過去のニュースを見る>>

経産省の調べで事業承継税制の利用状況の低さ判明

2017年10月30日

平成26年からの3年間で事業承継税制による相続税の納税猶予の適用前提となる認定は592件で、贈与税の納税猶予の適用前提となる認定件数を合わせても1150件だったことが、このほど経済産業省の調べでわかりました。

 いま、中小企業経営者の高齢化が進んでいて、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳(平均引退年齢)に達すると言われています。それにもかかわらず、半数以上が事業承継の準備を終えていないとされていて、このまま放置すると中小企業の廃業が相次ぎ地域経済に深刻な打撃を与える恐れがあることから、経済産業省では、平成30年度税制改正で事業承継税制の抜本的な見直しを行うよう財務省に要望しました。
 その際、事業承継税制の利用状況を調べたわけですが、実態は想像以上に利用されていないことが判明しました。
 具体的には、次のような状況となっています。
●平成28年
@相続税の納税猶予適用の前提となる認定:198件(推計の99件を含む)
A贈与税の納税猶予適用の前提となる認定:237件
●平成27年
@相続税の納税猶予適用の前提となる認定:243件
A贈与税の納税猶予適用の前提となる認定:274件
●平成26年
@相続税の納税猶予適用の前提となる認定:151件
A贈与税の納税猶予適用の前提となる認定:47件
 ちなみに、平成27年中に亡くなられた人の中で相続税の課税対象となった被相続人の数は約10万3千人(平成26年約5万6千人)とされています。

▲ページトップへ戻る

日税連が個人所得課税における控除方式などについて税制審議会に諮問

2017年10月30日

日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)がこのほど、税制審議会(神津会長の諮問機関)に、平成29年度諮問事項「個人所得課税における控除方式と負担調整のあり方について」を諮問しました。

 日税連の税制審議会は、学識経験者及び税理士によって構成されていて、単年度ごとに発せられる会長の諮問に応じ、税制並びに税務行政全般について調査・審議を行い、その結果を会長に答申しています。この答申は、日税連が毎年、関係省庁に提出する税制改正建議書に反映されることから、税理士だけでなく財務省や国税当局も注目しているものです。
 今回の諮問は「個人所得課税における控除方式と負担調整のあり方について」と題するもので、与党の「平成29 年度税制改正大綱」で、「給与所得控除などの『所得の種類に応じた控除』と基礎控除などの『人的控除』のあり方を全体として見直すことを検討していく」とされたことから、税の専門家としての考えを取りまとめて、提言できるようにするという狙いがあります。
 また、政府税制調査会などで「所得の金額にかかわらず税負担の軽減額が一定になる『ゼロ税率方式』や『税額控除方式』の導入を検討すべきである」という意見や「所得の種類に応じた負担調整ではなく、家族構成などの納税者の人的な事情に配慮した負担調整にシフトすべきである」といった意見が出されていることから、日税連としての考えを整理することを目的として諮問された模様です。

▲ページトップへ戻る

税理士会が作った「2017研究開発税制Q&A」パンフレットを経済産業省が公表

2017年10月23日

経済産業省がホームページで「2017研究開発税制Q&A」パンフレットを公表しました。税理士会が作成したものとあって、中小零細企業の経営をベースにわかりやすく解説されています。

 「2017研究開発税制Q&A」パンフレットは、沖縄税理士会調査研究部が執筆し、日本税理士会連合会調査研究部が監修したもので、平成29年度税制改正で拡充された研究開発税制を反映した解説書です。
 そもそも 研究開発税制とは、青色申告法人の各事業年度に試験研究費が発生した場合、その総額のうち一定割合に相当する金額がその事業年度の法人税額から控除されるというものです。とくに、中小零細企業は「中小企業技術基盤強化税制」という優遇措置により、大きな税額控除が受けられる仕組みになっていて、その税額控除割合は12〜17%とされています。
 同パンフレットの冒頭のはしがきで、「私たちは、本パンフレットの作成にあたって、できるだけ分かりやすい表現を目指し、図表を多用して明解な解説を心がけました」とされていますが、その片鱗をうかがわせるのが、 試験研究費の中に含めることができる人件費について解説している部分です。
 「試験研究費に占める人件費の割合は高く、人件費の範囲をおさえることは重要です」としたうえで、人件費の範囲について「研究員に支給する@賃金・給与、諸手当、A賞与、B退職金、C法定福利費(健康保険法・雇用保険法等による事業主負担額)、D福利厚生費(医務、衛生、保険その他従業員の福利厚生の経費)―、が含まれる」としています。
 さらに、「中小企業の場合、役員が試験研究プロジェクトの中心的な役割を果たすケースが少なくありません」としたうえで、役員に退職金を払うときには「在職期間中に研究員であった場合は、退職金の期間配分を行い、研究開発に専ら従事していた期間に相当する額だけを試験研究費に含めます。この場合は、単純な月割りの計算で差し支えありません」と解説しています。

