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被保険者の死亡後に発生する医療保険の解約返戻金支払請求権の相続税の取り扱い明らかに

2015年03月30日

ある保険会社が売り出している新しい医療保険に対して、このほど、東京国税局が相続税の取り扱いを明らかにしました。保険契約者と被保険者が同一人の場合で、被保険者の死亡に伴い支払われる解約返戻金相当額の支払請求権については、本来の相続財産として課税されるとしています。

 東京国税局に問い合わせていた保険会社が売り出している医療保険とは、被保険者が入院したときや、手術を受けたとき、または、放射線治療を受けた場合に保険金が支払われる(保険事故)というものです。被保険者の死亡では保険金が支払われない形になっています。
 ただし、被保険者が死亡した場合には、契約は消滅するものの、解約返戻金があるときは、契約の保険契約者に解約返戻金相当額の返戻金を支払うことを約款で定めています。解約返戻金があるときとは、保険料払込期間満了後において、保険契約者が死亡、または、保険契約者が解約することにより発生するものです。
 今回問題となったのは、保険契約者と被保険者が同一人で保険契約者(=被保険者)が死亡したときに発生する解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権でした。保険契約者の財産を相続する人たちにとって、支払い請求権もみなし相続財産として、法定相続人に与えられている500万円の非課税枠が適用されるのならば良いのですが、東京国税局では、保険金の給付事由(保険事故)に、被保険者の死亡は含まれていないことから、被保険者の死亡により支払われる本件解約返戻金相当額の返戻金は保険金とは認められないとしています。
 よって、今回の医療保険に関する解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権については、保険契約者である被相続人の本来の相続財産として相続税の課税対象となると解するのが相当であるとされました。

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交際費の非課税枠拡充の効果クッキリ。国税庁が今年度会社標本調査の結果を公表

2015年03月30日

このほど、国税庁が平成25年度分「会社標本調査」の結果を公表しました。それによると、平成25年度税制改正で非課税枠が拡充された交際費の支出額が大きく増加しています。

 今回の調査によると、平成25年度分の法人数は259万5,903社で、前年度より2.4ポイント(%)増加しました。全体の法人数が増加したのは平成21年度以来となります。
 また、この259万5,903社から連結子法人10,171社を差し引いた258万5,732社のうち、利益計上法人の数は82万3,136社で全体の31.8%を占め、リーマン・ショックが発生した前年の平成19年度以来、6年ぶりに3割台まで回復しました。
 その他、企業の営業活動から生じた営業収入金額は1,493兆4,688億円で前年度に引き続き増加、法人税額に関しては10兆1,122億円と前年度比13.2ポイントの大幅増で、6年ぶりに10兆円の大台に乗りました。
 さらに、交際費の支出額についても3兆825億円と、前年度比では直近10年で最大の伸び率となる6.3ポイントをマークしました。資本金階級別でみると、資本金1億円超の階級ではほとんど金額に変化が無いのに対し、資本金1億円以下の中小法人の階級で金額の伸びが顕著となっています。
 平成25年度の税制改正で中小法人については、交際費の支出額が年800万円に達する部分まで非課税枠が拡大されたことから、交際費の支出額に対する損金不算入額の割合が減少していて、同改正による影響が色濃く出ています。

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国税庁が作成した「相続税の申告要否の簡易判定シート」が好評を博す

2015年03月23日

国税庁ホームページ内にある相続税・贈与税解説集の中に掲載されている「相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)(PDF/2,160KB)」が注目を集めています。相続税の仕組みをまったく分からない人でも、自分に相続税が課税されるかどうかが簡単に導き出せるとして好評を博しています。

