税務署に提出する申告書や届出書の添付書類について、国税の電子申告システム(e-Tax)を使ってイメージデータ(PDF形式)で送信できる種類を国税庁が増やしました。個人の消費税や相続関係の添付書類が来年1月4日から送信できるようになります。
平成28年3月までは、税務署への申告、申請・届出等をe-Taxで行うと、添付書類については、別途郵送等で書面により提出しなければなりませんでした。いわゆる二度手間になるため、多くの納税者から不満が出ていたわけですが、これについて国税庁では、平成28年4月1日より法人税などの一部の手続について書面による提出に代えて、PDF形式により提出することができるように改良しました。
そして今回、国税庁では、平成29年1月4日水曜日から「所得税関係」「消費税(個人)関係」「相続税関係」「贈与税関係」、「電子帳簿保存法関係(個人)」の添付書類についてもそのPDF形式で送信できるようにするとしています。
ただし、平成29年1月3日以前に提出した申告、申請・届出等に関する添付書類については、平成29年1月4日以降もPDF形式による提出はできないので注意が必要です。また、イメージデータで送信可能なデータ形式は、「PDF形式」のみです。PDF形式のイメージデータは、「添付書類(書面)をスキャナにより読み取り、PDF形式に変換する方法」と「 パソコンで作成した添付書類(文書データ等)をソフトウェアでPDF形式に変換する方法」などにより作成することとなります。
納税者番号制度はプライバシーの侵害という危険をはらんでいるため、国税庁はその取扱いについて慎重を期していますが、このほど、マイナンバー(個人番号)専用ホームページに掲載している「番号制度概要に関するFAQ」にまた新しい項目を増やしました。
マイナンバー専用ホームページには、個人番号の取扱いを分かりやすく説明するため「番号制度概要に関するFAQ」が搭載されています。
今回、国税庁がそのFAQに増やした項目は「不動産賃貸業を営んでいる個人事業主が、その不動産を貸している法人から個人番号の提供を求められた場合」について解説しています。
具体的には「Q3-2-2=個人で所有している不動産を法人に賃貸していますが、その法人(借主)から、法定調書に記載するためにマイナンバー(個人番号)の提供を求められました。この場合、マイナンバー(個人番号)を提供しなければならないのですか」との質問を増設。次のように答えています。
はじめに、「社会保障・税番号<マイナンバー>制度の導入に伴い、平成28年1月1日以後の支払に係る『不動産の使用料等の支払調書』には、支払を受ける方の氏名及び住所のほか、マイナンバー(個人番号)の記載が必要になりました」と説明。次に「税法上、法人又は不動産業者である個人の方(主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる個人の方を除きます。)は、同一人に対するその年中の不動産の使用料などの支払金額が15万円を超える場合には、税務署へ『不動産の使用料等の支払調書』の提出が必要となるため、その支払を受ける方(貸主)に対してマイナンバー(個人番号)の提供を求めることになります」としています。
さらに、「ご質問の場合については、不動産の借主である法人が『不動産の使用料等の支払調書』を税務署へ提出する場合には、当該調書に支払を受ける方のマイナンバー(個人番号)を記載する必要があるため、支払を受ける方はマイナンバー(個人番号)を提供する必要があります」と回答。同時に、注意点として「マイナンバー(個人番号)を提供する場合には、マイナンバー(個人番号)の提供を受ける方が本人確認を行うため、マイナンバーカード等の提示等が必要になります。また、マイナンバー(個人番号)の提供を受ける不動産の使用料などの支払をする方は、提供を受けたマイナンバー(個人番号)を含む特定個人情報を取り扱う際には、それら特定個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければなりません」と付け加えています。
相続税の課税強化が行われた昨年の相続税の申告状況が明らかになりました。課税対象となった被相続人の人数は、平年の約2倍に増えています。
国税庁がこのほど、平成27年中(平成27年1月1日〜平成27年12月31日)に死亡した人から財産を取得して相続税の申告を行った人の数などを公表しました。
平成25年度税制改正によって平成27年1月1日から相続税の基礎控除額が60%減額され、課税対象が大幅に広がったことから、昨年1年間の相続税の申告状況については、資産家など多くの人が強い関心を寄せていました。
国税庁の発表によると、昨年1年間の被相続人(亡くなった人)は約129万人(平成26年約127万人)で、そのうち相続税の課税対象となった被相続人の数は約10万3千人(平成26年約5万6千人)でした。基礎控除額の引下げの影響がクッキリと現れています。課税割合も8.0%(平成26年4.4%)となって、平成26年よりも3.6ポイント増加しています。
