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ふるさと納税は抜本的に見直すべき―東京都税制調査会が答申

2017年11月27日

東京都税制調査会(東京都知事の諮問機関、池上岳彦会長)が平成29年度の答申を取りまとめました。それによると、「ふるさと納税は受益と負担との関係を歪める制度。抜本的に見直し、寄附の本 来の趣旨に沿った制度に改めるべき」と厳しく指摘しています。

 今回の答申は「都民・国民の未来を切り開く税制改革の実現に向けて、中長期的な視点から提言」しています。
 課税対象別に税制改革の方向性を示しているわけですが、まず、個人所得課税については「ふるさと納税」について「受益と負担との関係を歪める制度。抜本的に見直し、寄附の本来の趣旨に沿った制度に改めるべき」と要請。法人課税については、昨年度と同様に「地方法人税の創設及び拡大は、法人住民税が地方自治体の基幹税の一つであるという事実を無視するもの。地域間の偏在是正と財政力格差の縮小に向けては、地方税財源を拡充するとともに安定的な地方税体系を構築する方向がとられるべき」とする見直しを求めています。
 消費課税については「地方消費税の清算基準の制度趣旨は、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させること。清算基準の精緻化に向けて、統計で把握できる範囲と統計の比率を合わせて高めていくべき」として、清算基準はあくまでも税収を最終消費地に帰属させるためのものでなければならないと指摘。資産課税は「固定資産税に係る商業地等の負担調整措置が見直された場合、地価水準の高い大都 市圏への影響が極めて大きいことを踏まえると、条例減額制度の延長が今後も不可欠」と東京都ならではの事情に配慮を求めています。

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国税庁が質疑応答事例改訂―相続により取得した減価償却資産の耐用年数で見解

2017年11月27日

このほど、国税庁がホームページに掲載している質疑応答事例の改訂を行いました。新たに掲載された事例の中で注目されているのが「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」に関する質問です。

 新たに追加された質疑応答事例は所得税で2問、財産の評価では広大地の評価で11問と地籍の大きな宅地の評価で12問、法人税で6問、消費税で4問、印紙税で1問となっています。この中でまず、注目されているのが所得税の「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」についての事例です。
 質問の内容は「相続(限定承認を除きます。以下同じ。)により取得した賃貸用の建物(以下「本件資産」といいます。)を引き続き賃貸の用に供した場合に、本件資産の減価償却費の計算における耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」といいます。)第3条第1項《中古資産の耐用年数等》の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることができますか」としています。それに対し、「相続により取得した本件資産の減価償却費の計算における耐用年数は、耐用年数省令第3条第1項の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることはできません」と回答しています。
 そして、この回答について「相続等により取得した資産について、所得税法施行令第126条第2項《減価償却資産の取得価額》の規定では、所得税法第60条1項《贈与等により取得した資産の取得費等》に規定する相続等により取得した資産が減価償却資産である場合の取得価額は、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合におけるその減価償却資産の取得価額に相当する金額とすることとされています。また、所得税法第60条1項の規定は、同項に規定する相続等によって取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得等の金額の計算については、その取得をした者が引き続きその資産を所有していたものとみなすこととされています」と法的な根拠を提示。
 それにより、「相続により取得した本件資産について、耐用年数省令第3条第1項の規定に基づき算出した年数により減価償却費を計算することはできず、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することになります」と結論付けています。

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国税のダイレクト納付口座の複数利用ができるようになる

2017年11月20日

このほど国税庁が、平成30年1月4日からダイレクト納付の際に利用する預貯金口座が税目別選択できるようになると発表しました。これにより、例えば、源泉所得税や法人税など、税金の種類別に異なる預貯金口座を使用して、ダイレクト納付ができるようになります。

 ダイレクト納付とは、e-Tax(国税の電子申告システム)で申告書などを提出した後、納税者名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落としにより国税を納付することができるというものです。
 これを利用ときには、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行った上で、ダイレクト納付を利用するおおむね1カ月前までに、「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を税務署へ書面で提出しておく必要があります。
 そして、税務署や金融機関において所定の登録作業が完了すると、e-Taxのメッセージボックスに登録完了メッセージが格納されるので、それによりダイレクト納付が利用可能となります。
 今回のダイレクト納付口座の複数利用を行うのには、預貯金口座ごとにあらかじめ「ダイレクト納付利用届出書」を税務署に提出する必要があります。
 なお、ダイレクト納付が利用できる税目(税金の種類)については、全税目対応可能ですが、納付手続方法によりご利用できない税目があります。利用可能額についても、利用する金融機関によって利用可能額が異なるので、あらかじめ金融機関に確認しておきたいものです。
利用に当たっての注意事項としては、手数料はかからないものの、領収証書が発行されないということです。

