今年10月10日から、内部事務の効率化を目的として、大阪福島税務署、西淀川税務署及び東淀川税務署の内部事務を集約処理する「税務署事務処理センター」が東淀川税務署に設置されます。内部事務とされていますが、一部納税者にも係り合いが出てくる可能性があるようです。
大阪国税局によると、「税務署事務処理センターの設置は、行政サービスの水準を維持しながら内部事務を効率的に処理するためのものであり、納税者の皆様の所轄の税務署を変更するものではありません」としています。
気になる内部事務については、「基本的には税務署の職員が税務署の内部で行う事務」とされています。例えば、申告書の入力処理、納税者の皆様へのお尋ね文書の発送など、納税者や税理士の皆様との対面を伴わないような事務です。したがって、「税務署事務処理センター」設置後も、次の点については従来通りの取り扱いとなります。
納税証明書の交付や現金領収、面接による相談等は、従来どおり、所轄の税務署の窓口で行われます。また、申告書や申請書・届出書等の書類の提出先についても、従来どおり、所轄の税務署となります。
ただし、注意しなければならないのは、大阪福島税務署及び西淀川税務署へ提出された書類(申告書や申請書・届出書等)は、原則として、「税務署事務処理センター」を設置する東淀川税務署に移送され、保管されます。よって、大阪福島税務署及び西淀川税務署へ提出された書類の内容確認等を行う場合には、これまでよりも時間がかかることになります。
さらに、内部事務を処理するため、大阪福島税務署、西淀川税務署及び東淀川税務署管内の納税者や税理士に対して、「税務署事務処理センター」から電話や文書により問合せがくることがあるとされています。聞きなれない部署からの問い合わせに、戸惑う納税者が出る可能性が懸念されています。
日本商工会議所(三村明夫会頭)が、9月20日に「平成30年度税制改正に関する意見」を取りまとめました。一番強く見直しを要請しているのは、現行の事業承継税制です。
日本商工会議所の同意見書では、中小企業の活力を最大限引き出す税制の整備が必要と訴えています。そして、中小企業が財政や地域経済に大きく貢献している実態を示したうえで、中小企業の特性を踏まえ、その活力を最大限引き出す観点から、「経営の足かせになっている税制を見直すべき」と主張しています。
具体的には、「大事業承継時代」を乗り切るための税制措置の抜本的拡充や所得拡大促進税制と少額減価償却資産の特例の拡充のほか、商業地等に係る固定資産税の負担調整措置の見直しに対する反対意見が列記されています。
なかでも、注目されているのが事業承継税制の大幅な見直し要望です。まず、企業における経営人材の選定を税制で制限すべきではないとして、先代経営者および後継者における代表者要件、筆頭株主要件を撤廃し、「経営に関与する取締役等が事業承継税制の適用対象となることを検討すべき」としています。
次に、納税猶予開始後5年経過時点で納税を免除するとともに、事業承継期間において、雇用維持要件を満たせなかった場合や猶予対象株式を一部譲渡した場合には、「その割合に応じた納税猶予額分を納付する等の措置を講じるべき」と要請。納税猶予の対象となる発行済議決権株式総数に係る上限は撤廃し、「全ての株式を対象とすべきである」などとしています。
さらに、自社株の生前贈与時における税率軽減や株式評価減制度の創設を求めるとともに、相続税の猶予割合についても100%を要望しています。
9月15日、大阪商工会議所(尾崎裕会頭)が、2018年度の税制改正に関する要望を政府に提出しました。深刻化する人手不足への対応と中小企業の事業承継の円滑化が柱となっています。
同要望では、まず、人手不足対策として、従業員の能力アップを促す「人材投資促進税制」の創設をはじめ、採用活動費など、人材確保に伴う負担を軽減する「中小企業人材採用マッチング税制」の創設を求めています。また、IoT、AI、ロボットなど次世代技術等を活用した省人化を促す「中小企業の省人化投資促進税制」の創設にも力を入れて行くとしています。
この中で注目されているのは「人材投資促進税制」ですが、具体的には、従業員にITのスキル向上のための研修や資格取得、経営能力・知識習得のための海外留学など、従業員の職業能力向上のために支出した費用に対する法人税額控除制度の創設を目指しています。そして、同制度について、中小製造業者が従業員育成や技術開発などのために、退職した技術者や大企業技術者などを指導員として一時雇用した場合の費用も対象とするよう求めています。
次に、同要望に盛り込んでいるのが、中小企業の世代交代の円滑化策として、後継者への円滑な自社株式引き継ぎを支援する「事業承継税制」を抜本的に強化することや、親族以外の第三者への譲渡を促す「M&A促進措置(税制)」の創設です。
現行の事業承継税制は、納税猶予対象株式について発行済議決権株式総数の3分の2までに制限されていて、相続税の納税猶予割合も8割に制限されています。これについて、同商工会議所は、猶予対象株式を全株まで拡大するとともに、相続税の納税猶予割合を100%へ引き上げて、さらに、5年後には納税免除とするよう求めています。
このほかには、事業承継税制の適用要件にある5年間平均8割とされている雇用維持要件の抜本的見直しや、先代経営者要件と後継者要件の緩和なども要望しています。
