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国税庁が個人消費税システムと法人消費税システムとの統合を断念

2015年05月25日

事務処理の簡素化・効率化をめざし、国税庁が計画していた個人消費税システムと法人消費税システムの統合を断念したことがこのほど明らかになりました。国税庁は「統合による費用の削減効果が見込まれないことが判明したからだ」と説明しています。

 原則として、事業者に消費税は課税されません。それを可能とするため、売り上げに課税した消費税から商品の仕入れに課税された消費税を差し引いて残った消費税を税務署に納める仕入税額控除を適用する仕組みになっています。
 この仕入税額控除については、それぞれの事業者が保存している請求書などの証票や帳簿で税務署は適正に処理しているかどうかを確認することになっていますが、すべての事業者について、それを確認することは不可能なことから、まずは、国税庁内のシステムに保存されている申告データから、調査先とその会社の取引先との仕入れや売り上げを照合して不適切な処理を把握するようにしています。
 問題は、現状の国税庁の消費税関係のコンピュータシステムが、法人と個人事業者とで別々に運用されていることでした。税務調査に入った法人が個人事業者と取引を行っていた場合、個人事業者の消費税システムで再度取引先の情報を抽出する手間がかかるからです。
 そこで、国税庁では財務省行政情報化推進委員会に国税関係業務の業務・システム最適化の一環として、消費税システムの統合を提示していたわけです。しかし、このほど財務省が公表した2013年度の業務・システム最適化に係る最適化実施状況報告書及び最適化実施評価報告書によると、国税庁は「企画段階において再構築に係る費用を精査した結果、影響する他システムの開発費用が増加することが判明し、統一することによる費用の削減効果が見込まれないため、現状において統一することは適当でないと判断した」と説明。今後は「継続的に実現可能性の検討を行う」としています。

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帝国データバンクがマイナンバー制度で意識調査。企業の4割が法人番号制度「知らない」

2015年05月25日

民間の信用調査会社の(株)帝国データバンクがマイナンバー制度に対する企業の意識調査を実施し、このほどその結果を公表しました。それによると、マイナンバー制度について企業の9割超が認識しているものの、法人番号制度については4割が「知らない」と回答しています。

 今年10月に市区町村から全国民へマイナンバー(税と社会保障の共通番号)の通知が開始され、2016年1月から社会保障や税、災害対策の分野でその番号の利用が始まります。各企業は、税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応することが求められているほか、従業員とその家族のマイナンバーの情報を企業自らの努力により収集・管理する必要が生じるなど、さまざまな準備が発生することが見込まれています。
 そこで、帝国データバンクでは、今年4月16日から30日にかけて全国2万3,211社に対してマイナンバー制度への対応および見解について調査を実施。1万720社から有効回答を得ました。それによると、マイナンバー制度について、企業の9割超は何らかの形で同制度を認識していましたが、「内容も含めて知っている」という企業は約4割にとどまっていました。
 そして、マイナンバー制度への対応を進めている(あるいは完了した)という企業は2割弱にとどまっていました。企業の約6割は対応を予定しつつも何もしておらず、全体の進捗状況は8.9%にとどまっています。対応を進めている企業の具体的内容では、「給与システムの更新」が半数を占め、「社会保障関係書類の更新」「基本方針・取扱規程等の策定」が3割台でした。
 また、今回の調査で帝国データバンクでは、マイナンバー制度へのコスト負担額は1社当たり約109万円と推計。従業員数が多くなるにしたがって上昇し、1,000人超の企業では約581万円の負担を想定しています。驚くのが、法人番号制度について、企業の約4割が「知らなかった」と答えた点です。特に、従業員数が5人以下の企業では半数超が法人番号制度自体を認識していませんでした。

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簡単に相続税の申告が必要かどうかが分かる―国税庁がHPに特設コーナー

2015年05月18日

国税庁が相続税の申告要否判定コーナーをホームページ上にアップしました。「税務署から相続税のお尋ねが届いた方が、税務署への回答を作成する場合にも利用することができます」などとしています。

