のためのパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応する専門窓口として設置されているものです。e-Taxヘルプデスクは、ナビダイヤル(0570で始まる電話番号)を利用すれば、全国どこからでも市内通話料金で利用できる便利なものです。

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自動車重量税・取得税を平成24年まで免除―与党の税制改正大綱

2008年12月15日

このほど、自民・公明の与党が平成21年度の税制改正大綱を決定しましたが、公明党が自民党に持ちかけていた自動車重量税・自動車取得税の免除・軽減措置は無事に盛り込まれています。

自動車重量税などの免除・軽減は、道路特定財源の中にある暫定税率を維持しながら一般財源化する見返りとして、公明党が自民党に話を持ちかけていたものです。結果として、自民党が公表した平成21年度税制改正大綱では「環境性能に優れた自動車への取得・継続保有に係る負担を時限的に免除・軽減する」という名目で措置が設けられました。

自動車重量税は、道路特定財源のひとつで本則0.5トンにつき2,500円(暫定税率込みで6,300円)とされている車検時にかかる国税です。また、自動車取得税も道路特定財源のひとつですが、こちらは購入時にかかる税金で本則取得価格の3%(暫定税率込みで5%)とされている地方税です。

今回の免除・軽減措置の内容は、自動車重量税と自動車取得税ともに「電気自動車」「一定の排ガス基準値を満たす天然ガス自動車」「プラグインハイブリッド自動車」「一定の排ガス基準値を満たすハイブリッド自動車」「平成21年排ガス規制に適合等したディーゼル自動車」については、平成21年から同24年4月まで免除するとされています。

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所得税の電子申告控除の適用期限さらに2年間延長―与党の税制改正大綱

2008年12月15日

平成19年分と平成20年分の所得税の確定申告にのみの適用できることになっている所得税の電子申告控除の適用期限が2年間延長されました。

自民・公明の与党が決定した平成21年度税制改正大綱によると「電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する」とされています。この制度は、平成19年度税制改正で導入されたもので、通称「電子申告控除」と呼ばれているものです。そもそも同控除は、電子政府の推進のため、国及び地方自治体に対するオンライン申請等を行う際に必要な電子証明書等(住民基本台帳カード+公的個人認証サービスに基づく電子証明書、ICカードリーダライタなど)の取得を税制面で支援するために創設されたものでした。

ただし、同制度の仕組みは、平成19年分又は平成20年分のいずれか1回、その年分の所得税の確定申告書の提出を、納税者本人の電子署名と電子証明書を付して、提出期間内にe-Tax(国税庁の電子申告システム)を利用して行う場合に、所得税額から最高5,000円(その年分の所得税額を限度とします。)の控除を受けることができるというものです。税額控除は、平成19年分又は平成20年分の所得税について、いずれか1回だけ適用できるとされていることから、すでに平成19年分の所得税で利用した納税者は今後適用できない可能性があります。これについては、平成21年度税制改正法案の中で明らかになる予定です。

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全中小企業に欠損金の繰り戻し還付制度を―自民税調の21年度改正項目

2008年12月08日

自民党税制調査会(津島雄二会長)が、平成21年度税制改正大綱の取りまとめ作業を行っていますが、注目されていた国民に支給する定額給付金への所得課税は非課税とする方針です。

政府が年度内の支給を公約している定額給付金については、一時所得として課税されるため、人によっては増税となる可能性がありました。そこで、自民税調では、このほど一時所得には計上せず、非課税扱いとする方針を固めました。定額給付金の税務上の取扱いは、原則として懸賞金や競馬の配当などと同じで「一時所得」となります。しかし、一時所得は年間50万円を超えると課税対象となるため、自民税調内では「景気対策なのに実質増税となるのはいかがなものか」との異論が出ていました。

一方、景気の後退が中小企業経営に大きな影響を与え始めたことから自民税調では、創業間もない中小企業が決算で赤字になった場合、前年度に納めた法人税の一部を還付する「欠損金の繰り戻し還付制度」をすべての中小企業を対象にした制度に改める方針を固めました。現行は、設立5年以内の企業だけが適用できることになっています。この改正により、景気後退で悪化する中小企業の経営を支援する予定です。

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学生アルバイトの給料―中国人は非課税なのにインド人は課税

2008年12月08日

多くの中小企業が、年末調整の真っ只中にありますが、外国人アルバイター、中でも中国やインドから来た学生をアルバイトとして雇っている企業の間で税務上の取扱いの確認が盛んに行われています。

