過去のニュースを見る>>

名古屋市が独自政策の法人市民税5%減税を打ち切る

2018年2月26日

名古屋市の河村たかし市長は2月13日の定例記者会見で、看板政策の「市民税5%減税」について、法人市民税分を2019年度で打ち切ることを明らかにしました。国の法人実効税率引き下げを理由に挙げ、「減税を先導する役割は果たせた」としています。

 名古屋市の市民税収は2018年度当初予算案で2,792億円です。そのうち中小企業などが納める法人市民税は2割強の647億円、個人市民税は8割弱の2,146億円を見込んでいます。
 同市が法人市民税の減税をやめるのは、国が法人実効税率を段階的に引き下げていくことを決めたからだとしています。市民税5%減税を始めた前年の2011年度の国の法人税は39.54%でした。それが2018年度は29.74%に下がる予定です。河村市長は会見で「国の減税額は市の減税額とは比べものにならないほど大きいので、企業には理解してほしい」と訴えました。そして、「個人市民税の減税は続けるが、法人市民税の減税は止める」として同市は減税の条例改正案を市議会に提案することにしています。
 法人税減税の廃止で生まれる財源は約34億円です。その半分を子ども支援などの重点政策に配分し、残る17億円を新設する「企業寄付促進特例税制」に割り当てることにしてます。
 同特例税制は2019、20年度の2年間限りで、NPOや社会福祉法人などに年間5千円以上寄付をした法人の市民税を減額する。減額幅は寄付額の69%。河村市長は「頑張っているNPOほど資金面で苦労しているので、協力をお願いしたい」と寄付を呼びかけています。

▲ページトップへ戻る

金融機関に口座を新たに開設する場合は届け出が必要になった

2018年2月26日

一般企業を含む全法人がいま銀行などに新たに口座を開設する際に、居住地国等を記載した届出書の提出が必要であることを国税庁が注意を促しています。この制度は、外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するための国際基準である「共通報告基準(CRS)」に基づくものです。

 非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」がOECDで公表され、日本を含む各国がその実施を約束しています。
 今回、国税庁が注意を呼びかけている制度もCRSの一環で、平成29 年1月1日からスタートしている制度です。同制度は、新たに国内に所在する金融機関等(銀行、証券会社、保険会社、組合、信託等)で口座開設を行う者(自然人、法人、組合等)に対し、金融機関等へ居住地国等を記載した届出書を提出しなければならないとしているものです。
 届出書には具体的に、氏名・住所(名称・所在地)、居住地国、外国の納税者番号などを記載しなければなりません。ただし、法人については、「特定法人」に該当する場合にのみ同届出書を提出することになっています。
 特定法人とは、次の@〜Hのいずれにも該当しない法人のことです。特定法人に該当した場合は、その法人の「実質的支配者」の居住地国等についても届出書に記載しなければなりません。
@ 上場法人
A 上場法人の関係法人(子会社・孫会社・ 曾孫会社・兄弟会社)
B 国・地方公共団体・日本銀行・国際機関等
C 前記Bの法人が全額出資している法人
D 収益事業を行っていない公共法人及び公益法人等
E 日本の報告金融機関等
F 外国の報告金融機関等
 (※)外国の法令に準拠して設立された一定の投資事業体を除きます。
G 持株会社
  (※)子会社の経営管理のみを行うものに限ります。
H グループ金融会社
  (※)主として上記Aの関係にある法人に対する出資、融資等を行うことを業務とする法人。

▲ページトップへ戻る

国税庁が取り扱いを変更。「ハズレ馬券の購入代金も経費になる場合がある」

2018年2月19日

このほど国税庁が、競馬の馬券の払戻金に関する税金の取り扱い(所得税基本通達34−1)を改正することを発表しました。平成29年12月15日の最高裁判決に従って改正するものです。

 競馬の馬券の払戻金については、かつて法廷の場で国税庁と納税者との間で、馬券の購入が営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否か、という観点で争われました。
 結果的に、東京高裁が平成28年9月29日に「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない」とする判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)を下しています。
 昨年12月15日の最高裁判決の争点は、競馬の払戻金に対する所得税額を算定する際、当たり馬券だけでなく、外れ馬券の購入代金も経費として算入できるのではないかという点でした。結局、最高裁は「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判断しています。
 これについて、国税庁は「競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。なお、これに該当しない『いわゆる一般の競馬愛好家の方』につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください」と説明しています。

