一緒に生活をともにしていた故人(被相続人)から相続した事業用や居住用の宅地について、最高80%の評価減額が適用できる小規模宅の評価減特例の取扱いが一部変わりました。
被相続人の居住の用に供されていた土地が、土地区画整理事業における仮換地の指定に伴い、相続開始の直前において更地となっていた土地について小規模宅地等の特例の適用を受けて申告をしたことの適否が争われた裁判で、さきごろ最高裁が、「土地区画整理事業の施行による仮換地指定に伴い、被相続人の居住の用に供されていた土地及び仮換地について使用収益が共に禁止された結果、相続開始の直前において被相続人が両土地を居住の用に供することができない場合は、相続開始から相続税の申告期限までの間に被相続人等が仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情のないときに限り、被相続人の居住の用に供されていた土地は、小規模宅地等の特例の対象となる」と判決を下しました。
これを受け、同評価減特例の取扱いについて国税庁は「被相続人等の居住用又は事業用などに供されていた土地(従前地)が、土地区画整理事業等の施行による仮換地指定に伴い、従前地及び仮換地について相続開始の直前において使用収益が共に禁止されている場合で、相続開始時から相続税の申告期限までの間に被相続人等が仮換地を居住用等に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がなかったときは、小規模宅地等の特例の適用上、従前地は、相続開始の直前において被相続人等の居住用等に供されていたものとして取り扱う」と改めました。
日本銀行が2月21日、金融機関に対する補完貸付制度の基準貸付利率(公定歩合)の引上げを決めたことから、相続税の延納利子税の負担が重くなります。
日銀が金融機関に対する補完貸付制度の基準貸付利率(公定歩合)を年0.40%から0.75%に引き上げました。これにより相続税の延納利子税もアップします。
国税は、金銭で一括納付することが原則です。しかし、相続税については、税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができる延納制度というものがあります。そして、延納を適用した場合は利子税がかかり、その利子税については、平成12年1月1日以後の期間に対応する延納税額には特例が設けられています。同特例は、各分納期間の開始の日の属する月の2月前の月末の公定歩合に年4%を加算した割合(延納特例基準割合)が年7.3%に満たない場合、その分納期間においては、現行の利子税の割合にその延納特例基準割合が7.3%に占める割合を乗じて計算した割合を利子税の割合とするというものです。
今回の公定歩合の引き上げで、延納期間最長5年で、利子税の割合が年6%という通常の場合の延納を適用しているケースでは、特例の計算式である現行の延納利子税の割合×(延納特例基準割合÷7.3%)によって算出すると、利子税は、これまでの3.6%から3.9%にアップすることになります。
2月16日、全国の税務署で所得税の確定申告がスタートしましたが、サラリーマンの間で密かに行われているのが副業の収入の申告です。会社にバレないように申告を行う方法がいまクローズアップされています。
企業は、従業員にアルバイトを禁止しているものです。しかし、不況による賃金の低下から、土日などの休日を利用して副業を行うサラリーマンは少なくありません。ただ、住民税の課税徴収通知で副業収入があることが会社に分かってしまうケースがよくあります。そこで、賢明なサラリーマンは、所得税の確定申告書を作成するときに同申告書の「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」欄にある自分で納付(普通徴収)にチェックを入れ、会社側に副業収入があることがバレないようにしています。
ただ、注意が必要なのは、あくまでもその方法は給与所得以外の所得について適用できるという点です。土日に自宅の近所のコンビニでアルバイトをして得る所得は給与所得なので、その所得は勤務先の会社が給与から差し引く住民税と合算されて徴収されることになります。つまり、副業は自宅で行える原稿の執筆や図面の作成、取得している公的な資格を活用するといったものがベストなのです。それらによって得る所得は雑所得などで申告することになるので、住民税も普通徴収が選択できます。しかし、給与所得以外の所得に課税される住民税を普通徴収にしたとしても、医療費控除や住宅ローン控除などを適用して所得税の還付を受ける場合は、前年分の総所得が勤務先に通知されるので、それによって、副収入を得ていることが会社側に把握されることがあります。
現在、国会で審議されている平成19年度税制改正関連法案の内容が、法案が国会に提出される前の閣議決定の時点で一部変更になっていたことが分かりました。
平成19年度税制改正案の目玉の一つが、企業や個人事業者が所有する減価償却資産の償却方法の見直しです。法案として国会に提出される閣議の段階で、じつはこの減価償却資産の償却制度の見直しが一部変更になっていたことが分かりました。
閣議に提出された、同制度の見直し内容を説明した要綱には「平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、償却可能限度額及び残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることにする」とされていました。これについては、マスコミや税金の専門誌などで大きく取り上げられたものです。特に、「平成19年度以後に取得する減価償却資産」という部分については、事業年度途中で減価償却資産の償却費の計上で2パターンの方法が存在してしまうことから、混乱を招く恐れが取り沙汰されたものです。税金の専門誌の中には、「平成19年4月1日以後に開始する事業年度から取得する資産に新制度が適用される」と誤った報道をしたところもありました。
