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国税庁が財産評価基本通達を改正。非上場株式の評価に用いる計算方式を見直す

2015年04月27日

このほど、国税庁が財産評価基本通達を改正し、取引相場のない株式を相続税評価する場合に用いる純資産価額方式を見直しました。これは、平成26年度税制改正で復興特別法人税が1年前倒しで廃止されことによるものです。

 取引相場のない株式とは、死亡した父親が経営していた会社の株式が証券取引所に上場していない場合の株式のことで、その株式の相続税評価額を算定するときに用いられるものが純資産価額方式です。一般的に純資産価額方式で計算すると、株価は帳簿価額よりも高めになるといわれています。とくに、年間取引金額が6,000万円未満の中小企業の株式は、この方式を用いる比重が大きいため注意しなければなりません。
 純資産価額方式の具体的な計算式は、(総資産価額−負債の合計額−評価差額に対する法人税額等に相当する金額)÷発行済株式数で1株当たりの株価を算定することになっています。今回改正されたのは、その計算式の中の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の部分です。
 「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、「相続税評価額による純資産価額」から「帳簿価額による純資産価額」を控除した残額に「法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」(法人税率等の合計割合)を乗じて計算した金額のことです。
 改正前の法人税率等の合計割合は42%でした。平成26年度税制改正により、復興特別法人税が1年前倒しで廃止されたため、その分、法人税率等の合計割合も減ることから、国税庁は40%に改正しました。

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平成27年分の路線価は7月1日に公表。昨年に引き続き下げ幅は縮小か

2015年04月27日

このほど、国税庁が平成27年分の路線価図等を7月1日(水)に公表することを明らかにしました。今年の地価公示価格の下落率が全国的に縮小していることから、路線価についても同様の傾向になることが予想されます。

 国税庁が定める路線価とは、その道路に面している宅地1uあたりの土地の相続税評価額を表すものです。相続税・贈与税の計算においては、土地の時価を算定することが困難であるため、路線価を用いて土地の価格を評価する路線価方式が採られています。したがって、路線価の変動は、相続税の金額に直接影響を与えることとなるわけです。
 路線価については、国土交通省が毎年3月頃に公表する地価公示価格の8割程度に設定されています。したがって、先に公開された地価公示価格の結果は、路線価にほぼ連動するといえます。
 そこで、今年の地価公示価格の動向を見てみると、全国平均では住宅地が前年比0.4%減とわずかに下落率が縮小、商業地は前年比0.0%と7年ぶりに下落から横ばいに転換しています。地域別では、東京・大阪・名古屋の三大都市圏や札幌・仙台・広島・福岡の地方中枢都市で2年連続の上昇、その他の地方圏でも下落率は縮小しており、今年の路線価も全体では下落の見込みが高いものの、下げ幅は縮小するものと考えられます。
 なお、路線価図等の公開については、全国の国税局・税務署でパソコンにより閲覧できるほか、自宅のパソコンでもインターネットで閲覧できる形になっています。

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e-Taxがもっと使いやすくなる。国税庁が改善点を公表

2015年04月20日

昨年9月に決定したオンライン手続の利便性向上に向けた「財務省改善取組計画」(財務省行政情報化推進委員会決定)に基づき、e-Taxについて国税庁がいま、納税者の利便性を向上させる準備を進めているところですが、このほど、その主な改善点を公表しました。

 国税庁が公表した納税者の利便性を向上させる主な改善点は、「e-Taxにおける新たな認証方式の導入」と「添付書類のイメージデータによる提出」、「e-Taxで受付可能なデータ形式への変換機能の提供」の3点です。
 e-Taxにおける新たな認証方式の導入については、e-Taxの開始届出書の提出時に本人確認を行い、その確認に基づいて通知した利用者識別番号(ID)と暗証番号(PW)を使用してe-Taxで申告等を行うことで、公的個人認証サービスに基づく電子証明書の添付を省略するというものです。これによりICカードリーダライタも使う必要がなくなります。運用開始予定日は平成29年1月4日とされています。
 次に、添付書類のイメージデータによる提出ですが、これについては、別途郵送等で書面による提出を行っている添付書類について、イメージデータ(PDF形式)での提出を可能するとしています。運用開始予定日は、法人税、消費税(法人)、酒税の申告などが平成28年4月1日からで、所得税、消費税(個人)、贈与税の申告などが平成29年1月4日からとされています。
 3つ目のe-Taxで受付可能なデータ形式への変換機能の提供とは、市販の会計ソフトによりCSV形式で作成された法人税の財務諸表や勘定科目内訳明細書について、e-Taxで受付可能なデータ形式(財務諸表はXBRL形式、勘定科目内訳明細書はXML形式)に変換する機能を提供して、変換後の電子データで提出できるようにするとしています。運用開始予定日は平成28年4月1日とされています。

