道路特定財源の暫定税率維持・廃止、一般財源化をめぐり国会が紛糾し、平成20年度税制改正関連法案の年度内成立が難しくなっていますが、その法案の年度内不成立を年季の入った自動車を持つ人たちが大歓迎しています。
年季の入った自動車を持つ人たちが、平成20年度税制改正関連法案の年度内不成立を期待している理由は、ガソリンの値下がりだけではありません。じつは、自動車税が前年よりも10%引き下がるからです。
自動車税は、軽自動車を除く普通・大型自動車を所有している人に課税される都道府県税で、毎年4月1日に運輸支局に登録されている車の所有者にかかる税金です。
じつは、地球温暖化防止措置として、車齢13年超のガソリン車については、租税特別措置法で原則税率におおむね10%重課が課せられています。これは自動車税のグリーン化とも呼ばれている措置の一環で講じられているもので、それが平成20年3月31日で期限切れとなるのです。
現在国会に提出されている平成20年度税制改正関連法案には、当然、その車齢13年超の自動車に対する10%重課措置の延長が盛り込まれています。したがって、初期登録後13年を超える自動車を持っている人たちが、税制改正関連法案の年度内不成立を固唾を飲んで見守っているわけです。
奇しくも、3月28日には、政府が地球温暖化対策推進法に基づく京都議定書目標達成計画の改正案を閣議決定しました。同改正案の趣旨説明には環境税の導入と自動車排出ガス抑制のための施策を検討することが盛り込まれています。
(社)電子情報技術産業協会(JEITA、会長=町田勝彦シャープ会長)が3月28日、平成21年度税制改正へ向けて法人税の軽減を盛り込んだ要望を政府に行うことを公表しました。
JEITAは、電子機器・部品の健全な生産や貿易、消費の増進を図ることにより、電子情報技術産業の総合的な発展を支援している業界団体です。3月28日、町田会長が2008年度の主要事業への取り組みなどについて記者発表を行いました。
そのなかで、町田会長は税制についても触れ「平成20年度税制改正法案に盛り込まれている情報基盤強化税制、研究開発促進税制の拡充延長の成立を期待する」としました。そして「国際競争力を保持するという点でも、法人税の見直しは必須だと考えている。アジアや欧州での法人税率の引き下げか相次ぐなか、日本の40%というような税率の国は無くなっている。
企業の優遇税制につながるという指摘もあるが、私企業の問題ではなく、日本経済の体力そのものが衰退することにも繋がりかねない問題。ねばり強く取り組んでいく」として、平成21年度税制改正について法人税の減税を要望することを明言しました。
なお、町田会長は電子産業における需要動向について、「電子部品は、エレクトロニクス需要の先行指標になるものだが、今年1月には34カ月ぶりに前年実績を割りこみ、2月にも前年割れとなった。また、3月も私の考えでは、前年を下回り、4月も同様の結果になるだろうと思う。しかし、5月以降、北京オリンピックがもたらす需要によって、伸張することが期待される」と語りました。
地方交付税の廃止などを盛り込んだ「道州制の導入に向けた第2次提言―中間とりまとめ―」を日本経済団体連合会(御手洗冨士夫会長、日本経団連)が発表しました。
同提言のタイトルにもあるように、日本経団連が道州制に関する提言を行うのは今回で2回目です。そもそも、日本経団連が考えている道州制は、現在の都道府県を廃止し、これに替わる広域自治体として全国を10程度に区分する「道州」を新たに設置して、地方公共団体を道州および市区町村などの基礎自治体との二層制にすることを目指しています。
多くの地方自治体が財政難にあることから、税財源の確保が一番の課題となっているわけですが、それについて同提言では、「現行の地方交付税、国庫補助負担金は廃止します。そして、国・地方を通じた政策課題に対応するための財源、およびこれまで地方交付税が担ってきた財政調整を水平的に行うものとして、新たに『地方共有税』(仮称)を創設いたします。さらに、社会保障や教育など、全国的に一定水準を保障すべき費用について国から道州および基礎自治体に財政移転が維持される必要がある場合には、使途を特定した『シビルミニマム交付金』(仮称)を新設し、道州、基礎自治体に交付するようにします」といったことを国に求めています。
さらに、地方の国への財政依存体質については「個人住民税や固定資産税など、地域の住民が自ら担うことのできる税目に加え、地域による偏在が少なく、かつ地域の住民が自ら担うことのできる消費税(地方消費税)を活用することも、一つの考え方です」として、独立した財政運営を行えるような環境づくりも提案しています。
金融機関やコンビニエンスストアが発行する住民税などの領収書を偽造する犯罪が、多発していることを東京都が明らかにしました。
東京都によると、金融機関やコンビニの発行する領収書について、平成19年度内だけでも、領収印を偽造して納税済みを装うなどの悪質な事件が5件発生したとしています。そのうち1件だけだが、逮捕・起訴・有罪が確定していて、告発したのが1件、警察署と協議したものは3件ありました。
