国税庁が来年2月16日からスタートする平成18年分の所得税確定申告において、e-Tax及びヘルプデスクの受付時間を拡大することをPRし始めました。
自宅や会社のパソコンからインターネット通じて所得税の確定申告が行える電子申告のシステムをe-Taxと呼びます。e-Taxは、国税庁が平成16年2月から運用を開始しているもので、通常は、日曜祝日などを除く月曜から金曜までの午前9時から午後9時まで申告データを受け付けています。
しかし、確定申告期は利用者が殺到することから、国税庁ではこれまでもデータ受付時間を拡大してきました。平成18年分の所得税確定申告期(平成19年2月16日午前9時から同3月15日午後9時まで)もその受付時間が24時間に拡大されます。
また、e-Taxでは、利用開始のための手続、e-Taxソフト及びその利用のためのパソコン操作等の問い合わせに電話で対応する専門窓口として、ヘルプデスクを設置しています。国税庁では、このヘルプデスクの利用時間についても拡大することにしています。通常は日曜祝日などを除く月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時まで利用できますが、平成19年1月29日から同3月15日までは通常の月曜日から金曜日(祝日等を除く)の受付が午前9時から午後8時までとなり、同年2月18日と同年2月25日の日曜日については午前9時から午後5時まで利用できるようになります。
平成18年度の税制改正で導入された特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度に対して納税者から国税庁に寄せられた問い合わせの中で、このほど主なものが公表されました。
特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度とは、特殊支配同族会社その業務を主宰している役員(個人に限る)に対して支給する給与のうち給与所得控除額に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入されない、と法人税法に規定されたものです。
国税庁では、過去にもいくつか同制度に寄せられた納税者からの質問を一般に公表していますが、今回公表したものは、「制度の概要」、「業務主宰役員の意義、常務に従事する役員の意義」、「同一の内容の議決権を行使することに同意している者の意義」の4点に関する質問です。
なかでも、注目されるのは「同一の内容の議決権を行使することに同意している者の意義」に関するもの。特殊支配同族会社とは、同族会社の業務主宰役員だけでなく、その業務主宰役員と特殊の関係のある者が、その同族会社の発行済株式等の90%以上に相当する数を有する同族会社のことです。つまり議決権の数によって特殊支配同族会社かどうかが決まるわけですが、問題は業務主宰役員と特殊の関係のある者でした。これに対して国税庁は、「例えば、次のような場合は同一の内容の議決権を行使することに同意している事実があるものと考えられる」と前置きしたうえで「当該個人または法人に対して継続的に白紙委任状を提出しているとき」などを取り上げています。
自民・公明の与党が平成19年度税制改正大綱をまとめましたが、国税庁の電子申告システム(e−Tax)について、その利用者の底上げを狙って電子申告控除の創設が盛り込まれ話題となっています。
来年度税制改正大綱に盛り込まれた、いわゆる電子申告控除とは、電子証明書を取得した個人の電子申告について、平成19年分、または同20年分の所得税額から5,000円が控除できる―、というものです。
電子申告とは、自宅や会社にいながらにしてパソコンのインターネットを通じて国税の申告が行えるというもので、そのために国税庁が構築したシステムをe−Taxと呼びます。創設される予定の電子申告控除は、税の優遇措置ですから、当然、個人の所得税の確定申告における決まりをきちんと守るのが適用するときの大前提。したがって、まず、平成19年度か、同20年度の所得税の申告書を翌年3月15日までにe−Taxを使って申告することが重要です。その期限を過ぎて行った申告については適用できません。
次に、所得税の納税額が5,000円を下回った場合、逆に所得税の還付の計算対象となるかというと、そうではありません。税制改正大綱では「その年分の所得税の額を限度とする」、「納税申告書の提出」とあることから、所得税の還付申告の計算に流用することはできないことになっています。
国税庁が今年6月までの1年間に全国の国税局・税務署が実施した相続税調査の結果を公表しました。その数値には、相続税調査が盛んに行われた形跡がクッキリと現れています。
国税庁の発表によると、平成17年中(平成17年1月〜平成17年12月)に相続が開始し被相続人となった人数(死亡者数)は約108万人で、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約4万5千人としています。これは、地価の下落を受けて基礎控除額の引上げ等が行われた平成6年分以降では、最低の水準となっています。
一方で、平成17事務年度(平成17年7月〜平成18年6月)における相続税の調査は、平成15年分及び平成16年分の申告事案等を中心に行われましたが、全調査件数は14,218件(対前事務年度3.3%増加)といった具合で、盛んに行われたことが伺えます。そのため、申告漏れがあった件数は12,119件(同1.9%増加)といずれも増加しており、申告漏れ割合は85.2%(同1.2ポイント減少)でした。