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相続があった年に遺産分割があった場合の消費税の納税義務の判定で新見解

2015年04月20日

このほど大阪国税局が、相続があった年に遺産分割が行われた場合、民法の規定に関係なく法定相続分に基づいて消費税の納税義務の有無を判定してもよいとする取扱いを明らかにしました。

 今回の取り扱いは、課税売上高が経常的に1,000万円を超える事業を共同で承継した複数の相続人のうちの一人(以下、A)から大阪国税局にあった問い合わせに答えたものです。
 Aの父親は不動産賃貸業を営んでいましたが、平成26年2月に死亡し、Aを含む7名が共同相続人として事業を相続。その後、同年中に遺産分割協議が成立し、Aは事業の3分の2を、残る3分の1はAの妻が承継しました。問題は、遺産の分割が行われるまで共同相続人が共同して事業を営んでいたので、平成26年分に係る消費税の納税義務の有無を判定するに当たり、消費税法基本通達1-5-5《共同相続の場合の納税義務》を適用して被相続人の基準期間(平成24年分)における課税売上高(1,700万円)を法定相続分(AとAの妻は12分の1、Aの母親は2分の1)で按分し、消費税法の規定に従い判定した結果、AとAの妻、Aの母親の3人とも免税事業者に該当すると判断したことでした。
 消費税法基本通達では、遺産分割が行われるまでは法定相続分で按分することとされています。そこで、Aは納税義務の判定時点において遺産未分割であったことからこの取扱いに基づき納税義務を判定、1,700万円×1/12≠141万円で1,000万円以下となり、納税義務はないと判断したわけです。
 しかし、民法では、遺産分割は相続があった日に遡ってその効力を生ずることとされています。この規定を適用すると、Aは平成26年2月に被相続人が営んでいた事業に係る相続財産については、AとAの妻が事業を承継したため、納税義務の再判定を行うことになり、1,700万円×2/3≠1,133万円で1,000万円を超えることから、納税義務は免除されないことになってしまうわけです。
 Aは、「判定時点での適正な事実関係に基づき消費税関係法令等の規定に従って納税義務が判定されたものである場合にはその判定が認められるものと解するのが相当であると考える」と大阪国税局に説明。これに対して、大阪国税局は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。
 これにより、相続があった年の消費税の納税義務については民法の適用は無く、消費税法基本通達に示されている法定相続分に基づいて消費税の納税義務を判定してもよいとされたわけです。

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国税庁が資産家に「7月1日からスタートする国外転出課税にご注意を」

2015年04月13日

3月31日に国会で成立した、平成27年度税制改正関連法に盛り込まれている国外転出課税制度のPRに国税庁が躍起になっています。同制度の適用開始までに3カ月を切ったからです。

 国外転出課税制度とは、今回の税制改正で新たに創設された「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」と「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」のことで、平成27年7月1日から適用が開始されます。所有している高額な株式を譲渡所得課税の行われない国(キャピタルゲイン非課税国)で売却することで、所得税の課税を回避する新手の脱税が横行し始めたことから同制度が創設されました。
 同制度の仕組みは、国外転出をした一定の対象者が保有していた株式等について、出国時に決済したとみなして、未実現のキャピタルゲインについて課税することになっています。また、株式を保有していた者が国外転出をしなくても、相続や贈与で非居住者に保有している株式等を移転した場合にも、その時の価額において決済したものとみなして、所得税が課税されることになっています。
 まず、国外転出についてですが、日本国内に住所や居所を有しなくなることを意味しています。そして、一定の対象者については、「国外転出時に保有していた株式等の評価額が1億円以上の者」で、「国外転出の日前10年以内に5年超国内に居住していた者」、さらに「平成27年7月1日以後国外転出をする居住者」という要件をすべて満たす人とされています。
 仕事の関係で、海外に出国せざるを得ない人もいるので、同制度では国外転出の日から5年以内に帰国をし、引き続き株式等を有していたものについては、更正の請求をすれば課税を取り消すことができることになっています。