 相続税の申告要否判定コーナーを利用する人が注意しなければならないのは、あくまでも「相続税のおおよその要否を判定するものであって、相続税の申告書を作成するものではない」ということです。ただし、「税務署から相続税のお尋ねが届いた方が、税務署への回答を作成する場合にも利用することができる」とされていることから、納税者にとっては税務署対応という場面で見逃すことのできないツールといえます。
 同コーナーの仕組みを見てみると、まずは「相続税とは?」として「相続税は、被相続人(亡くなられた人のことをいいます)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税による贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金です」と相続税の概要がやさしく説明されています。
 そして、相続税の申告が必要かどうかの判定については、画面の案内に従って「法定相続人の数の入力→相続財産等の入力→申告要否判定→入力内容の印刷」という手順を踏むだけで簡単に判明します。同コーナーが優れているのは、入力不足があった場合、その不足を補うよう指示する画面が表示されることです。また、入力途中(または入力完了)のデータ(または申告要否判定データ)を保存することができることもうれしい機能だといえます。
 保存したデータについては、「保存データ読込」画面でデータを読み込み後、保存した画面から作成を再開する仕組みになっています。なお、このコーナーを利用する人に対して、国税庁ではスムーズに操作できるよう用いるパソコンの環境を図表で表わしていて、「稼働OS」「ブラウザソフト」と「PDF閲覧ソフト」の組み合わせが「○」となるものを推奨しています。

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国外転出課税制度に関する細かな取り扱いを国税庁が制定

2015年05月18日

今年3月末に国会で成立した平成27年度税制改正関連法には、国外転出時課税制度が盛り込まれていますが、このほど、国税庁が所得税取扱基本通達を改正し、同制度の細かな取り扱いを制定しました。

 国税庁が取り扱いを制定した国外転出時課税制度とは、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」と「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」のことで、同制度は今年7月1日から施行されることになっています。
 この制度は、納税者が国外に転出をする時や納税者が国外に居住する親族等(非居住者)に資産の一部又は全部を贈与する時、さらには、納税者が亡くなり、相続または遺贈により国外に居住する相続人または受遺者が対象資産の一部または全部を取得する時を想定していて、それらの人が1億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産を所有している場合に、対象資産の譲渡または決済があったものとみなして、対象資産の含み益に対して所得税を課税するという制度です。
 今回、この特例の細かな取り扱いを国税庁が制定したわけですが、具体的には、国外転出時課税の対象資産には、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当するとしながらも、それには「非課税口座(NISA)内上場株式や公社債等の譲渡等による所得の課税の特例によって譲渡所得が非課税とされている有価証券についても、国外転出の時に有している有価証券に含まれる」といったことが明らかにされています。

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消費税の税率アップ前の駆け込み需要の実態クッキリ―今年3月分の家計調査速報

2015年05月11日

このほど総務省が「家計調査(二人以上の世帯)平成27年(2015年)3月分速報」を公表しました。同時に「昨年の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響があるとみられる主な品目等」も参考資料として発表しています。

 「家計調査(二人以上の世帯)平成27年(2015年)3月分速報」によると、今年3月の勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり44万9,243円で、前年同月比実質0.3%減少したとしています。一方、消費支出は、1世帯当たり31万7,579円で、前年同月比実質10.6%減少しました。昨年3月の1世帯当たりの消費支出が対前年比7.2%増だったことから、昨年4月の消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要がいかに大きかったかを物語っています。
 そこで、興味深いのが同家計調査の速報値とともに総務省が発表した参考資料「昨年の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響があるとみられる主な品目等」です。対前年同月実質増減率で一番減少したのはエアコンディショナのマイナス65.4%でした。2番目が鉄道通学定期代のマイナス64.3%で、3番目は電気掃除機のマイナス60.5%となっています。品目だけを見てみると、例えば、掃除機やエアコンなどは花粉症対策など消費税だけの要因ではないケースも考えられることから、この参考資料では、消費税の税率引き上げが主要因だった場合の影響度を表す「実質増減率への寄与度」を表示しています。
 それによると、消費税の税率引き上げの駆け込み需要の反動を一番受けた品目は「自動車購入」のマイナス1.73でした。2番目が「設備修繕・維持」のマイナス1.14で、3番目はパーソナルコンピュータのマイナス0.39となっています。自動車購入や住宅のリフォームなど高額なものへの駆け込み需要が非常に多かったことがわかります。

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国税の滞納者に対し5月24日と6月7日の日曜日に電話催告を実施―国税庁

2015年05月11日

全国の国税局(沖縄国税事務所)に設置されている集中電話催告センター室(納税コールセンター)が、今年5月24日と6月7日の日曜日についても国税の滞納者に対する電話催告を実施します。国税庁では、振り込め詐欺などと間違わないよう注意を呼びかけています。

