「ふるさと納税」に関する20代〜30代の意識調査を特定非営利活動法人政策過程研究機構(本部:東京都渋谷区、福田隆之事務局長、PPI:NPO シンクタンクPPI)が行いました。それによると、大都市部でも半数以上が賛成しています。
このほどPPIが実施した「ふるさと納税」に関する意識調査は、今年6月13日から15日の3日間にわたってインターネットを通じて行われたもので、全国の20〜30代の男女1,172人から回答を得ています。
まず、ふるさと納税制度が実際に導入された場合に、一定額を「ふるさと納税」に振り向けるという人の割合は、現時点で71.0%に上っていて、PPIでは「制度導入に対する理解の素地は広がっていると言える」としています。同制度導入の趣旨についても全体の55.5%が賛同していて、都市部居住者(東京・大阪・愛知・神奈川・埼玉・千葉・兵庫、以下同様)だけで見ても52.4%と、過半数以上の賛同が得られていました。
次に、同制度の導入に賛成と答えた理由について見てみると、トップは、「地域間格差の是正に期待」(53.1%)で、続いて「地域貢献手段の増加を歓迎」(50.3%)となっています。これに続いて36.8%が「導入によって自治体が今以上に努力する」ことを期待している点をとらえて、PPIは「副次的な効果として、各自治体がふるさと納税獲得のために競って行政サービスの質や効率を向上させることを予見し望んでいる声が大きいことが明らかになった」と分析しています。しかし、「実際に制度を導入した場合の格差是正効果には疑問が残る」としました。なぜならば、納付したい地域が含まれる都道府県の上位に、北海道や沖縄に続いて大阪や東京などの大都市が挙げられるなど、期待されているほどには都市から地方への税収還流がなされない可能性があることが分かったからです。
カネボウや日興コーディアルグループなど不正な会計処理を行う企業が相次いで明るみになっていることから、監査体制を厳しくし、大企業と監査法人とのなれ合いを防ぐことを目的とした公認会計士法の一部改正が国会で成立しました。
このところ、大企業による粉飾決算など不正な会計処理が相次いでいて、それにともなってその不正会計処理に加担した監査法人や公認会計士らが、業務停止や資格剥奪といった処分が金融庁から下されています。こうした問題を根本から見直すため、このほど公認会計士法の一部改正が行われたわけですが、現実問題として、監査法人や公認会計士にとっては非常に厳しい規制が盛り込まれました。
まず、監査法人の品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーの強化として、監査法人について業務の品質管理の方針の策定とその実施のための業務管理体制の整備を行うことが義務付けられました。また、監査法人は、業務及び財産の状況に関する説明書類の公衆縦覧を可能にしなければなりません。次に、監査人の独立性と地位の強化として、監査証明業務に関与した監査法人の社員が、退職後、被監査会社のみならずその親会社又は連結子会社等の役員等に就任することを禁止しています。それだけでなく、大規模監査法人で上場企業を担当する主任会計士の継続監査期間は5年間、いったん離れて再び監査につくまでの期間も5年間と規定されました。
さらに、監査法人に対する行政処分が多様化され、課徴金納付制度と業務改善命令などが加えられています。課徴金の額は、企業から受け取った監査報酬を基に、故意の加担なら1.5倍、十分な注意を怠った場合なら報酬と同額と定められています。
平成18年度に納税者の国税に対する不服について救済機関が下した判断の状況が明らかになりました。国税庁がまとめたものですが、納税者が税務署を提訴する件数が増えています。
納税者が税務署の課税処分に不服がある場合、まずは税務署への異議申立てを行い、次に国税不服審判所に対する審査請求(不服申立て)起こし、最後は裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求めることになっています。
このほど国税庁が、各救済機関による平成18年度の判断状況をまとめました。
まず、異議申立ての発生件数は4,301件で、前年度と比べ、源泉所得税、消費税等、徴収関係に係る事案などが増加しました。しかし、申告所得税、法人税等、相続税・贈与税に係る事案等が減少したことから、全体で4.4%の減少となりました。また、処理件数は4,027件で、そのうち却下が369件、棄却2,377件、一部取消し又は全部取消しは411件となっています。
次に、審査請求の発生件数は2,504件で、前年度と比べ、徴収関係に係る事案が増加しましたが、申告所得税、法人税等、相続税・贈与税に係る事案など課税関係の事案はすべて減少しています。その影響で全体として15.5%の減少となりました。なお、処理件数は2,945件で、そのうち却下が329件、棄却1,882件、一部取消し又は全部取消し361件となっています。
さらに、訴訟の発生件数は401件で、前年度比1.8%増えています。また、終結件数は447件で、そのうち却下が16件、棄却298件、一部敗訴又は全部敗訴80件となっています。
このほど、国税庁が平成18年度のマルサ白書を公表しました。それによると、脱税把握額が前年度より30億円アップしています。
裁判所の令状を持って強制調査を実施する国税局査察部の実態を明かす「マルサ白書」の平成18年度版を国税庁が発表しました。同白書によると、マルサが平成18年度に着手した査察件数は231件(前年217件)でした。
そして、着手した査察事案につき、平成18年度中に検察庁への告発の可否を最終的に判断(処理)した件数は221件(前年214件)で、そのうち検察庁に告発した件数は166件(前年150件)でした。告発率は75.1%(前年70.1%)となっています。
一方、平成18年度中に処理した事件に係る脱税額は総額で304億円(前年274億円)で、そのうち告発分は278億円(前年230億円)でした。 告発した事件1件当たりの脱税額は167百万円(前年153百万円)となっています。
脱税の手口としては、人材派遣業を中心に人件費を外注費に科目仮装することによる消費税の脱税や所得を全く申告しない無申告が大幅に増加しました。そのほか、昨年に引き続き、売上除外、架空原価の計上及び適当過少な所得によるつまみ申告が見られました。
また、海外取引に関連した脱税や複数の国税局にまたがる広域的な脱税なども見受けられたとしています。脱税によって得た利益の多くは、現金、預貯金、投資信託及び不動産で留保されていたほか、金地金、高級外車、服飾、貴金属等及び競走馬を取得しているものも多かったようです。
