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全国知事会が地方拠点強化税制の運用について経産相に要望書を提出

2015年06月29日

6月25日、全国知事会(会長=山田啓二京都府知事)が、宮沢経済産業大臣に対し、「地方拠点強化税制の運用等」について要請活動を行いました。東京圏から地方へ本社機能を移転する企業であっても、「一定の企業に限定したうえでオフィス減税を適用してほしい」などとしています。

 今回の要望活動は、全国知事会を代表して石井地方税財政常任委員会委員長(富山県知事)が宮沢大臣に要望書を手交したわけですが、その要望書内容は、このほど国会で成立した改正地域再生法に規定されている「地方拠点強化税制」の運用に関することでした。
 同税制は、東京圏から地方へ本社機能の移転や研究開発拠点を設置する企業に対して国税と地方税を軽減するもので、全国知事会では、同税制の運用にあたり次の3項目を検討するよう求めています。
 1つ目は、 「地方拠点強化税制は、地方における安定した良質な雇用の創出を通じて、地方への新たな人の流れを生み出すことが目的であることから、『概ね人口10万人以上の経済圏』とされる拡充型事業の対象地域の認定にあたっては、地域の実情を踏まえて、できるだけ柔軟な取り扱いをしていただきたい」としています。2つ目は、「地方拠点強化税制が、雇用促進の目的で行うものではなく、東京圏から地方への人の流れ等を促進する趣旨で創設されるものであることから、拡充される雇用促進税制と所得拡大促進税制が併用できるようにしていただきたい」と要請。そして3つ目も「移転型事業は、東京圏から地方への人の流れの促進が目的であることから、東京圏から移動してきた従業員に必要不可欠となる社員寮などの施設に限っては、特定業務施設整備計画の対象とし、オフィス減税を適用していただきたい」と訴えています。

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給与所得控除と公的年金等控除の控除額引き下げを強く求める―日税連が税制建議

2015年06月29日

日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)がこのほど、政府に提出する「平成28年度・税制改正に関する建議書」を今年度第1回理事会において決定しました。今回の建議書では、所得税の給与所得控除と公的年金等控除の控除額の引き下げを強く求めています。

 この税制改正に関する建議は、日税連が税理士法の規定に則って毎年行っているものです。中小企業などの納税者と一番接触している税の専門家からの税制に関する要望とあって、政府も毎年の税制改正議論では重要な意見の一つとして取り扱っています。
 今回の建議書でも数多くの税制の見直しを求めていますが、日税連が一番強く主張しているのは「消費税の単一税率を維持すること」「外形標準課税は中小法人に導入しないこと」「給与所得控除・公的年金等控除を見直すこと」の3点です。
 「消費税の単一税率を維持すること」と「外形標準課税は中小法人に導入しないこと」については、昨年の建議でも強く要望するものとして取り上げていました。今回新たに要望しているのが「給与所得控除・公的年金等控除を見直すこと」です。
 まず給与所得控除について日税連は「給与所得者が職務上必要とする経費の大半は、使用者が負担するのが通常であり、給与所得者が負担する必要経費の実態からすれば、わが国の給与所得控除額は過大となっていることは明らかである。したがって、現行の控除額については相当程度の引下げを行うことが適当である」と説明。そして、公的年金等控除についても「公的年金収入に対応する必要経費がないこと、拠出時に社会保険料控除を適用し、年金の受給時に公的年金等控除を適用することは二重控除とみることができることから、現行の公的年金等控除は相当程度の縮減を行うことが適当である」と指摘しています。
 さらに、適正公平な課税の観点から「適切な課税ベースを維持するために、給与所得控除と公的年金等控除の重複適用についても早急に見直しを行う必要がある」と訴えています。

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増税への政策転換が引き金に。異議申立て発生件数が前年度比16.8%も増加

2015年06月22日

このほど国税庁が、平成26年度の異議申立ての状況をまとめました。それによると、これまで減少傾向にあった納税者の課税措置に対する訴えが、一転増加に向かい始めたことが伺えます。

