一般社団法人・生命保険協会(根岸秋男会長・明治安田生命保険社長)が、このほど平成29年度税制改正要望を取りまとめました。重点要望として生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の改正を求めています。
企業が係る生命保険に関する税制というと、年末調整の際に従業員に申告してもらう生命保険料、地震保険料などの保険料控除の届出書の作成です。今回、生命保険協会が取りまとめた平成29年度税制改正に関する要望では、その保険料控除について重点要望として制度改正を求めています。
具体的には、「所得税法上および地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を少なくとも5万円および3.5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を少なくとも15万円とすること」としています。なお、現行の各保険料控除の限度額(平成24年1月からの契約)は、「一般生命保険料」「介護保険料」「個人年金保険料」について、それぞれ所得税で4万円、地方税で2.8万円とされていて、合計で所得税が12万円、地方税が7万円まで控除できることになっています。
この生命保険料控除以外では、企業年金保険について「確定給付企業年金、厚生年金基金における過去勤務債務等に対する事業主掛金等について、早期の年金財政の健全化に資する柔軟な取扱いを可能とすること」や「企業型確定拠出年金制度における退職時の脱退一時金について支給要件を緩和すること」を要望しているほか、相続税における生命保険契約関係の取扱いで「遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること」などを求めています。
政府ではこの秋にも大型の補正予算を組む予定ですが、それに対して日本商工会議所(三村明夫会頭)がこのほど意見・要望を取りまとめました。注目されているのは、延期が決まっている消費税の税率10%への引上げに関して是正を求めている点です。
日本商工会議所が取りまとめたのは「平成29年度中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望」と題するものです。その中身は、「未来への投資の加速」に向けた経済対策・補正予算や、平成29年度予算における中小企業・地域活性化施策に関するものが盛り込まれています。
重点要望の1番目には「中小・小規模企業(製造業・サービス業)の業務効率化や販路開拓 に向けたIT等の活用促進」を求めていますが、なんと3番目に延期されることが決まっている消費税の税率10%への引き上げに関するものが盛り込まれていて、多くの中小企業の関心を集めることは間違いないと言われています。
その消費税に関する要望とは、「消費税率引き上げ延期を受けての課題」と題するもので、「平成31年10月の消費税10%への引き上げを確実に実施できる経済環境の整備」、「今般の消費税引き上げ延期を受けた、軽減税率制度の導入再検討」、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)は、十分な期間を設け、廃止を含め、慎重に検討すべき」などを求めています。
とくに軽減税率制度の導入再検討や適格請求書等保存方式の廃止を含めた慎重な検討を要請している点に、政府がどのように対応するかが見ものです。
所得税の準確定申告では相続人が複数いる場合、マイナンバーを全相続人が記入しなければならないことになっています。そのため、これは相続人全員がマイナンバーを教え合う特定個人情報の提供に当るのではないか、という疑問が納税者の間で浮上しています。
所得税の準確定申告とは、事業者が死亡したときに、その死亡した年の1月1日から死亡した日までの所得について、相続人が行わなければならない所得税の確定申告のことです。事業者が死亡したことを知った日の翌日から4カ月以内に申告をしなければならないわけですが、いま問題となっているのは、その申告書の付表に相続人のマイナンバーを記入しなければならないということです。
相続人が複数いる場合、全員のマイナンバーを記入しなければならず、例えば、一人目の相続人が自らのマイナンバー(個人番号)を付表に記載して二人目の相続人に渡す行為は、番号法上の「特定個人情報の提供」に該当するのではないか、という疑問が持たれているのです。
この疑問について、7月15日に国税庁がホームページに掲載している「番号制度概要に関するFAQ」を更新。「所得税の準確定申告書付表や消費税申告書の付表6(死亡した事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書)、相続税の申告書や贈与税の申告書付表には、複数の相続人が同一の書面にマイナンバー(個人番号)を記載することとなりますが、複数の相続人がそれぞれのマイナンバー(個人番号)を記載するために、一の相続人が当該付表等にマイナンバー(個人番号)を記載してその他の相続人に渡す行為は、番号法上の特定個人情報の提供には該当しません」と回答しています。