▲ページトップへ戻る

全国の法人の所得が過去最高をマーク―国税庁が28年度の法人税申告事績を発表

2017年10月23日

国税庁がこのほど、平成28事務年度に全国の税務署に申告された法人税と源泉徴収に係る所得税の事績を取りまとめました。それによると、法人の総所得金額は過去最高をマークしています。

 今年3月31日までの1年間の事業年度で、しかも今年7月末までに申告があった(平成28年度)法人税の申告件数は286万1千件で、その申告所得金額の総額は63兆4,749億円でした。前年度に比べ1兆9,388億円(3.2%)増加し、7年連続の増加となりました。しかも、その額は過去最高でした。
 なお、申告税額の総額は11兆2,372億円となっています。
 黒字申告割合も33.2%と、前年度に比べ1.1ポイント上昇し、6年連続の上昇となったことから、安倍政権の経済対策アベノミクスの効果が一部現れた形になりました。
 一方、源泉所得税について見てみると、今年6月30日までの1年間(平成28事務年度)に納付があった源泉所得税(復興特別所得税含む)の税額は17兆379億円で、前事務年度に比べ9,038億円(5.0%)減少し、7年ぶりの減少となりました。給与所得の税額は2,088億円(2.0%)増加したものの、配当所得の税額が7,056億円(15.3%)減少したことが大きく影響した模様です。
 まさに、黒字企業が株主への配当を抑えて内部留保に走った形跡がうかがえるデータと言えます。

▲ページトップへ戻る

国税庁が法人番号の指定件数などを公表し始めた

2017年10月16日

国税庁がこのほど、法人番号指定件数などの公表を開始しました。法人番号の活用場面の拡大や国民の関心をひき寄せることを狙ったものです。

 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)に基づき、1法人につき1つの法人番号(13桁)が国税庁により指定され、登記上の所在地に通知されることが、平成25年5月24日に決まりました。そして、実際の法人番号通知は平成27年10月からスタートしています。
 このほど、国税庁がこの法人番号の指定件数や法人別の公表件数、法人番号公表サイトの利用状況、英語版webページのアクセス件数などを毎月公表すると発表しました。法人番号の活用場面の拡大や国民の関心を引き寄せることを狙ったものとされています。
 具体的に、今回公表した法人番号の指定件数を見てみると、設立登記法人は今年9月末時点で450万8174件が指定され、そのうち公表しているのは450万6934件とされています。
 そもそも国が法人番号を導入した目的は個人番号(マイナンバー)と同じで、全法人の売上げの把握と行政手続きのワンストップ化を実現することにあります。さらには、マイナンバーとは違い、公表を原則とすることで民間による利活用を促進し、番号を活用した新たな価値が創出されることが期待されています。

▲ページトップへ戻る

外国の金融機関にマイナンバーを提供することに問題はないのか?

2017年10月16日

「外国金融機関にマイナンバー(個人番号)を提供することに問題はありませんか?」―、このほど、国税庁が開設しているマイナンバーのサイトのFAQ(よくある質問)に新たな項目を追加しました。

