国税庁が土地の相続税評価額算定の基礎となる路線価の平成29年分を今年の7月3日に公開すると発表しました。相続税の課税強化の影響で、今年も路線価の動向に多くの資産家が強い関心を寄せています。
平成 29年分の路線価図等は、今年7月3日月曜日10 時に公開される予定です。路線価とは、国税庁が相続税や贈与税を課税する際の算定基準にする土地の評価額のことで、毎年宅地に面する主要道路にその基準価格をつけていることから路線価とされています。
その路線価の策定にあたって国税庁は、土地基本法第16条の趣旨を踏まえて、総合土地政策推進要綱などに沿って、国土交通省が毎年発表している公示価格の80%程度を目途に定めていることから、3月に発表された公示価格から今年の路線価のおおよその動向を推測することができます。
そこで、国土交通省が3月21日に発表した平成29年地価公示を見てみます。国土交通省によると、平成29年1月1日時点の全国の標準地2万6000地点(うち、福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示区域内の12地点については調査を休止)の価格は、「住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え効果もあり、住宅地の地価は総じて底堅く推移していて、上昇の継続または下落幅の縮小が見られる」としています。
圏域別にみると、東京圏の平均変動率は4年連続して小幅な上昇。地価動向としては前年より0.5%上昇しました。大阪圏の平均変動率は昨年の小幅な上昇から横ばいでした。名古屋圏の平均変動率は4年連続して小幅な上昇。半年ごとの地価動向としては、前半が0.5%の上昇、後半が0.6%の上昇となっています。
さらに、地方圏の平均変動率は下落を続けていますが、下落幅は縮小傾向を継続しています。半年ごとの地価動向は、前半が0.4%の上昇、後半が0.3%上昇しました。
総務省が、全国の市町村に対し「上場株式等に係る配当所得等の課税方式では、必ずしも所得税の確定申告書を優先する必要はない」などとする通知を行っていたことが明らかになりました。
平成28年12月22日に閣議決定された「平成29年度税制改正大綱」において「上場株式等に係る配当所得等について、〔中略〕所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する」とされたことを受け、総務省が平成29年4月1日付けで「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)の一部改正について」を各地方自治体に通知していました。
その通知は、上場株式等に係る配当所得等の課税方式について適切に取り扱うよう要請したものです。
具体的には、「個人住民税の申告書と所得税の確定申告書の両方が提出された場合において(通常は所得税の確定申告書のみを提出することにより申告実務は完了しているが、別途に個人住民税の申告書も提出された場合が該当する)、個人住民税における上場株式等の配当等について、必ずしも確定申告書を優先して課税方式を決定するのではなく、これらの申告書に記載された事項その他の事情を勘案して決定すること」とされています。
一般的に所得税の確定申告または勤め先の特別徴収によって、住民税の申告納付は自動的に終えるものです。しかし、税法上、所得税の確定申告をしておらず、次に該当する場合は、住民税の申告が義務づけられています。
@前年中に事業(営業等、農業)、不動産、利子、配当、雑(個人年金等)、一時(生命保険払戻金等)、譲渡の所得があった人
A年末調整済の給与以外の所得が20万円以下で確定申告をしていない人
B退職などの理由で、年末調整をしていない給与所得者
C 400万円以下の公的年金収入のみで、確定申告をしなくてよい人
さらに、もうひとつ住民税の申告が必要な場合があります。配偶者控除を受けるために、給与収入を103万円以下に抑えている場合です。
所得税の基礎控除額は38万円ですが、住民税の基礎控除額は33万円で、5万円の差があります。そのため、均等割を除く住民税(所得割)は、給与収入98万円から103万円以下の人は住民税の申告が必要となります。
総務省が民間の事業者に「特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)」に 記載されている個人番号の取扱いについて注意を呼びかけています。個人情報保護法が5月に全面施行されることに備えたものです。
民間の事業者は、従業員に課税される住民税を毎年6月から翌年の5月まで月割りで給料から天引きして、納付しなければなりません。これが住民税の特別徴収と呼ばれるもので、天引きする毎月の税額は事前に市町村から送られてくる特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)に記載されています。
