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税制改正要望する金融庁とそれを検討する財務省。中川大臣が板挟みに

2008年09月29日

このほど誕生した麻生内閣では、中川昭一元農林水産大臣が財務大臣と金融担当特命大臣を兼務しています。金融庁と財務省、業界に有利な税制改正を要望する側とその受け入れを判断する側との間で、中川大臣がどのような舵取りをするかに関心が寄せられています。

金融庁から見ると、麻生太郎首相が自民党の幹事長だった今年8月に少額貯蓄非課税制度、いわゆるマル優の証券版の導入を提唱しました。それを受け、金融庁は財務省に対して来年度の税制改正要望として、小口投資家向けに上場株式等への投資に対する配当を毎年一定額非課税とする英国の個人貯蓄口座、「ISA制度」に似た非課税口座制度を設けることや、高齢者を対象とした配当金の非課税制度の導入を盛り込んでいます。

一方、財務省の立場とすれば、昨年末に政府・与党が合意した税制改正大綱で、所有する上場株式の配当への軽減税率10%を2008年末で廃止し、本則の20%に戻すと明記されていることを堅持しようとしています。また、租税法の専門家などからは、金融所得の一体課税が叫ばれていて、「課税の中立性の観点から軽減税率など設けて税制を複雑にすべきではない」といった指摘を受けています。

中川大臣はまさに板挟みとなっているわけですが、「私は麻生さんの限定的な証券マル優制度は検討に値すると思っている。もちろん財務省あるいは金融庁というひとつの分担があるから、その中でよく詰めて頂きたいと思う」として記者会見では早くも三方に気遣う場面が見られました。

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倒産した会社の未払い給与に課税される所得税の納付義務者は誰だ

2008年09月29日

企業倒産が相次ぎ、景気後退を肌で感じるようになりました。倒産した会社で働いていた従業員たちは、未払い給与に頭を悩ますことが多いわけですが、特に破産管財人による清算の仕方には強い関心を寄せるものです。

民間調査機関の帝国データバンクの調べによると、今年8月の倒産件数は1,018件を数え、3ヵ月連続で1,000件を超える高水準となっています。負債総額も8,148億5,800万円で、今年最大を記録しました。

企業が倒産した場合は、破産管財業務の一環として、破産手続開始の決定(破産宣告)と同時に解雇となった破産法人の元従業員に対する未払い給与は他の債権者に優先して配当が行われるものです。退職金についても、破産管財人の判断で、他の破産債権者に優先して、元従業員に配当が実施されます。ただし、それは倒産した会社に配当できるだけの財産が残っている場合で、退職金が100%支払われる可能性はまずありません。

そこで、少しでも手取りを多くしたいと誰もが考え、中でも支払わなければならない所得税がいくらになるのかに関心が寄せられます。原則として、破産債権である未払い退職金が配当された場合は、所得税法上の「退職手当等」に該当します。また、破産法人は、破産宣告後も破産財団に係る実体的権利義務の帰属主体なので、破産債権に対する配当や財団債権に対する弁済に係る経済的出捐の効果の帰属主体は破産法人となります。したがって、破産法人が退職手当等に係る源泉徴収義務者です。しかし、破産財団に対する管理処分権は破産法人ではなく破産管財人が専有していることから、源泉所得税の徴収・納付義務者も破産管財人になります。よって、配当金に課税される所得税については、破産管財人に問い合わせるのがスジなのです。

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固定資産税全額免除される独自の住宅耐震改修優遇税制を都がPR

2008年09月22日

東京都が「災害に強い東京」の実現へ向け、独自の住宅耐震改修優遇税制をPRし始めました。

東京都では、今年から住宅の耐震化を一層促進するために、23区内限定で旧耐震基準に基づいて建築された住宅の「建替え」と「耐震改修」を税制面から支援しています。これは、都が目標としている住宅の耐震化率90%達成のために設けた措置で、『10年後の東京』がめざす災害に強い東京を実現するためです。

まず、旧耐震基準で建築された住宅とは、昭和57年1月1日以前の基準で建てられた住宅のことです。次に、税制面の支援ですが、住宅を「建て替えた場合」は床面積にかかわらず固定資産税全額が減免されます。また、住宅を「耐震改修した場合」には、1戸あたり120uの床面積相当分までの固定資産税が全額減免されることになっています。

この制度が適用できる要件については、「建て替えた場合」は建替え前後の家屋の(1)所有者が同一で、(2)ともに23区内に所在し、(3)取り壊しと新築が1年以内―の場合に、取り壊した家屋1戸につき、新築した家屋1戸の固定資産税が減免されます。なお、平成21年1月2日から平成27年12月31日までの間に建替えが完了したものについて、3年度分の固定資産税が減免されます。

「耐震改修した場合」は、現行の耐震基準に適合する耐震改修で、使った費用が1戸あたり30万円以上の場合に「平成20年から同21年の間に改修が完了したもの」は3年度分、「平成22年から同24年の間に改修が完了したもの」は2年度分、「平成25年から同27年の間に改修が完了したもの」は1年度分の固定資産税がそれぞれ減免されます。

