総務省の菅義偉大臣が記者会見で、地域間で格差のある地方法人2税(法人住民税、事業税)を見直して、地域間の偏りが比較的小さい地方消費税を地方財源の中心に据える考えを示したことから、財務省内がざわついています。
地方法人2税(総額7.6兆円)は事業所の多い東京都に集中しており、1人あたりの税収は最多の東京と最少の長崎では6.5倍の開きがあります。こうした地域間格差を打開するために、このほど菅総務相が「偏在の低い地方消費税を地方税の主にしていくように年末の税制改正で見直す」と記者会見で発表しました。この考え方がいま財務省内で問題視されています。
地方への税源移譲として、すでに所得税の一部を住民税に移管したことから、消費税まで税収が減ることになりかねない発言に財務省が敏感に反応したわけです。菅総務相の発言について尾身幸次財務相は「1つの提言みたいな考え方を述べられたことは歓迎すべきだ」としたものの「その中身をどうするかということについてはこれからよくしっかりと、総務省との間で相談をし、協議をしていきたいと思っている」と内外に中立的な立場の発言をしました。
一方、財務官僚トップの藤井秀人事務次官は「国は総体として地方よりも極めて厳しい財政状況にある。そういう中で、まずは地方も国と同様の厳しい歳出削減を行っていくことが必要だ」と牽制しています。地方税の体系について、地方法人2税を見直して地方消費税を主としたものに変えることについては「どのような事情でそういう偏在が起こっているのか、具体的な内容の検証がまず必要ではないか」という考えを示しました。
平成19年度(第57回)税理士試験の実施日が公告されました。今年は8月7日から9日までの3日間で11科目の試験が行われます。
税理士の資格試験は、全11科目のうち5科目合格すれば取得できます。ただし、試験科目のうち「簿記論」「財務諸表論」は必須です。その他は、選択科目となっているので、自分の得意なものを選択できます。しかも、1科目合格すればその科目は一生有効なので、同時に5科目合格する必要はありません。毎年1科目ずつ合格して、5年かけて取得しても良いわけです。
このほど、公告された平成19年度(第57回)税理士試験の実施日と実施科目は、今年8月7日(火)に簿記論、財務諸表論、消費税法又は酒税法、8月8日(水)は法人税法、相続税法、所得税法、8月9日(木)には固定資産税、国税徴収法、住民税又は事業税―、となっています。
受験案内及び申込用紙の交付は、今年4月26日(木)から同年6月1日(金)までとなっています。ただし、郵便で申込用紙等を請求する場合は、平成19年5月21日(月)までに、封筒の表面に 「税理士請求」と赤書の上、返信用封筒(A4判大)を同封して、1人1部しか請求できません。そして、返信用封筒には、郵便番号・あて先を明記し、140円切手を貼る必要があります。受験会場などは受験案内に記載されています。受験申込み受付は今年5月22日(火)から6月1日(金)までです。
日本公認会計士協会と日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体が組織する「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」が「中小企業の会計に関する指針」の改正を公表しました。
昨年5月にスタートした新会社法では、株式会社に対して計算書類の作成が義務付けられました。しかし、大企業には企業会計基準が適用されるものの、中小企業には、そのような基準が存在しません。そこで、日本公認会計士協会などが「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」を設置して、中小企業の会計に関する指針を設けることにしたわけです。同委員会では、その指針を作るときの姿勢として「中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである」としていて、中小企業に対しては「この指針により計算書類を作成することが推奨される」としてあくまでも強制ではないことを強調しています。ただし、会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、この指針に基づくことを強く求めています。
