自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインに基づいて債権債務処理を行った場合、債権者においては放棄した債権相当額は貸倒れとして処理しても差し支えないなどとする見解を、このほど国税庁が明らかにしました。
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会(富永浩明座長)が取りまとめた「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の適用が今年4月1日から始まります。これに先立って、同研究会では同ガイドラインに基づいて債権債務の処理が行われた場合、債権者と債務者に発生する損失と利益に関する税務処理について国税庁に文章で問い合わせを行なっていました。
同ガイドラインは、自然災害の影響によって、住宅ローンや事業性ローンなどの借金の返済ができなくなることが確実と見込まれるなど一定の要件を満たした個人の債務者が、法的破産手続によることなく、債権者との合意による特定調停を活用した債務整理を公正かつ迅速に行うための準則として策定されたものです。つまり、同ガイドラインには法的拘束力はなく、債権者(金融機関等)と債務者、その他の利害関係人によって、自発的に遵守されることが期待されているものなのです。
したがって、勝手に民民で債務の弁済を免除したものと捉えられる可能性があることから同研究会では、事前に国税庁に対して見解を求めたのでした。
同研究会では、問合せの中で債権者が放棄した債権については「法人税基本通達9-6-1の(3)にいう「法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で切り捨てられることとなった部分の金額」であり、その切捨てが同通達(3)のロにいう『行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイ(合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの)に準ずるもの』に該当することから、法人税法上、債権放棄した日の属する対象債権者の事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する」としていました。
また、債務者については免除された債務について「、所得税基本通達44の2-1にいう『破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合』になされたものであることから、所得税法上、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないものとされる」という見解を示していました。
この見解について国税庁がこのほど「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」とする回答をしたわけです。
東京都主税局がこのほど、東京23区内を対象とした固定資産税・都市計画税の軽減措置の特例と次世代自動車の導入促進税制について、継続・延長することを決定しました。
現在、東京都では23区内の土地に課税する固定資産税と都市計画税について次の3つの措置を講じていて、これらの軽減措置は平成28年度も継続されることになりました。
1つ目は、小規模住宅用地に対する都市計画税の軽減措置です。住宅やアパートなどの敷地として利用されている住宅用地で、住宅1戸あたりの面積200uまでの部分が小規模住宅用地に該当し、この部分の土地に対する都市計画税の税額を2分の1に減額するというものです。
2つ目は、小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免措置です。商業ビルや店舗の敷地、駐車場などの非住宅用地で、一画地における非住宅用地の面積が400u以下のものが小規模非住宅用地に該当し、このうち200uまでの部分に係る固定資産税及び都市計画税の税額を2割減免するというものです。
3つ目は、商業地等に対する固定資産税・都市計画税の負担水準の上限引下げ措置です。店舗建物や駐車場の敷地などの商業地等について、今年度の固定資産税評価額に対する前年度の課税標準額の割合(負担水準)が65%を超えるものについては、固定資産税及び都市計画税を負担水準65%に相当する税額まで軽減するというものです。
また、耐震化のための建替え又は改修を行った住宅に対する固定資産税・都市計画税の減免措置については、適用期限が2年3カ月延長され、平成30年3月31日までとなりました。昭和57年1月1日以前から東京23区内にある家屋を、適用期限までに一定の要件の下で建て替え又は耐震改修した場合には、固定資産税及び都市計画税がそれぞれ3年度分全額減免又は1戸あたり120uの床面積相当分まで1年度分全額減免されます。
さらに、次世代自動車に係る自動車税・自動車取得税の課税免除措置についても、適用期限が5年延長され、平成33年3月31日までとなりました。電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車を適用期限までに新車新規登録した場合、登録時の月割分及び翌年度から5年度分の自動車税が全額免除され、自動車取得税も全額免除されます。