申告漏れ課税価格は、3,882億円(対前事務年度3.0%減少)で、これを申告漏れ1件当たりで見ると、3,203万円(同4.8%減少)となっています。また、追徴税額は、864億円(同6.5%減少)で、これを申告漏れ1件当たりで見ると、713万円(同8.2%減少)でした。
たばこ税の手持品課税によるたばこ税の納付期限まで1ヵ月を切ったことから、国税庁が期限を守るよう呼びかけています。
平成18年度税制改正により7月1日に、国のたばこ税、道府県たばこ税及び市町村たばこ税の税率が、たばこ1本当たり 0.852円引き上げられました。そこで、国税庁では同日午前零時現在において販売用のたばこを3万本以上所持するたばこ販売業者に対して、たばこ税の「手持品課税」を実施しました。
国税のたばこ税は、たばこの製造場から製造たばこが出荷された時に課税され、一方、地方税の道府県たばこ税と市町村たばこ税は卸売販売業者等が小売販売業者に製造たばこを売り渡した時に課税されるものです。これにより、平成18年6月30日以前に出荷又は売り渡しが行われているものについては、引上げ前の税率で課税されていることになり、平成18年7月1日以降に出荷又は売り渡しが行われているものは引上げ後の税率で課税されるというアンバランスな状況が発生しました。したがって、仮に手持品課税を行わなかった場合、平成18年7月1日以降増税されたたばこと引上げ前の税率で課税されたたばこが流通することになり、同一のたばこに対する税負担の不公平が生じることになります。
今年8月に実施された第56回税理士試験の結果が発表されました。今年も全科目合格者が1,126人と、またも1千人を超えました。
今回、税理士の資格取得試験を受験したのは、全国で5万4,203人(前年5万6,314人)で、そのうち女性は1万4,280人(同1万4,845人)でした。そして、全科目合格者は1,126人(前年1,055人)で、そのうち女性の全科目合格者は345人(同353人)となっています。
学歴別では、大学卒業した人の受験数は3万9,249人(内女性8,954人)で、そのうち全科目合格者は920人(同276人)でした。大学在学中は受験者は2981人(同924人)でしたが、全科目合格者は3人(同1人)でした。一方、短大や専門学校、高・中校卒業者は総受験者が1万1,084人(同4,402人)で、そのうち全科目合格者は187人(同66人)となっています。
また、年齢別で見てみると41歳以上の受験者は9,946人(同2,424人)で、そのうち全科目合格者は182人(同70人)でした。逆に低年齢層の25歳以下の受験者数は1万713人(同3190人)で、そのうち全科目合格者は75人(同17人)といった具合です。
さらに、税法の科目別合格状況を見てみると、最も多かったのが消費税法の1万963人で、2番目が法人税法の8,510人、3番目相続税法の4,780人の順となっています。
12月1日、政府税制調査会の本間正明会長が安倍晋三首相に「平成19年度税制改正に関する答申」を提出しました。
政府税調の今回の答申では、総合的な税制改革の流れの中で早急に見直すべき事項として、まず企業が所有する資産の減価償却制度について償却可能限度額(取得価額の95%まで)の廃止を求めています。尾身幸次財務大臣が語っていた留保金課税制度の廃止要請については「さらなる見直しを検討」するにとどめました。さらに会社法や信託法などの制度改革に対する税制面での対応を求め、国民に身近で関心の高い金融所得課税のあり方については、上場株式等の配当や譲渡益に対する軽減税率(10%)の廃止を要求しています。円滑・適正な納税のための環境整備として、納税者番号制度の導入に向けての積極的な取り組みを期待する記述が盛り込まれました。
答申の提出を受けて安倍首相は、「非常に厳しい日程の中、精力的にご審議頂いたことに心から御礼申し上げる。『成長なくして財政再建なし』の理念の下、経済活性化にかかる税制を中心に議論を行い、総合的な税制改革の全体像との整合性を考慮しながら取りまとめていただいた。この方針を指針として、税制改正を進めていく」と語りました。
国税庁が17年分の民間給与の役員に関する実態を公表しました。それによると資本金2千万円未満の会社の役員ひとりあたりの年間給与は前年よりも約20万円アップし、643万9千円となっています。
民間給与の役員に関する実態は、このほど国税庁が公表した「民間給与実態調査結果(確報)」に掲載されたものです。それによると、役員の平均年齢は企業規模に関係なく55歳前後となっています。全国の役員の総数は278万540人で、ひとりあたりの年間平均給与は748万3千円でした。役員賞与は、さすがに税制上損金不算入ですから、ひとりあたり年間平均37万4千円しか支給されていません。
こうした役員給与を資本金別に見てみると、中小企業と呼べる資本金2千万円未満の会社では、役員総数は176万9893人もいて、ひとりあたりの年間平均給与は643万9千円(前年622万4千円)となっています。この資本金階級における役員ひとりあたりの年間賞与はなんと16万3千円(前年13万9千円)でした。
一方、大企業と呼ばれる資本金1億円以上10億円未満の会社の役員は、総数が14万1925人で、ひとりあたりの年間平均給与は1139万2千円(前年1116万2千円)となっています。ひとりあたりの年間平均賞与は126万6千円(前年109万6千円)で、会社側が法人税を払ってでも職務の重さに見合う対価を支給している実態を垣間見ることができます。