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28事務年度贈与税調査に異変。申告漏れ総額が対前事務年度比983.9%に

2017年11月20日

このほど国税庁が、平成28事務年度(平成28年7月〜平成29年6月)における全国の国税局と税務署による相続税調査の状況を発表しましたが、もっとも目立ったのが、贈与税調査における申告漏れ総額が1918億円で対前年比983.9%をマークしている点です。

 今回国税庁がまとめた相続税調査は、平成26年に発生した相続を中心に、全国の国税局と税務署が行ったものです。
 実地調査の件数は1万2,116件(平成27事務年度1万1,935件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は9,930件(平成27事務年度9,761件)で、非違割合は82.0%(平成27事務年度81.8%)でした。
 申告漏れ課税価格は3,295億円(平成27事務年度3,004億円)で、実地調査1件当たりでは2,720万円(平成27事務年度2,517万円)となっています。一方、追徴税額(加算税を含む)は716億円(平成27事務年度583億円)で、実地調査1件当たり591万円(平成27事務年度489万円)でした。
 今回、一番目立ったのが贈与税の調査事績です。平成28事務年度実地調査件数は3,722件(対前事務年度比103%)で、申告漏れ等の非違件数も平成28事務年度は3,434件(対前事務年度比102%)と平年並みでしたが、申告漏れ課税価格が平成28事務年度は1,918億円(対前事務年度比983.9%)と急激に増えました。
 これは、2016年9月にセンサーや計測機器の大手メーカー「キーエンス」(大阪市東淀川区、東証1部)の創業者、滝崎武光名誉会長の親族が大阪国税局の税務調査を受け、同社株を保有する資産管理会社の株式の贈与をめぐって約1,500億円の巨額な申告漏れを把握した事案が大きく影響した模様です。

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HBOCの罹患者が受けた乳房切除手術などの費用も医療費控除の対象に

2017年11月13日

大阪国税局管内の病院から、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の罹患者が受けた乳房切除手術などの費用が医療費控除の対象になるのかどうかの問い合わせについて、このほど同国税局が回答を出しました。

 今回、大阪国税局に問い合わせをしていた病院では、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer=HBOC)が疑われる患者に対し、遺伝カウンセリングと遺伝子検査を行い、HBOCと確定診断された方の中で希望する患者に、乳房切除手術または両側卵巣卵管切除手術と、これらの手術後の経過観察を行っています。
 HBOCと診断された患者は、遺伝子に変異がない者と比べてがんの発症リスクが乳がんの場合で6から12倍、卵巣がんの場合は8から60倍高いとされ、現状において遺伝子の変異を直接治療する方法は存在しないものの、がんを発症していない乳房切除手術または両側卵巣卵管切除手術を受けることにより、乳がん等を発症するリスクをほぼ確実に減少させることができるとされています。
 ただし、その手術費は、社会保険診療の対象ではありません。同病院においては、保険診療の際の診療報酬の額に準じた額を自費診療として患者に請求しているわけですが、これらの費用が所得税法第73条第2項≪医療費控除≫に規定する医療費に該当するかどうかが問題でした。
 問い合わせに際し、同病院では「本件遺伝子検査等は、その患者がHBOCであるか否かを診断するために行われるものであるため、その費用は原則としていずれも医療費控除の対象とはなりませんが、本件遺伝子検査等の結果、HBOCであることが判明し、本件手術が行われる場合には、所得税基本通達73−4に定める場合と同様にいずれも医療費控除の対象として差し支えないと考えます」との見解を添えていたところ、このほど大阪国税局はその見解について「御照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。

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国税庁が「地積規模の大きな宅地の評価」でチェックシートを作成

2017年11月13日

このほど、国税庁が相続税の財産評価基本通達に規定する「広大地の評価」に利用するチェックシートを作成し、話題を呼んでいます。同評価方法が適用できるかどうかの判断は、税理士でも一筋縄ではいかないと言われているものだからです。

