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【お知らせ】令和7年1月からの収受日付印廃止について

令和7年1月より、書面(紙)で提出された申告書等の控えに収受日付印を押印する対応が廃止されます。

■これまでの対応

これまでは、申告書等を書面で提出する際に、その申告書等の控え(コピー)を一緒に提出することで、税務署が収受日付印を押して返却していました。

■令和7年1月以降の対応

上記の収受日付印の押印対応が廃止されます。
そのため、申告書等の提出日を証明するための方法として、以下の対応を検討してください。

■納税者の対応

e-Taxによる電子申告であれば、申告書等の送信後にメッセージボックスに受信通知が格納されるため、収受日付印は必要ありません。電子申告に関してご不明な点がある場合は、税理士等にご相談ください。
なお、収受日付印やメッセージボックス以外で申告書等の提出事実を確認する手段については、国税庁のWebサイトに掲載されていますので、書面提出をされる場合は参考にしてください。
国税庁:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm

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【令和7年度税制改正大綱】「103万円の壁」の改正について

物価高局面における税負担の調整や、年齢や働き方に対して中立な就業の調整として、個人所得税の各種控除を調整するさまざまな改正案が提示されています。その中でも世間の注目度が高いのは「年収103万円の壁」を「123万円」に引き上げる案です。企業においては、従業員の年末調整などに関わる改正となりますので、内容をチェックしておきましょう。

■「年収103万円の壁」の改正内容

●改正の背景
現在、日本は少子高齢化や人口減少が深刻な状況にある一方で、女性や高齢者の就労機会が増加しています。働きたい人がより働きやすい環境をつくるため、税制が「働き控え」の原因にならないよう見直しが求められています。

●改正の内容

  給与収入に対する所得税の課税ライン
現行 年収103万円
(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)
改正後 年収123万円
(給与所得控除65万円+基礎控除58万円)

現行制度において、給与所得者(会社員・パートタイマー・アルバイト等)の所得税の非課税ラインは103万円(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)となりますが、令和7年度税制改正大綱では、このラインを123万円(給与所得控除65万円+基礎控除58万円)に引き上げる案が示されています。

●他の所得控除への影響
基礎控除の改正に伴い、配偶者(特別)控除、ひとり親控除、勤労学生控除といった各種控除の所得要件も引き上げられる予定です。

控除の種類 配偶者や親族などの合計所得金額
現行 改正
配偶者(特別)控除 48万円 58万円
ひとり親控除 48万円 58万円
勤労学生控除 75万円 85万円

(※)扶養控除については、別途解説します。

■「103万円の壁」引き上げ後の基礎控除・給与所得控除について

●改正後の基礎控除額
基礎控除については、現行制度と同様に合計所得金額に応じて逓減しますが、減り始めるラインが若干変化しています。
現行制度と改正後の制度を比較すると、以下のようになります。

本人の合計所得金額 基礎控除
現行 改正後
2,350万円以下 48万円 58万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円

●改正後の給与所得控除額
給与所得控除について、改正の影響を受けるのは最低金額のみです。

給与収入 控除額
現行 改正後
162.5万円以下 55万円 65万円
162.5万円超〜180万円以下 収入金額×40%−10万円 改正なし
180万円超〜360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超〜660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超〜850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円

●個人住民税について
個人住民税における上記の控除額の改正は、給与所得控除額については令和8年度分(令和7年1月1日〜12月31日分)から適用されます。基礎控除は現時点において改正予定はありません。

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【令和7年度税制改正大綱】主な改正点のまとめ

昨年12月20日、令和7年度与党税制改正大綱が決定されました。
例年、この大綱に基づく改正法案が年明けからの通常国会で審議され、3月末を目処に可決される見通しとなります。
ここでは税制改正大綱で示された主な内容を一覧にしています。

■個人課税の改正のポイント

(1)物価上昇・就業調整対策
物価上昇局面における税負担の調整や、中立な就業の調整として、次の内容が示されています。
・基礎控除の引き上げ(現:48万円→改正案:58万円(※)所得に応じて逓減あり。)
・給与所得控除の最低額の引き上げ(現:55万円→改正案:65万円)
→上記1と2により、給与所得者の所得税の壁(いわゆる103万円の壁)が123万円(58万円+65万円)へ。
・扶養控除について、年齢19歳〜22歳の扶養親族の所得制限を緩和

(2)退職金や年金など老後の税制
働き方やライフコースが多様化する中で、老後の資産形成における公平な税制を目指す内容が示されています。
・企業型DC・iDeCoの拠出限度額等の引上げ
【第二号被保険者(会社員など)】
企業年金と共通の拠出限度額に一本化した上で、その共通拠出限度額を引き上げる(現:月額5.5万円→改正案:月額6.2万円)
【第一号被保険者(個人事業主など)】
iDeCoと国民年金基金との共通拠出限度額を引き上げる(現:6.8万円→7.5万円)
・退職所得控除の重複排除の見直し
退職金の支払いを受ける前年以前9年内(現:4年内)に企業DC等から老齢一時金の支払いを受けた場合、重複排除の特例の対象とする
・給与収入と年金を受け取る場合の控除の見直し
給与所得控除と公的年金等控除の合計額の上限を280万円とする。(令和8年度税制改正において法制化予定)

(3)子育て世帯への支援
・令和7年入居の住宅ローン控除において、子育て世帯等(夫婦の一方が40歳未満、または19歳未満の扶養親族のいる者)の控除限度額の上乗せ等
・令和7年入居のリフォーム税制に、子育て世帯等による子育て対応改修工事を追加
・一般の生命保険料控除において、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8年分の控除上限額を引き上げ(現:4万円→改正案:6万円)

■資産課税の改正のポイント

・法人版事業承継税制における贈与税の納税猶予について、役員就任要件を一部緩和(現:贈与の日まで引き続き3年以上→改正案:贈与の直前)
・中小企業等経営強化法に基づく一定の設備投資における固定資産税の課税標準の特例を見直し、2年延長
・結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例を2年延長

■法人課税の改正のポイント

今回も、中小企業の取り組みを後押しする税制が示されています。
・法人所得800万円以下の金額に適用される軽減税率(15%)を2年延長
(所得10億円を超える場合は15%→17%に引き上げ)
・中小企業投資促進税制を2年延長
・中小企業経営強化税制を一部見直し、2年延長
・地域未来投資促進税制を一部見直し、3年延長
・企業版ふるさと納税を3年延長
・高度な資源循環投資促進税制の創設(再資源化事業等高度化法に基づく設備投資を行った場合の特別償却を新設)
・防衛特別法人税(仮称)の創設(基準を超える法人税額が発生する事業年度のみ対象)

■消費課税の改正のポイント

・外国人旅行者向けの免税販売をリファンド方式に見直す。
・上記に伴い、免税店が販売する際の一般物品と消耗品の区分を廃止する。

■国際課税の改正のポイント

・グローバル・ミニマム課税の導入

■電子帳簿保存制度の改正のポイント

・電子取引データの対応にインセンティブ付与 電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為に対し、重加算税を10%加重する措置の対象から、一定のシステムを使用して保存している電子取引データを除く。また、個人の青色申告特別控除65万円の適用要件に、上記のシステムで電子取引データを保存している場合を追加する。

(参考)財務省HP:税制改正の概要
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html

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