 経済取引の国際化で、個人レベルでも外国の金融機関と取引を行う人が増えています。一方で、民間企業や公的団体などによる個人情報の漏えいが社会問題となっていて、個人の名寄せに使われているマイナンバーの利用に神経を尖らせている人は少なくありません。
 こうした状況の中、外国の銀行などからマイナンバーの提供を求められるケースが増えていて、その提供に不安を抱いた人からの問い合わせが税務署や国税局に相次いでいます。
 そこで、国税庁ではこのほど、ホームページ内に設けているマイナンバーのサイトに掲載しているFAQに「外国の金融機関からマイナンバーの提供を求められたのですが、問題ないですか」とする質問を掲載しました。
 その質問に対して国税庁は「国際的租税回避の防止を目的として、銀行等の口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際的な統一基準(以下「共通報告基準」)がOECDにおいて策定されているところであり、交換の対象となる情報にはマイナンバー(個人番号)も含まれています」としたうえで、「そのため、日本と共通報告基準に基づく自動的情報交換が可能な租税条約等を締結している国・地域(注)に所在する金融機関から、所在地国・地域の法令に基づいて、税務当局へ報告を行うためにマイナンバー(個人番号)の提供を求められることがあります。この場合、当該外国金融機関にマイナンバー(個人番号)を提供することは問題ありません」と回答しています。
 同時に、日本と自動的情報交換が可能な租税条約を締結している国や地域のリストも掲載して、すぐに確認できるようにしています。

▲ページトップへ戻る

10月16日の一定の時間帯に国税のクレジットカード納付ができなくなる

2017年10月10日

このほど、国税庁が今年10月16日の一定の時間帯にクレジットカードによる国税の納付ができなくなることを発表しました。「国税クレジットカードお支払サイト」のネットワーク機器のメンテナンス作業が行われるためとしています。

 「国税クレジットカードお支払サイト」のメンテナンス作業が行われるのは、
平成29年10月16日(月)の午前2時から午前3時までの間です。この間、同サイトを通じての国税のクレジットカード納付が利用できなくなります。
国税のクレジットカードでの納付がスタートしたのは、今年1月からです。この納付方法は、インターネット上でのクレジットカード支払機能を利用したもので、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)が運営する「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて国税を納付することになっています。
この「国税クレジットカードお支払サイト」を利用するには、直接同サイトにアクセスするほかに次の3通りのアクセス方法があります。

1、国税庁ホームページで「国税クレジットカードお支払サイト」をクリックしてアクセスする
2、確定申告書等作成コーナーで、納税額のある申告書を作成した場合等に表示される納付方法の案内画面からアクセスする
3、e-Tax(国税の電子申告システム)を利用して電子申告・徴収高計算書データの送信又は納付情報登録依頼をした後に、メッセージボックスに格納される受信通知からアクセスする

 いずれにしても、今回は国税クレジットカードお支払サイト自体がメンテナンス作業にはいるため、発表された時間帯はクレジットカードによる国税の納付はできないので注意が必要です。

▲ページトップへ戻る

納税者から指摘され国税庁が財産評価基本通達の広大地の評価方法を見直す

2017年10月10日

国税庁がこのほど、今年6月22日に電子政府の総合窓口(e-Gov)で公示した「財産評価基本通達」の一部改正(案)に対する意見公募の結果を公表しました。広大地の評価方法が、納税者からの指摘を受け一部見なおされています。

 国税庁が6月22日にパブリックコメントを募集した「財産評価基本通達」の一部改正(案)の内容は、これまでの広大地の評価(評価通達20‐2、24‐4ほか)を廃止または見直して、新たな広大地の評価方法を定めることと、株式保有特定会社の株式の評価(評価通達189、189‐3ほか)の一部を改正することです。
国税庁によると、この通達改正案に対し納税者から寄せられた意見は、インターネットによるものが37通、FAXによるもの3通、郵便等によるもの2通(計42通)でした。しかも、株式保有特定会社の株式評価に関する意見は1通もなく、すべて広大地の評価に関するものでした。
国税庁では、今回寄せられた意見を踏まえ、原案から一部修正を行っているわけですが、具体的には、市街地農地等について、改正案ではその農地等が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を基に評価するとしていましたが、納税者からの指摘を受け「市街地農地等が宅地であるとした場合に、財産評価基本通達20−2(地積規模の大きな宅地の評価)の定めの適用対象となるとき(同通達21−2(倍率方式による評価)ただし書において、同通達20−2の定めを準用するときを含む。)には、その農地等が『宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額』については、同通達20−2の定めを適用して計算する」とされています。

▲ページトップへ戻る