大阪府が、今年10月1日から民泊施設にも宿泊税を課税すると発表しました。宿泊税は東京都や京都府なども導入していますが、民泊施設を課税対象にしたのは大阪府が初めてです。
「民泊」とは、一般的に自宅の一部や全部、または空き別荘やマンションの一室などを他人に有償で貸し出すことで、民泊施設を営むには旅館業法に基づく営業許可が必要とされています。
大阪府は住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行など最近の情勢変化を受け、宿泊税の課税対象を民泊施設まで拡大しました。今年3月23日に大阪府の宿泊税条例を改正、宿泊税の課税対象となる施設に、住宅宿泊事業法に係る施設を追加するとともに、地方税法に基づき総務省と協議を行ってきました。
そして、大阪府は6月26日に宿泊税の対象に民泊施設を加えることについて総務大臣による法定外目的税変更の同意を得たとしています。民泊分を含め同税全体の収入は年7億7900万円を見込んでいます。
大阪府の宿泊税は、ホテルや旅館などの素泊まりの料金に課税することになっていて、税率は1人1泊につき、「10,000円以上15,000円未満」が100円、 「15,000円以上20,000円未満」は200円、「20,000円以上」が 300円となっています
個人が利用する場合のe-Tax(国税の電子申告システム)の使い勝手を良くするため、国税庁が来年1月から「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」を導入すると発表しました。
e-Taxは自宅や会社にあるパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や各種届出、納税までできる便利なシステムです。ただ、個人がe-Taxの利用を開始するに当たり、少々難点がありました。現在、e-Taxの利用を開始するためには、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、それらを管理・入力する必要があります。
この手続きについて、来年1月からスタートするマイナンバーカード方式では、事前に税務署長へ届出をする必要もなければ、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、それらを管理・入力する必要もなくなります。
マイナンバーカードを用いてマイナポータルやe-Taxホームページなどからe-Taxへログインするだけで、e-Taxの利用が開始し、 申告データの送信ができるようになります。
一方、ID・パスワード方式は、 マイナンバーカード及びICカードリーダライタを持っていない人ために用意されるもので、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載された e-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。
この方式は、あくまでもマイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応として設けられるものです。
今年4月2日にスタートしたJ-Debit「キャッシュアウトサービス」について、このほど国税庁がポスレジから打ち出される「レシート・キャッシュアウト明細書」と「口座引落確認書」に関する印紙税の取扱いを明らかにしました。
キャッシュアウトサービスとは、デビットカード(キャッシュカード)を用いて、買い物がてらに同カード取扱い店のレジで自身の銀行預金口座から現金を引き出すことができるサービスのことです。これまでデビットカードは、J-Debitのロゴマークの表示されている加盟店で利用者がCAFIS(NTTデータが提供している総合的なクレジットデータ通信サービス)を介してキャッシュカード発行金融機関に口座引き落とし要求を行うと、商品購入代金を即時引き落とすことができる機能しか有していませんでした。
それが、2017年4月に施行された銀行法施行規則改正に伴う規制緩和を受け、キャッシュアウトサービスも可能になったわけです。ところがここへ来て、加盟店がキャッシュアウト取引の利用者に対して交付する「キャッシュアウト明細書」と「口座引落確認書」に印紙税が課税される可能性があることが判明。キャッシュレス社会の実現を目指している「日本電子決済推進機構」があわてて、キャッシュアウトサービスに関連する印紙税の取扱いを東京国税局に問い合わせていました。
その際、同機構は「キャッシュアウト明細書は、利用者がキャッシュアウト取引のみを行った際に交付する書面で、キャッシュアウト手数料216円からこの金額に含まれる消費税等の金額16円を控除した『200円』を記載金額とする『売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書』(第17号の1文書に該当する課税文書です。ただし、当該記載金額が5万円未満なので、非課税文書となります。また、口座引落確認書は、加盟店がカード発行金融機関から支払代金の口座引落しの通知を受け、その金融機関に代わって利用者の口座からの引落し事実を通知する目的で作成したものであり、金銭の受領事実の証明以外の目的で作成したものと認められることから、課税文書に該当しません」とした見解を添えて質問をしていました。
これに対し東京国税局は、同機構の見解を容認する形で回答しています。
今年3月2日から公募していた「所得税基本通達の制定について(法令解釈通達)の一部改正(案)(競馬の馬券の払戻金に係る所得区分)に対する意見」が出そろい、その意見に対する考え方を国税庁が示し終えたことから、6月29日に同改正通達が公布されました。
