8月26日、全国知事会をはじめとする地方6団体が、自由民主党本部(東京都永田町)で開催された総務部会関係合同会議に出席し、平成28年度予算に関する要望を行いました。地方六団体を代表して、全国知事会の山田会長(京都府知事)が、地方創生の基盤となる税財源の確保を要請しました。
地方6団体とは、全国知事会や全国市長会、全国町村会の三団体(執行三団体)と全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会の三団体(議会三団体)のことです。
今回の要望の中で最も注目を浴びたのが、地方創生の基盤となる税財源の確保についてでした。具体的には、「消費税の軽減税率の導入については、対象品目の線引きや区分経理の方式など検討を要する課題が多岐に渡るため、その導入時期については慎重に検討すべきであること。また、実際に導入する際には、地方の社会保障財源に影響を与えることのないよう、代替税財源を確保する方策を同時に講ずること」を強く要請しています。
そして、「今後数年で法人実効税率を20%台まで引き下げる場合には、地方の財政運営に支障が生じないよう必要な税財源を確保し、最終的には恒久減税には恒久財源が確保されるようにすること」を求めました。さらに、「自動車取得税廃止の際は、自動車税・軽自動車税の環境性能課税など他の車体課税に係る措置と併せて講ずることとされていることを踏まえ、地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう安定的な代替税財源の確保を同時に図ること」や「償却資産に対する固定資産税については、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、制度の根幹を揺るがす見直しは断じて行うべきではなく、現行制度を堅持すること」、さらには「ゴルフ場利用税については、アクセス道路の整備・維持管理、地滑り対策等の災害防止対策等、特有の行政需要に対応していること。しかも、その税収の7割が所在市町村に交付金として交付されており、特に財源に乏しい中山間地域の市町村にとっては貴重な財源となっていることから、現行制度を堅持すること」などを要望しています。
このほど、国税庁が平成26年度における国税の電子申告システム(e-Tax)の利用状況等について、その実績値を公表しました。平成28年度までに達成すべき目標であるe-Taxの利用満足度75%をほぼ達成する数値が示されています。
国税庁では、平成26年9月にオンライン手続の利便性向上に向けた「財務省改善取組計画」(改善取組計画)を策定し、e-Taxの利用満足度やオンライン利用率などを評価指標として、平成28年度までに達成すべき目標を設定していますが、このほど、平成26年度における実績値を確定し、それを公表しました。
注目のe-Taxの利用満足度については、目標値75%に対して74.2%(前年度比プラス0.9ポイント)を達成。とくに、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」の利用満足度については、目標値85%に対して、83.6%(同プラス0.5ポイント)を達成しています。
税目別に見てみると、公的個人認証の普及割合等に左右される国税申告2手続(所得税申告と個人の消費税申告で目標値は58%)は53.0%(同プラス1.1ポイント)でした。そして、それ以外の国税申告4手続(法人税申告・法人の消費税申告・酒税申告・印紙税申告で目標値は72%)は 71.0%(同プラス4.1ポイント)となっています。
さらに、申請・届出等9手続(給与所得の源泉徴収票等6手続・利子等の支払調書・納税証明書の交付請求・電子申告・納税等開始変更等届出書で目標値は62%)が 58.4%(同プラス0.7ポイント)でした。
所得税申告及び個人の消費税申告の総申告件数のうち、自宅等でインターネット環境を利用して申告書を作成した件数(書面提出分を含む)の占める割合であるICT活用率(目標値は72%)は、71.8%(1,395万8,086件で同プラス3.0ポイント)で、しかも、オンライン申請の受付1件当たりの費用も432円(同マイナス1円)となりました。これは、税理士が納税者の依頼を受けて税務書類を作成し、e-Taxで申告等を行う場合に納税者本人の電子署名の省略ができるようになったことなどが功を奏している模様です。
全国保険医団体連合会(保団連)が「消費税増税の影響調査」の結果を公表しました。それによると、消費税が8%から10%に引き上げられた場合、全国の医療機関の損税は総額4,300億円から総額6,000 億円に拡大し、薬剤費等消費税も総額8,000億円から1兆円に膨らむとしています。