そして、注意事項として「このケースにおいて、一の相続人のマイナンバー(個人番号)が記載された当該付表等を受け取ったその他の相続人は、番号法の規定により、そのマイナンバー(個人番号)を書き写したり、コピーを取る等を行うことはできませんので、付表等の控えを保管する場合は、記載されたマイナンバー(個人番号)をマスキングするなどの対応をお願いします」と付け加えています。
全国839の地方自治体でつくる「ゴルフ場利用税堅持のための全国市町村連盟」(代表世話人=薮本吉秀・三木市長)の幹事会が11月15日、東京都内で行われ、要請活動の方針について議論しました。
ゴルフ場利用税とは、ゴルファーがゴルフ場を利用した日に払う都道府県税で、ゴルフ場のホール数や利用料金等により8級から1級まで等級が定められています。税額は8級が400円で1級の1,200円が上限となっています。ゴルフ場が設置されている市町村には、税収の7割が交付されることから、市町村にとって貴重な財源となっている税金です。
じつは、このゴルフ場利用税については、数多くあるスポーツの中で唯一ゴルフだけが施設利用に課税されるとあって、ゴルファーの間で不公平感がくすぶっていて、プロゴルフ協会などが廃止を求めている税金です。
昨年12月の平成28年度税制改正大綱を取りまとめるときにも、文科省や「超党派ゴルフ議員連盟」(会長=麻生太郎財務相)などが「ゴルフの狙い撃ちだ」「消費税との二重課税だ」などとして廃止を求めていました。
そして、ここへきてゴルフがリオ五輪で112年ぶりに正式種目に復活したことでゴルフ場利用税の廃止に向けての動きが強まりつつあります。
そこで、このほどゴルフ場利用税堅持のための全国市町村連盟は幹事会をもったわけです。首長31人が出席した今回の会合では、五輪と利用税とは無関係であることなどを強く押し出して要請していくことを確認したといわれています。薮本市長も「利用税が大切な税財源となっている地方の実情を組織的に訴えたい」として、税制改正要望を精力的に行っていく構えを見せています。
公益社団法人・全国有料老人ホーム協会が「有料老人ホームが入居者から受け取る入居一時金について、その受領の事実を証明するために交付する『預かり証』は、売上代金に係る受領書以外のものと解してよいか」とする問い合わせに対して、東京国税局が意外な回答をしました。
民間の有料老人ホームに入居する際には、入居一時金を支払う場合が多く、その金額は、数十万円から数千万円、高級老人ホームになると億を超えるところまであります。お金のやり取りをするため、一時金を受け取ったことを証明する書類を有料老人ホーム側は入居者に手渡すわけですが、その証明書の名称は「預かり証」とされています。
印紙税法では「金銭又は有価証券の引渡しを受けた者がその受領事実を証明するために交付する証拠証書については、印紙税が課税される」としていて、同法に規定されている税額の印紙を証拠証書に貼付しなければなりません。
ただし、その証拠証書にも「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」と「金銭又は有価証券の受取書で売上代金に係るもの以外のもの」の2パターンがあります。
まず、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」について同法では、売上代金を「資産を譲渡することによる対価、資産を使用させることによる対価及び役務を提供することによる対価」としていて、商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書などを例示しています。
そして、印紙税の税額については、100万円以下のものは200円ですが、「100万円超200万円以下は400円」、「200万円超300万円以下は600円」と段階的に高くなり、「5千万円超1億円以下は2万円」などとされています。
一方の「金銭又は有価証券の受取書で売上代金に係るもの以外のもの」については、借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書などを例示していて、印紙税の税額は一律200円と規定されています。
そこで、全国有料老人ホーム協会では「有料老人ホームでは、その入居契約が解除され、又は入居者の死亡により契約が終了した場合、入居一時金を返還しなければならないことから、入居一時金を受領した時点においては、返還義務を負った「預り金」としての金銭の受領であり売上代金に該当しない」と説明。補償金の受取書、返還金の受取書などと同じ「金銭又は有価証券の受取書で売上代金に係るもの以外のもの」に該当するという見解を示していました。
これに対し、東京国税局は「契約が解除された以降の期間に対応する部分を返還することになっていても、家賃等(資産を使用させること及び役務の提供をすること)の対価であると認められるため売上代金に該当する」として、「貴見のとおり取り扱われるとは限りません」と回答しています。
平成27年からスタートした相続税の課税強化。いま同年中に死亡した資産家らの相続税の申告がたけなわを迎えています。そのためか、このほど国税庁が相続税の申告書を作成するに当たって、誤りやすい項目を事例形式で紹介したものを同庁ホームページにアップしました。