このような目的があることから、同指針は一定の水準を保つ必要があります。そこで、同委員会では、原則として年1回のペースで改正を行うことを決定しています。その決定に従って、このほど同委員会は、「中小企業の会計に関する指針」の改正草案を公表しました。その草案は、平成19年度版の改正としていて、企業会計基準委員会が昨年の本指針の改正後に公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」や実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」に対応した会計処理の見直し及び引用条文の修正が行われています。なお、リース取引に係る会計処理への対応に関しては、次回の改正で行われる予定です。棚卸資産の会計処理については、今後の検討課題となっています。
依然として、振込め詐欺が横行していますが、またも各地で税務職員を装った振込め詐欺が発生しました。
被害が発生したのは、4月12日(木)午前のことです。被害にあったのは、東京都荒川区在住の72歳の女性で、東京都主税局の職員を装った男から電話があり、「還付金があります」と言葉巧みにだましてコンビニエンスストアのATM(現金自動預払機)を操作させ、約100万円を振り込ませました。
東京都によると、そのようなニセ税務職員による詐欺に関する問い合わせは、平成18年度(18年4月1日から19年3月31日まで)で、440件あったとしています。そして、今年に入ってからの問い合わせは、今回の事件を含め4件となっています。同主税局では「当局職員は、還付金受け取りのために金融機関等のATMの操作を求めることはありません。不審に感じたら、即答せずに、最寄りの都税事務所までご連絡ください」と警戒を呼びかけています。
一方、こちらは国税ですが、四国の徳島税務署管内において、職員になりすましてATM(現金自動受払機)を操作させようとする不審電話が相次いでいることがわかりました。同税務署が発表したもので、同署では振り込め詐欺とみて県警や金融機関などに通報した模様です。
同署によると、「4月11、12日の2日間で、電話を受けた人から6件の通報があった」としています。「所得税の還付があります」などと税務職員を装い、銀行口座の番号や残高を聞き出そうとしました。実際に金融機関のATMに行かせた上で、指定のフリーダイヤル番号に電話させ、ボタン操作をさせようとしたといいます。今のところ、被害者はいないものの、同署でも「職員が還付金の受け取り手続きでATMの操作を求めたり、納税のために振り込みを求めることはない」と注意を呼びかけています。
このほど国税不服審判所が、平成18年1月1日から平成18年6月30日までの期間に全国の審判所が判断を下した裁決の主なものを公表しました。その中には、納税者が計上した消費税の課税売上げを税務署が認めなかった処分を全部取消すという注目の裁決が盛り込まれています。
事業者が納める消費税の税額は、課税売上げにかけた消費税(仮受消費税)から課税仕入で支払った消費税(仮払消費税)を差し引いて算出するのが原則です。しかし、消費税法では、課税売上げに対応する仮払消費税に非課税売上げに対応する仮払消費税を加えないで消費税の計算をする個別対応方式を認めています。そこで、注目の裁決は、納税者である薬局が、その個別対応方式を選択して仮払消費税について課税売上げに対応するもののみを計上して消費税を計算していました。ところが、それについて税務署から、「共通売上対応分とした調剤薬品等の仕入れについて、課税売上げ対応分があったとしても当該売上げは本来の目的とは別途に事後的に発生するものであり、課税仕入れを行った日の状況においては非課税売上対応分とすべきである」として課税売上げはなかったとする処分を受けました。
その処分に対して審判所は、「調剤薬品等は、そのほとんどが非課税売上げとなっているものではあるが、現実的に、課税売上となる販売として『他の保険薬局(同業者)への小分け販売』、『医師の指示書による販売』、『自費診療(患者負担10割)による販売』が発生していることから、その仕入れた時点にィける区分は、課税売上げのみに要する課税仕入れ又は非課税売上げのみに要する課税仕入れとは認められないから、共通売上対応分の課税仕入れとするのが相当である」として税務署の処分を全部取消しています。
