国税庁がホームページに搭載している質疑応答事例集に「京都メカニズムクレジット等の売買契約に関する印紙税の取扱い」を掲載しました。
1997年12月に締約国会議で合意された京都議定書では、二酸化炭素(CO2)などの6つの温室効果ガスの排出を先進国全体で、2008年から2012年の間に基準年の排出量から少なくとも5%削減する目標が定められました。そして、その排出量の削減目標を達成するための手段として、市場原理を使い対策コストを抑制できるしくみが定められています。それは排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムなどで、これらは京都メカニズムと呼ばれています。
しかも、同議定書では、京都メカニズムに基づく認証排出削減量(CER)などの算定割当量(京都メカニズムクレジット等)を売買も許容しています。そこで、同クレジット等の売買契約書に印紙税がかかるのかどうかが問題となっていました。これについて国税庁では、「京都メカニズムクレジット等は印紙税法上の無体財産権に該当しないので、1回の売買を行うために作成する契約書は第1号の1文書(無体財産権の譲渡に関する契約書)には該当せず、印紙税の課税対象外」と回答しています。
また、「契約期間中における京都メカニズムクレジット等の売買を継続して行うために作成される契約書で、売買取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約書は、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当して、契約書1通につき4,000円の印紙税が課される。なお、このような契約書であっても、『取引の当事者の一方または双方が営業者でないもの』と『契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないもの』に該当するものは第7号文書には該当しない」としています。
国税庁がこのほど、法人税基本通達等の一部改正を明らかにしました。平成19年度税制改正に伴う見直しがほとんどで、注目の役員給与の損金不算入規定についても新たな取り扱いを定めています。
今回国税庁が行った法人税基本通達等の一部改正は、平成19年12月7日付けのもので、「所有権移転外リース取引に関するもの」、「棚卸資産の期末評価について低価法を適用する場合の評価」、「法人が取得した金、銀、白金その他の資産のうち、市場における短期的な価格の変動を利用して利益を得る短期売買商品に関するもの」、「役員給与の定期同額給与とされる定期給与に関するもの」などが主な改正内容となっています。
注目の役員給与の損金不算入に関するものについては、平成19年度の税制改正で「定期同額給与とされる定期給与(一般に月額の給料)の額の改定の範囲」に、「継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改定が事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過した後にされることについて特別の事情があると認められるもの」が追加され、これについて取り扱いを示しています。
具体的には、その既定の中の「特別の事情があると認められる場合」について、「全国組織の協同組合連合会等でその役員が下部組織である協同組合等の役員から構成されるため、協同組合等の定時総会の終了後でなければ協同組合連合会等の定時総会が開催できないこと」や「監督官庁の決算承認を要すること等のため、3月経過日等後でなければ定時総会が開催できないこと」、「法人の役員給与の額がその親会社の役員給与の額を参酌して決定されるなどの常況にあるため、親会社の定時株主総会の終了後でなければ定期給与の額の改定決議ができないこと」などの事情により定期給与の額の改定が3カ月経過した後にされる場合が該当するとしています。
全国228税務署が来年の所得税の確定申告期にあたる2月24日と3月2日の日曜日に税務署を開庁することを発表しました。
来年の所得税の確定申告期も全国の228税務署が日曜日2日間だけ開庁し、税務相談や申告書の受付を行います。具体的には、来年2月24日と3月2日の両日曜日が開庁日です。
原則として、税務署が業務を行っているのは、平日月曜日から金曜日までとなっていますが、納税者サービスの一環として全国228税務署に限ってその日曜日2日間だけ開庁されます。注意しなければならないのは、特別に日曜日開庁する税務署でも、一部の税務署と合同会場、広域センターについては、相談会場が税務署庁舎と異なっているところがあるということです。また、来年の所得税の確定申告が実際に始まるのは、原則の2月16日が土曜日にあたるため、2月18日(月)からとなっていることです。税務署が日曜日開庁するからといっても、混雑する場合があるので、開庁する日曜日に絞って申告するのは極力避けて、やはり早めに申告したいものです。
なお、この確定申告期の日曜日開庁サービスは、今回で5年目となります。平成18年分の所得税の確定申告期については、平成19年2月18日と25日の日曜日に228税務署が開庁しました。その両日の申告書収受件数は、合計23万6千件(前年比110.4%)と好調でした。
国税が平成20年1月21日から全国にある所定のコンビニで納付できるようになります。
国税庁がこのほど、全国にある所定のコンビニで国税が納付できるようになることを発表しました。スタートは来年1月21日(月)からです。
コンビニ納付は、基本的に全税目対応できることになっていますが、所轄の税務署から送られてくるバーコード付納付書が必要です。そのバーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で、確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合に所轄の国税局・税務署が発行します。また、所得税の予定納税など確定した税額を期限前に通知する場合や督促・催告を行う場合、各種加算税など賦課課税方式による場合は、依頼がなくても税務署から送られてくることになっています。
利用可能なコンビニエンスストアは、am/pm、エブリワン、くらしハウス、ココストア、コミュニティ・ストア、サークルK、サンクス、スリーエイト、スリーエフ、セーブオン、生活彩家、セイコーマート、セブン−イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、HOT SPAR、ポプラ、ミニストップ、ヤマザキデイリーストア、ローソン―となっています。