平成25年度税制改正で相続税の基礎控除額の引下げによる課税ベースの拡大が行われ、昨年中に死亡した人から適用されています。相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことになっているので、相続税の厳しさを実感している人たちの申告は昨年11月から始まっているのです。
課税ベースの拡大により、予想以上に相続税の申告件数が多く、申告書の作成ミスも目立ち始めてきていることから、このほど、国税庁が相続税の申告書を作成するに当たって、誤りやすい項目について事例を示して解説したものを同庁ホームページにアップしました。
取り上げているのは、「被相続人の兄弟姉妹が相続した場合(2割加算)」や「被相続人と養子縁組を行った孫がいる場合(基礎控除)」、「生命保険金とともに払戻しを受ける前納保険料(みなし相続財産)」など全部で14項目。すべての項目で誤った記述をした申告書と正確な記述をしている申告書を並べて掲載しています。
たとえば、「生命保険金とともに払戻しを受ける前納保険料(みなし相続財産)」の項目では、まず、「私(国税花子)は、夫(国税太郎)の死亡を保険事故として、平成28年7月11日に△△生命から死亡保険金1,400万円を受け取りました。また、当該保険契約について、夫が支払った前納保険料150万円を併せて受け取りました」と事例を示し、次に、記述を誤っている申告書を掲載。その右横に「第9表の生命保険の受取金額に1,400万円と記入しました。また、前納保険料の払戻金額(150万円)は保険金ではないことから、第9表に記入した受取金額1,400万円には含めず、第11表に記入しました」と記載しています。
さらに、正しく記述をした申告を掲載して、その右横に「みなし相続財産とされる保険金には、保険金ととともに払戻しを受ける前納保険料も含まれるので、第9表の受取金額には前納保険料を加算した金額(1,550万円)を記入します」と説明しています。
東京都主税局が「広報東京都7月号」に掲載したインターネット公売の参加申し込み開始日が間違っていたことを公表し、同局のホームページで訂正しています。
2011年5月に行ったインターネット公売で、都税滞納者から差し押さえた自動車「フェラーリカリフォルニア」が、過去最高の2,280万1千円で落札されたことで広く知られるようになった東京都主税局の公売。この7月に行われるインターネット公売でも多くの参加者が見込まれていますが、その参加申し込み開始日について、東京都の広報誌「広報東京都7月号」の紙面において7月6日と記載されていました。正しくは7月7日です。
東京都主税局は、急きょホームページ上でこの日付の誤りを訂正しています。というのも、公売財産及び財産の詳細等が、公売参加申込開始日からインターネット上のポータルサイト「ヤフージャパン」の官庁オークションのページで閲覧できるようになるからです。公売財産が見られないとなると、苦情が殺到するところでした。
今回の東京都主税局のインターネット公売は、参加申込期間が平成28年7月7日(木)13時から平成28年7月26日(火)23時までで、入札期間は同年8月2日(火)13時から同年8月4日(木)23時までとなっています。落札者の代金納付期限は同年8月12日(金)14時30分の予定です。
国税庁が納税者サービスの一環で行っている事前照会制度と電子申告制度(e-Tax)について、前年度の取り扱い実績を公表しました.それによると、国税庁ホームページに搭載されているICT(情報通信技術)を利用して所得税の確定申告を行った人が1260万人に上ることがわかりました。
国税庁では納税者が実際に行う取引等に関して税務上の取扱いが明らかでない事項について、税務署などで事前の照会に応じて回答するとともに、参考となるものについては、質疑応答事例として国税庁ホームページに掲載しています。
また、事前照会のうち、文書での回答を求められた場合で一定の要件を満たすときには、その文書による回答を行い、その回答内容を国税庁ホームページに掲載するようにしています。この文書による回答の受付件数について、このほど、国税庁が平成27 年度は125 件(前年度131件)だったと公表しました。
さらに、そういった納税者からの問い合わせを質疑応答事例として国税庁ホームページに掲載した件数は、平成27 年度末で述べ1,811 件(同1,785件)に上るとしています。
一方、国税庁ホームページには「確定申告書等作成コーナー」やe-Tax(国税に関する電子申告・納税システム)といったICTが搭載されているわけですが、そのICTを利用した所得税の申告書の提出人員は1260万6千人でした。このICT利用人員は、平成21年の段階で960万4千人だったことから、わずか6年間で約1.3倍に増えたことになります。
平成27年は、いわゆる用紙での申告(ICT利用人員以外)が890万8千人だったことから所得税の確定申告を行った人の約59%がICTを利用したわけです。
さらに、平成27年分の確定申告期においては、国税庁のホームページ内に搭載されている所得税の確定申告書作成コーナーで所得税及び復興特別所得税の申告書を作成して税務署に提出した人員は、相談会場に設置されたパソコンで作成されたものを含めて913万件と、全提出人員の約42%を占めました。このうちの約54%がe-Taxにより申告書を提出しています。所得税の確定申告書作成コーナーの利用件数は、11年間で約13倍になっています。