マイナンバー制度で発行される個人番号カードで国税の電子申告システム(e-Tax)を使って所得税の確定申告を行う予定の納税者に対し、国税庁が「個人番号カードの交付が申告等の期限に間に合わない場合が考えられるので、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が提供している個人番号カード総合サイトで個人番号カードの発行状況を確認して下さい」と呼びかけています。
平成27年分の所得税の確定申告期限は、平成28年3月15日です。この期限を過ぎて申告を行うと、租税特別措置法上の所得税の優遇措置が適用できなくなったりするので要注意です。
そこで、国税庁では、マイナンバー制度で発行される個人番号カードでe-Taxを使って所得税の確定申告を行う予定の納税者に対し、個人番号カードの発行状況の確認を呼びかけています。
J-LISによると「国民からの個人番号カードの交付申請書を受領してから、個人番号カードを作成し、郵便局に差し出す。それから郵便局が個人番号カードを各市区町村に発送。交付時来庁方式の場合は、市区町村において個人番号カードの交付のための作業が完了してから、交付通知書(はがき)を個々人に郵送するので、それを持参して交付通知書に記載の交付場所で個人番号カードを受領する手はずになっている」としています。
そのため、個人番号カードの交付申請書をJ-LISが受領するタイミングによって、個人番号カードを郵便局に差し出すタイミングや市区町村が交付通知書を個々人に郵送するタイミングが変わってくるわけです。J-LISでは、個人番号カードの交付申請書の受領時期と、個人番号カードを郵便局に差し出すおおよその時期をホームページで公表しています。
それによると、平成28年1月上旬ごろに交付申請書を受領したものについては、平成28年3月上旬ごろに個人番号カードを郵便局に差し出すとしていることから、平成28年1月1日以後に交付申請書を郵送した人については、個人番号カードを市区町村から受け取る時期が所得税の確定申告の期限よりも遅くなる場合が考えられるわけです。
国税庁では「個人番号カードの交付が申告等の期限に間に合わない場合には、申告書等を書面によりご提出ください」としています。
国税庁がこのほど、会計検査院が平成26年度決算検査報告で「国税の口座振替納付に係る領収証書等の調達及び納税者への送付を廃止するように」と指摘したことに従い、平成29年1月から国税を口座振替により納付した納税者への領収証書の送付を取りやめることを明らかにしました。
国税の納付の方法には、金融機関や税務署の窓口での現金による納付やe-Taxを利用した電子納税のほか、申告所得税と個人事業者の消費税については金融機関の預貯金口座から自動的に納税額が引き落とされる振替納税があります。
このうち、振替納税により国税を納付した場合には、振替が行われた預貯金口座のある金融機関が、日本銀行代理店の領収印が押印された領収証書に被覆用シールを貼付した後、郵便はがきとして納税者に送付することになっています。
ところが、この領収証書の送付について会計検査院が経費の無駄であることを指摘。一般に領収書は、納税者側が国税を納付した事実を証明するために必要とされているもので、口座振替であれば、預貯金通帳に国税が振り替えられた旨や振り替えられた金額、振替日等が記帳されるため、わざわざ領収書と同じ領収証書を送付する必要はないとしたわけです。
しかも、仮に領収証書の送付を行なっていなければ、領収証書の書式印刷費用や被覆用シールの製造費用、郵送料など、平成24、25年度の2年間で合計約7億128万円の経費が節減できたとの試算も公表しています。
こうした経緯から、国税庁は平成29年1月より振替納税に係る領収証書の送付廃止を決定。今後の対応については、「ご希望の方には、これまでの領収証書の送付に代えて、振替結果を証明するなどの対応を予定しております」としています。
国税庁が平成27年分確定申告期間中の2月21日と2月28日の日曜日に、全国の主要な税務署において確定申告に関する相談や申告書の受付を行うことを発表しました。仕事に追われて、平日に税務署へ行けないサラリーマンなどにとってはうれしいサービスです。
平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告に関する相談や申告書の受付は、平成28年2月16日(火)から同年3月15日(火)までです。国税庁ではこの確定申告期間中、平日に税務署へ来られない納税者へのサービスとして、通常閉庁している日曜日に税務署を開いて申告に関する相談や申告書の受付を行なってきました。今年も2月21日と2月28日の日曜日に全国の主要都市の税務署で受付業務などを行うことにしています。
この日曜日に業務を行う税務署は、全国524カ所のうち228カ所の税務署です。単独で業務を行う税務署もあれば、合同会場を設けていくつかの税務署が1ヵ所の税務署などで業務を行うケースもあります。また、管轄外の納税者の申告を受付ける広域センターを設けるところもあるので、詳細は事前に管轄の税務署に問い合わせておくと便利です。
なお、国税庁の調べによると、所得税に関する確定申告期間中の申告書の提出人員は、平成26年分については全国で約2,139万1千人となっていて、そのうち、1,209万3千人が電子申告を行っているとしています。残りの929万8千人が用紙を使って申告を行ったわけですが、5年前は1,407万人もいました。当時と比べると用紙を使って申告する人は34%も減ったわけです。
