日本公認会計士協会と日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体が「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案の公表を行いました。
4団体が設置している「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」では、平成19年4月27日の同指針改正後も継続して同指針の見直しについて検討をつづけていますが、このほど、同委員会が平成20年改正に関する公開草案を承認しました。そこで、4団体が同公開草案を公表したわけですが、今回の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」及び同第13 号「リース取引に関する会計基準」に対応した会計処理の見直しが主要な改正項目となっています。
まず、棚卸資産の評価基準についてですが、これまでは「原価法又は低価法を用いる」ことになっていました。それに「棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする」という新たな取扱いが加えられています。そして、「棚卸資産は、原価法又は低価法により評価し、原則として継続適用する。
(1)棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価をもって貸借対照表価額とする。なお、次の事実が生じた場合には、その事実を反映させて帳簿価額を切り下げなければならないことに留意する必要がある。イ、棚卸資産について、災害により著しく損傷したとき、ロ、著しく陳腐化したとき、ハ、上記に準ずる特別の事実が生じたとき。(2)、(1)における時価とは、原則として正味売却価額(売却市場における時価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した金額)をいう」とされました。
一方、「リース取引に関する会計基準」については、すべて新設で、「所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。この場合は、未経過リース料を注記する」ことを前提として、細かな取扱いが定められています。
平成20年2月に国税局と税務署が、第4回目のインターネット公売を実施します。今回も納税者の差押財産がネット上でセリにかけられますが、掘り出し物も数多く出品される模様です。
第4回インターネット公売の参加申込期間は、平成20年1月31日(木)午後1時から2月13日(水)午後5時までとなっていて、ヤフー社の官公庁オークションサイトで受け付けをしています。
公売保証金納付期限とその他必要書類の提出期限は、2月18日(月)となっていて、公売保証金の納付方法については、原則としてクレジットによる納付のみとなっています。次に、買受申込期間ですが、2月20日(水)午後1時から2月22日(金)午後1時までで、これについてもヤフー社の官公庁オークションサイトで受け付けています。落札者の決定は、2月27日(水)午前10時となっていて、動産(宝石・絵画等)の売却決定は、同日の午前11時に行われる予定です。自動車の売却決定は、3月5日(水)午前9時で、買受代金(落札代金)の納付期限は、3月5日(水)午前10時となっています。
公売は、滞納となった税金を徴収するために納税者の差押財産を強制的に売却する制度で、インターネット公売は、買受申込みなどの公売手続の一部について、実際の公売会場において行うのではなく、インターネットを利用して行うものです。これにより、買受人の利便性の向上が図られ、多くの人の公売への参加が期待されています。
1月18日に召集された通常国会の焦点について、揮発油税(ガソリン税)の暫定税率の継続問題にあると多くのマスコミが取り上げていますが、じつは、証券業界では株式譲渡益課税の強化を危惧する声が相次いでいます。
ガソリン1リットルあたりに25円税金が暫定的に上乗せされているガソリン税と、軽油1リットルあたりに17.1円税金が暫定的に上乗せされている軽油引取税、自動車を購入する際に購入価格の2%の税金が暫定的に上乗せされている自動車取得税は、いずれもその暫定上乗せ措置が今年3月末で期限切れとなります。