コンビニ納税は、国税よりも地方税の方が早くから取り組んでいて、東京都では平成16年度の自動車税の納付からスタートさせ、平成18年4月からは都市計画税、固定資産税、個人事業税、不動産取得税についても納付できるようにしています。また、大阪府では、平成17年7月22日から金額が30万円以下の自動車税の督促分についてコンビニ納税をスタートさせています。
平成20年度税制改正のひとつの目玉とされている道路特定財源の見直しについて、政府・与党が揮発油税や自動車重量税にある上乗せ課税分の暫定税率を向こう10年間維持することで合意しました。
12月7日、首相官邸で道路特定財源の見直しついて政府と自民、公明の連立与党による協議が行われました。その結果、2008年度から10年間、暫定税率による上乗せ課税分を含めて現行の税率を維持することなどで正式に合意しました。これは昨年12月の閣議決定を受けてのものです。ガソリンの市販価格がリッターあたり20円程度下がる話も遠のきました。
そして、特定財源の使い道として高速道路料金の引き下げなどに2兆5,000億円を充当し、5,000億円規模で自治体向けの無利子融資枠を創設することなども決定しています。
ただし、国土交通省などが「道路整備で財源が余ることはなく、一般財源にまわす余裕などない」としていた問題では、年内に策定する道路整備の中期計画の事業費について、国交省が素案で示した65兆円を6兆円減らして、「59兆円を上回らない」範囲としています。また、2008年度予算で、道路特定財源から一般財源に回す額は2007年度の1,806億円を上回ることでも合意しました。
こうした政府・与党の方針決定に対して、自民党の伊吹文明幹事長は記者会見で「納税者の立場を考えると、道路に全く関係のないものに使われるというのは、課税客体へのことを考えると、あまり合意は得られないということを念頭に置いて決めた案だと思います」と斜に構えた発言をしています。
国税の電子申告・納税システム(e-Tax)を利用するのに必要な利用者識別番号などが、来年1月4日からオンラインで発行されることになります。1週間程度かかる書面による通知を待たずに済むようになるわけです。
納税者がe-Taxを利用するには、開始届出書を所轄の税務署に提出して利用者識別番号や暗証番号をもらう必要があります。納税者が税務署に提出する開始届出書は、書面だけでなくオンラインでも提出できることになっています。しかし、税務署から送られてくる利用者識別番号などについては、書面による通知だけで、オンラインでは発行されていません。
これが、来年1月4日から、開始届出書をオンラインで提出した納税者について、利用者識別番号などがオンラインで発行されるようになります。
なお、利用者識別番号などのオンライン発行は、「申告・納税等手続きに関する開始届出書」をオンラインで提出した納税者だけが対象です。したがって、変更等届出書を提出した納税者については、現状どおり利用者識別番号などは書面で通知されます。
また、平成20年1月4日から、電子納税に限定したe-Taxの利用開始手続きである特定納税専用手続きの開始届出書は、オンラインで提出できなくなるので注意が必要です。
今年9月14日に国税庁がホームページに掲載した『平成19年7月4日付 資産課税課情報第14号 「相続税法基本通達」(法令解釈通達)の一部改正のあらまし(情報)』の中にミスリードがありました。
ミスリードが見つかったのは、同情報の【相続税法第9条の2 ((贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利))関係】内の「9の2−1 受益者として権利を現に有する者」の説明文にある【相続税及び贈与税関係の改正の概要】「3 受益者等が存しない信託に係る課税の特例」の(2)のイ及びロの文節です。
これまで、「イ、受益者等の存しない信託の効力が生じた場合」として「・・・、当該信託の受益者等となる者は、当該委託者から当該信託に関する権利を贈与(委託者の死亡に基因して信託の効力が生ずる場合は遺贈)により取得したものとみなして贈与税(遺贈の場合は相続税)を課税することとされた(法9の4(1))」としていました。これについて国税庁は、下線部が間違っていて「当該信託の受託者は」が正しいとしています。また、「ロ、受益者等の存する信託について、当該信託の受益者等が存しないこととなった場合」についても「・・・、当該信託の次に受益者等となる者は、当該前の受益者等から当該信託に関する権利を贈与(前の受益者等の死亡に基因して受益者等が存しないこととなる場合は遺贈)により取得したものとみなして贈与税(遺贈の場合は相続税)を課税することとされた(法9の4(2))」としていましたが、下線部について国税庁では「当該信託の受託者は、当該次に受益者等となる者の前の受益者等から」が正しかったとして訂正しています。
このほど、国税庁がe-Taxホームページ(国税の電子申告専用サイト)に掲載している「よくある質問(Q&A)」コーナーに、平成20年1月から適用できることになっている「電子証明書等特別控除」(電子申告控除)や「第三者作成書類の確定申告書への添付省略」などについて、納税者から問い合わせの多いものを追加しました。
今回、同Q&Aに追加した項目の中でも注目されているのは、電子申告控除に関するものです。電子申告控除は、電子政府の推進のため、国や地方自治体にオンライン申請などを行う際に必要な住民基本台帳カードと公的個人認証サービスに基づく電子証明書、ICカードリーダライタなどの取得を税制面で支援するために平成19年度税制改正で創設されたものです。
具体的には、平成19年分か、または、平成20年分のいずれか1回、その年分の所得税の確定申告書の提出を、納税者本人の電子署名と電子証明書を付して、提出期間内にe-Taxを利用して行う場合、所得税額から最高5,000円の控除が受けられるというものです。
追加されたQ&Aの項目で、最も注意しなければならないのは、税理士に電子申告を任せた場合にも同控除が適用できるかという質問です。税理士による代理送信により申告書を提出する場合に、税理士・納税者本人双方の電子署名及び電子証明書を付して行われるときは、本税額控除の適用を受けることができますが、税理士の電子署名及び電子証明書のみを付して行われるときは、納税者本人の電子署名及び電子証明書が付されていないことから、本税額控除の適用を受けることはできない―としていますので、この点は必ず踏まえておく必要があります。