地方税の電子申告システムeLTAXを運営している(一社)地方税電子化協議会が平成29年度税制改正に関する対応について、システム利用者に注意を呼びかけています。
今年、3月31日と7月6日に公告された「地方税法施行規則の一部を改正する省令」により、法人都道府県民税・事業税(地方法人特別税)、法人市町村民税の申告書等の様式改正が行われました。これを受け、同協議会も同様式改正に対応した電子申告システムのバージョンアップを行ない今年9月19日よりスタートさせました。
ところが、同協議会によると「税制改正に関して、9月19日より前に地方公共団体より送付されたプレ申告データを使用して、19日以後にPCdesk・各税務ソフトにより申告データを作成・送信した場合、一定の事象が発生します」と注意を喚起しています。
その一定の事象とは、次のようなものです。
@プレ申告データを使用して、申告データの作成ができない。
eLTAX対応ソフトウェアのPCdeskについて、9月19日より前に送付されたプレ申告データを用いて、19日以後に申告データを作成しようとした場合に@の事象が発生します。プレ申告データを用いて申告データを作成できない場合は、申告データを新たに作成し、送信する必要があります。なお、PCdesk以外の税務ソフトは各仕様に拠ります。
Aプレ申告データを用いて作成した申告データが地方税ポータルセンタでエラー(当該データが最新バージョンではない)と認識された上で、地方公共団体に送信される。
PCdeskについて、9月19日より前に送付されたプレ申告データを用いて、19日より前に申告データを作成し、19日以後に当該申告データを送信した場合にAの事象が発生します。
こうした不具合の発生を避けるためにも同協議会では「当てはまるプレ申告データの申告は避けていただき、新規に申告データを作成していただくか、提出先の地方公共団体に御相談いただきますようお願いいたします」としています。
国税庁が、ビットコインを使用することで生じた利益について「原則として雑所得に区分される」とし、所得税の課税対象になるとの見解を、このほど「タックスアンサー」に掲載しました。
インターネット上で取引や通貨発行が行われる分散型仮想通貨「ビットコイン」は、ネットワーク上で取引が行われるため、取引の仲介手数料が低く抑えられ、迅速に世界中のどこの誰とでも貨幣取引を行うことができることから、日本でも利用者が急増しています。
仮想通貨といえども、実際に損益が生じることから税金が係ることは間違いありません。
そこで、国税庁がホームページに搭載しているタックスアンサー(税務相談の自動回答システム)で明らかにしたその課税関係を見てみると、「ビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分される」としています。
したがって、同じ金融取引である上場株式と比較してみると、上場株式を売却して利益が出た場合には、申告分離課税となり税率は一律約20%になるが、ビットコインは雑所得に区分されるため累進課税が適用され、高所得者の場合は最高税率の45%が適用される可能性があるわけです。
また、上場株式の売買により発生した損失は、将来3年間に渡って繰り越すことができますが、ビットコインは雑所得に区分されるため、発生した損失の将来への繰り越しは認められず、将来ビットコインで利益が発生したとしても過去の損失と相殺することはできません。
平成29年分の所得税の確定申告から医療費控除を受ける場合に必要だった医療費の領収書の添付に代えて「医療費控除の明細書」を提出すればよいことになりますが、このほど、国税庁がその明細書の様式を公表しました。
国税庁が公表した医療費控除の明細書の様式は、「医療を受けた方の氏名」、「病院・薬局などの支払先の名称」、「医療費の区分」「支払った医療費の額」、「支払った医療費の額のうち生命保険や社会保険などで補?される金額」の項目からなり、適用する医療費の領収書すべてについて書き写す仕組みになっています。
こうした明細書を確定申告書に添付して税務署に提出すれば、領収書自体の提出は不要となるわけですが、基本的にその医療費の領収書は自宅で5年間保存しなければなりません。そして、税務署から求められたときは、原則として提示又は提出しなければならないことになっています。
ただし、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付又は提示によることも可能となっています。
また、医療費控除を受ける場合は、セルフメディケーション税制は適用できません。セルフメディケーション税制とは、健康の維持増進及び疾病の予防への取り組みとして個人が、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち医療用から転用された医薬品である「スイッチOTC医薬品」の購入の対価の合計額が1万2,000円を超えた場合、その超えた部分の金額をその年分の総所得金額等から控除するというものです。
大阪府が「平成30年度税制改正に向けた地方消費税の清算基準の見直しに関する提言」を取りまとめて、8月22日に総務省へ提出しました。この要望では、他の大都市でも同様な思いがあるのではないかとして注目が集まっています。