今回、その特別徴収税額決定通知書に記載されている個人番号について、総務省が慎重に取扱うよう注意を呼びかけています。
具体的には、次の点について注意を促しています。
@ 個人情報の保護に関する法律(以下「保護法」)に基づき、個人情報取扱事業者は、特定個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定し、かつそれを本人に通知又は公表しなければならず、また、当該事業者が特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて特定個人情報を取り扱うことはできません。
A したがって、特別徴収税額決定通知書により提供を受けた個人番号の利用に当たっては、例えば、その利用目的を「給与支払報告書作成事務」や「源泉徴収票作成事務」等、番号法に基づく関係事務の範囲で特定し、かつそれを本人に通知又は公表していることが必要であるとともに、その利用目的の達成に必要な範囲に限って利用する必要があります。
B 保護法20条、21条及び番号法12条により、特別徴収義務者は個人番号の取扱いについて、漏えい防止などの必要な安全管理措置を講じる必要があります。
C 個人番号の収集ができていない従業員等については、引き続き個人番号の収集に努める必要があります(番号法6条)。
この注意喚起は、5月30日に個人情報保護法が小規模事業者にも適用されるようになることから、事前に取扱いの周知を図る目的で出されたものです。
自宅や会社のパソコンのオペレーティングシステム(OS)がWindows10を使用している方はご注意ください。国税庁の電子申告システム(e-Tax)などが提供しているソフトやサイトが使えないという事象が発生しています。
Windows10を対象とした自動アップデートを行ったパソコンを使って、e-Taxソフト(WEB版)などを利用しようとすると、画面が切り替わらず「処理中です」が表示されたままとなる事象が頻繁に発生しています。
このような不具合は、4月12日から始まっていて、e-Taxソフト(WEB版)以外ではNISAコーナーやFATCAコーナー、多国籍企業情報の報告コーナーなどでも発生しています。
国税庁によると、「原因はマイクロソフト社から提供されたWindows10の自動アップデートプログラムに不具合があったことによるもの」としています。当面の対応として、ブラウザの設定を変更することで、国税庁が提供しているソフト等が利用できる形になっています。
これについて国税庁は、「当該対応方法は、マイクロソフト社より不具合が解消されるまでの間の暫定的な対応」と説明しています。
設定変更方法は「暫定対応手順(http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_290412_10_manual.pdf)」で解説されています。
なお、国税庁では「平成29年4月12日の自動アップデート前の状態に戻していただくことによっても、当該事象が解消されます」ともしています。
3月27日に国会を通過した平成29年度税制改正関連法によって、相続税の物納の財産の順位と種類が変わりました。国税庁では「すでに今年4月1日以降の物納申請分から改正法の適用が始まっているのでご注意ください」としています。
相続税は現金納付が原則となっていますが、現金がない場合は延納(年賦払い)で納めることもできます。さらに、その延納によっても納付することが難しい場合には、納税者の申請により、一定の相続財産による物納が認められます。
物納できる財産には、その順位と種類が決まっていて、これまでは第1順位が国債、地方債、不動産、船舶でした。第2順位は社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券、第3順位は動産とされていました。
この物納申請できる財産の順位と種類が今回改正されたわけですが、具体的には、物納順位が第2順位であった社債及び株式等の有価証券のうち、金融商品取引所に上場されている株式等が第1順位となりました。しかも、これまで物納できなかった有価証券でも、金融商品取引所に上場されているものは第1順位で物納できることになっています。
具体例をあげると、まず「上場されている有価証券」には社債、転換社債型新株予約権付社債、特殊法人債、特定社債券、株式、優先株式、新株予約権証券、ETF、REIT、JDR、ETN、日銀出資証券、優先出資証券、特定目的信託の受益証券などがあります。
また、「上場されていない有価証券」でも、オープンエンド型の証券投資信託の受益証券とオープンエンド型の投資法人が発行する投資証券(目論見書又はこれに類する書類で当該解約又は払戻しの請求を行うことができる日が1月につき1日以上であることを明らかにする書類の提出が必要となる)がこの第1順位とされました。
