国税庁が、平成18年分の相続税の申告結果と、平成18年分の相続税の申告に対して税務署などが平成19年10月末までに実施した税務調査による課税事績とをプラスしたものを公表しました。
このほど、国税庁が公表したものは、平成18年中に相続が開始した被相続人から相続、遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得した者について、平成19年10月31日までの間の申告又は処理(更正、決定等)による課税事績を「申告書、決議書等」に基づいて作成されたものです。
昨年12月に国税庁が発表した平成18年分の相続税の申告状況は、平成19年10月31日までに提出された相続税の申告書に基づく数字なので、今回公表した数字は相続税に関する税収から見ると実態に近いものと言えます。
具体的には、平成18年分の相続人数は13万4722人(前年13万5803人)で、被相続人は4万5322人(同4万5152人)でした。前年に比べて相続人は1081人(伸び率△0.8%)減少し、被相続人は170人(同0.4%)増加しました。また、相続税の課税価格は10兆4056億円(前年10兆1953億円)で、納付税額は1兆2234億円(同1兆1567億円)でした。前年に比べて課税価格は2103億円(伸び率2.1%)増加し、納付税額も667億円(同5.8%)増えています。
相続税の取得財産価額を種類別に見ると、トップが土地で5兆4491億円(構成比47.8%)、次に現金・預貯金等の2兆3488億円(同20.6%)と続き、3位が有価証券1兆7,966億円(同15.8%)でした。
道路特定財源問題について、国会で審議が進まないことから、額賀福志郎財務大臣が1日当たり国と地方合わせて70億円の税収不足が発生していることを記者会見で再度明らかにしました。
4月22日に行われた記者会見で「道路の暫定税率が失効した状態が続いているが、いつ再議決して復活するかについてはこれからの話であるが、いろんなケースを想定してどのような税収の穴埋め策を考えているのか」との質問が額賀財務相に行われました。それに対して、額賀大臣は「現実的に、今、我々が直面しているのは、1日国費で40億円、地方で20億円の税収不足を来しているということである。
こういうことがないように、国会の場できちっと政府案について成立させていただきたいということが、我々の願いだ。そのために与野党の協議会もスタートしたところなので、是非早く結論をつけていただきたいと思っている」と日々歳入不足が発生していることを強く訴えました。
そして、その歳入不足を今後どのようにして取り戻すのかについては「税収不足が具体的にどの程度になるかということをよく把握した上で対応していくことが重要なので、今の段階でこういうふうな対応策を考えているということについては、控えさせていただきたい」として額賀大臣は、増税か、または国債の発行など何らかの措置が必要であることをにおわせる発言を行いました。
国税庁がe-Taxソフトの法人税関係などで平成19年度の税制改正に対応したものに改良しました。今年4月14日からその改良版へバージョンアップできるようになっています。
e-Taxは、インターネットを使って国税の電子申告・納付ができる国税庁のシステムです。今回、そのe-Taxで利用できるe-Taxソフトを国税庁が平成19年度税制改正に対応したものに改良しました。具体的には、法人税関係や連結法人税関係、消費税関係、源泉所得税関係、酒税関系等について、平成19年度税制改正に対応する各手続の追加・削除及び帳票の変更を行っています。
また、e-Taxソフトの使用に当たっての注意事項として、法人税申告書別表十七(一)の中に、ミスリードがあったことを明らかにしています。同別表は、「国外支配株主等に係る負債の利子等の損金不算入に関する明細書」で、損金不算入額の欄にある「(26)が(27)を超える場合」、「(26)が(27)以下である場合」の記述が上下逆転していて、正確には「(26)が(27)以下である場合」が上で、下に「(26)が(27)を超える場合」が入るとしています。
国税庁が、平成18年に制定された新信託法に関する税務解釈通達を公表しました。国税の取立てから逃れること目的として委託した詐害信託への対応などを新たに示しています。
このほど、国税庁が公表した税務解釈通達は、国税徴収法基本通達の一部改正(案)というものです。その改正は、信託法の全文改正に伴う改正、国際刑事裁判所協力法等の制定に伴う改正、郵政民営化法の施行に伴う郵便貯金に対する滞納処分手続の改正などが主な内容となっています。中でも、信託法の全文改正に伴う改正が注目されています。
例えば、信託法第11条の詐害信託の取消しについては、「納税者が委託者である場合において、納税者が債権者を害することを知って信託をしたときは、受託者が債権者を害すべき事実を知っていたか否かにかかわらず、受託者を被告としてその信託の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、受益者が現に存する場合において、その受益者の全部又は一部が受益者としての指定を受けたことを知った時又は受益権を譲り受けた時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、信託の取消しを裁判所に請求することはできない」としながらも、「信託が終了することにより信託財産に属する財産が、委託者又はその相続人その他の一般承継人に帰属することとなる場合においては、それらの者の滞納国税を徴収するため、それらの者に代位して受益者と合意することにより、信託を終了することができる」と定めています。
平成20年4月14日から、e-Taxで利用するルート証明書が、財務省認証局発行のものが使えなくなり、政府共用認証局発行のものだけとなりました。
e-Taxは、納税者が所有する自宅や会社のパソコンを使って、インターネットを通じて国税の申告や各種届出、納付ができる国税庁の電子申告システムです。
