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1月の税務スケジュールを押さえよう

1月は年始の挨拶や行事など、慌ただしい時期です。
その一方で、税務のスケジュールも過密なものとなっています。
特に3月決算法人や個人事業主の方は、確定申告の準備をしながらの作業となるため、計画的に進めることが重要です。
今回は、1月の税務スケジュールをまとめます。

1月の税務スケジュール

1月に必要となる税務は
・年末調整後の源泉所得税の納付
・法定調書の提出
・給与支払報告書の提出
・償却資産税の申告
の4つです。

それぞれの申告提出先・提出書類・提出期限などは次のようになります。

税務の区分 提出先 提出書類 提出期限 納付期限
年末調整後の源泉所得税の納付 金融機関又は税務署 所得税徴収高計算書(納付書のこと) 2019年1月10日(木)(納期の特例適用があれば2019年1月21日(月)※) 提出期限に同じ
法定調書の提出 税務署 ・法定調書合計表
・各法定調書(源泉徴収票など)
2019年1月31日(木) -
給与支払報告書の提出 市区町村 給与支払報告書
2019年1月31日(木) -
償却資産税 市区町村 償却資産税の申告書 2019年1月31日(木) 自治体ごとに異なる(通常4期に分けて納税)

※ 2019年は1月20日が休日のため、期限は翌日21日(月)です。

年末調整後の源泉所得税の納付

年末調整を終えた後の源泉所得税の納付は、年末調整で精算された税額を加減算して納税しなければなりません。

1月に納める源泉所得税は年末調整後のものを

1月に納める源泉所得税額は、12月分(納期の特例は7月〜12月分)の源泉所得税額に、年末調整により還付した税額、あるいは追加徴収した税額を加減算して納税しなければなりません。
還付した税額は右下の「年末調整による超過税額」欄に、追加徴収した税額は「年末調整の不足額」欄にそれぞれ金額を記載して、12月分(納期の特例は7月〜12月分)の源泉所得税額と精算します。

還付金が高額のため精算できない場合

もし還付金が高額となり、源泉所得税額で精算できない場合は、精算を翌月以降に繰越します。
つまり、2月以降に納付する源泉所得税額から順次差し引いて調整するということです。
この時の「所得税徴収高計算書」(納付書のこと)では、納付税額をマイナスとはしません。
納付税額(本税の欄)が「0円」になるよう、「年末調整による超過税額」に記載する還付金を調整します。
例えば、12月分の源泉所得税額が合計10万円、還付金が合計12万円だった場合、1月に提出する「所得税徴収高計算書」(納付書)における「年末調整による超過税額」は10万円で、残りの2万円は、2月以降に提出する納付書で精算するということです。
提出先は金融機関ではなく税務署です。
なお、還付金を支払うことができない一定の状況が認められる場合、税務署から2月以降の源泉所得税額との精算を待たずに還付を受けられる制度もあります。

法定調書の提出

法定調書とは、1年の間に一定の「支払い」を行った法人や個人が、税務署にその支払先と支払額を報告するために提出する書類です。
納税のための申告ではなく、支払ったことを報告するものとイメージすると理解しやすいと思います。
法定調書の作成を行う主な支払いには、
・給与
・報酬
・不動産の賃借料
があります。

提出書類

提出書類は、
・法定調書合計表
・各法定調書
です。
各法定調書は、支払いの種別ごとに異なる様式を使用しなければなりません。

支払い内容 法定調書名
給与 給与所得の源泉徴収票
報酬 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
不動産の賃貸料 不動産の使用料の支払調書

法定調書の1つが、年末調整で作成した「源泉徴収票」です。
従業員などに交付したものと同じ様式を、税務署にも提出します。

提出を省略できる支払調書

各法定調書には、税務署への提出を省略できるものがあります。
たとえば給与所得の源泉徴収票の場合、年末調整をした従業員(役員を除く)の分については、年間の支払額が500万円以下であれば提出は不要です。
不動産の使用料の支払調書の場合、同一の相手に対し年間15万円を超える額を支払ったものが対象となります。ただし法人に支払ったものは、賃貸料について提出は不要で、権利金や更新料の支払いがある時のみ提出すればよいことになっています。

省略できる支払調書について注意したいのは、法定調書合計表に記載する金額です。
もし法定調書の提出を省略できる支払があったとしても、法定調書合計表には、省略した金額を含めて記載する必要があります。

この他にも提出を省略できる例があります。
詳細は、税務署から送付される「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を確認しましょう。

給与支払報告書

給与支払報告書とは、役員や従業員に支払われた給与の金額を、各人が1月1日時点で居住している市区町村に報告するものです。
個人の住民税を計算するための報告書になります。

提出書類

提出書類は、自治体のHPで確認が必要ですが、一般的に
・給与支払報告書(総括表)
・給与支払報告書(個人別明細書:2枚)
です。
給与支払報告書(総括表)は自治体ごとの個別様式で、給与支払報告書(個人別明細書)は、「給与所得者の源泉徴収票」とほぼ同じになります。
ただし、源泉徴収票のように提出を省略できるものはなく、全員分を提出しなければなりません。
例外として、年の途中で退職した人に支払った給与の総額が30万円以下の場合、その提出は省略可能となりますが、多くの市区町村では、これらの個人別明細書も提出するよう促しています。
提出先は、従業員の住所地の市区町村ですので、作成書類は市区町村ごとに分けて提出します。

償却資産税の申告

償却資産税とは、土地や家屋以外の事業用の資産に対する固定資産税で、市区町村が徴収する税です。
資産の区分で言えば、基本的には構築物以下が対象となりますが、たとえば建物附属設備であっても、それが独立した設備である場合や、テナント物件を借りていて、その内装として取り付けた設備は、償却資産税の対象になるものがあります。
対象となる資産は、1月1日に所有するものです。
申告期限は1月31日で、税額は、申告後に4期に分けて納めるものとする自治体が多いです。

償却資産税の税額と免税点とは

償却資産税は、資産が所在する市区町村ごとの償却資産の評価額の合計額を計算して1,000円未満を切り捨てたもの(課税標準)に1.4%の税率をかけて計算します。
ただし、課税標準が150万円以下である場合、償却資産税はかかりません。

非課税、減免を受けられる資産とは

償却資産には
・非課税となる資産
・課税標準の特例を受けられる資産
・税額を減免できる資産
があります。

非課税となる資産

非課税となる資産の例は、
・自動車税の対象になるもの(普通自動車、軽自動車など)
・無形固定資産
・繰延資産
・固定資産として計上していないもの(耐用年数1年未満又は取得価額が10万円未満)
・一括償却している資産(3年の均等償却)
です。
「固定資産税・都市計画税非課税申告書」を自治体に提出する必要があります。

課税標準の特例を受けられる資産の例

課税標準を下げることで税負担を軽減する措置です。
たとえば
・中小企業等経営強化法により認定を受けた経営力向上設備
・生産性向上特別措置法よる先端設備導入計画に基づいて取得した設備
などがあります。
事業によってはこれ以外にも受けられるものがあるため、自治体のHPで確認しましょう。
適用には「固定資産税・都市計画税の課税標準の特例に係る届出書」を自治体に提出する必要があります。

税額を減免できる資産

こちらは、公共用歩廊等、幼稚園、認証保育所などが該当します。
適用には「固定資産税減免申請書」を自治体に提出する必要があります。

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