保団連では、内科19 施設と内科以外12 施設を対象に、消費税の税率が5%から8%にアップした後の2014 年7 月1 日から7 月31 日までの1カ月間について、決算書から医療機関の控除対象外消費税のうち、医薬品等に係る消費税を除いた診療所の「実質的損税」の保険収入比を計算しました。具体的には、専用の解析ソフトを用いて、2014 年6 月診療分電子レセプトを新旧点数で置き換えシミュレーションを行い、決算書のデータから医療機関の消費税損税および消費税増税による影響を検証したものです。
消費税の制度上、社会保険適用医療行為については非課税取引とされているため、医療機器などを購入したときに支払った消費税の多くが売上げ時に課税した消費税から差し引くことができず、本来事業者が支払わなくても良い消費税を支払っています。その支払った消費税のことを「実質的損税」と呼んでいるわけです。
今回の検証結果を見てみると、消費税の税率アップ後の保険収入比は平均1.34%で、政府の公表値から算出した1.18%とほぼ一致しました。
そこで、保団連では院内処方(医療機関が患者に薬を提供しているケース)の診療所について、消費税が5%から8%、そして10%へと再増税された場合の消費税負担の推移を、医療機関と患者・保険者別に分析。公表値から医療費全体に当てはめると、2014 年改定(税率が5%から8%に引上げられたこと)で、医療機関の実質的損税は4,300 億円で変化がないものの、薬剤費等の消費税は8,000 億円に拡大、これに診療報酬消費税対応分の2,600 億円が加わり、患者・保険者の負担は倍増しました。
さらに、消費税が8%から10%に引き上げられた場合には医療機関の損税も6,000 億円に拡大するとともに、患者・保険者の負担は1 兆2,600 億円となり、両者をあわせると1 兆8,000 億円を超えるとしています。
医療について消費税は非課税とされているにもかかわらず、巨額の消費税負担を医療機関と国民に負わせていることに保団連は「大きな矛盾がある。根本的解決にはゼロ税率(免税)の適応しかない」と指摘しています。
この8月24日、一般社団法人地方税電子化協議会がeLTAX(地方税ポータルシステム)の利用者に提供しているPCdesk(地方税申告ソフト)をver4.03にバージョンアップしました。同協議会がPCdeskの最新プログラムへの切り替えを呼びかけいます。
eLTAXは、自宅や会社にいながらパソコンを使ってインターネットで地方税の申告、納付等ができる便利なシステムの総称です。そして、PCdeskは、eLTAXのホームページ上で提供されているもので、地方税の申告書等の作成や納税などの手続きについて、インターネットを利用して電子的に行うためのソフトウェアです。
(一社)地方税電子化協議会では申告等の手続きをより便利に行えるよう、このほど、そのPCdeskをバージョンアップしました。そのため、同協議会では「古いバージョンのPCdeskを起動すると、注意メッセージが表示されますので、必ずバージョンアップを行ってください」と呼びかけています。古いバージョンのPCdeskをアンインストール後、eLTAXホームページから最新のプログラムをダウンロードして、インストールする必要があるわけです。
具体的には、現在使っているPCdeskのバージョンにより、自動若しくは手動によるバージョンアップ作業が必要となります。注意しなければならないのは、eLTAXホームページで提供しているPCdeskバージョンアップ手順書が、Windows7の画面を使用して記載しているということです。すでにWindowsXPについては、推奨外でサポート対象外となっています。必ずパソコンの推奨環境をeLTAXのホームページで確認した上でバージョンアップを行わなければなりません。
また、申請書作成中などの場合、バックアップを事前にしておく必要があります。バックアップを取得するためのフォルダも、eLTAXホームページで提供されているので利用したいものです。
スポーツのゴルフ関連17団体で組織するゴルフ場利用税廃止運動推進本部と自由民主党ゴルフ振興議員連盟(衛藤征士郎会長、衆議院議員)が、8月6日、遠藤東京オリンピック・パラリンピック担当大臣、麻生財務大臣、下村文部科学大臣、青木総務省自治税務局長などにゴルフ場利用税廃止の申し入れを行いました。
陳情の内容は、まず「我が国では、消費税創設の際、パチンコ場やボウリング場等の娯楽施設利用税が廃止されたが、ゴルフについては、担税力のある裕福な者が行うスポーツであるとしてゴルフ場利用税が新設され、未だに存続している」と前置き。廃止要因として「ゴルフは、既に子供から高齢者、障害者まで一千万人が親しむ生涯スポーツとなっており、もはやゴルフ場の利用者に特段の担税力を見出すことはできない。また、ゴルフ場は他の屋外スポーツに比べ格段の行政サービスを受けているわけではなく、むしろ、雇用、資材の購入等による地域経済への貢献に資する地域との共存共栄を果たしているものである」などと説明しています。