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2015年夏季ボーナスは2年連続プラスへ。所得拡大促進税制が後押し

2015年04月13日

株式会社日本総合研究所(三井住友フィナンシャルグループ)が、このほど公表したレポートによると、今夏の一人当たりのボーナス支給額が2年連続で増加する見込みであるとしています。その背景には、所得拡大促進税制による賃上げ気運の高まりもあると考えられています。

 同レポートでは、2015年の民間企業における一人当たりの夏季賞与は前年比2.3ポイント増が見込まれるとしています。業種別では、製造業で4.2ポイント、非製造業も1.9ポイント増になるとのことです。支給総額ベースで見てみると、4.7ポイント増となる見通しで、一人当たりの支給額と支給対象者の両者の増加が作用していると考察しています。
 背景には、景気回復による企業収益の改善や人手不足に伴う賃上げへの踏み切りの動きがあり、政府を主導として労使がともに賃上げに積極的な姿勢を見せている点を強調。とくに平成25年度税制改正で創設された「所得拡大促進税制」が、そうした賃上げ気運を後押ししていると見ています。
 所得拡大促進税制は、賃上げを行う企業に対する減税制度で、具体的には、給与の支給額が前事業年度を下回らないことや、給与の支給額の基準事業年度における給与支給額に対する割合(支給額増加率)が一定以上であることなどの要件をすべて満たした場合に、その支給増加額の10%(中小企業においては20%)の税額控除を受けることができるという制度です。
 なお、同制度は平成26年度税制改正で拡充されていて、これまで5%とされていた支給額増加率が2〜5%に変更されるとともに、計算に含める支給対象者も新規採用者や定年後再雇用者を除いた継続雇用者に限定されています。

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関東信越国税局が見解示す―骨髄提供した人に自治体が交付する奨励金は一時所得

2015年04月06日

公益財団法人日本骨髄バンクに骨髄を提供する人に交付している奨励金に関する問い合わせをしていた栃木県大田原市に対して、このほど関東信越国税局が回答を行いました。同国税局は、奨励金は受け取った人の一時所得となるのではないかなどとした同市の見解を容認しています。

 大田原市では、日本骨髄バンクが実施している骨髄バンク事業に賛同して骨髄などを提供した人で、同市に住所があって、日本骨髄バンクが発行する証明書の交付を受けた人(ドナー)を対象に奨励金を交付しています。
 ドナーになるためには、健康診断や自己血貯血に係る通院、骨髄等の採取に係る入院が必要で、同市では、その費用をカバーしてもらおうという趣旨で通院等に要した日数に応じて1日当たり2万円(上限7日14万円)の奨励金を一括して交付しているわけです。
 この奨励金について、同市は「本件骨髄バンク事業における骨髄等の提供は、ドナーの善意に基づき無償で行われるもので、営利を目的としていないことは明らかであり、その性質上、繰り返し行われるものでもない。そして、本件ドナーによる骨髄等の提供は、大田原市に対して行われるものではないので、本件ドナーの行った骨髄等の提供と本件奨励金は対価関係にはない。これらのことからすれば、本件奨励金は、営利を目的とする継続的行為から生ずる所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであることから、一時所得に該当すると考えられる」と説明。関東信越国税局は、その考えに対して「貴見のとおりで差し支えない」と回答しました。
 骨髄や末梢血幹細胞を提供したドナーに対する助成制度を導入する地方自治体が増えていることから、今回の関東信越国税局の回答で多くの自治体が安心して助成制度の活用を訴えることができるようになると言えます。

