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今からでも間に合う!事業主の節税対策

今年も残すところあと2ヶ月。

12月決算法人や個人事業主にとっては、ラストスパートの時期。そして、そろそろ当期の最終利益も見通しが立つ頃です。
この時期に多いのが「もう少し節税しておけばよかったな」という声ですが、行政機関の認定が必要な節税対策や、計画書を提出していないとできない節税対策を行うことはできません。
しかし、税制には確定申告に明細書を添付するだけで適用できるものが意外とあるのです。
今回は、あと2ヶ月でも間に合う節税策をピックアップしました。

中小企業投資促進税制

当期に、機械設備やソフトウェアなどを導入していないでしょうか。
通常は資産計上し、減価償却をして少しずつ経費にしていくはずですが、この制度の対象設備であれば、特別償却(通常の償却額+取得価格の30%)か税額控除(取得価格の7%)により節税することができます。
しかも事前の申請は不要で、確定申告書に明細書を添付すれば適用できます。

制度の概要 対象設備の導入により、その取得価格を特別償却又は税額控除
適用事業者 青色申告を行う以下の事業者
<法人>
資本金又は出資金の額が1億円以下
<個人>
常時使用する従業員数が1,000人以下
適用期間 平成31年3月末まで
節税効果 ・個人事業主・資本金3,000万円以下の中小企業
→取得価格30%の特別償却又は取得価格7%の税額控除(法人税・所得税の20%が上限)
・資本金3,000万円超の中小企業
→取得価格30%の特別償却

特別償却の方がその年に節税できる額は高いですが、減価償却のスピードを早めているだけですので、迷った時は税額控除の方がおすすめです。

対象設備

機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
工具 1台30万円以上かつ合計120万円以上
ソフトウェア※ 合計70万円以上
普通貨物自動車 車両総重量3.5t以上

※複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。詳しくは販売会社に確認しましょう。
したがって、保険料控除申告書の様式も10月、11月ころには扶養控除申告書と同時に職員に配り、早めに通知書とともに提出してもらいましょう。

対象設備に、中古品は該当しません。
リースはファイナンス・リースであれば適用できますが、所有権移転外ファイナンス・リース取引については税額控除のみです。
また、器具備品が別の制度に移行したため、パソコンやタブレット端末などの導入はこの税制では対応できません。

中小企業経営強化税制でさらなる節税も

2017年から、中小企業経営強化税制として従来の中小企業投資促進税制の上乗せ措置だった部分が移行しました。
新しい制度では、中小企業等経営強化法の認定が必要ですが、この手続きを踏めばさらなる節税が可能です。

少額減価償却資産の特例

購入した資産が取得価格30万円未満の減価償却資産であれば、合計300万円まで全額経費にできる特例です。
経費にできる年度は、事業に実際に導入した年度になります。
また中小企業投資促進税制と異なり、器具備品や中古品も対象になる点に特長があります。
リースはファイナンス・リースが対象です。
確定申告書に、法人は明細書の添付、個人は青色申告決算書にその旨を記載することを忘れないようにしましょう。

制度概要 取得価格30万円未満の減価償却資産を即時償却
適用要件 青色申告書を提出する以下の事業者
<法人>
・資本金又は出資金の額が1億円以下
・常時使用する従業員は1,000人以下
<個人>
・常時使用する従業員数が1,000人以下
適用期間 平成32年(2020年)3月末まで

研究開発費

こちらは、研究開発にかかる費用の金額に応じて税額控除が受けられる制度です。
従来は、「製品の製造等にかかる試験研究費」とされて、主に製造業を中心とする制度でしたが、2017年から「サービス開発にかかる試験研究費」が加わり、ビッグデータ等を活用した第4次産業革命型サービスも対象となり、適用業種が拡大されました。

対象となる費用は、上記の目的で支出される
・原材料費
・人件費(専門的知識をもって研究開発の業務に専ら従事する人に限定)
・委託費
・その他経費
です。
ただし、試験研究費用として他から支払いや助成を受けた金額があれば、税額控除の計算では除外します。