そして、「あまたあるスポーツの中で、ゴルフ場の利用にのみ単体で課税されることは税の公平性の観点からも不当なものであるとともに、消費税との二重の負担となっている。2017年4月には消費税が増税され、このままではゴルフプレーヤーの負担が更に大きくなる」と切実な状況を説明。しかも、「2016年のリオデジャネイロオリンピックからゴルフは正式競技に復帰することが決定しており、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催国として、世界的に類を見ないゴルフのみを狙い撃ちした課税を行っていることは恥ずべきことである」などとしています。
一方、7月22日には838の地方自治体が参加する「ゴルフ場利用税堅持のための全国市町村連盟」が、2016年度税制改正に向け、同税の存続を国に求める要請書を提出。地方税である同税は水質調査など「ゴルフ場特有の行政需要に対応する必要がある」と指摘。廃止は「地方創生の施策に影響を与える」と訴えています。
地方税電子化協議会が、法人住民税や法人事業税の今年度税制改正に地方税電子申告システム(eLTAX)が完全に対応しきれておらず、「8月24日までに受信したプレ申告データでは申告書が作成できない場合がある」と注意を呼びかけています。
プレ申告データとは、申告先の地方公共団体で作成した申告データの一部の項目(納税者の名前など)があらかじめ設定されている申告データのことです。紙による申告の場合に、申告時期が近づくとあらかじめ納税者の名前などが印刷された申告書が郵送される場合がありますが、プレ申告データはその電子データ版に相当するものです。
平成27年度税制改正で法人事業税の外形標準課税が拡大されるとともに、付加価値割における所得拡大促進税制や負担変動の軽減措置が導入されたことで法人税の確定申告書の法人住民税や法人事業税などを書き込む欄に変更がありました。地方税電子化協議会によると、この変更に「eLTAXが完全に対応しきれていない」というのです。
具体的には、今年8月24日より前に地方公共団体から送付されたプレ申告データを使用すると、PCdeskや各税務ソフトで申告データを作成することができない場合があるとしています。その場合は、申告データを新たに作成し、送信することになります。
また、今年8月24日より前に地方公共団体から送付されたプレ申告データを使用して作成した申告データを送信すると、地方税ポータルセンターでエラーと認識された上で、地方公共団体に送信される場合があります。こうした不具合が発生することから同協議会では「今年8月24日より前に地方公共団体から送付されたプレ申告データを使用しての申告は避けていただき、新規に申告データを作成していただくか、提出先の地方公共団体に御相談いただきますようお願いいたします」としています。
今年10月から総務省が国民一人一人にマイナンバーの通知を始めますが、ドメスティック・バイオレンスやストーカー行為などで避難している人に対して、このほど総務省がマイナンバーの受け取り方を告知しました。
来年1月からのマイナンバー制度の運用に備え、今年10月から12ケタの番号が記載された「通知カード」が、国民一人一人に送付されます。総務省では、住民票の住所地に簡易書留でその「通知カード」送付することにしていますが、必ずしもすべての人が住民票に記載された住所地で暮らしているとは限りません。
例えば、夫の暴力行為(ドメスティック・バイオレンス=DV)から逃れるために、保護してくれる人の家に身を寄せている人などは、所在を明らかにしていないわけです。そのような場合、通知カードを受け取れないことになります。そこで、そのような方について総務省では「現在お住まいの場所(居所)をご登録いただければ、そこに通知カードを送付することも可能ですので、居所情報の登録申請をお願いします」としています。
特に問題なのは、住民票の住所地に通知カードが送付され被害者のマイナンバーがDV等の加害者に把握されてしまう可能性があることです。マイナンバーが悪用されかねないことから、総務省では、「今年10月5日前までに現在お住まいの場所(居所)の市区町村に転入手続きをしてください。その際、市区町村に対して『DV等支援措置』を申し出てください。それにより、ご自身の転入先の新しい住所について、加害者が『住民基本台帳の一部の写しの閲覧』、『住民票の写し等の交付』、『戸籍の附票の写しの交付』などの請求によって知ろうとしても、これらの請求を制限する措置が講じられます」としています。
なお、転入手続きが不可能な方については、最寄りの市区町村で「通知カードの送付先に係る居所登録申請書」を入手し、必要事項を記入して、8月24日から9月25日までに同申請書を住民票のある市区町村に持参又は郵送すれば、登録した居所に通知カードが送られてきます。
