7月1日に国税庁が、平成20年分の路線価を公表します。路線価は、土地の相続税評価額を算出するときの基礎となるもので、今回は価格が前年よりも上昇する地域が増えることが予測されています。
平成20年分の路線価図等の閲覧が、今年は例年よりも1ヶ月早い7月1日からスタートします。今回から閲覧は、自宅や会社のパソコンを使って国税庁のホームページにアクセスするか、または、全国の税務署・国税局に設置されたパソコンを使って見るだけとなります。
路線価は毎年、土地の相続税・贈与税の評価額を算定するときの基礎となるもので、地価公示価格や売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格などを参考にして、評価上の安全性を考慮したうえで設定されるものです。その設定要素に地価公示価格があることから、国土交通省が毎年発表する地価公示価格が大きく反映されます。今年3月に国土交通省が発表した平成20年地価公示を見てみると、昨年1月以降1年間の地価は全国平均で住宅地及び商業地ともに2年連続で上昇するとともに、地方圏においても下落地点が依然として大半を占めるものの4年連続で下落幅が縮小しています。したがって、今年の路線価の全国平均は昨年よりも確実にアップするに違いありません。
なお、国税庁では現在、IT化・ペーパーレス化を進めていて、これまでは路線価図を冊子にまとめて国税局や主要な税務署に備え付けていましたが、今年からそれを廃止することにしています。
国税の申告書に顧問税理士が作成したことを証明する書面が添付されている場合は、税務署は顧問税理士を無視して税務調査を実施できないことになっていますが、その税理士が証明する添付書面の様式や扱いが変わります。
日本税理士会連合会(池田隼啓会長)と国税庁(牧野治郎長官)が共同で設置している書面添付制度の普及・定着に関する協議会が、このほど、書面添付制度に関する具体的な改善策をとりまとめました。
その改善策とは、税理士が納税者の確定申告書に添付する書面については、その様式に税務署の収受印欄を設けることや添付書面の様式の「3、計算し、整理した主な事項」又は「3 審査した主な事項」欄にできるだけ多くの内容が記載できるようにすること、としています。
また、納税者の確定申告書に税理士が証明した添付書面がある場合は、「記載内容が良好な添付書面について、意見聴取後、調査省略を行った場合には、文書による調査省略通知を行う。ただし、記載内容が良好でない添付書面について、意見聴取後、調査省略を行った場合や記載内容が良好な添付書面であっても、意見聴取を行わない場合は、その調査省略通知の対象とならない」ことになります。調査省略通知を円滑に実施するため、税理士会内に調査省略通知に関する相談窓口を設置することも決められました。
なお、この書面添付制度は税理士法に規定されていて、税理士又は税理士法人が作成した申告書に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面をその申告書に添付している場合、税務署の職員は、帳簿書類を調査するときには、その税理士に意見を述べる機会を与えなければならない、とされています。また、税務署長が調査による更正を行うときも、書面を添付した税理士に対して意見を述べる機会を与えなければならないことになっています。
6月14日、午前8時43分に発生した岩手・宮城内陸地震では、現在200人を超える人たちが避難所生活を余儀なくされていますが、このほど、国税庁が、被災者へ向け国税の支援措置を発表しました。
国税は申告納税制度をとっているため、納税者からの主体的な申告が重んじられています。そのため、災害などで財産を喪失した人については、自ら申告を行うことが困難な場合が少なくありません。今回の岩手・宮城内陸地震についても、国税庁では被災者らの税務申告・届出などが難しいと想定される人が多数出ていると判断した模様です。そこで、国税庁では、いち早く被災者らに国税に支援措置があることをPRし始めました。
例えば、地震により申告・納付などが法定期限までにできないときは、所轄の税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲でその期限が延長されます。また、地震などの災害により、財産に相当な損失を受けた場合や、国税を一時に納付することができない場合には、所轄の税務署長に申請し、その承認を受ければ、原則として1年以内の範囲で納税の猶予を受けることができます。
期限の延長だけではありません。地震などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告による所得税の雑損控除か、または、災害減免法に定める税金の軽減・免除のどちらか有利な方を選んで所得税の全部又は一部を軽減することもできます。
消費税については、所轄税務署長の承認を受けることにより、災害などが生じた日の属する課税期間から簡易課税制度に切り替えるか、または、簡易課税制度の適用をやめることができます。
国税庁が今年3月までの1年間に発生した税務署への異議申立て、国税不服審判所への審査請求、税金裁判の状況を公表しました。それによると、源泉所得税に関する不服申立てが大幅に減少しています。