相続税が課税された財産の価格(課税価格)は、計14兆5,554億円(平成26年11兆4,766億円)で、被相続人1人当たりでは1億4,126万円(平成26年2億407万円)となっています。納めた相続税の総額は1兆8,116億円(平成26年1兆3,908億円)で、被相続人1人当たりでは1,758万円(平成26年2,473万円)でした。
相続税が課税された財産について、金額の構成比を見てみると、 やはり土地が一番多くて38.0%(平成26年41.5%)でした。2番目が現金・預貯金等30.7%(平成26年26.6%)、3番目は有価証券14.9%(平成26年15.3%)の順となっています。
国税庁が平成28年度税制改正で見直された「調査通知を受けて修正申告等を行う場合の加算税制度」の周知徹底を図り始めました。これを受けて日本税理士会連合会も会員税理士に、その改正された制度に対する注意喚起を行っています。
平成28年度税制改正により、国税通則法等の一部が改正され、調査通知を受けて修正申告等を行う場合の加算税制度の見直しが行われました。
具体的には「修正申告書(期限後申告に係るものを除く)が、調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課す」とされました。
また、期限後申告書(その修正申告書を含む)についても「調査通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正又は決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に10%(50万円を超える部分は15%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課す」とされています。
なお、この改正は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税に係る加算税制度から適用されることになっています。そこで、国税庁は同改正制度の内容をまとめたリーフレット「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」を作成、現在、同庁ホームページに掲載されています。
これについて敏感に反応したのが日本税理士会連合会です。というのも、税務調査の事前通知があらかじめ税理士事務所に届くように、多くの税理士が顧問先企業との間で契約を交わしているからです。
国税の電子申告システム(e-Tax)による国税などの納付が12月16日と12月28日に一時的に使えなくなります。国税庁によるとe-Taxと接続している連携先ネットワークシステムの保守作業を行うためとしています。
e-Taxは、自宅や会社のパソコンでインターネットを通じて国税の申告や納付ができる便利なシステムです。このe-Taxについて国税庁がこのほど、「e-Taxと接続している連携先ネットワークシステムの保守作業のため、平成28年12月16日(金)の23時から24時の間及び平成28年12月28日(水)の23時から24時の間、一部の電子納税と納税証明書の手数料等の電子納付が利用できなくなる」ことを発表しました。
利用できなくなる一部の電子納税とは、情報リンク方式を利用したインターネットバンキングによる電子納税のことです。情報リンク方式かどうかは、「受信通知」や「納付区分番号通知確認」から、収納機関番号や利用者識別番号などを入力することなく、利用している金融機関のインターネットバンキングの税金や各種料金払込みにリンクして納付できるしくみのものがその情報リンク方式です。
よって、この情報リンク方式以外の方式ならば、利用している金融機関のインターネットバンキングにログインして、収納機関番号や利用者識別番号などを入力すれば、今回の利用制限時間帯においてもインターネットバンキングで納税等ができます。
なお、国税庁では「利用制限時間がメンテナンス作業の進捗状況によって前後することもありますので、あらかじめご了承ください」としています。
現在、国税の納付方法には、現金納付、振替納税、インターネットバンキングの3種類がありますが、新たに来年1月4日からクレジットカードで国税を納めることができるようになります。
国税をクレジットカードで納めることができるようにするため、このほど国税庁はトヨタファイナンス株式会社へ国税の納付の立替払いを委託しました。利用可能なクレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDです。そして、これらのカードで申告所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税、贈与税、酒税などほぼ全ての国税を納めることができます。
国税庁によると「クレジットカード納付は、平成29年1月4日8時30分からサービスを開始することとしており、同日10時00分に当ページから専用のWebサイトにアクセスを可能とする更新を行う予定です」としています。クレジットカード納付の方法については、基本的にインターネットの利用が可能なパソコン、スマートフォン及びタブレット端末から「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスします。国税庁ホームページのアイコンや確定申告書作成コーナーの納付方法の案内画面(いずれも1月4日に掲載)からもアクセスできます。