 今年から相続税がかからない範囲である基礎控除額(課税最低限)が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へと引き下げられました。これにより、課税ベースが拡大するため、課税割合はこれまでの4%から6%(東京23区平均では9.6%が14.4%)に上昇すると予測されています。
 そのため、危機感を覚えているのが地価の高い都心部に住宅などの不動産を持つ人たちです。とくに、税理士との接点のない資産家やサラリーマンなどは、相続税の仕組みが非常に難しいため自分が課税対象かどうかもわからず、不安な日々を送っています。そこで、そのような人たちのために国税庁が作成したのが「相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)(PDF/2,160KB)」です。
 国税庁のホームページのトップページにある「相続税・贈与税解説集」の中に掲載されているもので、同判定シートの文字をクリックしてダウンロードを開始すると、財産を相続する人の立場で、自分が払う相続税がおおよそいくらになるかが導き出せるシート(書き込み可能なPDFファイル)がパソコン画面に表示されます。あとは、シート上の質問の答えを?で指定された枠内に記入するだけで、基礎控除額や相続財産及び債務の確認が行われ、最終的におおよその税額が自動計算され、相続税の申告が必要かどうかが判定される仕組みになっています。
 ただし、相続税には小規模宅地の評価減額特例など優遇措置がいくつかあるため、正確な相続税額については、税理士に相談する必要があります。

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大阪府が地方税徴収機構を来月発足。高額で悪質な事案にメス

2015年03月23日

大阪府が来月、「大阪府域地方税徴収機構」を発足します。同機構は、大阪府と大阪市、堺市を含む府内27市町とで組織したもので、地方税の高額滞納事案について大阪府と参加市町による共同徴収という形で滞納整理が行われます。

 大阪府では、地方税の滞納額が平成25年度ベースで940億円にのぼり、特に府税部分の徴収が市町村に委任されている個人住民税については488億円にまで膨れ上がっていて、こうした収入未済額の圧縮が重大な課題となっています。
 そこで、大阪府では個人住民税をはじめとする滞納地方税を対象に徴収を強化する地方税徴収機構の設置を決定、今年4月から業務を開始することにしています。
 同機構の設置期間は平成27年度から平成29年度までの3年間で、任意組織として設置されるため、全ての市町村に参加義務はなく、府内43市町村のうち大阪市や堺市を含む27市町が参加。機構本部は府税務局内に設置し、北支部(なにわ北府税事務所)と南支部(泉北府税事務所)に分かれて強力な税の徴収を実施する予定です。
 具体的には、参加市町から高額かつ長期にわたって滞納している悪質な事案を引き継ぎ、同機構において各自治体から派遣された40人程度の職員が共同徴収にあたるとしています。
 引継対象となる事案件数は約4,000件で、その税額合計は42億円を見込んでいて、債権の差押えなどを通じて2015年度中に13億円の徴収を目指しています。
 地方税徴収機構についてはすでに他の多くの府県で設立されていますが、今回の「大阪府域地方税徴収機構」に参加する市町の合計人口は685万人となることから、全国でも最大規模のものになります。

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預金口座にも付番可能に。政府がマイナンバー制度改正法案を国会へ上程

2015年03月16日

3月10日、政府がマイナンバー制度(社会保障と税の共通番号)の利用範囲を広げる法改正案を国会に提出しました。改正内容で注目されているのは、資産を把握するために預金口座にもマイナンバーを付番できるようにしている点です。

 マイナンバー制度とは、国民総背番号制度とも呼ばれているもので、コンピュータに特定の番号を入力するだけで、個人の所得や年金情報を名寄せできるようにして、行政事務の効率化、税金と保険料の徴収、給付の適正化を図ろうというものです。
 今年10月から日本に住所を持つ個人、法人全てに市町村から12桁の番号が通知されることになっていて、来年から国や自治体が税、社会保障、災害対策の3分野に限って個人情報の管理に活用することになっています。
 今回の法改正で注目されているのは、税や保険料を徴収する上で、まずは資産の把握が必要なことから、新たに預金口座にもマイナンバーを付番できるようにした点です。2018年から預金者に対して、口座を持つ銀行にマイナンバーを報告するよう求めています。
 これにより、税務署などの行政機関は、脱税や生活保護の不正受給といった疑いのある人の口座情報を銀行から得やすくなります。ただ、銀行へのマイナンバーの報告は当面、強制力がない形になっています。
 なぜならば、預金口座の情報をマイナンバーで把握されることに抵抗を持つ人は少ないからです。また、国内の銀行などには個人預金口座が約8億あるといわれていて、持ち主と連絡が取れないケースも多く、強制すると銀行の事務負担が非常に重くなるという面もあります。
 なお、今回の法改正案には、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携なども盛り込まれています。