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国内初の試み。東京開業ワンストップセンターがオープン

2015年04月06日

4月1日、外資系企業やベンチャー企業などの開業手続きが1ヵ所で行える「東京開業ワンストップセンター」が東京都港区・赤坂にオープンしました。

 会社設立時に必要な登記や税務、年金・社会保険、入国管理といった手続きが、東京開業ワンストップセンター1ヵ所で行うことができるようになりました。同センターでは、会社設立に関する相談や設立時に必要な書類の作成支援も受け付けています。
 同センターは、国と東京都が共同で運営しているもので、各省庁から派遣された職員や行政手続の専門家が常駐し、多言語による通訳や翻訳サービスも提供。同じフロアには、外国企業向けに日本でのビジネス・生活相談や雇用関係支援を行う「ビジネスコンシェルジュ東京」と「東京圏雇用労働相談センター」が設置され、都内で開業を希望する海外企業やベンチャー企業を強力にバックアップする体制が敷かれています。
 これまで開業時には、各種届出や申請を行なうために法務局や税務署、区役所などに出向かなければならず、事業を開始するまでにかなりの時間と手間がかかりましたが、今回、各種届出などを行なう窓口が1ヵ所に集約されたことにより、煩雑な行政手続をスピーディーに行うことが可能となりました。
 開業手続のワンストップセンターは国内初の試みです。3月31日の開所式には安倍首相も出席し「世界で最もビジネスがしやすい国、日本、東京を目指して頑張っていきたい」とコメントしています。また、東京都の舛添都知事は「政府とスクラムを組んで、国際経済都市・東京の実現に全力を尽くしてまいります」と述べ、日本への投資促進に大きな期待を寄せました。

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被保険者の死亡後に発生する医療保険の解約返戻金支払請求権の相続税の取り扱い明らかに

2015年03月30日

ある保険会社が売り出している新しい医療保険に対して、このほど、東京国税局が相続税の取り扱いを明らかにしました。保険契約者と被保険者が同一人の場合で、被保険者の死亡に伴い支払われる解約返戻金相当額の支払請求権については、本来の相続財産として課税されるとしています。

 東京国税局に問い合わせていた保険会社が売り出している医療保険とは、被保険者が入院したときや、手術を受けたとき、または、放射線治療を受けた場合に保険金が支払われる(保険事故)というものです。被保険者の死亡では保険金が支払われない形になっています。
 ただし、被保険者が死亡した場合には、契約は消滅するものの、解約返戻金があるときは、契約の保険契約者に解約返戻金相当額の返戻金を支払うことを約款で定めています。解約返戻金があるときとは、保険料払込期間満了後において、保険契約者が死亡、または、保険契約者が解約することにより発生するものです。
 今回問題となったのは、保険契約者と被保険者が同一人で保険契約者(=被保険者)が死亡したときに発生する解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権でした。保険契約者の財産を相続する人たちにとって、支払い請求権もみなし相続財産として、法定相続人に与えられている500万円の非課税枠が適用されるのならば良いのですが、東京国税局では、保険金の給付事由(保険事故)に、被保険者の死亡は含まれていないことから、被保険者の死亡により支払われる本件解約返戻金相当額の返戻金は保険金とは認められないとしています。
 よって、今回の医療保険に関する解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権については、保険契約者である被相続人の本来の相続財産として相続税の課税対象となると解するのが相当であるとされました。

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交際費の非課税枠拡充の効果クッキリ。国税庁が今年度会社標本調査の結果を公表

2015年03月30日

このほど、国税庁が平成25年度分「会社標本調査」の結果を公表しました。それによると、平成25年度税制改正で非課税枠が拡充された交際費の支出額が大きく増加しています。

 今回の調査によると、平成25年度分の法人数は259万5,903社で、前年度より2.4ポイント(%)増加しました。全体の法人数が増加したのは平成21年度以来となります。
 また、この259万5,903社から連結子法人10,171社を差し引いた258万5,732社のうち、利益計上法人の数は82万3,136社で全体の31.8%を占め、リーマン・ショックが発生した前年の平成19年度以来、6年ぶりに3割台まで回復しました。
 その他、企業の営業活動から生じた営業収入金額は1,493兆4,688億円で前年度に引き続き増加、法人税額に関しては10兆1,122億円と前年度比13.2ポイントの大幅増で、6年ぶりに10兆円の大台に乗りました。
 さらに、交際費の支出額についても3兆825億円と、前年度比では直近10年で最大の伸び率となる6.3ポイントをマークしました。資本金階級別でみると、資本金1億円超の階級ではほとんど金額に変化が無いのに対し、資本金1億円以下の中小法人の階級で金額の伸びが顕著となっています。
 平成25年度の税制改正で中小法人については、交際費の支出額が年800万円に達する部分まで非課税枠が拡大されたことから、交際費の支出額に対する損金不算入額の割合が減少していて、同改正による影響が色濃く出ています。

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国税庁が作成した「相続税の申告要否の簡易判定シート」が好評を博す