同お支払いサイト内の案内に従って、クレジットカード番号などを入力して行けば、簡単に納付を完了することができる仕組みになっています。
注意しなければならないことがいくいつかありますが、特に「クレジットカード納付では、納付税額に応じた決済手数料がかかる」ということと、「納付ができる金額は、1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)」だということ、さらに、「領収証書は発行されない」ということはあらかじめ認識しておく必要があります。
このほど、大阪府が総務省に対し「地方消費税の清算基準の見直しに関する提案・要望」を行いました。地方消費税は消費税の一部を地方自治体に配分するものですが、政府が都道府県間の配分の仕方を変更しようとしていることから、大阪府はその配分を適正に行うことを求めています。
消費税の税率は現在8%ですが、そのうち地方消費税として1.7%が地方自治体に配分されています。そして、その半分が市町村に配布されることになっています。
地方消費税を各都道府県に分配するとき、現行では都道府県間の分配金額は「小売年間販売額(商業統計)」と「サービス業対個人事業収入額(経済センサス活動調査)」が75%、「人口(国勢調査)」15%、「従業者数(経済センサス活動調査)」10%といった要素で決定されています。これを政府は、「小売年間販売額の更新(H19調査をH26調査のものに)」とし、「小売年間販売額から通信・カタログ販売及びインターネット販売に係る額を控除する」といった形に変更することにしています。
まず、H19調査結果からH26調査結果に更新されることについては、小売年間販売総額が136兆円から123.2兆円に大きく減少(‐12.8兆円、‐9.4%)しています。この原因は、もう少し詳細な分析が必要ですが、小売消費の動向が表れているのみではなく、調査設計の大幅な変更も一因であると考えられています。
そこで、大阪府は「H19調査結果と連続性のないH26調査結果により『消費に相当する額』の算定結果が大きく変化することから、H26調査結果をそのまま用いず、把握しきれていない小売年間販売額を推計して加算するなどの措置を検討すべきである」としています。
また、小売年間販売額から「通信・カタログ販売」、「インターネット販売」に係る額を除外することについて大阪府は「スーパー等でのインターネット販売などは、供給地近辺で消費されているケースが大半であることから、店舗を有する事業所の『通信・カタログ販売』、『インターネット販売』に係る額まで除外することについては、行き過ぎと考える。除外するのであれば、明らかに最終消費地が把握できないと考えられる『無店舗小売業』が行う『通信・カタログ販売』、『インターネット販売』に係る額のみに限定すべきである」としています。
このほど国税庁が、納税者からの照会に対して回答した事例のうち、他の納税者の参考となるものをピックアップしてホームページにアップしている質疑応答事例集を改訂しました。そのなかには、近年話題となった高層マンションの杭打ち問題に関連する税務などが取り上げられています。
今回の質疑応答事例集の改訂は、所得税では2項目、財産評価で2項目、法人税7項目、消費税3項目、印紙税1項目がそれぞれ追加されています。
このなかで注目されているのが、所得税の「マンションの施工不良に伴う耐震補強工事により損害賠償金として受領する仮住まい補償金について」と題する質疑応答です。具体的には「Aが居住するマンションでは建物の一部に破損が生じたため、耐震安全性検証を行ったところ、設計及び施工について、新築当時の建築基準法に規定されていた耐震基準を満たしておらず、耐震安全性が低いことが判明しました。そこで、施工業者は、耐震補強工事の実施のため、マンションの居住者に一時的な退去を依頼するとともに、その居住者に対し、損害賠償金として@仮住まい先への転居に必要な移転費用相当額、A転居後の家賃相当額及びB仮住まい先からマンショへの転居に必要な移転費用相当額の補償金を支払うこととしました。Aが施工業者から受領する上記の補償金の課税関係はどのようになりますか」とする質問です。
これに対して国税庁は「所得税法上、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金及び不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金については非課税とされています(所得税法第9条第1項第17号、所得税法施行令第30条第1号、第2号)。照会の補償金については、いずれも施工不良に基因して追加的に生ずる費用の実費を補填する損害賠償金として支払われるものであることから、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金として非課税となります」と回答しています。