このほど大阪府が総務省に対し「平成30年度税制改正に向けた地方消費税の清算基準の見直しに関する提言」を行いました。
地方消費税は、最終消費者が実質的な負担者となる税です。すなわち、地方団体が域内における消費活動を活性化させれば、それが税収に反映されるのが当たり前。ところが、国が消費税と一緒に地方消費税を徴収しているため、国によって都道府県へ分配(清算)が行われていて、その地方消費税の清算基準については、平成27年度及び平成29年度の税制改正で、小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額から、一定の項目を除外するとともに、代替指標について、人口の割合を引き上げ、従業者数の割合を引き下げる見直しが行われました。
さらに、平成29年度与党税制改正大綱において、「平成30年度税制改正に向けて、地方消費税の税収を最終消費地の都道府県により適切に帰属させるため、地方公共団体の意見を踏まえつつ、統計データの利用方法等の見直しを進めるとともに、必要に応じ人口の比率を高めるなど、抜本的な方策を検討し、結論を得る」とされています。
そこで、大阪府は、将来的には統計調査方法の工夫や消費に関するデータの活用なども含め、都道府県ごとの消費額を正確にとらえる方策を検討していくべきと考えたわけです。ただし、当面の対応として、現行の統計を活用した見直しについて、次のように提言しました。
(1) 統計カバー率を高める
@ 小売年間販売額に新設事業所を追加する補正を加える。
A 平成29年度税制改正で除外した「通信販売・インターネット販売」の額を小売年間販売額に加える。(下記(2)@(ア)により補正)
B 前記@及びAにより、統計カバー率は現行の71.5%から78.3%に上昇するが、これまでの経緯や課税ベースが年度によって変動することに鑑み、統計のウェイトは、現行の75%のままとする。
(2)小売の販売と消費のずれを補正する≪需要側の統計の活用≫
@小売に係る都道府県ごとの消費額は、次の(ア)及び(イ)を合算した額とする。
(ア)商業統計の小売年間販売額について、上記(1)Aで加えたもののうち、販売形態が「無店舗型」の額を、需要側のデータである全国消費実態調査の小売消費額の都道府県別割合で按分した額
(イ)前記(ア)の販売形態が「無店舗型」の額を控除した小売年間販売額を、同小売年間販売額の都道府県別割合と全国消費実態調査の小売消費額の都道府県別割合を平均した割合で按分した額
Aサービスに係る都道府県ごとの消費額は、経済センサス活動調査のサービス業対個人事業収入額の都道府県別額とする。(現行どおり)
(3)代替指標の位置づけを明らかにする≪小売とサービスに区分≫
@全国消費実態調査から推計した小売関係支出とサービス関係支出を参考に、地方消費税の清算基準となる消費に相当する額について、小売に係る額を6割、サービスに係る額を4割とする。
A小売とサービスそれぞれについて、消費に相当する額のうち、統計でカバーできない部分を代替指標で按分する。(前記(2)@の総額及びAの総額の合算額の15分の3を小売の代替指標で、同15分の2をサービスの代替指標で按分する)
(ア) 小売は夜間人口と昼間人口の都道府県別割合を平均した割合で按分する。
(イ) サービスはサービス業に従事する従業者数で按分する。
このほど、自由民主党総務部会関係合同会議が開催され、地方六団体の代表がその出席上で、平成30年度予算等に関する要望を行いました。その要望には、不公平税制の見直しが盛り込まれていて、納税者の多くが強い関心を抱いています。
地方六団体がまず求めたのが、固定資産税のあり方です。「土地評価額の上昇に対応するため平成6年度に拡充された固定資産税における土地の負担調整措置等については、平成30年度の評価替え時において、近年の地価の動向等社会経済情勢の変化を踏まえ、負担の公平化を図る観点から見直すこと」として、地価高騰に伴い都市部の納税者への負担調整を要望しています。
一方で、「償却資産に対する固定資産税については、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、制度の根幹を揺るがす見直しは断じて行うべきではなく、現行制度を堅持すること。なお、平成28年度税制改正において創設された固定資産税の時限的な特例措置(中小企業等経営強化法に規定された機械等の固定資産税の課税標準を最初の3年間2分の1(半額)とする措置)については、今回限りのものとし、その期限の到来をもって確実に終了するとともに、その期限までの期間内であっても対象の拡充は断じて行わないこと」とある意味増税となる要望を行っています。
さらに、ゴルフ場利用税について「アクセス道路の整備・維持管理、廃棄物処理、地滑り対策等の災害防止対策、消防・救急など、所在都道府県及び市町村が行う特有の行政需要に対応していること、域外から来訪する担税力のあるゴルフ場利用者が受益に応じて負担していること、その税収の3割はゴルフ場所在都道府県の貴重な財源となっているとともに、その7割は所在市町村に交付金として交付され、財源の乏しい中山間地域をはじめとする市町村の貴重な財源となっていること等を踏まえ、引き続き現行制度を堅持すること」として一部のスポーツをターゲットとした税制の維持を求めています。