そこで、その暫定上乗せ措置の継続を決めている与党の租税特別措置法改正案に民主党などの参院野党が反対すると、一時的ですが、暫定税率が廃止され減税されることになります。その仕組みは、同法案など予算関連法案が2月中旬に衆院で可決され、参院に送られる見通しで、参院送付後野党の徹底抗戦で60日を過ぎれば、憲法の規定で否決されたとみなされます。4月中旬には衆院で与党が3分の2以上の賛成により再可決することが考えられますが、4月1日からその衆院の再可決までの期間は廃止されるわけです。ともすると、参院野党がその衆院再可決で内閣に対して問責決議案を提出して総選挙に発展して、与野党逆転で暫定措置完全廃止となる可能性もあります。
減税ですから、多くの国民が歓迎しているわけですが、じつは、証券業界には逆に同法案の衆院再可決を恐れる声があります。今国会に提出される租税特別措置法改正案には、来年以降も一部ですが証券優遇税制の継続が盛り込まれているからです。総選挙で与野党逆転した場合は、証券優遇税制が完全廃止になる可能性があるため、参院野党の出方に強い関心が寄せられているわけです。日本証券業協会では「与野党が逆転したからといって何もかも元に戻ってしまうようなことは、通常の国ではないのではないか」として行方を見守っています。
東京都が独自の固定資産税・都市計画税の軽減措置について、平成20年度も継続する方針を明らかにしました。
東京都の独自の固定資産税・都市計画税の軽減措置とは、「商業地等に対する負担水準の上限引下げ措置」「小規模非住宅用地に対する減免措置」「小規模住宅用地に対する軽減措置」「新築住宅に対する減免措置」の4つです。
具体的には、「商業地等に対する負担水準の上限引下げ措置(負担水準が65%を超える商業地)」には固定資産税・都市計画税が負担水準65%に相当する税額まで軽減されています。次に、「小規模非住宅用地に対する減免措置(面積400u以下、土地の部分は200uまでの部分)」では、固定資産税・都市計画税が2割減免となっていて、「小規模住宅用地に対する軽減措置(面積200uまでの部分)」は都市計画税が2分の1軽減されています。
これらについて東京都は、平成20年度においても継続することにしました。ただし、新築から3年間、固定資産税・都市計画税が全額から2分の1減免される「新築住宅に対する減免措置(平成12年1月2日から平成20年1月1日までに新築された住宅)」ついては、「創設当時の目的を概ね達成している状況等を踏まえ、現行の適用期限を1年間延長する経過措置を講じた上で廃止する」(東京都主税局)としています。
こうした軽減措置の継続について東京都主税局では、都税条例改正案として平成20年の第1回東京都議会定例会に提案する予定です。
政府が1月11日、平成20年度の税制改正要綱を閣議決定しました。これを受け、早くも平成20年度税制改正法案の国会審議の行方が取り沙汰されています。
閣議決定された税制改正要綱には、税収の増収(増税)と減収(減税)の金額が示されていますが、改正が最終的にすべて実行された場合、証券税制の優遇措置や不動産売買に伴う登録免許税の軽減措置の廃止・縮小などにより、平年度ベースで国税が3,600億円、地方税が442億円、計4,042億円の増税となることが示されました。ただし、増税措置は段階的に年度をまたいで実施されるものがあるため、20年度は国・地方で70億円の減税となる見通しです。
同要綱の閣議決定により、税制改正法案の骨子が明らかになったわけですが、問題は、衆議院と参議院で与野党の勢力に違いがある、いわゆるねじれ現象があることから、例年のようにスムーズに法案が年度内に成立するかどうかが懸念されていることです。そのため、財務省の津田廣喜事務次官は記者会見で「税制改正法案で言えば、例えば年度内にこれが成立しないというような事態にもしなりますと、歳入が思ったほど入らないというだけに限らないわけでありまして、経済取引への影響を通じまして、国民生活に混乱が生じる恐れも否定出来ないと考えます」と国会を牽制しました。
また、年度内成立のために財務省では「税制改正の法案で言えば、例年2月の初めぐらいに閣議決定を経て国会に提出しているわけであります。今年の場合は、関係者、法案作成に当たる職員は年末年始の休みも返上して法案の作成作業に今取り組んでおりまして、時期ははっきりまだ決まっておりませんけれども、例年よりは少しでも早く国会に提出をするように全力を挙げているところでございます」と津田事務次官は同じ記者会見で、裏方の激務を紹介して情に訴えました。
首相官邸にある規制改革推進室が、全国規模の規制改革要望に対して各省庁が回答を行ったものへ再検討を要請したことを明らかにしました。その中には、税理士資格の特権的付与の廃止が求められています。