税務署による課税処分に不服がある場合、原則として、まず税務署長へ異議申立てを行い、その審議結果に納得できない場合は国税不服審判所に審査請求書を提出します。そして、審判所の裁決にも不服があるときは、裁判所に提訴するという段階を踏まなければなりません。
国税庁がこのほど公表したのは、平成19年度中の納税者からの不服申立て状況に関する結果です。今回の特徴は、源泉所得税の異議申立てが前年度よりも4割も激減していることです。
これは前年度が、配偶者特別控除の廃止や住宅ローン控除制度の縮減、定率減税の廃止などで異議申立ての件数(185件)が急増したことが理由として挙げられます。それに輪をかけて、平成19年度では、国から地方への税源委譲により住民税の負担が重くなり、不満をぶつける対象が住民税に移ったことから、源泉所得税に関する異議申立て件数が117件にとどまったため、前年度よりも大幅に減ったわけです。
今回の公表されたデータの概要を見てみると、異議申立ての発生件数は4,690件で、源泉所得税に係る事案が減少しましたが、全体的に増加し、前年度と比べると9.0%増えています。審査請求も、発生件数が2,755件で、相続税・贈与税、徴収関係に係る事案などが減少しましたが、全体的に増加し、前年度と比べて10.0%増えました。しかし、訴訟については、発生件数が345件で、法人税、消費税が増加していますが、全体的に減少し、前年度に比べると14.0%減少しています。
電子申告控除制度を恒久的な制度に―、このほど日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)が、国税の電子申告・納税システム(e-Tax)について改善要望書を国税庁に提出しました。
日税連が、このほど、e-Taxに関する改善要望書を国税庁企画課に提出しました。この要望書は、日税連の情報システム委員会(奥住壽委員長)が取りまとめたもので、平成19年分の所得税の確定申告において、電子申告を行った結果、税理士の視点で改善を要すると思われた点が盛り込まれています。
改善要望事項を見てみると、e-Taxを使って申告書を送信したあと、メッセージボックスが利用者ごとに用意され、受信通知などの情報がそこに格納されますが、そのメッセージボックスについて「税理士関与の納税者の場合、初期登録の際に納税者のメールアドレスとは別に税理士のメールアドレスも併せて登録できるようにすること」や「メールのタイトルには納税者氏名を明記すること」などを要請しています。また、電子申告を行った納税者については、翌年度は紙ベースの申告書の事前送付がストップしますが、それに対して「何らかの方法で納税者及び税理士へ情報提供を行うこと」を求めています。
さらに、平成19年分と20年分の所得税の確定申告について、e-Taxを利用した場合、1度だけ5,000円の電子証明書等特別控除(電子申告控除制度)が適用できることになっていますが、この電子申告控除制度について「平成22 年度までに電子申告の利用率50%達成を目指すために、相応の金額の恒久的な電子申告控除を創設すること」としています。
沖縄県島尻郡伊平屋村が要請していた法定外目的税の「環境協力税」の新設について、このほど総務省が同意しました。条例制定後に伊平屋村で同税が施行されます。
沖縄県島尻郡伊平屋村(しまじりぐんいへやそん)は、平成20年3月11日に総務省に対して法定外目的税の「環境協力税」の新設について同意を求める申し入れを行いました。それを受け、これまで協議が行われてきましたが、6月6日、総務省は同税の新設に同意しました。
伊平屋村では、観光産業による入域者の増大策が重要課題となっていて、これまで米崎(よねざき)キャンプ場や念頭平松(ねんとうひらまつ)公園、腰岳(こしだけ)森林公園など観光施設の整備を行ってきました。しかし、その観光施設の整備と維持には費用がかかり、特に島内の環境の美化・保全には毎年多額の費用が必要となっている状況があります。そこで、伊平屋村では島内環境の美化・保全、観光施設の維持管理などの費用に充てるため「環境協力税」を創設することにしたわけです。
環境協力税の具体的な仕組みについてですが、課税客体については、旅客船等により伊平屋村へ入域する行為に課税するとされています。そして、課税標準は、旅客船等により伊平屋村へ入域する回数です。税率は、1回の入域につき100円とされていて、旅客船などの運営業者がその100円を徴収する特別徴収となっています。したがって、あくまでも納税義務者は、旅客船などで伊平屋村へ入域する者となるわけです。
伊平屋村では、環境協力税の収入見込額について、平年度で200万円を想定しています。なお、障害者や高校生以下の入域者については非課税とされています。
総務省統計局が、家計調査の平成18年分を公表しました。同調査は、全国168市町村の約9,000世帯に毎日の収入・支出を専用の「家計簿」に記入することを委託し、それを集計したもので、今回は住宅ローン控除制度の廃止に伴う駆け込み適用者が多かったことを垣間見ることができます。
平成18年分の家計調査「家計簿からみたファミリーライフ」が公表されました。その中の、世帯人員や物価の変化の影響を取り除いた「消費水準指数」による生活水準を見てみると,バブル経済が崩壊した平成4〜5年をピークに下がり始め、平成18年は平成元年と同じ水準となっています。