有罪が確定した1件の犯行内容は、わずか7,400円相当の都税の領収書について、領収印・印影を偽造して納税を装ったもので、平成19年11月に懲役1年、執行猶予3年の判決が確定しています。
ちなみに、公文書偽造については刑法で罰則が設けられていて、1年以上10年以下の懲役とされています。公文書の偽造やその行使は罰金ではなく懲役刑が科される重罪なのです。
東京都では、「今後とも、犯罪行為に対しては、敢然と立ち向かい、納税秩序の確保に努めていきます」として、「納税情報を厳格に管理し、不正を見逃さない」、「収納機関など関係者と協力し、徹底した事実調査を行う」「犯罪行為があると判断した場合には、警察に通報・協議、告発等を行う」など強い態度で臨む構えをみせています。
2008年度税制改正関連法案の年度内成立が困難な状況となり、道路特定財源の暫定税率廃止だけが取り沙汰されていますが、年度内不成立となると経営に大きな影響を及ぼす税制があることに中小企業の多くが危機感を覚えています。
3月13日にようやく参議院の予算委員会で予算審議が始まりましたが、時間的な余裕がなく税制関連法案の年度内成立が困難な状況になっています。どのマスコミも道路特定財源に設けられている暫定税率の廃止ばかりを取り上げて報道していますが、中小企業の間では、経営に影響のある日切れ法案(租税特別法で適用期間が限定されている税制)の行方に注目が集まっています。
例えば、少額減価償却資産の特例です。資本金1億円以下の中小企業が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、全額損金算入が認められる制度で、その適用期限は今年度末までとなっています。今回の税制改正関連法案では、同特例の2年間延長が盛り込まれているわけですが、もし、年度内に成立しなければ、4月1日以後に10万円以上の減価償却資産を購入した場合は、全額損金算入ができなくなります。
また、資本金1億円以下の企業に認められている交際費の損金算入特例も同じです。同特例は、支出した交際費について、定額控除限度額(400万円)までは、90%相当額について損金算入が認められるという制度で、これも今年度末で期限が切れることから、2年間の延長措置が今回の法案に盛り込まれています。年度内に税制改正関連法案が成立しなかった場合、こうした特例が適用できなくなるため、中小企業は経営計画を練り直さなければならない状況にあるわけです。
「中小企業生産性向上プロジェクト」に基づく経営力の向上や中小企業の事業承継を支援する、地域力連携拠点事業が動き出しました。経済産業省が地域力連携拠点の募集を3月13日にスタートさせています。
地域力連携拠点事業とは、日本の強みである「つながり力」を更に強化することで中小企業の生産性を向上させる事業で、優秀な支援者を「応援コーディネーター」(全国で500人)として中小企業支援機関である「地域力連携拠点」に配置し、経営力の向上や事業承継など中小企業が直面する課題に対してきめ細かな支援を行うというものです。
この事業には国家予算が52億円つけられていて、商工会や商工会議所、金融機関、農協、NPO、民間企業などが同拠点として名乗りを上げることが予測されています。
この事業の特徴は、優れた応援コーディネーターが各拠点に配置され、支援を求める中小企業と専門家(応援コーディネーター)をピンポイントでつなげてくれる点にあります。
その専門家には、大企業のOBや各業種に特化したコンサルタント、中小企業診断士などが予定されていますが、事業転換や新たな分野へ挑戦する中小企業には、弁護士や税理士が対応してくれる仕組みになっていて、中小企業が苦手なリスクマネージメントができることが最大のメリットです。特に税理士には、多くの中小企業に関与している経験を通して、幅広い視野で助言してくれることを中小企業経営者らは期待しています。
さきごろ、総務省が公表した「平成20年度地方税に関する参考計数」が話題となっています。国民1人あたりの国税と地方税の負担率がバブル経済最盛期と同じレベルに達しているからです。
バブル経済は、昭和60年あたりから始まり、平成3年にピークを迎えます。そのピーク時の国民1人あたりの国税と地方税の負担(年度ベース)は、国税が511,469円で地方税が283,789円、その総額は795,258円で負担指数は994,073(昭和16年を100として算出)でした。これと、バブル経済が始まる直前の昭和55年の計数である国税と地方税の1人あたり税負担の総額が378,284円で、負担指数が472,855であったこととを対比すると、いかに負担が大きかったかが分かります。
そのため、バブル経済の頃は「節税」という言葉が非常にもてはやされたものでした。