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国税庁が「ハズレ馬券の購入代金も必要経費」に通達改正

2015年03月16日

3月10日の最高裁の判決を受け、国税庁が競馬の馬券の払戻金に関する所得区分について取扱いを見直しました。そして、過去に同判決と同様のケースで馬券の払戻金を得ている納税者に対しても是正を行うことにしています。

 今回の最高裁までもつれ込んだ事件の発端は、インターネットと自動購入ソフトを介して競馬の馬券を長期間、大量かつ網羅的に購入して利益を上げていた男性が、それによって得た所得について申告期限までに確定申告を行わなかったことから、国税当局が所得税法違反で摘発したことがきっかけとなって起きたものです。
 税務署は当初、当たり馬券の購入代金のみを控除した所得税をこの男性に課税しました。通達上、馬券の払戻金は一時所得に該当するものとされており、一時所得の計算においては収入を生じない行為、すなわちハズレ馬券の購入代金は所得から控除することが認められていないためです。
 男性はこの課税処分に対し、馬券の払戻金を一時所得に分類することは適当でなく、ハズレ馬券の購入代金も必要経費に当たると主張し、国を提訴しました。
 今回の判決を下すにあたり最高裁は「本件においては、ハズレ馬券を含む一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有する」ものである点を指摘。所得区分の分類を判断するにあたっては「所得及びそれを生じた行為の具体的な態様も考察すべきである」としました。よって今回のケースは、購入の態様や規模から、臨時的・偶発的な所得である一時所得には当たらないとし、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として払戻金は雑所得に該当すると判断。ハズレ馬券の購入代金についても当たり馬券の払戻金から必要経費として控除することができると判断したわけです。
 この判決を受け、国税庁は通達を改正。今回の判決と同様のケースで馬券の払戻金を得ていた納税者については、雑所得と改め是正していくとしています。

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自動車の名義変更や廃車手続き3月中旬までに済ませよう

2015年03月09日

大阪府などが自動車の名義変更や廃車などの登録手続きを3月中旬までに済ませるよう呼びかけています。毎年3月下旬は、登録変更手続きを行う人で運輸支局が混雑するからです。特に、今年は例年以上の混雑が予想されています。

 昨年4月の消費税率5%から8%への引上げで、俄然注目を浴び始めたのが、中古車の個人売買です。個人売買だと消費税が課税されないため、WEBで中古車の個人売買を仲介する業者も相次いで生まれています。決済プラットフォーム事業を展開する株式会社ViewPointが中古車の個人売買をサポートする「mieruCAR(ミエルカ)」を昨年7月1日にスタートさせましたが、1日のサービス開始と同時に購入エントリー会員が1万人を突破した言われています。
 こうしたことから、自動車税を課税する各自治体では、的確に納税者を把握するため、「自動車を譲渡したり、廃車した場合や転居等で住所を変更した際には、運輸支局において登録変更の手続きが必要である」ことや、「変更手続きをしていないと、手放したはずの自動車に自動車税が課税されたり、納税通知書が届かないといったトラブルにつながる」と注意を喚起しています。
 とくに、3月は1年でもっとも自動車の登録変更手続きを行う人が運輸支局に殺到することから、大阪府などは「比較的窓口が空いている3月中旬までに手続きを済ませてください」と呼びかけています。

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育児休業中の財形非課税貯蓄に関する優遇制度で国税庁が通達を整備

2015年03月09日

今年4月から育児休業を取得した人が、2年を超えて財形非課税貯蓄の払込みを中断しても非課税が継続される特例がスタートすることから、このほど国税庁がその税制の取扱いを整備しました。