所得税の予定納税について、減額措置があることを国税庁がPRしています。税源移譲により、所得税が減って住民税が増える状況があるだけに、トータルで見るならば予定納税の減額措置は見逃すことはできません。
所得税の予定納税は、その年の5月15日現在に確定している前年分の所得金額や税額などをもとに計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上になる場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付するという国の税収確保のための制度です。
具体的には、予定納税基準額の3分の1ずつを、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までにそれぞれ納めることになっています。ただし、予定納税額の通知を受けた事業者が、廃業や休業、業況不振などによりその年の6月30日の状況で、その年の所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる場合は、予定納税額の減額を税務署に求めることができることになっています。
その減額措置の適用対象者については、その年の申告納税見積額が事業の廃止や盗難などにより予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額、または、申告納税見積額に満たなくなると認められる人、さらには、申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額又は申告納税見積額の10分の7以下の金額になる人とされています。
予定納税の第1期分及び第2期分の減額申請書については、その年の7月1日から7月15日までに、第2期分のみの減額申請書については、その年の11月1日から11月15日までに税務署へ提出する必要があります。
政府が策定している最中の「骨太の方針2007」に対して東京都が、「大都市狙い撃ちの『財政力格差是正論』への反論」と題する意見書をまとめました。
現在、政府では「骨太の方針2007」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2007)の策定に関する議論を展開していますが、その中で、にわかに東京をはじめとする都市部の財源を吸い上げ、地方に回そうとする案が浮上しています。地域間の税収の差と財政力の差を結びつけ、「税収の偏在の是正に早急に取り組む」として、東京をはじめとする都市部の財源を吸い上げ、地方に回そうとする議論が俎上にあがっているわけです。
これに対して、このほど東京都では、「大都市狙い撃ちの『財政力格差是正論』への反論」と題する意見書をまとめました。同意見書には、まず「今後一層の地方分権を進めていこうとしている中にあって、ものごとを一面的に捉えて、こうした議論を先行させることは、地方分権の本質を見失わせるものであり、国・地方全体にとって利益にならない」と指摘しています。そして、「地方自治体の『財政力』を税収のみに着目して議論するのは不適当。歳入、歳出、改革努力を合わせて考えることが必要である」と政府に考え方を改めるよう要請。歳入については「地方税の偏在は、地方交付税制度によって調整されており、偏在そのものも、長期的には縮小している」とし、歳出では「日本を支える首都東京には、大都市特有の財政需要が存在し、東京への投資は国全体の利益につながる」としています。一方、改革努力については「国や他の自治体に先んじた行財政改革が、都財政の健全性回復に大きく寄与している」と都財政建て直しのために血のにじむような努力をしてきたことを匂わせています。
このほど、国税庁が平成18年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況を発表しました。それによると、国税庁のホームページにある所得税の「確定申告書等作成コーナー」で作成されたものが前年よりも27.5%も増え161万8千件でした。
国税庁によると、平成18年分の所得税の確定申告書を提出した人員は、これまで過去最高であった平成17年分より31万3千人上回る2,349万4千人で、過去最高記録を更新した、としています。そのうち29万人は還付申告でした。逆に、納税額のある人(納税人員)は823万3千人で、その所得金額の総額は44兆3,205億円、申告納税額は2兆8,971億円でした。なお、事業所得者の納税人員は190万4千人(前年比3.1%減)で、所得金額は7兆1,936億円(同比1.7%減)、申告納税額は5,763億円(同比6.4%増)となっています。
一方、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」については、土地及び建物の譲渡所得に係る計算機能や贈与税の申告書作成機能が追加され、その結果、同コーナーを利用して作成された所得税申告書の件数は161万8千件(前年比127.5%)で、消費税申告書は6万9千件(前年比130.2%)と大幅に増加しました。また、贈与税の申告書の提出件数は1万8千件でした。
夏の個人向け国債発売を前に、このほど財務省が国債トップリテーラー会議を開催することを発表しました。
夏の個人向け国債の発売がまもなく始まります。今回は第7回個人向け国債(5年・固定金利型)と、第19回個人向け国債(10年・変動金利型)が発売される予定です。募集期間は、今年6月13日から7月3日までで、発行日(払込日)は今年7月17日です。利率については現時点では未定です。
「個人向け国債」とは、政府が利子と償還金を払う債券で、投資家を「個人の方」に限定した購入申込単位も額面1万円単位からという安いものをいいます。政府が発行することから、安全性は非常に高いものがあります。そのため、これまでも売行きは好調で、発売する機関もうれしい悲鳴を上げていました。
そういった上げ潮の流れを後押ししようと、このほど財務省が個人向け国債の募集取扱を積極的に行っている金融機関の実績や取組を評価するとともに、個人に対する国債販売の更なる推進のため、取扱機関と当局との間で相互に意見を交換する場として、定期的に「国債トップリテーラー会議」を開催することを決めました。第1回目は、6月8日に開催する予定で、財務省では15年3月債〜19年1月債の販売実績を基に出席依頼(15年3月債〜19年1月債の販売上位機関を公表)することにしています。