 じつは、今回の広大地の評価は、つい最近国税庁によって改正された規定です。これまでは、面積に応じて比例的に減額する評価方法であるため、その土地の形状が考慮されておらず、土地の形状次第で実際の取引価格と相続税評価額が大きくかい離することがあるという問題がありました。
 その問題を是正するため、国税庁が財産評価基本通達に規定されている広大地の評価を見直し、「地積規模の大きな宅地の評価」として新たに平成30年1月1日以降適用することにしたものです。
 ただ、その規定の適用要件が複雑なため、シロウトの相続税申告者には難しい内容となっていました。そこで、このほど国税庁が「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシートを作成、同庁ホームページに掲載しています。
 同チェックシートは、「確認結果」欄の全てが「はい」の場合にのみ、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用して評価することになっているのでわかりやすいと好評を得ています。
 例えば、評価の対象となる宅地等が、路線価地域にある場合はA表を用いるわけですが、そのA表の最初の質問欄を見てみると、「面積」について尋ねていて「○評価の対象となる宅地等は、次に掲げる面積を有していますか。@三大都市圏(注1)に所在する宅地については、500u以上、A前記以外の地域に所在する宅地については、1,000u以上」に当てはまれば「はい」にチェックを入れる仕組みになっています。
 このような感じでチェックシートを仕上げていくだけですが、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用して申告する場合、そのチェックシートを「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」に添付して提出しなければならないので注意が必要です。

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把握した所得漏れ金額の合計額が過去5年間で最高をマーク―28事務年度所得税調査

2017年11月6日

全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間(平成28事務年度)で実施した所得税調査の状況を国税庁がまとめました。それによると把握した申告漏れ所得金額が過去5年間で最高額をマークしています。

 国税局・税務署が実施する所得税調査には、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行なう特別調査と一般調査があります。また、申告漏れ所得等の把握を実地により短期間で行う着眼調査(以下、実地により行う調査を総称して「実地調査」という)と、文書や電話、または来署依頼による面接で、申告漏れや計算誤りを是正する簡易な接触というものもあります。
 今回の国税庁のまとめによると、実地調査の件数については、特別調査・一般調査が4万9千件(前事務年度4万8千件)、着眼調査が2万1千件(前事務年度1万8千件)で、簡易な接触は57万7千件(前事務年度58万4千件)でした。
 これらの調査等の合計件数は64万7千件(前事務年度65万件)で、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は40万件(前事務年度39万6千件)となっています。
 一方、申告漏れ所得金額の状況を見てみると、実地調査による申告漏れ所得金額は、全体で5,359億円(前事務年度5,243億円)で、そのうち特別調査・一般調査によるものは4,499億円(前事務年度4,522億円)、着眼調査によるものは860億円(前事務年度722億円)でした。特に、特別調査・一般調査によるものについては、過去5年間で最高額(平成24事務年度は3,894億円だった)をマークしました。
 なお、簡易な接触によるものは3,525億円(前事務年度3,542億円)だったことから、調査等合計は8,884億円(前事務年度8,785億円)となっています。
 ちなみに追徴税額の状況については、実地調査による追徴税額は、819億円(前事務年度798億円)で、簡易な接触による追徴税額が293億円(前事務年度277億円)、調査等合計は1,112億円(前事務年度1,074億円)となっています。

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大阪府と府内全市町村が全事業主を個人住民税の特別徴収義務者に一斉指定へ

2017年11月6日

このほど、個人住民税の特別徴収を徹底するため、大阪府と府内全市町村が平成30年度(来年4月)から全事業主を特別徴収義務者として一斉指定するPRを開始しました。

 住民税の特別徴収は、事業主(給与支払者)が所得税の源泉徴収と同様に、従業員(納税義務者)に代わり、毎月支払う給与から個人住民税を差し引いて、納入する制度で、地方税法で義務づけられているものです。
 そこで、大阪府と府内全43市町村は平成29年8月22日に開催した大阪府個人住民税特別徴収推進会議において、「オール大阪特別徴収推進強化宣言」を採択。平成30年度から、府内全市町村において、原則として法定要件に該当する事業主全てを特別徴収義務者に指定し、個人住民税(個人府民税・市町村民税)の特別徴収を徹底することにしました。
 そもそもこの特別徴収義務者の指定については、近畿府県(大阪府、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県)が平成28年10月26日に採択した「個人住民税の特別徴収推進に関する近畿府県共同アピール」に基づくものです。
 よって、京都府や兵庫県、和歌山県においても平成29年5月24日に「個人住民税の特別徴収の一斉指定に向けた共同アピール」を採択。平成30年度から原則全ての事業主を一斉に特別徴収義務者に指定することを決定しています。
 個人住民税は、各自治体にとって行政サービスを支える貴重な財源であることから、大坂府と府内全市町村は「今後とも税収確保と税負担の公平を確保する取組みを進めていきます。府民の皆さんには、個人住民税の特別徴収の徹底に関する取組みについて、ご理解とご協力をお願いします」と訴えています。

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