日本国憲法に定められている国民の三大義務のひとつ「納税の義務」を果たせていない人たちと税務署との交渉が、毎年はかどっている状況をこのほど国税庁が公表しました。税収確保のために、最前線の税務職員たちが粘り強く滞納整理を行っている状況がうかがえます。
国税庁によると、滞納している国税を納めるように税務署が手続きを進めている滞納整理中のものの金額は、平成26年度末において総額で1兆646億円でした。これは、平成25年度末の金額と比べて767億円(6.7%)減少したことになります。
この滞納整理中のものの額について過去を振り返ってみると、平成11年度以降、16年連続で減少しています。しかも、今回の金額は、ピークだった平成10年度末(2兆8,149億円)の金額の37.8%にあたります。滞納者の資産調査や公売、納税交渉など税務署の徴収部門の地道な働きを垣間見ることができるデータです。
また、平成26年度の新規発生滞納額は、総額で5,914億円となり、前年度よりも437億円(8.0%)増えています。新規発生滞納額を税目別で見てみると、一番多かったのは消費税の3,294億円で、2番目が所得税の1,541億円、3番目が法人税の674億円といった状況でした。やはり消費税の滞納者が多かったのが大きく影響した模様です。
なお、この新規発生滞納額について国税庁は「平成25年度より増加したものの、過去最も多かった平成4年度(1兆8,903億円)の31.3%と、引き続き低水準となっています」と説明しています。そして、国税庁は「消費税滞納の残高圧縮に重点を置いた滞納整理に努めた結果、平成26年度の整理済額は、6,681億円(前年度6,765億円)となりました」としています。
7月29日にアメリカのマイクロソフト社が無料アップグレードを開始した最新版の基本ソフト(OS)「Windows 10」について、このほど国税庁が国税の電子申告システム(e-Tax)の利用者に対して「現時点では推奨環境対象外」となっていることをアナウンスしています。
パソコン市場は、スマートフォン(多機能携帯電話)の急速な普及により不振が続いています。そのため、ウインドウズを主力商品としている米マイクロソフト社では、最新版のOS「Windows 10」を市場に送り出すことで苦戦している今の状況を打開する作戦に打って出ました。
しかも、OS単体の販売や、「Windows 10」を搭載したパソコンの販売を行わずに、既存のOS(アップグレード対象はWindows 7 デバイスと Windows 8.1 デバイスが対象)からの無料アップグレードを優先させています。
日本国内でもすでにWindows 10 へのアップグレードの予約を済ませた人が数多くいるわけですが、ここへきて、そのアップグレードに対して注意を喚起しているのが国税庁です。e-Taxの利用者に対して国税庁が呼びかけているもので、いまのところ推奨しているウインドウズのOSは、Windows Vista、Windows 7、Windows 8.1(デスクトップモードの場合に限る)としていて、Windows10については、現時点では推奨環境対象外となっていることをアナウンスしているわけです。
国税庁では「Windows10について現在、動作検証を進めており、対応が完了次第、e-Taxホームページ上でお知らせします」としています。
このほど、(一社)全国銀行協会と(一社)全国地方銀行協会、(一社)信託協会、(一社)第二地方銀行協会の4団体が連名で、内閣情報通信政策監(政府CIO)や総務省、国税庁、厚生労働省に対して「電子納付の推進等のための望ましい施策等」に関する要望書を提出しました。
なかでも4団体が国税庁に提出した要望書を見てみると、タイトルは「国税の電子納付の推進について」としていて、「国税のダイレクト方式の利用促進に向けた措置」、「ダイレクト方式および預金口座振替に係る経費負担の適正化」、「電子申告・電子納付に関する地方税との連携」の3項目について新たな施策や制度改正を求めています。
まず、国税のダイレクト方式の利用促進に向けた措置として、「電子申告の利用者や税理士等に対して、本方式の利用申込みの推奨を積極的に進めていただきたい」とし、また、「電子申告とダイレクト方式による電子納付の利用促進のために、納税者や取扱金融機関に対するインセンティブ付与を検討いただきたい」と要請。続いて、ダイレクト方式および預金口座振替に係る経費負担の適正化では「事務処理コストに見合った適正化をお願いしたい」としています。
さらに、電子申告・電子納付に関する地方税との連携について「マイナポータル(情報提供等記録開示システム)の構築に当たっては、将来的な国税(e-Tax)と地方税(eLTAX)の連携について関係省庁間で十分な調整を行うとともに、電子申告に加え、国税および地方税の電子納付が同時かつ簡便に行えるよう、特に地方税へのペイジー『ダイレクト方式』の早期導入について、貴庁と総務省等関係省庁が連携して検討を進めていただくようお願いしたい」と訴えています。