最もお金が費やされたのはテレビで、1世帯当たり1ヵ月平均の支出金額を四半期ごとに見てみると、薄型テレビの価格が下落したことや、トリノオリンピック(平成18年2月10日〜2月26日)、さらには、サッカーのワールドカップドイツ大会(18年6月9日〜7月9日)による特需もあって、18年1〜3月期、4〜6月期は前年に比べ70%以上の実質増加となりました。平成18年7〜9月期は増加幅が縮小しましたが、10〜12月期は再び拡大しています。
一方、勤労者世帯に占める住宅ローン返済世帯の割合について近年の動きを見てみると、平成12年、13年に34.1%となった後、14年、15年と低下しました。しかし、平成16年は35.2%と比較的高い水準となっています。これについて、同調査結果では「17年から住宅借入金等特別控除が段階的に縮小されることを控え、駆け込み需要が発生したため」と分析しています。また,平成18年は持家率の上昇とともに、住宅ローン返済世帯の割合も上昇しています。
国税庁の業務システム最適化計画が財務省行政情報化推進委員会で決定されました。税務調査や国税の滞納整理に一段とIT活用が進みそうです。
「電子政府構築計画」(各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づいて、国税庁では、2006年3月から業務・システムの最適化に取り組んでいます。今回の計画は、「これまでの取り組みを踏まえながら、更なる最適化を図るために実施するもの」と国税庁では説明しています。
国税の業務システムは、国税総合管理システム(KSKシステム)と国税電子申告・納税システム(e-Tax)、集中電話催告システム、タックスアンサーシステムなどのシステムで処理が進められています。
今回の業務システム最適化計画で注目されるのは、やはり「IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化」です。計画書では、「納税者に関する各種情報の相互活用等」と題して「個人や法人が構成するグループが多様化・広域化しており、これに対応するため、グループを構成する個人・法人やグループ全体の情報を一体的に把握する必要がある。また、金融資産や不動産等の資産情報を的確に把握する必要も高まっている。このため、各部署が保有する情報の相互活用を図り、個人・法人の情報をシステム上一元的に管理することにより、効率的な調査を行う」としています。
また、国税局査察部(マルサ)については「KSKシステムとOAシステムで二元管理されている資料情報を一元化するなど、査察に関するシステムの高度化を図る」と調査官への精度の高い情報の提供に力を入れていくことを示唆しています。
東京都が一般企業や特別法人に課税している法人事業税の超過課税について、今年10月から施行される地方法人特別税との関係を説明し始めました。
今年4月30日に国会で成立した平成20年度税制改正関連法で、暫定措置として法人事業税の一部国税化が実施されることになりました。地方税の法人事業税の一部を地方法人特別税として、自治体が国に献上するというもので、納税する一般企業などの納税額に変化はありません。
ただ、納税額の総額に変化はないものの、内訳を見ると法人事業税の標準税率が引き下げられた形になります。これで戸惑っているのが東京都です。都では法人事業税の超過課税を実施していて、法人事業税の税率が下がったことから、他の自治体が採用している標準税率の上乗せ部分も縮小すると思い込む企業が出てくることを危惧しているのです。そこで、都では「暫定措置の実施期間中については、現行の標準税率と超過税率の差分はそのまま、税制改正後の標準税率に加算されるよう、超過税率を設定します」と説明しています。
つまり、標準税率に上乗せしている税率は変えないというわけです。例えば
改正前までは、普通法人の場合、年所得のうち800万円を超える所得の区分における法人事業税の標準税率は9.6%で、上乗せ税率は0.48%でした。これについて、改正後は法人事業税の標準税率が5.3%に引き下げられますが、上乗せ税率は0.48%のまま課税されるわけです。
地域のやる気のある企業経営者を国、自治体が行政資源を総動員して応援する地域力連携拠点事業が5月30日に全国一斉にスタートしました。
5月30日、経営力の向上や事業承継など、中小企業が直面する課題に対してワンストップできめ細かな支援を行う「地域力連携拠点」316機関が、全国の経済産業局に設置されている審査委員会の厳正な審査の結果採択されました。
地域力連携拠点事業は、同拠点と2000を超える支援機関がパートナーを組んで地域の中小企業をサポートするとともに、同拠点のうち102ヵ所は事業承継支援センターとして活動するというものです。同日、その地域力連携拠点事業が、全国一斉にスタートしました。
政府が実施する地域力連携拠点事業は今年度から始まる新規事業で、52億円の予算がついています。その予算は、地域において優秀な支援者となるコーディネーターと中小企業支援機関である「地域力連携拠点」の内部にいるコーディネーターの活動費などに使われます。優秀な支援者は、約430名の中小企業支援のノウハウ・実績を持つ中小企業診断士、税理士、企業OBなどです。
そして、そのコーディネーターは、他の中小企業支援機関とのつながりを活かして、悩みを抱える中小企業や新しいことを始めたい中小企業などを積極的に見つけ出し、経営上の課題の正確・迅速な把握や課題解決に向けた戦略の立案を支援することになっています。