 納税コールセンターでは、文書による国税の納付催告と比較して、完納に至る割合が高いことから、最新のコンピュータシステムにより自動的に滞納者へ電話をかけ、税務職員が、端末機画面に表示された滞納者情報をチェックしながら、納付の催告を行っています。この電話催告は、通常月曜日から金曜日までの平日に行われていて、土・日曜日及び祝日は実施していません。
 しかし、滞納者の中には、日曜日しか電話がとれないという人もいることから、国税庁では効率的な滞納整理の一環として特定した日曜日に電話催告を実施するようにしています。今回は5月24日と6月7日となっているわけですが、5月24日に電話催告を実施するのは、関東信越、大阪、高松、熊本の4国税局で、残る札幌国税局や東京国税局など7国税局と沖縄国税事務所は6月7日に実施する予定です。
 国税庁が懸念しているのは、国税の滞納者が電話催告を降り込め詐欺などと取り違えてしまうことです。そこで、国税庁ではホームページなどで「納税コールセンターでは、国税の納税のために金融機関の口座を指定して振込みを求めるようなことや、金融機関等の現金自動預け払い機(ATM)の操作を求めることはありませんので、納税される場合には、原則として納付書によって所轄の税務署や金融機関の窓口で行ってください」と注意を呼びかけています。

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大阪府民に朗報。今年10月から車検時に自動車税の納税証明書の提示不要に

2015年05月04日

大阪府が大阪運輸支局との間で、電子的に自動車税の納税情報を確認する仕組みを作りました。これにより、今年10月から大阪府民はマイカーの車検を受けるときに自動車税の納税証明書(継続検査用)を提示する必要がなくなります。

 自治体と運輸支局との自動車税の納税情報の電子的確認システムについては、富山県、福井県、長野県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、鳥取県、岡山県、愛媛県、佐賀県、鹿児島県の12府県でいまだに導入されていません。国土交通省と総務省では、順次導入することにしていて、今回は大阪府と大阪運輸支局との間で納税情報確認システムの構築が決まったわけです。
 同システムの導入により、車検時に自動車税の納税証明書の提示が不要になるわけですが、当然、自動車税が未納の場合は車検を受けることはできません。
 また、自治体から運輸支局への納税情報の提供は納税後10日程度かかります。したがって、納税後すぐに車検を受ける場合には、運輸支局で電子的に納税確認ができないため、これまでどおり府が発行する納税証明書を提示する必要があります。
 なお、個人情報の漏えい問題が取り沙汰されている昨今の状況を考慮し、納税情報確認の電子化にあたって大阪府から運輸支局へ提示する情報は「自動車登録番号」、「車台番号(16桁のうち下4桁に限る)」、「自動車税の納税状況(完納又は未納かどうか)」に限定されています。住所、氏名、税額等の個人情報の提供はしないことになっています。
 それでも不安を抱く人がいることから、大阪府では「運輸支局への納税情報の提供を希望されない場合は、所定の書面による申出により、情報の提供を中止し、電子確認ができないように対応する」としています。

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国税庁が税務調査の事前通知と再調査に関する手続きで通達を改正

2015年05月04日

このほど、国税庁が国税の調査に関する手続きを定めた法令解釈通達を改正しました。これにより、調査対象となる企業が複数の税理士を代理人としている場合の税務調査の事前通知に関する規定が追加され、調査終了後に再調査を行う場合の判定要件も変更されました。

 今回の通達改正は、今年3月31日に成立した平成27年度税制改正関連法に盛り込まれた国税通則法の改正を受けて行われたものです。法改正の具体的な内容は、まず「納税義務者に税務代理人(税理士等)が数人ある場合において、これらの中から納税義務者が代表する税務代理人を定めたときは、それ以外の他の税務代理人への事前通知は、当該代表する税務代理人のみに対してすれば足りる」とされました。
 これは、平成23年度税制改正により、税務署が実地調査を行う場合は、あらかじめ納税義務者とその税務代理人に事前通知することが義務付けられ、当該事前通知は納税義務者が同意しているときには税務代理人のみに対して行えば足りるとの規定が置かれましたが、税務代理人が複数の場合にはどうするのかが定められなかったため、税務署は全ての税務代理人に事前通知を行わざるを得なかったわけです。
 今回の法改正により、国税庁では「代表する税務代理人に事前通知をした場合には、他の税務代理人への事前通知は行われないため、代表する税務代理人に他の税務代理人へ通知事項を伝えるよう連絡すること」と通達を改正しました。
 なお、この通達改正は、平成27年7月1日以後に適用されます。
 次に、今回の国税通則法の改正では、「税務調査終了後の再調査の可否要件について、再調査の前提となる前回の調査の範囲を「実地の調査」に限ること」とされました。これまで再調査については、前回の調査が終了した後に新たに得られた情報から申告漏れなどが判明したときに限り行うことができるとされていましたが、今回の法改正を受け国税庁では「前回の調査が『実地の調査』以外の調査の場合には、新たに得られた情報がない場合でも再調査を行うことができる」と通達を整備しています。
 この改正は、平成27年4月1日以後に適用されます。

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