▲ページトップへ戻る

定期借地権保証金の経済的利益の課税に係る平成29年分の適正な利率明らかに

2018年2月19日

定期借地権を設定した際に預かった保証金から得られる経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率を、国土交通省が国税庁との話し合いにより決定し、公表しました。

 定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預かる保証金は、賃借人から返還請求があるまでは、事業投資や金融投資の運用資金に充てることができることになっています。しかし、保証金を無利息で預かっている場合には、経済的利益を受けることになるため、この経済的利益に対して課税する必要性が生じます。
 例えば、銀行口座に預金している場合や金銭信託などに運用している場合には、利息等から所得税が源泉徴収されるので経済的利益を気にする必要はありません。しかし、不動産所得や事業所得を生むための資金とした場合や自宅の改修など個人的な目的に使用した場合には、その経済的利益の額をどのように算定するかが問題となります。
 そこで、政府は保証金に「適正な利率」を乗じた金額を経済的利益の額と定め、これに所得税を課税することにしています。その適正な利率は、平成29年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によるとされていることから、平成29年分については、0.02%となります。
 この結果、保証金が事業等の運転資金や事業用資産の取得資金として運用されている場合について、経済的利益の額の計算に用いられる適正な利率は、平均的な長期借入利率の他、0.02%としても差し支えがないことになります。なお、算出された経済的利益の額は、各年分の不動産所得の収入金額と必要経費に同額ずつ算入されることになるため、課税関係は発生しません。
 また、上記の場合に該当せず、かつ、保証金が預貯金や公社債、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のときについては、適正な利率を0.02%として求めた経済的利益の額を、各年分の不動産所得の収入金額に算入することになります。

▲ページトップへ戻る

日本の国税の電子申告の普及状況は先進諸外国よりも大きく立ち遅れている

2018年2月12日

先進諸外国における税金の電子申告の実態がわかる資料を、このほど国税庁が明らかにしました。その資料からは、国税庁が電子申告の普及に躍起になっている理由を垣間見ることができます。

 2018年度税制改正法案に大企業の法人税、地方法人税、消費税の電子申告を2020年度から義務化することが盛り込まれて、俄然、注目を浴びている国税の電子申告。まず、誰もが関心を寄せたのが税金の電子申告が先進諸外国では、どれだけ普及しているのかということでした。
 じつは、その先進諸外国における税金の電子申告の普及状況がわかる資料が、今年1月24日に国税庁内で開催された第19回国税審議会に国税庁が提出していました。日本の場合、所得税の総申告件数に占める国税の電子申告(e-Tax)を使って申告された件数の割合は53.5%(平成28年度)ですが、その資料によると、所得税の電子申告の割合が一番高いのはオーストラリアで93%とされています。2番目に高いのはイギリスの85%、3番目がアメリカの83%となっています。
 納税人口が日本の数倍あるアメリカが85%という割合は、いかに日本の電子申告の普及が立ち遅れているかがわかる数値です。
 ちなみに、法人に対して電子申告を義務化している国についても、その資料で説明されています。具体的に義務化している国を見てみるとフランスとドイツ、イギリスで、いずれも全法人を対象に電子申告を義務化しています。

▲ページトップへ戻る

近畿2府4県が住民税の特別徴収の推進に関する取り組みで税理士会に協力要請

2018年2月12日

近畿2府4県が共同で近畿税理士会に、個人住民税の特別徴収の推進の取組みについて協力を依頼しました。近畿税理士会からは、同税理士会の支部長会議に近畿2府4県の担当課長の出席を認めてもらい、来年度から実施する取組みに関して協力を要請することができたとしています。

