国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)」では、令和5年4月追加分として、「取引先が多い場合の登録番号の効率的な確認方法」に関するQ&Aを公開しています。
国税庁は、この問いに対し、下記の方法を提案しています。
上記の機能は、いずれも「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」のホーム画面のタブから利用することができます。
利用手順は、同画面の「ご利用ガイド」から確認できます。
(出典)国税庁:インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのホーム画面より
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html
特に「公表情報ダウンロード機能」は、インボイス発行事業者の公表情報の全件データファイル(ファイル形式:CSV、XML、JSONから選択)をダウンロードして検索できるようになるため、取引先の件数によっては効率的になるでしょう。
ただし、個人事業主のデータは、氏名等を削除して提供されます。
(参考)国税庁:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂:問22)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=45
新しく追加されたQ&Aの内容ではありませんが、数件〜十数件程度の確認であれば「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」の検索機能で十分に対応できます。
法人の場合、インボイス登録番号は「T+法人番号」で決定しますので、取引先の法人番号を検索し、それを同サイトの検索画面に入力すれば、一度に最大10件まで、インボイス発行事業者への登録の有無を確認することができます。
「照会したけれど回答がなかった数件分の法人について登録の有無を確認したい」というような状況であれば、十分役立つと考えられます。
(出典)国税庁適格請求書発行事業者公表サイト:登録番号の検索画面
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html
教育資金の一括贈与の非課税特例とは、親や祖父母など直系尊属から30歳未満の子や孫などに対し、1人あたり最大1,500万円までの教育資金を非課税で贈与できる贈与税の特例のことです。
この特例により非課税となる贈与とは、金融機関等との教育資金管理契約に基づく贈与に限られており、具体的には下記の3つの方法のいずれかによって贈与を実施する必要があります。
・信託会社との契約で信託受益権を取得する
・書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預金する
・書面による贈与により取得した金銭等で証券会社において有価証券を購入する
令和5年度税制改正では、贈与者(財産をあげる側)の死亡時や、受贈者(財産をもらう側)の年齢等によって教育資金管理契約が終了する時までに、非課税の用途で使いきれなかった資金がある場合、その資金に対する課税措置が強化されました。
税制改正大綱によると、教育資金の一括贈与の利用件数は減少傾向にある一方で、資産を多く保有する者の利用が多いと説明されており、富裕層の節税利用にならないよう見直しを行ったものと考えられます。
教育資金の一括贈与をした贈与者が亡くなり、その贈与者の相続税の課税価格が5億円を超える場合、教育資金の「管理残額」(下記参照)が、受贈者の年齢等にかかわらず相続財産に加算され、相続税の対象になることになりました。
教育資金の一括贈与では、「管理残額」があるうちに贈与者が亡くなった場合、原則、その管理残額は贈与者の相続財産に加算されます。
しかしその例外として、受贈者(教育資金をもらう側)が次の@〜Bのいずれかの要件を満たしていれば、相続財産に加算しないこととしています。
@ 23歳未満である場合
A 学校等に在学している場合
B 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
今回の税制改正では、贈与者の相続税の課税価格が5億円を超える場合、令和5年4月1日以降の取得分(拠出分)から、上記@〜Bの例外なしに、相続財産に加算されることになりました。
なお、相続財産への加算範囲は、これまで複数回にわたって改正されており、改正前の贈与分には改正前のルールが適用されます。
そのため、相続財産への加算範囲は、贈与者から資金を取得した時期によって異なります。
取得時期 | 相続財産への加算の有無 | 例外的に加算されない受贈者の条件 |
---|---|---|
〜H31.3.31 | 加算なし | − |
H31.4.1〜R3.3.31 | 死亡前3年以内の取得分に限り、加算あり | 受贈者が次のいずれか一つに該当すること @23歳未満 A在学中 B教育訓練受講中 |
R3.4.1〜R5.3.31 | 死亡までの年数にかかわらず、加算あり | |
(今回の改正)R5.4.1〜 | 同上 | 同上。 ただし、死亡した贈与者の相続税の課税価格が5億円超の場合は加算あり |
【(参考)相続財産に加算される「管理残額」とは】
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、一定の期間内に拠出した分に対応する額をいいます。
計算式は、下記のとおりです。
(A−B)×C/D
A:贈与者が死亡した日における非課税拠出額(非課税で贈与された金額。最大1,500万円)
B:贈与者が死亡した日における教育資金支出額(金融機関等において教育資金の支払い事実が確認された金額。つまり、Aのうち非課税の用途で使った金額。)
C:Aのうち、相続財産に加算される期間に取得した金額
D:贈与者が死亡した日における非課税拠出額
上記のとおり、平成31年3月31日以前の取得分や、平成31年4月1日〜令和3年3月31日までの取得分のうち死亡前3年以内の取得にあたらない分は、相続財産に加算されません。
そこで、非課税用途で使い切れなかった分(A−B)に、D(全体)のうちに占めるC(相続財産への加算対象分)(C/D)を乗じることで、残額のうち、相続財産の加算分に対応する金額を計算します。
一定の事由によって教育資金管理契約が終了した際、教育資金に残額(非課税拠出額−教育資金支出額)があると、その残額は、受贈者(財産をもらう側)の贈与税の対象になります。
税制改正によって、令和5年4月1日以降の取得分については、この贈与税(暦年課税)の計算に、「特例税率」ではなく「一般税率」が適用されることになりました。
「一般税率」とは、特例税率(直系尊属から成人の子や孫への贈与に適用される税率)よりも、高めに設定されている税率です。
【残額が贈与税の対象になる事由とは】
受贈者が次のいずれかの日を迎えると、残額が贈与税の対象になります。
適用期限が3年延長され、令和8年3月31日までとなりました。
この期限までに、教育資金管理契約に基づく預金の預け入れなどをすることが必要になります。
教育資金の一括贈与は、平成25年4月に開始されてから、数回にわたって適用期限を延長していますが、今回の税制改正大綱では、「次の期限到来時は、利用件数や利用実態等を踏まえ、制度のあり方について改めて検討する」としています。