 利子に係る所得税が非課税となる財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄については、最後の給与からの天引きによる預入日から2年間預入を中断すると非課税措置が受けられなくなることになっています。
 その措置のままでは、長期で育児休業を取得した人は、財形非課税貯蓄の継続を断念せざるを得ない形になっていました。そこで政府は、平成26年度税制改正大綱で育児休業を取得しやすくするために制度自体を見直しました。育児休業の取得に伴う預入中断期間について、特例措置を設けたわけです。
 具体的には、平成27年4月1日以降に3歳未満の子どもについて育児休業を取得する場合には、その育児休業の開始日前に所定の申告書を契約金融機関に提出することで、子どもが3歳に達するまでの間に預入がなくても非課税措置を継続することができるようにしました。
 原則として、育児休業等の終了直後に到来する給与支給日から預入は再開しなければならず、育児休業等期間の変更がある場合にも所定の手続を取る必要があるとされています。ただし、国税庁がこのほど整備したその制度改正に関する税の取扱いでは、「育児休業等をする者の財形住宅貯蓄継続適用申告書を提出した勤労者が、再開日に財形住宅貯蓄契約に基づく金銭等の払込みを行わなかった場合には、当該再開日の翌日以後において、『最後の払込日』から2年を経過する日までの間に当該契約に基づく金銭等の払込みが行われた場合であっても、非課税規定の適用があることに留意すること」とされています。

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国税庁が幼稚園営業を使った相続税の節税規制通達を緩めたワケ

2015年03月02日

このほど、教育用財産に対する相続税の非課税制度に関する取り扱い通達を国税庁が改正しました。今年から相続税の課税強化が始まったことから、その関連で非課税枠を縮小したのかと思われましたが、そうではなく逆に非課税枠を拡充しています。

 死亡した人(被相続人)が私立の養護学校や幼稚園などを営んでいた場合、相続人はその事業を継承する場合だけでなく廃止する場合でも所轄の税務署に届け出なければなりません。そして、その事業を承継する場合について、相続税法では一定の要件に該当すれば、当分の間その事業用の土地等について相続税がかからないとしています。これが教育用財産に対する相続税の非課税制度と呼ばれるものです。
 かつて、同制度を悪用して相続税を回避する手法が横行したことから、2007年に国税庁が取り扱い通達で一定の制限を行いました。それが今回改正を行った「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」と題する通達です。
 今年から相続税の課税強化が始まったことから、またしても教育用財産に対する相続税の非課税制度の引き締めを行ったのではないかと思われましたが、通達の改正内容を見てみると、相続税の非課税枠である「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」の「園児一人当たりの基準単価」が1.25%ほど引き上げられていました。
 園児一人あたりの基準単価は、国家公務員の給与制度を準用していて、じつは、昨年の人事院勧告で公務員の給与の地域間格差の是正を名目に俸給表の改定が行われ、平成27年4月から地域手当が実質的に引き上げられることから自動的に同基準単価もアップしたわけです。

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空き家対策特措法関連で東京都が固定資産税の納税者情報横流しを公言

2015年03月02日

空き家対策特別措置法が先月一部施行されたことを受け、このほど東京都が都民に対して、各特別区から固定資産税に関する情報提供依頼があった場合は、速やかに管轄の都税事務所から対象となる空き家とその敷地の所有者の氏名や住所、電話番号などを提供すると報じました。

 適切に管理されていない空き家は、防犯や防災、景観等の観点から近隣住民に深刻な影響を及ぼしています。また、総務省が2013年に行った調査では、全国の総住宅数に占める空き家数の割合は13.5%と過去最高を記録しました。
 こうしたことから政府は、放置され荒廃した空き家の撤去を促すために空き家対策特別措置法を制定したわけです。同法は、市町村長に空き家への立入調査権を与えたほか、空き家の情報収集のために、固定資産税の課税目的で保有する納税者情報の内部利用を認めています。
 原則として、固定資産税はその固定資産が所在する市町村が課税するため、固定資産税に関する情報は市町村が保有しています。しかし、東京23区(特別区)については特例として東京都が課税することになっていて、固定資産税に関する情報は都が保有しています。よって、東京都主税局は、特別区から依頼があったときには速やかに固定資産税に関する情報を提供すると報じたわけです。
 なお、空き家増加の背景には固定資産税の減税措置の問題が存在することから、空き家対策特措法では、自治体が危険であると判断した空き家(特定空き家)について、面積200uまでの部分の固定資産税の課税標準が6分の1まで軽減される住宅用地特例の適用を廃止できる措置もとられています。

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