国家間の租税協定により、外国人を雇用した日本企業は、その外国人に支給する給与などについて所得税を源泉徴収せずに済むケースがあります。最近、日本国内で増えているのが、中国やインドからやって来た学生のアルバイターです。外国人に支給する給与については、租税条約によって所得税が免除されるケースがあるため、中国人などの学生をアルバイトとして雇用している企業は、注意が必要です。

まず、中国から来た大学生については、日中租税協定によって「現に中国の居住者である者又はその滞在の直前に中国の居住者であった者が、その生計、教育のために受け取る給付又は所得は免税」とされています。ただし、その免税措置を受けるためには、給与等の支払者を経由して「租税条約に関する届出書」を、その給与等の支払者の所轄の税務署長に提出する必要があります

一方、インドから来た大学生も、日印租税条約により「現にインドの居住者である者又はその滞在の直前にインドの居住者であった者が、その生計、教育のために受け取る給付は免税」とされていますが、それは、日本の国外から支払われるものに限られています。したがって、インドから来た大学生が受け取る日本でのアルバイトによる所得は、国外から支払われるものではないので免税とはなりません。

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相続税の課税方式変更には慎重。負担水準改正は前向き―政府税調答申

2008年12月01日

政府税制調査会(首相の諮問機関、香西泰会長>が11月28日に総会を開き、平成21年度税制改正の答申をとりまとめて、麻生太郎首相に提出しました。

今回の答申では、制度上の改正を伴う「相続税」「国際課税」「固定資産税」の3項目にとどめ「所得税」「法人税」などは盛り込んでいません。

その3項目の中で一番注目されているのが、相続税に関する主張です。まず現行の相続税の課税方式については、「同じ額の財産を取得しても税額が異なる可能性があること」、「一人の相続人等の申告漏れにより、他の共同相続人等にも追徴税額が発生すること」、「居住等の継続に配慮した現行の各種特例は、現行方式のもとでは、居住等を継続しない他の共同相続人等の税負担をも軽減する効果があるため、これらの特例の拡充は課税の公平面での不平等の増幅につながること」―といった問題点がありました。

これについて同調査会では、新しい事業承継税制の導入に伴う課税方式の見直しを中心に議論を行ったところ、「現行方式を見直し、本来の遺産取得課税方式に改めることによって、各人の相続税額が、取得した財産に基づき、他の共同相続人等の財産取得や税務申告の状況に左右されずに算出される方式とすべきである」とする意見もあれば、現行の方式について「相続税の総額が遺産総額と法定相続人数等により一義的に定まり、遺産分割のされ方に対して中立的である」と肯定的に評価する意見も出たことから「幅広い国民の合意を得ながら議論を進める必要がある」と無難にまとめています。なお、相続税の負担水準については、相続税の資産再分配機能が低下していることから基礎控除や税率構造を見直し、さらに議論を深めるよう要請しています。

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日本経団連会長が自動車や家電製品の買換え促進税制導入求める

2008年12月01日

日本経済団体連合会の御手洗冨士夫会長が平成21年度税制改正に対して、省エネ製品への支援税制に自動車や家電製品を加えるよう強く要望しています。

政府税制調査会(首相の諮問機関、香西泰会長)が平成21年度税制改正に関する答申を麻生太郎首相に提出し、いよいよ来年改正の議論が正念場を迎えていますが、このほど手洗会長が記者会見で「与党税調などで省エネ住宅への税制支援措置などが議論されているが、住宅のみならず、自動車や家電製品などについても、省エネ製品への買換促進税制を検討すべきである。これらの措置は、CO2の排出削減が課題となっている民生・運輸部門の取り組みに資するとともに、内需喚起にも結びつく。経済と環境の両立が期待できる税制だと思う」と語りました。経済対策などでは、影響力のある日本経団連会長の言葉だけに、来年度税制改正議論に大きな影響があることが予測されます。

与党の税制調査会で議論されている省エネ住宅に関する支援税制とは、高断熱窓、高効率設備、太陽光発電等を備えた高性能の省エネ住宅の普及に向けたもので、経済産業省が要望している所得税の住宅ローン控除の拡充措置です。対象となる省エネ設備をローンを組んで購入した場合、そのローンの年末残高の1.2%を10年間税額控除できるよう要望していて、控除対象限度額は3,300万円とされています。

一方、御手洗会長が主張した省エネ製品への買換え促進税制については、環境省が税制改正要望の中で「省エネ家電の普及促進税制の創設」として、エアコンディショナー、電気冷蔵庫について、トップランナー基準を満たすものを購入した場合、その額の5%相当額を買換えた年の所得税額から控除できるようにすることを求めています。

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