2015年03月23日

国税庁ホームページ内にある相続税・贈与税解説集の中に掲載されている「相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)(PDF/2,160KB)」が注目を集めています。相続税の仕組みをまったく分からない人でも、自分に相続税が課税されるかどうかが簡単に導き出せるとして好評を博しています。

 今年から相続税がかからない範囲である基礎控除額(課税最低限)が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へと引き下げられました。これにより、課税ベースが拡大するため、課税割合はこれまでの4%から6%(東京23区平均では9.6%が14.4%)に上昇すると予測されています。
 そのため、危機感を覚えているのが地価の高い都心部に住宅などの不動産を持つ人たちです。とくに、税理士との接点のない資産家やサラリーマンなどは、相続税の仕組みが非常に難しいため自分が課税対象かどうかもわからず、不安な日々を送っています。そこで、そのような人たちのために国税庁が作成したのが「相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)(PDF/2,160KB)」です。
 国税庁のホームページのトップページにある「相続税・贈与税解説集」の中に掲載されているもので、同判定シートの文字をクリックしてダウンロードを開始すると、財産を相続する人の立場で、自分が払う相続税がおおよそいくらになるかが導き出せるシート(書き込み可能なPDFファイル)がパソコン画面に表示されます。あとは、シート上の質問の答えを?で指定された枠内に記入するだけで、基礎控除額や相続財産及び債務の確認が行われ、最終的におおよその税額が自動計算され、相続税の申告が必要かどうかが判定される仕組みになっています。
 ただし、相続税には小規模宅地の評価減額特例など優遇措置がいくつかあるため、正確な相続税額については、税理士に相談する必要があります。

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大阪府が地方税徴収機構を来月発足。高額で悪質な事案にメス

2015年03月23日

大阪府が来月、「大阪府域地方税徴収機構」を発足します。同機構は、大阪府と大阪市、堺市を含む府内27市町とで組織したもので、地方税の高額滞納事案について大阪府と参加市町による共同徴収という形で滞納整理が行われます。

 大阪府では、地方税の滞納額が平成25年度ベースで940億円にのぼり、特に府税部分の徴収が市町村に委任されている個人住民税については488億円にまで膨れ上がっていて、こうした収入未済額の圧縮が重大な課題となっています。
 そこで、大阪府では個人住民税をはじめとする滞納地方税を対象に徴収を強化する地方税徴収機構の設置を決定、今年4月から業務を開始することにしています。
 同機構の設置期間は平成27年度から平成29年度までの3年間で、任意組織として設置されるため、全ての市町村に参加義務はなく、府内43市町村のうち大阪市や堺市を含む27市町が参加。機構本部は府税務局内に設置し、北支部(なにわ北府税事務所)と南支部(泉北府税事務所)に分かれて強力な税の徴収を実施する予定です。
 具体的には、参加市町から高額かつ長期にわたって滞納している悪質な事案を引き継ぎ、同機構において各自治体から派遣された40人程度の職員が共同徴収にあたるとしています。
 引継対象となる事案件数は約4,000件で、その税額合計は42億円を見込んでいて、債権の差押えなどを通じて2015年度中に13億円の徴収を目指しています。
 地方税徴収機構についてはすでに他の多くの府県で設立されていますが、今回の「大阪府域地方税徴収機構」に参加する市町の合計人口は685万人となることから、全国でも最大規模のものになります。

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預金口座にも付番可能に。政府がマイナンバー制度改正法案を国会へ上程

2015年03月16日

3月10日、政府がマイナンバー制度(社会保障と税の共通番号)の利用範囲を広げる法改正案を国会に提出しました。改正内容で注目されているのは、資産を把握するために預金口座にもマイナンバーを付番できるようにしている点です。

 マイナンバー制度とは、国民総背番号制度とも呼ばれているもので、コンピュータに特定の番号を入力するだけで、個人の所得や年金情報を名寄せできるようにして、行政事務の効率化、税金と保険料の徴収、給付の適正化を図ろうというものです。
 今年10月から日本に住所を持つ個人、法人全てに市町村から12桁の番号が通知されることになっていて、来年から国や自治体が税、社会保障、災害対策の3分野に限って個人情報の管理に活用することになっています。
 今回の法改正で注目されているのは、税や保険料を徴収する上で、まずは資産の把握が必要なことから、新たに預金口座にもマイナンバーを付番できるようにした点です。2018年から預金者に対して、口座を持つ銀行にマイナンバーを報告するよう求めています。
 これにより、税務署などの行政機関は、脱税や生活保護の不正受給といった疑いのある人の口座情報を銀行から得やすくなります。ただ、銀行へのマイナンバーの報告は当面、強制力がない形になっています。
 なぜならば、預金口座の情報をマイナンバーで把握されることに抵抗を持つ人は少ないからです。また、国内の銀行などには個人預金口座が約8億あるといわれていて、持ち主と連絡が取れないケースも多く、強制すると銀行の事務負担が非常に重くなるという面もあります。
 なお、今回の法改正案には、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携なども盛り込まれています。