 国税庁の発表によると、税務署長に課税処分の取り消しを求めた納税者からの異議申立てが、平成26年度中に2,755件発生したとしています。これについて国税庁は「申告所得税、源泉所得税、相続税・贈与税、消費税等及びその他に係る件数が増加したことに伴い、前年度と比べ16.8%の増加となっている」と分析。消費税の税率アップや相続税の課税強化など政府が増税路線に舵を切ったことを契機として、納得のいかない思いを抱く人たちが課税処分に対する異議申立てという行動に走っているようです。
 最近の異議申立ての発生件数の推移を見てみると、平成22年度に5,003件だったものが、その後減少傾向をたどり、平成25年度には2,358件にまで落ち込みました。それが平成26年度で16.8%も増加したのです。このことからも増税に不満を持つ納税者が増えたことが推測できます。
 また、全国の税務署が平成26年度に処理した異議申立ての件数は2,745件でした。その処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は256件(一部認容189件、全部認容67件)で、その割合は9.3%(一部認容6.9%、全部認容2.4%)となっています。これは前年度と比べ0.7ポイント減少しています。

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e-Taxソフトの新バージョンで提供する帳票に誤り発覚

2015年06月22日

平成27年6月15日から同月16日の午前2時までの間に国税庁が配布しているe-Taxソフト(税目:法人税・地方法人税)のバージョンアップを実施した企業に対して、国税庁がその新しいe-Taxソフトに誤りがあったことをアナウンスしています。

 国税庁が平成27年6月15日に、e-Taxソフトの「法人税・地方法人税(平成27年4月1日以後終了事業年度分・平成26年10月1日以後開始事業年度等分)」に係る手続の追加に伴い、e-Taxソフト(税目:法人税・地方法人税)のバージョンアップを実施しましたが、このほど、そのソフトで提供している帳票に誤りがあることを国税庁が明らかにしました。
 国税庁では、平成27年6月16日午前2時には修正プログラムを提供。再度バージョンアップを行うよう利用者に呼びかけています。
 誤りのあった帳票は、 「会社事業概況書(総括表)」(平成27年4月1日以後終了事業年度分)(様式ID:HOK020)で、内国法人・外国法人の区分の入力が正しく反映されないとしています。
 なお、e-Taxソフト起動時に「バージョン確認」画面が表示されない場合または法人税・地方法人税(平成27年4月1日以後終了事業年度分・平成26年10月1日以後開始事業年度等分)が表示されない場合には、すでに対処済みとなっているので、そのまま利用することができます。

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大阪府の個人住民税の特別徴収の拡大・定着策に注目集まる

2015年06月15日

大阪府が展開している個人住民税特別徴収の実施事業者の拡大・定着策が注目を集めています。それは、入札参加資格審査の申請に必要な「府税(全税目)の納税証明書」の交付申請を行なうときに添付書類として、「個人住民税の特別徴収実施状況書」の提出を求めるようにしているというものです。

 個人住民税特別徴収の実施事業者の拡大・定着は、全国の都道府県が推進しているもので、平成26年8月22日には全国地方税務協議会(会員団体:47都道府県及び20政令指定都市)が開催した総会において、「個人住民税特別徴収推進宣言」が採択されています。
 都道府県が推進している個人住民税の特別徴収とは、事業主(給与支払者)が、所得税の源泉徴収と同じように、毎月従業員に支払う給与から個人住民税を天引きし、従業員(納税義務者)に代わり、自治体に納入するという制度で、法人・個人を問わず事業主は、特別徴収義務者として全ての従業員について、個人住民税を徴収しなければならない義務があるため、滞納に至る確率が非常に低いからです。
 大阪府では、平成26年4月1日より、大阪府の入札参加資格審査の申請に必要な「府税(全税目)の納税証明書」の交付申請をする際の「納税証明書交付請求書」の添付書類として、「個人住民税の特別徴収実施状況書」を設けました。公共施設の老朽化問題で、大阪府でも施設の修復・更新・新設に積極的に取り組んでいることから、公共工事の一般競争入札などが増えています。
 一方、入札参加資格審査に応じるのは建設工事業者だけでなく、測量・建設コンサルタント等業務や物品・委託役務関係業務を営む業者などがあります。地元のマスコミ報道によると、大阪府の2015年度の建設工事入札参加資格認定で、今年4月1日時点の認定者数が6102者あるとしています。それだけに、「個人住民税の特別徴収実施状況書」の提出する業者数も相当なものがあると推測されるわけです。
 なお、同実施状況書の内容について大阪府は「入札参加資格の審査に影響するものではありません」としています。