東京国税局が4月26日から5月16日まで、不動産等の公売を期間入札で実施することをPRしています。
公売とは、国税を現金で納付できずに滞納していた人の財産を国税当局が職権で差押えて、それを一般に販売し現金に替えて国税の納付に充てる方式のことです。
売却される財産は公売財産と呼ばれ、不動産の場合はその所在地は北海道から沖縄まで全国にわたっています。そして、その入札には、誰でも参加できます。入札は、国税局の公売場で、公売公告に記載された日時に開始されますが、いま東京国税局がPRしている公売は期間入札というもので、東京国税局の徴収部の換価担当へ書留などの郵送のみで入札書を提出する仕組みになっています。しかも、公売保証金を納付した後でなければ、その入札書を提出することはできません。改札は東京国税局内で行われ、その日時は、平成19年5月22日(火)午前10時00分とされています。
今回の公売は、栃木県の那須や静岡県の伊東という温泉地の物件が目玉となっています。例えば、栃木県那須塩原市の物件は、土地373平方メートルで木造2階建ての居宅付、那須グリーンプラザの別荘地内に位置していて温泉も引ける状態にあるとしています。公売見積価格は300万円とされています。また、静岡県伊東市湯川の物件は、土地約200平方メートルで更地ですが、百景台分譲地内に位置し、こちらも温泉が引ける状態にあります。公売見積価格は580万円ですが、伊東線伊東駅から徒歩18分というのが魅力となっています。
東京都が納税者サービスの一層の向上を図るため、4月1日に「都税のご案内テレフォンサービス」の開設とコンビニ納税の対象店舗の拡大を行いました。
東京都がこのほど開設した「都税のご案内テレフォンサービス」とは、電話回線を通じて24時間365日聞くことができる自動音声サービスのことです。これまで都民から寄せられた都税に関する「よくあるご質問」を取りまとめたもので、自動音声に従ってコード番号を入力すると、「土地や家屋を売買した年の固定資産税等の取り扱い」や「各種証明書の申請方法と申請先」などの知りたい情報をいつでも入手することができる仕組みになっています。このサービスの特徴は、深夜・早朝・休日でもサービスを受けることができる点にあります。
一方、コンビニ納税の対象店舗の拡大については、これまでのコンビニエンスストア6チェーンに対して、新たに11チェーンを追加するというものです。このコンビニ納税は、平成16年度に全国で初めて都がスタートさせました。コンビニエンスストアへの都税収納の委託が全部で17チェーンとなったことで、都内のコンビニエンスストアの概ね99%で都税の納付が可能となりました。納付できる税目は、個人事業税、自動車税、不動産取得税、23区内の固定資産税・都市計画税(土地・家屋)、23区内の固定資産税(償却資産)です。しかも、平成19年3月31日以前に作成された納付書でも、平成19年4月1日以降であれば、追加されたコンビニエンスストアで納付できるとしています。ただし、納付書1枚あたりの合計金額が30万円以下のものに限られています。
さきごろ公表された平成19年地価公示に対して、このほど全国の8割の不動産会社が加盟する全国宅地建物取引業協会連合会が、地方の不動産取引の活性化などのために更なる税制改正要望を政府に行っていくことを宣言しました。
国土交通省が公表した平成19年の地価公示は、三大都市圏や地方ブロック都市の地価上昇を背景に、全国平均では平成3年以来16年ぶりに、住宅地(0.1%)、商業地(2.3%)とも上昇に転じています。地方圏でも住宅地が平均△4.2%から△2.7%へ、商業地でも平均△5.5%から△2.8%へと3年連続で下落幅が縮小していました。
これに対して、全国宅地建物取引業協会連合会では「都心部の地価上昇は、いざなぎ景気を超える好況とJ-REITや投資ファンドによる不動産証券化の活況などが要因と思われるが、地方圏では依然として下落傾向が続いており、憂慮している」などという見解を示しています。そして、「本会では今後とも、地方圏においても不動産取引や証券化が活性化される取り組みを行い、全国的な地価の安定が図られるよう意見表明を行うとともに、予想される消費税率引上げが、我が国経済を支える個人消費の中心である住宅取得の懸念材料とならないよう政策提言をまとめ、引き続き税制改正要望活動を行っていく所存である」という強い決意をコメントとして発表しました。