国内のパソコンのオペレーティングシステム(OS)で70%以上のシェアーを持つマイクロソフト(Microsoft)社が今年4月12日にWindows Vistaのサポートを終了することから、このほど、国税庁が国税の電子申告システム(e-Tax)の推奨環境を改訂しました。
国税庁ではパソコンのOS として、これまでWindows Vistaをe-Taxの良好な動作環境として推奨してきましたが、Microsoft社の製品サポートが平成29年4月12日で終了することから、同年4月13日以降はWindows Vistaをe-Taxの推奨環境外としました。
製品サポートが終了すると、新しいセキュリティ更新プログラムなどがMicrosoft社から提供されなくなることから、セキュリティの脆弱性が発見されても、同社からのセキュリティ更新プログラムによる対処が行われなくなるため、コンピュータウイルスへの感染リスクが高くなります。そこで、国税庁はWindows Vistaを推奨環境から外したわけです。
これにより4月13日からWindowsのOSの推奨環境は、「Microsoft Windows 7」「Microsoft Windows 8.1(デスクトップモードの場合に限る)」「Microsoft Windows 10」の3つとなります。そして、ブラウザは「Microsoft Internet Explorer 11」を推奨し、PDF閲覧は「Adobe Reader XI」「Adobe Reader DC」となります。
なお、パソコンをWindows Vista以外のマシンに変更する場合は、ICカードリーダライタの設定やデータ移行などが必要となります。
大小を問わず過去1年以内に自然災害に見舞われた法人に対して、国税庁が5月1日までに「災害損失による繰戻し還付の請求書」を提出するよう呼びかけています。
災害損失による法人税額等の繰戻し還付制度は、地震災害が発生するたびに特例的に設けられてきた震災対応措置です。この制度が、2017年度税制改正で災害に対応する税制上の措置として法人税法に常設化されました。
災害損失による法人税額等の繰戻し還付とは、災害発生日から1年を経過する日までの間に終了する各事業年度に生じた災害損失欠損金額がある場合に、その各事業年度に係る確定申告書の提出と同時に、災害損失欠損金額に係る事業年度開始の日前2年以内(青色申告書提出でない場合は前1年以内)に開始した事業年度の法人税額のうち、災害損失欠損金額に対応する一定額が還付されるとされているものです。
同制度の常設化は2017年4月1日以後とされていることから、法律で経過措置が設けられていて、平成29年3月31日以前1年以内に終了した事業年度分の法人税の確定申告書(期限後申告書を含む)を同年3月31日までに提出した法人については、同年5月1日までに「災害損失による繰戻し還付請求書」を提出すれば、この制度が適用できることになっています。
一方、「仮決算の中間申告による所得税額の還付」も2017年度税制改正で災害に対応する税制上の措置として法人税法に常設化されました。
仮決算の中間申告による所得税額の還付とは、災害のあった日から同日以後6カ月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において、その中間期間において課される所得税額(復興特別所得税額を含む)でその中間期間の法人税額から控除しきれなかった金額(災害損失金額が限度)が還付されるという制度です。平成29年4月1日から法人税法に常設化されたので、平成29年4月1日以後に仮決算による中間申告書の提出を行う法人について同制度が適用できることになっています。
4月1日から税務署に提出する届出書類の取扱いが一部変わりました。これまで法人の設立届出書等を税務署に提出するときに登記事項証明書を添付しなければなりませんでしたが、同日から添付不要となっています。
今回の税務署への届出書類の取扱いの変更は、納税者の円滑・適正な納税のための環境整備として手続の簡素化を図る観点から平成29年度税制改正で講じられた措置です。
まず、税務署に提出しなければならない法人の設立・解散・廃止などの届出書等について添付が義務づけられていた「登記事項証明書」と、たばこ税法や石油石炭税法などに規定されている営業等の開始や廃止に関する届出書について税務署からの求めにより添付しなければならなかった「登記事項証明書」が、平成29年4月1日以後、添付不要となりました。この措置は、企業が活動しやすいビジネス環境の整備を図る観点から講じられたものです。
一方、会社の代表者や本店所在地について異動があった場合、異動前と異動後の双方の所轄税務署に異動届出書等を提出しなければなりませんでしたが、これについても平成29年4月1日以後、異動後の所轄税務署への提出が不要となり、異動前の所轄税務署に提出するだけで良いことになりました。これについては、異動届出書等の提出先のワンストップ化として整備された措置です。