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生存給付金の受取人が誰でもOKならば贈与税の課税対象―新終身保険で東京局が見解

2015年06月15日

1,000万円の保険料の払い込みが満期になるまで生きていれば5年に1回200万円の生存給付金がもらえるかんぽ生命の終身保険が人気を呼んでいますが、このほど東京国税局が、ある生命保険会社が発売を予定している新種の生存給付金付特別終身保険について、税の取り扱いを明らかにしました。

 東京国税局に税の取り扱いを問い合わせていた今回の生命保険会社は、終身保険に生存給付金を組み込んだ保険料払込方法が一時払の生存給付金付特別終身保険の販売を予定しています。
 この終身保険における生存給付金は、「生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時における被保険者の生存」を事由として支払われるもので、珍しいのはその生存給付金が、保険契約者があらかじめ指定した受取人に支払われることになっていることです。また、生存給付金の受取人については、保険契約者を含め1名だけを任意で指定することになっていて、しかも、その指定後も保険契約者が生命保険会社に通知するだけで、その受取人を変更することができる仕組みになっていることです。
 ただし、生存給付金支払期間の途中で被保険者が死亡した場合、被保険者が生存していた場合に支払われる残りの期間に係る生存給付金については、死亡保険金として、保険契約者があらかじめ指定した死亡保険金の受取人に支払われることになっています。
 問題は、生存給付金受取人が保険契約者以外の場合、その生存給付金受取人に贈与税が課税される可能性があるということでした。同生命保険会社は東京国税局に問い合わせるにあたり「本件生存給付金については、定期金給付契約に関する権利、すなわち契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権を取得し、これを行使することにより受け取るものではなく、本件生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時における被保険者の生存という支払事由(保険事故)の発生の都度、本件生存給付金の受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約者)から贈与により取得したものとみなし、贈与税の課税対象になるものと解するのが相当である」との見解を示しました。
 このほど、その見解を東京国税局が「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と追認したわけです。

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東京以外の企業から「マイナンバー制度に関するセミナーが少ない」―日本商工会議所調べ

2015年06月08日

日本年金機構の個人情報125万件の流出問題で、来年1月からスタートするマイナンバー制度への信頼性が揺らいでいますが、このほど、日本商工会議所(三村 明夫会頭)が一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC、牧野力会長)との共催で、マイナンバー対応状況のアンケート調査を実施しました。

 今回のアンケート調査は、日本商工会議所とJIPDECが全国9カ所で共催により開催した「企業におけるマイナンバー制度実務対応セミナー」の参加申込者に対して今年3月16日から5月20日にかけて行われたもので、3,386名分の有効回答数を得ています。
 今回の調査結果によると、マイナンバー制度(国民ひとり一人に対し付番して税と社会保障、災害対策の分野で情報管理を行なおうという制度)への対応をすでに実施または計画段階の企業は全体の30%に過ぎず、いまだ70%近い企業において同制度への対応が進んでいない現状がうかがわれます。
 規模別・地域別で見てみると、従業員数300名以上の企業、東京地域の企業では約半数がアクションを起こしているのに対し、従業員数100名以下の企業、東京以外の企業では準備が遅れているという結果でした。また、セミナーで聞きたい内容に関しても、東京では実務における具体的な対応策への要望が多く寄せられる一方で、東京以外では制度そのものの概要について知りたいという要望が多く、これについては「地方開催のセミナー等が少なく、情報入手が困難」(本セミナー参加者の声)という状況によるところも大きいとJIPDECでは見ています。
 なお、今回の調査結果の公表にあたりJIPDECでは「民間事業者におけるマイナンバー制度への円滑な対応や、個人番号を含む個人情報保護全般に関する社員の意識を高めることを目的とした研修サービス、個人番号関係事務の一部を代行する事業者等が実施する特定個人情報保護評価(PIA)の事前点検サービス等を実施し、より安心できる情報社会の環境作りを進めていく」としています。

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国税庁が「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」を作成

2015年06月08日

平成27年度税制改正でインターネットを介して行なう海外との商取り引きにも消費税が課税されることとなりましたが、このほど国税庁がその仕組みを分かりやすく説明した「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」を作成し、ホームページで公開しました。