今回、同推進室が各省庁に再検討を要請したのは、昨年10月15日から11月14日までに寄せられた「全国規模の規制改革要望」について、関係省庁が昨年の暮れに回答したものの一部です。
その再検討を要請した改革要望には財務省に対するものもあり、そのなかで税に関するものとしては、全国青年税理士連盟が要望した税理士資格の特権的な付与制度の廃止があります。同連盟の要望の内容は「税理士資格は、国家試験である税理士試験合格による資格取得が、公平・公正であり、弁護士及び公認会計士、税務官公署職員に対する特権的資格付与は即刻、廃止すべきである」としたものでしたが、財務省は全面的に廃止できないと回答してきました。そこで、同連盟はその回答に納得できなかったことから同推進室に不服を申し入れ、再検討要請に至ったわけです。
同連盟が財務省に求めた再意見の内容は、弁護士・公認会計士への資格付与については、司法試験・公認会計士試験も「税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験ではない」とし、税理士試験の受験を重要視していないとしています。また、税務官公署実務経験者に対する資格付与については、「彼らの実務経験がなぜ税理士としての資質を持っていることになるのか」ということと、「税理士を無償独占の名の下に税務官公署の下請機関的に使おうとしているのではないか」などといった質問を投げかけ、再度同制度の廃止を求めています。
国税庁が税務上取り決めている「使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金」に関する取扱通達のQ&Aを作成しました。
執行役員制度は、日本では1990年代後半から民間企業の間で「経営に専念する人(取締役)」と「業務の執行に専念する人(執行役員)」を分離して役割分担を明確にするコーポレートガバナンスの観点から導入され始めたものです。
執行役員制度で税務上もっとも問題となるのは、一般の社員から執行役員に昇格するときに会社から支給される退職金という名目の一時金でしたBそれに対して、国税庁は同取扱通達で「執行役員と会社との契約が、委任契約又はこれに類するものであり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと」などの要件を満たせば、会社が支給するその一時金については、退職所得として扱っても良いとしています。そうでないものは、賞与として取り扱われます。退職所得に課税される所得税は、支給金額から退職所得控除額を差し引いた金額の半額に税率をかけて計算します。したがって、退職所得の方が賞与よりも税負担がずいぶん軽いわけです。
今回国税庁が作成したQ&Aには、「取締役から執行役員へ又は執行役員から取締役へ就任した場合」について、「原則として、いずれも退職所得として取り扱う」と回答するなど、これまで不透明だった点が明らかにされています。
12月26日に民主党が独自の税制改革大綱を発表しましたが、その中で注目されているのが、揮発油税などの道路特定財源に盛り込まれている暫定税率(原則税率に上乗せされている税率)を廃止するとしている点です。
衆議院と参議院で与野党の勢力が逆転している、いわゆる“ねじれ”現象が生じているため、このほど、民主党が公表した税制改革大綱が与党サイドで取り沙汰されています。自民党議員からは「普段は税制改正項目を一括して法案として出しているが、国会が紛糾したときのことを考えて今回は税法別に出した方が良いのではないか」といった声が聞かれます。
政府の平成20年度税制改正案に対して、民主党からの強い反発が予想されるのが道路特定財源の扱いです。民主党の税制改革大綱では、道路特定財源について「地方分も含め全て一般財源化して、暫定税率を撤廃する」といった方向が示されています。
一方、政府は道路特定財源について、「中期計画に基づく真に必要な道路の整備は計画的に推進する」とし、また、「高速道路料金の引下げなどの措置は着実に実施して行く」ことなどを取り決めて暫定税率は現状を維持する方向です。民主党の道路特定財源に対する見直し案について、記者会見で質問された財務省の津田廣喜事務次官は「政府と与党との間では、厳しい財政事情や環境面に配慮し、暫定税率による上乗せ分も含めて現行の税率水準を維持する必要があるということが決まっています。我々としては、通常国会に法案を提出して、政府の考え方を十分ご説明をし、国会のご理解をいただくよう努力をしたい」と語りました。