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裁判で保険金の支払いが確定。判決日が保険金を受け取った日

2008年09月22日

兵庫県警巡査らがゴルフでホールインワンを達成したと偽り保険金をだまし取った事件が話題となっていますが、損害保険は保険事故の内容確認が難しく、裁判沙汰になることもあることから、税務上も保険金を収受した日がよく問題となります。

損害保険の場合、事実関係を立証することが困難なケースが少なくありません。そのため、保険金の支払いを巡って保険金受取人と保険会社との間で訴訟にまで発展することもあります。

裁判となると、気になるのが受け取る保険金の申告時期です。生命保険契約などに基づく一時金(満期保険金や死亡保険金)は、一時所得として所得税の確定申告が必要ですが、裁判で保険金受取人が負けた場合は、当然、保険金は入ってこないので、確定申告の必要はありません。あくまでも保険金受取人が勝訴して、保険会社からの保険金の支払いが確定した場合に申告を税務署にしなければならないわけです。

原則として、一時所得の総収入金額の収受した時期については「その支払を受けた日」とされていますが、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、その「通知を受けた日」が収受した日とされています。生命保険契約などに基づく一時金や損害保険契約などに基づく満期返戻金等のようなものについては、その「支払を受けるべき事実が生じた日」が収受した日です。

保険金の支払いを巡る裁判では、その「支払を受けるべき事実が生じた日」の保険事故自体や免責事由にあたるかどうかが争われることが多く、保険事故が発生しただけでは、必ずしも保険金収入の実現可能性が客観的に認識できる状態にあるとは言えません。よって、国税庁も「保険金支払の判決などがあった時を保険金の収入時期として差し支えない」と説明しています。

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中小の病院倒産相次ぎ税制支援求める声高まる

2008年09月16日

かつてない勢いで病院が倒産しています。新しい医療技術を導入すれば受診者数を増やすことができ、経営も安定することから、多くの中小規模の病院が高額な医療機器の購入を支援する税制措置を求めています。

民間調査機関の帝国データバンクの調べによると、「病院」の2007年の倒産件数は、前年比3.6倍の18件でした。「診療報酬改定(引き下げ)」や「医者不足」だけでなく、患者やその家族の医療に対する関心・知識の高まりから、大規模病院へ患者が集中し、中小規模の病院を中心に厳しい経営環境に置かれています。

新しい医療機器を購入して、医療技術の高度化を図ることにより、中小の病院の倒産を防止することができるわけですが、資金面で余裕がないのが実情です。そこで、税制による医療機器購入の支援措置を求める声が中小の病院の間で高まっています。

現行の税制措置として考えられるのは、購入した設備について「30%の特別償却または7%の税額控除」が認められる中小企業投資促進税制の活用です。具体的には、超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科診療用椅子などの医療機器について同税制が使える可能性があるはずなのですが、国税庁によると「それらの医療機器が耐用年数省令別表第一の『器具及び備品』のうち『8 医療機器』に該当し、『機械及び装置』には該当しないので、中小企業投資促進税制は適用できない」と回答しています。

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平成21年度税制改正で「教育費控除制度」創設を―文部科学省

2008年09月16日

文部科学省が平成21年度税制改正要望をまとめました。注目されているのは、家庭の教育費負担を軽減する所得税の教育費控除制度の創設です。

国税庁の調べによると、平成18年中に民間企業が支払った給与の総額は200兆346億円で、前年より1兆5,456億円(▲0.8%)減少しています。サラリーマンの賃金の減少傾向にブレーキがかからない状況があるわけです。一方で、少子化により生徒数が減り学校経営が困難になっていることから、学費を値上げするところが相次いでいます。つまり、一般家庭が投資する子供の教育費負担が重さを増しているわけです。

そこで、文部科学省では、平成21年度税制改正要望に一般家庭の教育費負担を軽減する「教育費控除制度の創設」を盛り込みました。具体的には、現行の特定扶養控除制度について「教育費を勘案した新たな上乗せ措置を講じること」を求めています。そして、税制の抜本改革において扶養控除制度の見直しが行われるときには、現行の特定扶養控除に代えて、「教育費控除制度」を創設することを要求しています。

特定扶養控除に対する新たな上乗せ控除額については、所得税が6万円で、住民税は3万円としています

ちなみに現行の扶養控除制度は所得控除方式で、扶養控除の控除額は、所得税38万円、住民税33万円となっています。また、特定扶養控除の控除額は、所得税が63万円で、住民税は45万円です。対象者は16歳から22歳までの子供で、その子供を持つ親の所得から控除されます。

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ヤフーのオークションサイトを利用。国税の第2回インターネット公売

2008年09月08日

国税庁が今年第2回目のインターネット公売を実施します。参加申込みは9月11日からです。

第2回目のインターネット公売に公売財産を出品するのは、8国税局と沖縄国税事務所、そして、11の税務署です。公売が実施されるサイトは、平成20年度に一般競争入札で決定されたヤフー株式会社が運営するオークションサイト「官公庁オークション」です。そして、そのサイトで国税局などが公売にかける財産は、絵画や宝石類、陶磁器などの動産です。