 国税庁が作成した「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」では、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直しの概要」や今回の見直しの対象とされている「電気通信利用役務の提供とは、具体的にどのような取引が該当するのか」など48問が掲げられ、それに対して回答の中で詳細な説明をしています。
 たとえば、今回新たに導入された「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受ける場合に適用しなければならないリバースチャージ方式と呼ばれる課税方式について、同Q&Aでは次のように回答しています。
 まず、同方式の適用開始日について「事業者が平成27年10月1日以後に国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、その役務の提供を受けた国内事業者が、その「事業者向け電気通信利用役務の提供」に係る支払対価の額を課税標準として、消費税及び地方消費税の申告・納税を行うこととなる」と説明。
 本来は、役務の提供を行った事業者が消費税の申告・納付を行うことで、役務の提供を受けた事業者は支払った消費税分の金額について仕入税額控除を行うわけですが、その仕組みが一部異なることから同Q&Aでは「なお、『事業者向け電気通信利用役務の提供』を受けた場合も他の課税仕入れと同様に、役務の提供を受けた事業者において仕入税額控除の対象となる」と念を押しています。
 また、リバースチャージ方式の適用について「ただし、『事業者向け電気通信利用役務の提供』を受けた場合に、リバースチャージ方式により申告を行う必要があるのは、一般課税により申告する事業者で、その課税期間における課税売上割合が95%未満の事業者に限られる」としていて、簡易課税制度の適用者や課税売上割合が95%以上の事業者には同方式の適用がないことも解説しています。

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法人実調率が過去最低に。国税庁が今後の対応を表明

2015年06月01日

このほど、国税庁が法人税の申告を行っている法人に対する任意の訪問調査(実地調査)の実施割合を明らかにしました。それによると、今年中に過去最低の3%になることを明らかにしています。

 今回のデータは、国税庁内で行われた国税審議会に国税庁が提出した「税務行政の現状と課題」と題する説明資料で明らかにされたもので、過去の実調率の推移を示したグラフで表現されています。それによると、実地調査の件数を対象法人数で割った法人実調率は、昭和59年には10%だったものが、平成元年には8.5%に下がり、今年はとうとう3%にまで落ち込むと予測しています。
 この実調率の変化については古くから公表されていて、税務署による実地調査のタイミングは、昭和後期まで実調率が10%前後で動いていたことから、1社に対して10年に1度実地調査が行われると言われていましたが、今年からは33年に1度のサイクルで実地調査が行われることになるわけです。
 この実調率の低下について国税庁は「申告件数の増加等による業務量の大幅な増加、経済取引の国際化・高度情報化の進展による業務の質的困難化に伴い実調率は低下している」と説明しています。これに対して国税審議会の委員からは「単に実調率の低下のみならず、申告書の作成方法のICT化や今後のマイナンバーの導入などの環境変化を踏まえ、当局がどのように適正公平な課税を確保しようとしているのかを説明すべきである」と指摘がありました。
 国税庁はその意見に対して「実調率の低下は牽制効果の意味でゆゆしき問題であるが、そのためにもe-Taxや社会保障・税番号制度の活用による事務の効率化を通じた調査事務量の確保や悪質な納税者への実地調査の重点化を行うというのが大きな考え方であり、その内容をもう少しかみ砕いてお示しすることも考えていきたい」としています。

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ハズレ馬券の購入費も経費になるとした判決を受け国税庁が所得税取扱基本通達を改正

2015年06月01日

今年3月の競馬のハズレ馬券の購入費も個人所得の経費になる場合があるという最高裁の判決を受け、国税庁が5月29日、所得税取扱基本通達を一部改正しました。そこには、ハズレ馬券が所得税の計算上経費として落とせる場合について、取扱いがきちんと整備されています。

 従来の所得税基本通達には「次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する」として、「(1)懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く)、(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等」とされていました。
 この取扱いについて国税庁では、「3月10日の最高裁の判決では、競馬の馬券の払戻金はその払戻金を受けた者の馬券購入行為の態様や規模等によっては、一時所得ではなく、雑所得に該当する場合があり、その場合においては外れ馬券も所得金額の計算上控除すべき」とされたことから、「(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)」としました。
 さらに、注意書きが加えられ「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する」とされています。

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