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国税庁が「ハズレ馬券の購入代金も必要経費」に通達改正

2015年03月16日

3月10日の最高裁の判決を受け、国税庁が競馬の馬券の払戻金に関する所得区分について取扱いを見直しました。そして、過去に同判決と同様のケースで馬券の払戻金を得ている納税者に対しても是正を行うことにしています。

 今回の最高裁までもつれ込んだ事件の発端は、インターネットと自動購入ソフトを介して競馬の馬券を長期間、大量かつ網羅的に購入して利益を上げていた男性が、それによって得た所得について申告期限までに確定申告を行わなかったことから、国税当局が所得税法違反で摘発したことがきっかけとなって起きたものです。
 税務署は当初、当たり馬券の購入代金のみを控除した所得税をこの男性に課税しました。通達上、馬券の払戻金は一時所得に該当するものとされており、一時所得の計算においては収入を生じない行為、すなわちハズレ馬券の購入代金は所得から控除することが認められていないためです。
 男性はこの課税処分に対し、馬券の払戻金を一時所得に分類することは適当でなく、ハズレ馬券の購入代金も必要経費に当たると主張し、国を提訴しました。
 今回の判決を下すにあたり最高裁は「本件においては、ハズレ馬券を含む一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有する」ものである点を指摘。所得区分の分類を判断するにあたっては「所得及びそれを生じた行為の具体的な態様も考察すべきである」としました。よって今回のケースは、購入の態様や規模から、臨時的・偶発的な所得である一時所得には当たらないとし、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として払戻金は雑所得に該当すると判断。ハズレ馬券の購入代金についても当たり馬券の払戻金から必要経費として控除することができると判断したわけです。
 この判決を受け、国税庁は通達を改正。今回の判決と同様のケースで馬券の払戻金を得ていた納税者については、雑所得と改め是正していくとしています。

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自動車の名義変更や廃車手続き3月中旬までに済ませよう

2015年03月09日

大阪府などが自動車の名義変更や廃車などの登録手続きを3月中旬までに済ませるよう呼びかけています。毎年3月下旬は、登録変更手続きを行う人で運輸支局が混雑するからです。特に、今年は例年以上の混雑が予想されています。

 昨年4月の消費税率5%から8%への引上げで、俄然注目を浴び始めたのが、中古車の個人売買です。個人売買だと消費税が課税されないため、WEBで中古車の個人売買を仲介する業者も相次いで生まれています。決済プラットフォーム事業を展開する株式会社ViewPointが中古車の個人売買をサポートする「mieruCAR(ミエルカ)」を昨年7月1日にスタートさせましたが、1日のサービス開始と同時に購入エントリー会員が1万人を突破した言われています。
 こうしたことから、自動車税を課税する各自治体では、的確に納税者を把握するため、「自動車を譲渡したり、廃車した場合や転居等で住所を変更した際には、運輸支局において登録変更の手続きが必要である」ことや、「変更手続きをしていないと、手放したはずの自動車に自動車税が課税されたり、納税通知書が届かないといったトラブルにつながる」と注意を喚起しています。
 とくに、3月は1年でもっとも自動車の登録変更手続きを行う人が運輸支局に殺到することから、大阪府などは「比較的窓口が空いている3月中旬までに手続きを済ませてください」と呼びかけています。

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育児休業中の財形非課税貯蓄に関する優遇制度で国税庁が通達を整備

2015年03月09日

今年4月から育児休業を取得した人が、2年を超えて財形非課税貯蓄の払込みを中断しても非課税が継続される特例がスタートすることから、このほど国税庁がその税制の取扱いを整備しました。

