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新型コロナウイルス感染症関連の公的融資まとめ

今回は、新型コロナウイルス感染症関連で、事業者が受けられる公的融資をまとめます。
なおこの記事は、経済産業省の支援策パンフレット「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆さまへ」(令和2年5月22日20:00時点版)を参考に作成しています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

主な融資の一覧

融資機関等 融資名
日本政策金融公庫 セーフティネット貸付
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス対策マル経融資
商工組合中央金庫
(商工中金)
危機対応融資
信用保証制度 セーフティネット4号・5号
危機関連保証

■セーフティネット貸付

融資対象者

新型コロナウイルス感染症による売上減少などの影響が見込まれる事業者が対象になります。
セーフティネット貸付とは既存の融資で、通常は売上高5%減少などの数値要件がありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が見込まれる場合は、これに関わらず融資対象になります。

融資限度額

・国民生活事業 4,800万円
・中小企業事業 7.2億円

貸付期間(据置期間)

・設備資金15年以内(3年以内)
・運転資金8年以内(3年以内)
据置期間とは、元金の返済を不要とする期間のことです。

利率

基準利率(引き下げなし)

■新型コロナウイルス感染症特別貸付

融資対象者

新型コロナウイルス感染症の影響で、次のA、Bのいずれか一方にあてはまる事業者が対象になります。

A 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者
B 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が下記のいずれかの売上高と比較して5%減少している事業者
・過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月〜12月の平均売上高

なお、Aの期間で適切な比較ができない事業者も、Bの要件で申請できる場合があります。

【Bの要件で申請できる事業者の例】
・最近店舗が増えた事業者
・合併や業種の転換を行った事業者
・ベンチャー・スタートアップ企業のように、短期間に売上増加に直結する設備投資や雇用拡大を行った事業者

参照:日本政策金融公庫HP「新型コロナウイルス感染症特別貸付に関するQ&A」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq.pdf

融資限度額

・国民生活事業 6,000万円
・中小企業事業 3億円

貸付期間(据置期間)

・設備資金20年以内(5年以内)
・運転資金15年以内(5年以内)

利率

・国民生活事業
 基準利率(3,000万円を限度に、当初3年間0.9%引き下げ)
・中小企業事業
 基準利率(1億円を限度に、当初3年間0.9%引き下げ)
引き下げられた利子はさらに「特別利子補給制度」の対象となり、別途要件を満たせば、実質無利子化となる見通しです。

■新型コロナウイルス対策マル経融資

融資対象者

マル系融資とは、小規模事業者を対象とする担保・保証人を不要とする融資です。
申請するには、商工会議所や商工会等の推薦を受ける必要があります。
今回、新型コロナウイルス感染症の影響によって最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者であれば、通常のマル系融資に別枠で1,000万円が加わった「新型コロナウイルス対策マル経融資」を申し込むことができます。

融資限度額

通常枠2,000万円+別枠1,000万円

「別枠」の貸付期間(据置期間)

・設備資金10年以内(4年以内)
・運転資金7年以内(3年以内)
別枠の据置期間は、通常枠よりも2年長く設定されています。

利率

年1.21%(※)
(別枠1,000万円を限度に、当初3年間0.9%引き下げ)
引き下げられた利子はさらに「特別利子補給制度」の対象となり、別途要件を満たせば、実質無利子化となる見通しです。
(※)利率は令和2年5月1日時点のもの

■危機対応融資

融資対象者

新型コロナウイルス感染症の関係で、次のA、Bのいずれか一方にあてはまる事業者が対象になります。

A 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者
B 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が下記のいずれかの売上高と比較して5%減少している事業者
・過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月〜12月の平均売上高

新型コロナウイルス感染症特別貸付と同様に、Aの期間で適切な比較ができない事業者は、Bの要件で申請できる場合があります。

【Bの要件で申請できる事業者の例】
・最近店舗が増えた事業者
・合併や業種の転換を行った事業者
・ベンチャー・スタートアップ企業のように、短期間に売上増加に直結する設備投資や雇用拡大を行った事業者

融資限度額

3億円

貸付期間(据置期間)

・設備資金20年以内(5年以内)
・運転資金15年以内(5年以内)

利率

基準利率 1.11%(※)
(1億円を限度に、当初3年間0.9%引き下げ)
引き下げられた利子はさらに「特別利子補給制度」の対象となり、別途要件を満たせば、実質無利子化となる見通しです。
(※)利率は和2年5月1日時点のもの(貸付期間5年の場合)

■特別利子補給制度

日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」・「新型コロナウイルス対策マル経融資」、商工中金等の「危機対応融資」では、一定額までの融資について、当初3年間の利子が引き下げられます。
さらに上記の融資のうち一定の要件を満たすものは、「特別利子補給制度」によって、当初3年間に支払った利子を後から金銭で補給してもらうことができます。
これを受ければ、上記の融資は、当初3年間は実質無利子で受けることができます。
なお申請方法などは、現時点では未定です。

適用対象

個人、法人のいずれも受けることができます。

適用要件

・小規模事業者(※)のうち法人
→売上高15%減少
・中小企業者
 →売上高20%減少
(※)従業員20人以下(卸売、小売、サービス業は5名以下)
上記にあてはまらない個人事業主は、特に要件はありません。

利子補給の期間

・借入後3年間
なお、令和2年1月29日以降の借入であれば、遡及適用が可能です。

補給対象の上限

日本政策金融公庫の融資:国民生活事業3,000万円、中小企業事業1億円
危機対応融資:1億円
これらは新規に受ける融資と既往債務を借り換えた額との合計になります。

■セーフティネット保証4号・5号

ここからは信用保証制度による融資となります。
信用保証制度とは、中小企業などが民間の金融機関から融資を受けやすいように、信用保証協会が保証人になって実行される融資制度のことです。
セーフティネット保証とは、経営が悪化した企業が自治体の認定を受けることにより、一般枠(最大2億8,000万円)の別枠として、最大2億8,000万円の融資を受けられるというものです。
新型コロナウイルス感染症の関係で利用できるセーフティネット保証は、4号と5号になります。
なお、4号・5号の両方を申請できるとしても、上限は最大2億8,000万円となりますので、融資の上限は、一般枠(最大2億8,000万円)+セーフティネット保証枠(最大2億8,000万円)となります。

セーフティネット4号

突発的な災害などを受けた地域で、前年同月比の売上高が20%以上減少している中小企業者を対象とする融資です。
3月2日に全都道府県が上記の地域に指定されていますので、現在は、売上要件等を満たすことで申請することができます。

セーフティネット保証5号

指定業種を営んでおり、前年同月比の売上高が5%以上減少している等の中小企業者を対象とする融資です。
5月1日に、全ての業種が対象業種に指定されています。
なお信用保証協会の保証率は80%です。(4号は100%)

■危機関連保証

危機関連保証は、セーフティネット保証のさらに別枠(最大2億8,000万円)の融資になります。
つまり、信用保証制度による融資は、「一般枠」+「セーフティネット保証枠」+「危機関連保証枠」の3枠があるというイメージになります。
危機関連保証の対象は、前年同月比の売上高が15%以上減少している等の要件を満たす中小企業者です。
利用相談は、信用保証協会等に行いましょう。

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