ところが、今回総務省が公表した「平成20年度地方税に関する参考計数」によると、平成20年度の国民1人あたりの国税と地方税の負担は、国税が433,990円で、地方税が324,336円となり、総額が758,326円になると見込んでいます。負担指数も947,908となり、高級品が飛ぶように売れた平成元年から平成2年あたりの指数と同じになります。バブル経済のときよりも地方税負担が大きいのは、国から地方への税源移譲の影響ですが、総額負担がここまで大きくなると、またしても「節税」ブームが到来するかもしれません。
自民党が創設を検討している政府系ファンドに対して日本経団連の御手洗冨士夫会長が、「国民の税や年金保険料として徴収した資金でリスクをとることが適切なのか」と不快感をあらわにしました。
政府系ファンドの創設を検討しているのは、自民党の「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」(会長=山本有二前金融担当相)で、国が国民から集めたお金を株式などに投資することで資金を運用する形式を想定したものです。
昨年12月の同議員連盟創設時から、税方式による資金集めが検討されてきていますが、ここへきて、厚生労働省内で年金積立金をファンドに組み込む案が浮上、舛添要一厚生労働相も2月6日の同議員連盟の会合で、個人的見解と断りながらも「年金積立金の運用は3分の1の50兆円だけは若干ハイリスクハイリターンがあるということでやると、国民も納得するのではないか」と述べ好意的な発言をしました。
これに反発したのが日本経団連の御手洗会長です。御手洗会長は記者会見で「日本が政府系ファンドを設立することは、税や年金保険料として徴収した資金でリスクを取ることが適切か、また『官から民へ』の流れに反しないか、など疑問が多く、慎重に検討する必要がある」として同議員連盟の議論にクギをさしました。
国税庁が、昨年12月26日から今年1月31日まで募集していた「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いの一部改正案」に対する意見の結果を公表しました。
同改正案に対する意見は、国税庁がホームページなどを通じて募集していたもので「78通の意見があった」としています。
現行の取扱いは「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、『(1)保険期間満了時における被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるものは、各事業年度の支払保険料の2分の1に相当する金額』、『(2)保険期間満了時における被保険者の年齢が70を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものは、各事業年度の支払保険料の3分の2に相当する金額』、『(3)保険期間満了時における被保険者の年齢が80を超え、かつ、保険加入時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるものは、各事業年度の支払保険料の4分の3に相当する金額』をそれぞれ資産に計上する」としています。
改正案は「(1)について、『保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの』とし、また、(2)について『保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの』にする」というものです。
寄せられた意見の中で、「改正への反対」や「取扱い自体への批判」に対して国税庁は「現行の取扱いが取引実態と乖離している状況にあると認められたことから適正化を図る必要があるため」としてすべて反論しています。
(社)信託協会の加盟社が行っている社内預金引当信託について、このほど、所得税の課税関係を国税庁が明らかにしました。同協会の照会に対して回答したものです。
社内預金引当信託とは、企業が従業員である社内預金者に対して負担する社内預金の元金の払戻債務の履行を確保するために行っているものです。賃金の支払の確保等に関する法律に規定されている保全措置に沿ったもので、企業を委託者兼収益受益者、社内預金者を元本受益者として、会社破綻等の一定の事由が生じたときに元本受益権が行使できる単独運用信託です。
この信託契約については、以前から存在していましたが、同協会が新信託法の施行に伴い、「元本受益者は会社破綻等の一定の事由が生じるまでは受益権を有しないこととする」など内容の見直しを行ったことから、同協会が国税庁に税の取扱いを照会していました。
その照会の内容は「社内預金引当信託の設定時においては、元本受益者である社内預金者に課税関係は生じない」とすることと、「会社破綻等の一定の事由が生じ、信託契約第17条に定めるところにより元本受益権が行使され、元本受益者である社内預金者が信託財産から弁済を受けた場合、当該元本受益者の社内預金元本額以下の部分の金額については、当該元本受益者である社内預金者の所得税法上の課税所得にはならない」とすることでした。
これに対して国税庁は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」としています。