利用者は、e-Taxのシステムに搭載されているe-Taxソフト等を利用するに当たり、認証局を信頼の基点とすることに同意し、その認証局のルート証明書をパソコンにインストールする必要があります。パソコンにインストールしたルート証明書は、配付されたプログラム、受付システムから送信されたデータ、電子納税証明書、接続先のサーバが、本当に国税庁のものであるかを確認するために使用するものです。
これまで認証局には、財務省認証局、財務省運用支援認証局、政府共用認証局(官職認証局)、政府共用認証局(アプリケーション認証局)があり、そのうちのひとつをe-Taxの利用者は選択することになっていました。
しかし、その認証局について、4月14日から、財務省認証局発行のもが使えなくなり、政府共用認証局発行のものだけに変更されました。国税庁では「同日以降は、過去にインストールしたルート証明書は使えません。政府共用認証局の新しいルート証明書を再度インストールしないと、e-Taxソフト等が正しく動作しないので注意が必要です」としています。
税源移譲による特例措置とされている住民税からの住宅ローン控除の申告について、申告期限後でも大丈夫であることを総務省がPRしています。
所得税の住宅ローン控除制度(正しくは住宅借入金等特別控除制度)は、購入した住宅の年末ローン残高の一定割合を10年間にわたって所得税額から控除できるという有利な制度です。
ただ、国税の所得税から地方税の住民税への税源移譲により、多くの人が平成19年1月から所得税が減り、その分6月からの住民税が増えています。そこで、政府は激変緩和措置として、所得税額から住宅ローン控除の控除額を引ききれない人や平成19年に所得が減って所得税が課税されなくなった人について、市区町村に申告すれば住民税が軽減される特例措置を設けました。
控除できるはずの住宅ローン控除の金額が控除しきれない場合については、具体的には、平成18年末までに入居し、所得税の住宅ローン控除を受けている人で、所得税から控除しきれなかった額がある場合に、住んでいる市区町村へ申告することにより、翌年度の住民税(所得割)から控除できることになっています。総務省では、この特例措置を知らなかった人が多くいると判断、そこで、「対象者の方は、今年3月15日までに市区町村に申告を行う必要がありましたが、まだ申告を行っていない方は、平成20年度分の住民税の納税通知書が送達される時までに忘れずに申告してください」と呼びかけています。
このほど、国税庁が相続税の資産の評価で用いる財産評価基本通達の一部を改正しました。これは、自民党の平成20年度税制改正大綱で指摘されたことを受けてのものです。
自民党の平成20年度税制改正大綱の中で指摘されたのは、相続資産の営業権の評価に関するものです。
これまで、事業者が保有する営業権の評価額については、まず「次の算式によって計算した価額と課税時期を含む年の前年の所得の金額(営業権の価額が相当高額であると認められる著名な営業権については、その所得の金額の3倍の金額)とのうちいずれか低い金額に相当する価額によって評価する」と規定されていましたが、その規定の中の「価額と課税時期を含む年の前年の所得の金額(営業権の価額が相当高額であると認められる著名な営業権については、その所得の金額の3倍の金額)とのうちいずれか低い金額に相当する価額」という部分が「金額」とされました。
そして、「次の計算式」について、「平均利益金額×0.5−企業者報酬の額−総資産価額×営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率=超過利益金額」とされている中の「企業者報酬の額」と「営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率」が改正されました。
「企業者報酬の額」は、「標準企業者報酬額」とされ、「平均利益金額が5,000万円以下の場合は、営業権の価額は算出されない」とされたほか、企業者報酬の額について「平均利益額1億円以上は10%相当額」とされていたものが、「平均利益金額が1億円超3億円以下は平均利益額×0.2+ 2,000万円」「平均利益金額が3億円超5億円以下は平均利益金額×0.1+5,000万円」「平均利益金額が5億円超は平均利益金額×0.05+7,500万円」とされました。
一方、「営業権の持続年数(原則として、10年とする)に応ずる基準年利率」については「0.05」とされています。
このほど、国税庁が消費税法の細かな取扱いを定めている基本通達の一部を改正しました。そのなかで、リース資産に関する取扱いで新たなものが付け加えられているので注意が必要です。
消費税は資産の売買や役務の提供により支払われる料金に5%の税率(地方消費税含む)で課税されるもので、当然、資産のリース料にも課税されます。今回、国税庁がその消費税法の取扱い基本通達を一部改正し、新たな取扱いとして「リース期間の終了に伴い返還を受けた資産」に係るものを設けました。
通達番号は「9−3−6の4」とされていて、「リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引の目的物であった資産の返還を受けた場合における当該資産の返還は、資産の譲渡等に該当しない」としています。
そして「当該資産に係るリース契約の残価保証額の定めに基づき賃貸人が賃借人から収受する金銭は、その収受すべき金額が確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算するものとする」とされました。
残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が、リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を、そのリース取引に係る賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における保証額のことです。
なお、この取扱いは、平成20年4月1日以後に締結される契約に係るリース取引について適用されます。