 利子に係る所得税が非課税となる財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄については、最後の給与からの天引きによる預入日から2年間預入を中断すると非課税措置が受けられなくなることになっています。
 その措置のままでは、長期で育児休業を取得した人は、財形非課税貯蓄の継続を断念せざるを得ない形になっていました。そこで政府は、平成26年度税制改正大綱で育児休業を取得しやすくするために制度自体を見直しました。育児休業の取得に伴う預入中断期間について、特例措置を設けたわけです。
 具体的には、平成27年4月1日以降に3歳未満の子どもについて育児休業を取得する場合には、その育児休業の開始日前に所定の申告書を契約金融機関に提出することで、子どもが3歳に達するまでの間に預入がなくても非課税措置を継続することができるようにしました。
 原則として、育児休業等の終了直後に到来する給与支給日から預入は再開しなければならず、育児休業等期間の変更がある場合にも所定の手続を取る必要があるとされています。ただし、国税庁がこのほど整備したその制度改正に関する税の取扱いでは、「育児休業等をする者の財形住宅貯蓄継続適用申告書を提出した勤労者が、再開日に財形住宅貯蓄契約に基づく金銭等の払込みを行わなかった場合には、当該再開日の翌日以後において、『最後の払込日』から2年を経過する日までの間に当該契約に基づく金銭等の払込みが行われた場合であっても、非課税規定の適用があることに留意すること」とされています。

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国税庁が幼稚園営業を使った相続税の節税規制通達を緩めたワケ

2015年03月02日

このほど、教育用財産に対する相続税の非課税制度に関する取り扱い通達を国税庁が改正しました。今年から相続税の課税強化が始まったことから、その関連で非課税枠を縮小したのかと思われましたが、そうではなく逆に非課税枠を拡充しています。

 死亡した人(被相続人)が私立の養護学校や幼稚園などを営んでいた場合、相続人はその事業を継承する場合だけでなく廃止する場合でも所轄の税務署に届け出なければなりません。そして、その事業を承継する場合について、相続税法では一定の要件に該当すれば、当分の間その事業用の土地等について相続税がかからないとしています。これが教育用財産に対する相続税の非課税制度と呼ばれるものです。
 かつて、同制度を悪用して相続税を回避する手法が横行したことから、2007年に国税庁が取り扱い通達で一定の制限を行いました。それが今回改正を行った「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」と題する通達です。
 今年から相続税の課税強化が始まったことから、またしても教育用財産に対する相続税の非課税制度の引き締めを行ったのではないかと思われましたが、通達の改正内容を見てみると、相続税の非課税枠である「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」の「園児一人当たりの基準単価」が1.25%ほど引き上げられていました。
 園児一人あたりの基準単価は、国家公務員の給与制度を準用していて、じつは、昨年の人事院勧告で公務員の給与の地域間格差の是正を名目に俸給表の改定が行われ、平成27年4月から地域手当が実質的に引き上げられることから自動的に同基準単価もアップしたわけです。

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空き家対策特措法関連で東京都が固定資産税の納税者情報横流しを公言

2015年03月02日

空き家対策特別措置法が先月一部施行されたことを受け、このほど東京都が都民に対して、各特別区から固定資産税に関する情報提供依頼があった場合は、速やかに管轄の都税事務所から対象となる空き家とその敷地の所有者の氏名や住所、電話番号などを提供すると報じました。

 適切に管理されていない空き家は、防犯や防災、景観等の観点から近隣住民に深刻な影響を及ぼしています。また、総務省が2013年に行った調査では、全国の総住宅数に占める空き家数の割合は13.5%と過去最高を記録しました。
 こうしたことから政府は、放置され荒廃した空き家の撤去を促すために空き家対策特別措置法を制定したわけです。同法は、市町村長に空き家への立入調査権を与えたほか、空き家の情報収集のために、固定資産税の課税目的で保有する納税者情報の内部利用を認めています。
 原則として、固定資産税はその固定資産が所在する市町村が課税するため、固定資産税に関する情報は市町村が保有しています。しかし、東京23区(特別区)については特例として東京都が課税することになっていて、固定資産税に関する情報は都が保有しています。よって、東京都主税局は、特別区から依頼があったときには速やかに固定資産税に関する情報を提供すると報じたわけです。
 なお、空き家増加の背景には固定資産税の減税措置の問題が存在することから、空き家対策特措法では、自治体が危険であると判断した空き家(特定空き家)について、面積200uまでの部分の固定資産税の課税標準が6分の1まで軽減される住宅用地特例の適用を廃止できる措置もとられています。

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