そもそも競馬の馬券の払戻金については、一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないとされていました。ところが、平成29年12月15日の最高裁判決で「馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」とされたことから、国税庁が通達改正により、その最高裁判決を踏まえた取扱いを新たに明示したわけです。
国税庁ではこの通達改正を行うにあたり、パブリックコメントを公募。全部で23通の意見が寄せられました。
具体的には、「そもそも馬券の払戻金に係る所得区分について、国の独自の見解に基づいて既存の通達を改正し、運用すること自体が恣意的。最高裁の判断を踏まえて案件ごとに適宜判断していくべきであり、本件通達は、改正することなく直ちに廃止すべき」といったものや、「通達改正案は、両最高裁判決で判示されていない内容で、かつ、最高裁判決以外の場合における馬券の払戻金はすべからく一時所得に該当するかのような記載になっており、最高裁判決の理解を離れた国税当局独自の見解であるため、削除すべき」という厳しい内容のものもありました。
これらの意見に対し国税庁は「一連の馬券購入行為が『営利を目的とする継続的行為』に該当すると認められる例外的な場合に限って、馬券の払戻金が雑所得に区分されると解しており、当該考えを明確にするためには、通達改正案は必要と考えています」などと返答しています。
このほど、国税庁が法人番号公表サイトに「法人番号公表サイト利活用事例」を掲載しました。同サイトから法人情報をダウンロードして、表計算ソフトを使って「新規設立法人の抽出」を行えば、営業先の開拓が効率的に行えることなどが紹介されています。
マイナンバー制度(納税者番号制度)の導入に合わせて政府が平成27年10月5日にスタートさせた法人番号制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現するための社会基盤とされています。そして、国税庁が設置した法人番号公表サイトで、日本国内の全法人の基本3情報(@商号又は名称、A本店又は主たる事務所の所在地、B法人番号)を調べることができる仕組みになっています。
このほど、その法人番号公表サイトに「利活用事例」が掲載されました。その事例は「新規営業先等の把握の効率化」と「設立登記法人の閉鎖情報の確認」の2つです。
「新規営業先等の把握の効率化」は、いったん自分のパソコンに「法人番号公表サイト」から法人情報をダウンロードした後、ダウンロードしたファイルを表計算ソフト(エクセルなど)で開きます。そして、その表計算ソフトの機能を使って新たに法人番号が指定された法人(新規設立法人)を抽出することが可能となり、新規営業先等の把握が効率的にできるようになるという使い方を説明しています。
一方、「設立登記法人の閉鎖情報の確認」については、国税庁法人番号公表サイトでは、法人の基本3情報のほかに、商号や所在地等の変更及び清算結了等の閉鎖があった場合などの情報も公表していると説明。その情報をうまく活用することを勧めています。
とくに、設立登記法人については、法務省から提供を受けた登記情報を基に公表しているので、わざわざ法務局に出向いて登記事項証明書を請求しなくても、それらの登記情報は同サイトで検索すれば確認できるとしています。
日本税理士会連合会(神津信一会長、日税連)がこのほど、平成30年6月28日に開催した第1回理事会において「平成31年度税制改正に関する建議書」を決定したことを発表しました。今回も重要建議項目として、「消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持」を訴えています。
税務行政や租税、または、税理士に関する制度について、日税連は権限のある官公署に建議し、又は官公署の諮問に答申することができると税理士法に規定されていることから、その規定に基づいて「税制改正に関する建議書」を毎年とりまとめています。
建議書の中で、やはり重要建議事項がもっとも注目されるのですが、今回は「消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること」と「所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトを進めるとともに、基礎的な人的控除のあり方を見直すこと」、「償却資産に係る固定資産税制度を抜本的に見直すこと」の3点に絞られています。
中でも「消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること」については、2019年10月に消費税の税率が8%から10%へ引き上げられることがほぼ決まっていて、同時に軽減税率が導入されるとともに、いわゆるインボイス方式が2023年10月1日から取り入れられることから俄然注目を集めています。
日税連はかねてより、軽減税率(複数税率)制度については、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由から、単一税率制度の維持を強く主張してきました。そして、反対ばかりするのではなく、「低所得者への逆進性対策としては、例えば、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素な給付措置などによる消費支出の負担軽減策等を検討すべきである」と訴えています