節税できる金額は、研究開発費の総額に応じて12%〜17%(総額型)で、法人税・所得税の25%が上限です。
さらに
・過去3年の試験研究費に対する当事業年度の試験研究費の増加率(増減試験研究費割合)
・当期以前4年の平均売上高に対する当期の試験研究費の割合(試験研究費割合)
がそれぞれ所定の割合を超えると、控除できる税額の上限がアップします。

制度概要 各事業年度に発生する研究開発費に対する税額控除の制度
適用事業者 青色申告を行う以下の事業者
<法人>
資本金又は出資金の額が1億円以下
<個人>
常時使用する従業員数が1,000人以下
(これ以外の事業者は税額控除の額が異なります))
適用期間 平成31年3月末まで
節税効果 ・総額型
→試験研究費総額の12%〜17%を税額控除
(上限:法人税・所得税の25%)
・増減試験研究費割合が5%超
→総額型の税額控除の上限を上乗せ(プラス10%)
・試験研究費割合が10%超
→総額型の税額控除の上限を上乗せ(プラス10%)等

所得拡大税制

従業員への賃金の支払総額がアップしている場合、適用できる可能性がある税制です。
意識的に昇給していなくとも、忙しくて残業手当が多かった年や、ボーナスを多めに支給した年は、適用できる可能性が高くなります。
さらに事前に計画の提出が必要な雇用促進税制とは異なり、所得拡大税制は、確定申告書に明細書を添付するだけで適用可能です。
12月分の給与・ボーナスが確定したら、ぜひ該当するか確認してみて下さい。

ただし、今回は平成30年3月31日までに開始した事業年度を対象とする制度をご紹介します。
4月以降の決算法人は、新制度になるため注意して下さい。

制度概要 従業員の給与総額を一定の条件で増加させた事業者に対する税額控除の制度
適用事業者 青色申告を行う以下の事業者で、平成30年3月31日までに開始する事業年度
<法人>
資本金又は出資金の額が1億円以下
<個人>
常時使用する従業員数が1,000人以下
(これ以外の事業者は適用要件・控除税額等が異なります)
節税効果 ・増加 増加額の10%(上限:法人税・所得税の20%)
・2%以上の増加
増加額の22%

適用要件の内容が難しい

所得拡大税制は、適用要件が少し複雑であることが難点です。
適用要件は下記の1〜3の全てに該当する必要があります。

  1. 雇用者給与等支給額が基準事業年度より一定割合増加していること
    平成24年度(基準事業年度。個人事業主は平成25年1月開始の年度)の給与総額と比べて、当期の給与総額が3%以上増えていることを確認します。
  2. 当期の雇用者給与等支給額が前事業年度以上であること
    1と似ていますが、当期の雇用者給与と前事業年度を比較して、減少していないことを確認します。
  3. 平均給与等支給額が前事業年度を上回っていること
    簡単に言うと、1人当たりの給与が全事業年度を上回っていることを確認します。
    ただし、カウントする人数と給与は、前事業年度と適用年度でそれぞれ1回以上給与の支払いがある人に限られます。
    当期に雇った新入社員、前事業年度の退職者は平均給与の計算には含まれません。
    したがって新人採用をした場合は、採用した年度よりも、給与を上げた翌年などが適用しやすいです。

経費でもまだまだ節税できる

ここまでは税制上の特例でしたが、通常の経費でも節税する方法はあります。

交際費

交際費は、法人の損金算入は認められませんが、中小企業については800万円まで損金算入が可能です。
また、個人事業主については上限なく経費にすることができます。
事業との関連性を証明できる内容(相手の氏名・事業との関係性・目的など)を領収書などに記録しておくことがポイントです。

少額の減価償却資産(10万円未満)

取得価格が10万円未満のものや、使用可能期間1年未満のものは、特に確定申告書などに記載する必要もなく、全額経費にすることができます。
消耗品費や棚、電化製品など、必要なものがあれば年内に購入するのも手です。

まとめ

今からできそうな節税対策はありましたか。
ぜひ活用してみて下さい。

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