 近畿2府4県(大阪府・滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県)と同府県内市町村は、法令遵守と納税者の利便性の向上、そして、安定した税収を確保するため、個人住民税の普通徴収から特別徴収への切替えを推進する取組みを進めています。
 また、大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県は連携して、平成30年度から個人住民税の特別徴収義務者を一斉指定する取組みを実施することにしています。
 こうした取組みを広く周知し円滑に実施するため、平成30年1月22日に大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県の担当課長などが近畿税理士会を訪問。浅田恒博会長、芦田和典専務理事、永橋利志専務理事と面談し、近畿2府4県で進めている特別徴収を推進する取組みと来年度から大阪府などが連携して実施する個人住民税の特別徴収義務者の一斉指定への協力を依頼する近畿2府4県担当課長らの連名による「個人住民税の特別徴収の推進のご協力について」と題する依頼文書を手渡しました。
 この依頼を受け、近畿税理士会は後日開催する支部長会議に近畿2府4県の担当課長の出席を要請。実際に同会議では、大阪府の財務部税務局徴税対策課長が代表して、来年度から実施する一斉指定の取組みについて説明を行い、事業主から問い合わせがあった場合の対応などについて、協力を依頼しました。

▲ページトップへ戻る

税務署の実地調査割合の低下激しく。1法人に対し30年に1回のサイクルに

2018年2月5日

1月24日に国税庁内で開催された第19回国税審議会に国税庁が提出した資料「税務行政の現状と課題」に、納税している法人に対する実地調査の割合が平成元年は8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているというデータが記述されています。

 そもそも国税審議会とは、外部の有識者20名以内で組織された審議会で、審判所の裁決を国税庁長官が認めない場合における審議を行ったり、税理士試験の受験資格の認定や税理士の懲戒処分等の審議を行う機関とされています。  
その国税審議会に提出された今回の資料には、国税庁のマンパワーと複雑困難化する業務のアンバランスな実情が綴られています。具体的には、国税庁の定員は平成元年に5万4376人だったものが、平成5万5667人(2.4%)に増えてはいるものの、国内の法人数は平成元年に235万法人だったものが、平成28年には308万法人(30.8%)にまで増加。
さらに、経済取引の国際化・高度情報化の進展による税務調査の質的困難化も重なり、実地調査の割合は、平成元年に8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているとしています。実地調査サイクルを単純に計算すると、1法人の実地調査はおよそ30年に1回になると試算しています。
この実地調査サイクルを見て、税務署の税務調査を甘く見てはいけません。同資料には、法人の実地調査件数が平成27事務年度で9万4千件だったものが、平成8事務年度には9万7千件(103.5%)に増え、しかも、この調査による追徴税額も平成27事務年度が1,592億円だったものが、平成28事務年度には前事務年度比108.8%増の1,732億円でした。大口、悪質事案に絞った調査により申告漏れや脱税を把握していることがうかがえます。

▲ページトップへ戻る

国税庁法人番号公表サイトで法人の名称のフリガナが今年4月から順次公表される

2018年2月5日

国税庁がインターネット上の「国税庁法人番号公表サイト」で、今年4月から法人の商号または名称のフリガナを公表すると発表しました。読み方の難しい法人の称号や名称が分かるようになります。

 国税庁は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、法人番号の指定、通知、公表に関する業務を行っています。そして、法人番号についてはインターネット上に「国税庁法人番号公表サイト」を開設し、国内の全企業の「商号または名称」と「本店または主たる事務所の所在地」、「法人番号」の基本三情報を公表しているところです。
同サイトで、基本三情報に基づく検索機能や二次利用可能な形式による電子的情報の提供を行うことで、官民問わず様々な用途で法人番号を活用してもらおうというのが狙いです。
このほど国税庁では、平成30年度から基本三情報に加え新たな公表項目として、各法人の商号又は名称のフリガナを公表することにしました。
この新たな公表項目は、まず設立登記法人については、法務局で今後行う登記申請の際に記載する内容です。なお、法務局での商業・法人登記申請書へのフリガナの記載は平成30年3月12日(月)から開始される予定です。
次に、設立登記法人以外の法人及び公表に同意した人格のない社団等については、税法上の届出書に記載された内容を公表することにしています。
国税庁では「平成30年4月2日(月)以降順次公表サイトでフリガナ情報を公表していく」としています。

▲ページトップへ戻る