こうした問題を解消するため、財務省では「政府で検討を重ねた結果、新規に取得する資産だけでなく、すでに所有している資産についても、すべて1円まで償却できるようにしました」と大幅な内容の変更を行ったことを明らかにしています。
国税庁がホームページ上にある確定申告書等作成コーナーの土地等の譲渡所得に係る計算機能について、サービスの提供を一時休止させました。プログラムの一部に誤りが判明したことから、メンテナンスを行うとともに、同機能を使って申告書を作成した人々に注意を呼びかけています。
国税庁によると、ホームページにある平成18年分の所得税の確定申告書等作成コーナーを利用して、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(一の契約で共有者がいる場合のみ)を適用して申告書を作成した場合、申告書は正しく作成されるものの、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書」上の本年分の純損失の金額等又は保存されたデータが正しく作成されていない可能性があるそうです。この不具合は、主に平成19年1月23日(火)から平成19年2月8日(木)午前4時までの間において利用した人たちの申告書で生じていることが分かりました。
そこで、国税庁では、同期間内に同機能を利用した人たちで、まだ申告書を税務署に提出されていない人に対して、作成した申告書を出力又はデータで保存されている場合には、土地等の譲渡所得に係る計算機能のサービス提供が再開された後に、当該計算書の再作成を行い、提出するよう求めています。
また、「既に申告書を税務署に提出されている方につきましては、所轄の税務署において提出された当該計算書の内容を確認させていただき、誤りのある方について、個別にご連絡を申し上げます」としています。
国税庁がe−Taxの利用者に対して、電子証明書の有効期限の確認を呼びかけています。電子証明書の有効期間は3年です。
個人のe−Taxの運用開始は、平成16年2月からです。したがって、その運用開始当初からe-Taxを利用している人は、電子証明書の有効期間の3年が過ぎようとしています。電子証明書は、公的個人認証サービスに基づくもので、発行の日から起算して3年が過ぎると、電子証明書は失効し、e-Taxが利用できなくなります。
そこで、国税庁は、電子証明書の有効期間の確認と期間満了の人については更新手続きを行うよう呼びかけ始めました。まず、電子証明書の有効期間の確認については、「取得したときに市区町村の窓口で交付を受けた電子証明書の写し(紙)や公的個人認証サービスが提供する利用者クライアントソフトで電子証明書の内容を表示させるなどの方法によって確認してほしい」としています。
次に、有効期間の満了が近い人に対しては、「お住まいの市区町村の窓口で更新手続を行ってください」とした上で、e-Taxへの電子証明書の再登録を呼びかけています。新しい電子証明書のe-Taxへの再登録については、市区町村の窓口で更新手続を行った日の翌々日以降に行い、電子証明書の再登録の仕方は、e-Taxソフトを起動し、「メニュー」→「利用者情報登録」→「電子証明書登録」から行うことになっています。
国税庁が昨年10月と12月に行った財産評価基本通達などの一部改正についてわかりやすく解説した資料を「情報」という形で全国の国税局・税務署の資産課税部門に配布しました。
国税庁が配布した「情報」は「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについてと題するものです。昨年10月27日に行われた「財産評価基本通達の一部改正」と、昨年12月22日に行われた「『相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について』の一部改正」について分かりやすく解説しています。
具体的には「奥行価格補正率等の画地調整率の改正」「国税局長の指定する株式の廃止」「取引相場のない株式等の評価の改正」が大きな柱となっています。その中で、注目されているのは、「取引相場のない株式等の評価の改正」です。平成18年度の税制改正と新会社法のスタートにともない、大幅な見直しが行われています。平成18年度税制改正では、法人税法の一部改正が行われましたが、それに伴い財産評価基本通達も同族関係者の範囲について改正されました。同族会社かどうかを判定する際の「特殊の関係のある法人」について、判定をしようとする会社の株主である個人又は法人が「他の会社を支配しているかどうか」によることとされ、発行済株式数の50%超保有の基準のほかに、議決権の数による判定が加えられています。
一方、新会社法関連の改正は、株式の評価額を算出するときに使われる類似業種比準方式の計算方法や純資産価額方式について見直しが行われています。
国税庁がe‐Taxの利用者を拡大するため、平成19年2月23日までに開始届出書を提出した人に、3月6日に利用者識別番号等が記載された通知書等を送ることをPRし始めました。
e‐Taxとは、自宅や会社のパソコンからインターネットを通じて国税の各種申告や届出、納税までできる国税庁のシステムのことです。e‐Taxを利用するには、まず開始届出書を納税地の税務署に提出して、利用者識別番号などを取得しなければなりません。利用者識別番号などは税務署で用意され封書で送られてきます。これまで、手元に届くまで、最短で10日から最長で25日程度を要することがありました。これでは、これから始まる所得税の確定申告でe‐Taxを利用しようと思っている人は、不安でなりません。そこで、国税庁は「平成19年2月23日までに開始届出書を提出した人に、3月6日に利用者識別番号等が記載された通知書等を送る」ことを約束して、利用者拡大を狙おうとしているのです。
さらに、国税庁では、e‐Taxを利用するには電子証明書が必要になることから、開始届出書の提出と同時期に電子証明書を取得しておくことを勧めています。