今回のインターネット公売のスケジュールは、まず、公売参加申込期間が今年9月11日13時から同月25日17時までとされていて、買受申込期間は、今年10月2日13時から同月6日13時までとされています。最高価申込者の決定日は、今年10月8日10時で、買受代金の納付期限は、同月15日14時までとなっています。

そもそも公売は、国税の滞納者から税金を徴収するためのひとつの手法で、滞納者から差押えた財産を強制的に売却する制度です。したがって、公売により支払われた買受代金は、滞納されている税金の穴埋めに使われます。国税庁では、ヤフーの官庁オークションで、買受申込みなどの公売手続の一部がネット上で行えることから、多くの人々の参加を期待しています。

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管理者を置く財団などに贈与税を課税−国税庁が通達改正

2008年09月08日

国税庁が相続税法の細かな取扱いを定めている「相続税法基本通達」の一部を改正しました。今年12月から設立が可能となる一般社団や一般財団に財産を寄附すると、贈与税が課税されることがしっかりと規定されています

政府の公益法人改革により誕生したのが「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」です。これまで社団や財団を設立するには、監督官庁による厳しい審査を必要としましたが、同法では、公益性のある事業を行いたい人が簡単に社団や財団を作れるようにしています。ただし、会員限定のサービスが可能であることから、税の優遇措置が適用できなくなりました。

そこで、国税庁では、税の優遇措置が適用できない社団や財団が誕生したことにより、そういった団体への取扱いの整備を進めています。今回は、相続税基本通達を改正し、これまで代表者や管理者を置く人格のない社団や財団を設立するときや、単純にそういった社団などに財産が贈与された場合でも、各事業年度の所得金額の計算上その財産価格を益金に算入しなければ贈与税はかからないと定めていた取扱いを見直しています。

具体的には、代表者や管理者を置く人格のない社団や財団は、個人とみなして贈与税が課税されることになりました。さらに、持分の定めのない法人も財産の贈与を受けた場合は、個人とみなされ贈与税が課税されると規定されています。

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「新型窓口販売方式」の第272回個人向け国債の募集9月2日に開始

2008年09月01日

新型窓口販売方式による第272回2年利付国債の募集が9月2日にスタートします。投資リスクが低いことから、この個人向け国債は今回も人気を集めそうです。

第272回利付国庫債券(国債2年もの)の発行条件は次の通りです。

募集期間は、平成20年9月2日から同年9月24日までとなっています。表面利率は年0.7%で、税引後は年0.56%になります。募集価格は、額面金額100円につき100円01銭で、申込み単位は、額面金額で最低5万円から5万円単位とされています。1回の申込み当たりの上限額は、額面金額で1億円となっています。

発行日は、平成20年10月6日で、利払日は、毎年3月15日と9月15日の年2回となっています。償還期限は、平成22年9月15日です。

国債は、税収を補うための国家財源のひとつです。そのため、財務省では、国債の円滑かつ確実な消化を図るために、平成15年3月に「個人向け国債」の発行をスタートさせました。それにより、個人投資家の保有割合は順調に増加しましたが、さらに個人に国債を購入しやすくするために考え出されたのが「新型窓口販売方式」の国債です。平成19年10月に日本郵政公社が民営化されたことに合わせて、それまで郵便局にのみ認められていた募集取扱方式による国債の販売方式を「新型窓口販売方式」として他の民間金融機関に拡大しました。従来の郵便局の方式は、財務省が指定する価格によって募集を行い、募集残額が出た場合は日本郵政公社が引受ける一種の委託販売方式でしたが、「新型窓口販売方式」は、その募集取扱方式から募集残額を引受ける義務を無くしたうえで、郵便局以外の民間金融機関でも販売できるようにしたものです。

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環境税導入のための専門委員会がいよいよ始動

2008年09月01日

環境省の「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」が9月3日に第1回会合を開きます。環境問題対策として環境税を導入すべきかどうか、その研究がいよいよ始まります。

環境税については、今年3月に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」の中で「引き続き、国民経済や産業の国際競争力に与える影響や諸外国における取組みの現状等を踏まえ、検討すべき課題である」とされています。また、6月に閣議決定された「骨太方針2008」や7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」においても「本年秋に予定されている税制の抜本改革の検討の際に、道路特定財源の一般財源化の問題にとどまらず、環境税の取扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直し、税制のグリーン化を進めること」とされました。

これらを受け、環境税を含めグリーン税制の在り方などについて検討するため、技術的・専門的な見地から調査・分析を行うことを目的として東京大学大学院経済学研究科の神野直彦教授を委員長とする「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」が、環境省の中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の下に設置されました。

そして、同専門委員会の第1回会合が、9月3日、東京・霞ヶ関の中央合同庁舎第5号館環境省第一会議室において公開で行われます。増税だけに頼った安易な環境対策が講じられないよう、納税者は厳しく監視していく必要があります。

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