多くの税理士が「電子申告をもっとPRして用紙を使う人を減らせば、日曜日対応を行う必要が無くなり、税務署職員たちに払う休日出勤手当を浮かすことができ、歳出の抑制につながるのではないか」と疑問を抱いています。
マイナンバー制度で発行される個人番号カードを使って国税の電子申告システム(e-Tax)を利用する人に対して、国税庁が「あらかじめ個人番号カードに格納された電子証明書をe-Taxに登録してください」と呼びかけています。
個人がe-Taxを通じて申告書などを送信するとき、そのデータの作成者が誰なのかを証明する電子証明書を取得し、事前にe-Taxに登録する必要があります。これまでは、住民票のある市町村で電子証明書を設定した住民基本台帳カードを取得し、これをICカードリーダライタでパソコンに読み込みe-Taxに登録させるのが一般的でした。
しかし、今年1月からはマイナンバー制度で設けられた個人番号カードが市町村で発行されることになり、住基カードの新規交付及び更新が終了します。個人番号カードには、e-Taxの利用に必要な電子証明書が標準的に搭載されるので、今後は個人番号カードの電子証明書をe-Taxに登録することになるわけです。
また、既に住基カードの電子証明書をe-Taxに登録していても、その証明書の有効期限を過ぎてしまった場合は、新たに個人番号カードの交付を受けて、個人番号カードに格納されている電子証明書をe-Taxに再登録しなければなりません。
もちろん、未だ個人番号カードの交付を受けておらず、しかも、住基カードに格納されている電子証明書が有効期間(3年)内の場合は、引き続き住基カードの電子証明書を使用することができます。
贈与税が非課税となる住宅取得等資金贈与の特例と所得税の住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税制度)とを一緒に適用できるかどうかで迷う人が増えています。国税庁では条件付きで両制度はセットで適用できると説明しています。
明年4月の消費税の税率10%への引上げをにらんだ消費行動が取り沙汰され始めました。経済評論家の間では、住宅の購入や増改築を計画する動きが顕著になると見ています。
住宅の購入などで多くの人が利用するのが、最高3千万円までの資金贈与が非課税となる贈与税の住宅取得等資金贈与の特例と所得税の住宅ローン減税制度です。
贈与税の住宅取得等資金贈与の特例とは、マイホームの購入や増改築の際に父母や祖父母などから贈与を受けた金銭について、最高3千万円(購入時期や住宅の種類などで金額が変わる)までにかかる贈与税が非課税になるという制度。一方、所得税の住宅ローン減税制度とは、マイホームの購入や増改築の際に銀行などから借り入れた金銭について、購入後10年間にわたり借入金年末残高の1%を所得税から毎年税額控除できるという制度です。
いま、マイホームの購入などを検討している人たちの間で、税に関する疑問として増えているのが、納税者に有利な両制度を一緒に適用できるのかどうかということ。
国税庁では「住宅取得等資金贈与の特例(租税特別措置法第70条の2)の適用を受ける場合であっても、住宅ローン減税制度(租税特別措置法第41条)の適用を受けることができる」としながらも「住宅ローン減税制度の適用を受ける金額の計算の基礎となる『住宅借入金等の金額の合計額』については、『住宅の取得等に係る借入金の金額』または『住宅の取得等に係る対価の額から父母などから贈与を受けた金銭に相当する額を控除した額』のいずれか低い金額となる」と説明しています。
国税庁は今年も国税の電子申告システム(e-Tax)の利用者に対して、所得税と消費税の確定申告などに関する情報を1月18日から順次利用者本人のメッセージボックスに格納して行く予定です。
国税庁のe-Taxホームページからe-Taxにログインして、認証画面から利用者識別番号と暗証番号を入力し、「実行」をクリックするとメインメニュー画面が現れます。そこに、利用者専用のメッセージボックスが搭載されているわけですが、具体的には「メッセージボックス一覧表示」と書かれていて、それをクリックすると送信した確定申告書などの受付結果(受信通知)が見られる仕組みになっています。
国税庁では、毎年、確定申告等に関するお知らせについてもe-Tax利用者本人のメッセージボックスに格納しています。通知対象者は、毎年1月上旬までに利用者識別番号(特定納税専用手続きに係るものを除く)を取得している個人と、前事業年度または前課税期間においてe-Taxを使って確定申告を行った法人です。
個人に対しては、平成27年分の所得税等及び消費税等の確定申告期間や納期限、振替納税の振替日、振替利用金融機関、ダイレクト納付利用金融機関、所得税の予定納税額、消費税等の中間納付税額、贈与税の申告期間などに関するお知らせをメッセージボックスに格納しているわけですが、国税庁では「今年は平成28年1月18日(月)から同年1月22日(金)までの間に順次格納していく」としています。
また、法人に対しては、法人税の確定申告に関するお知らせが決算月の翌月中旬に、法人税の予定申告及び消費税の中間申告に関するお知らせを申告期限月の上旬に、それぞれ格納することにしています。
なお、e-Taxにメールアドレスを登録している利用者には、その確定申告に関するお知らせがメッセージボックスに格納された時に、その格納した旨のメッセージを「税務署からのお知らせ」として、登録しているメールアドレスあてに通知する予定です。