物価高騰で家計の支出が増えるなど消費税率アップで暗い話ばかりが飛び交う中、切手コレクターや古物商の間で、消費税率8%のいまだからこそ将来必ずお宝になるとして2円切手が注目を集めています。
テレビ番組の影響で、一般家庭の物置に眠っていた骨とう品などが突如表舞台で脚光を浴びるという空前のお宝ブームが巻き起こっていますが、将来必ずお宝として高額な値段がつくと推測されているのが、2円の普通切手です。
消費税率が8%に引上げられた昨年4月、はがき用の切手代金が50円から52円に、封書用の切手代金が80円から82円に値上げされた際に、買い足しするケースがあると見込んで日本郵政が11年半ぶりに発行し始めたものです。切手の図柄に描かれた北海道に生息しているエゾユキウサギの愛らしさが多くの人を魅了しています。
しかし、なぜこの2円の切手が将来一家のお宝になるのか。それは、昨年末の衆議院総選挙で自民・公明の与党が勝利して、消費税率10%への引上げ時期を2015年10月から2017年4月に延期することを決めたからです。2017年4月から、はがき用の切手代金はおそらく53円に、封書用の切手代金もおそらく84円に値上げされることが間違いないことから、2円切手の存在は確実に薄れていくと言われています。切手コレクターの間では「通常、記念切手の場合は未使用でシートのままだと価値が高くなるが、今回の2円切手の場合は消印つきの官製はがきや著名人から送られてきた封書などに貼られたものにプレミアムが付く可能性が高い」と見られています。
このほど、総務省自治税務局固定資産税課が全国の都道府県市町村に対し、平成26年以前に取得した美術品で国税庁の通達改正により新たに減価償却資産と判定されたものに係る固定資産税について、個人事業者及び12月決算法人のみが平成27年度から申告対象となることを通知しました。
税法上、美術品については「時の経過によりその価値の減少しない資産」とされていますが、減価償却を行う美術品を国税庁が「一部の例外」として通達で示しています。
じつは、その通達について昨年、国税庁が改正を実施。これまで「美術関係の年鑑等に登載されていない作者の作品」と「20万円未満の絵画」について減価償却資産として取り扱ってきたものを、「作者が美術関係の年鑑等に登載されているかどうかは関係ない」とし、「100万円未満の美術品については減価償却資産とする」などとする改正を行いました。
減価償却資産に該当した場合、固定資産税が課税されるわけですが、平成26年12月以前に取得した美術品で新たに減価償却資産と判定されたものについても、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度より適用されると、その改正通達に記された部分が問題となったわけです。
具体的には、東京都主税局が総務省に「12月以外に決算を行う法人については、固定資産税の賦課期日である1月1日時点で既存の美術品を減価償却資産とするか否かの判定を行っていない状態であり、このような場合でも、償却資産として取り扱う見込みのある美術品は申告の対象となるのではないか」とする質問状を投げかけたわけです。
その質問に対して総務省は「個人事業者及び12月決算法人のみが平成27年度から申告の対象となり、12月決算以外の法人については平成28年度から申告の対象となる」と判断、東京都主税局だけでなく、全国の道府県市町村にまでその取扱いを通知しました。
成年後見人が面倒を見ている被後見人の所有する自宅の土地建物を売却するときにかかる家庭裁判所への申し立て費用について、このほど東京国税局がその売却した土地建物の譲渡費用として計上しても良いとする見解を示しました。
成年後見人制度とは、精神障害や認知症などにより判断能力が十分でない人が、不利益を被らないように家庭裁判所に申し立てをして、保護してくれる人(成年後見人)を付けてもらう制度のことです。ただ、成年後見人であっても、被後見人が現金をあまり持っていない場合は、身銭を切るのではなく、被後見人の所有する資産を売却して得たお金を被後見人の生活費に充てることになります。
今回、東京国税局が取り扱った事案は、被後見人の生活費をまかなうために被後見人の自宅の土地建物を売却せざるを得なかった成年後見人からの問い合わせに応えたものです。
民法では、被後見人が所有している居住用不動産を売却するときには、家庭裁判所に申し立てて判断を仰ぐことを義務づけています。したがって、被後見人の居住用不動産を売却するときには、絶対に家庭裁判所の許可が必要であって、その裁判所への申し立て費用は居住用不動産を売却するときに必ず発生する費用なのです。
一方、居住用不動産を売却した時には、税務署に譲渡所得税の申告をしなければなりません。そして、納める譲渡所得税は、居住用不動産の売却代金から売却する際にかかった費用(譲渡費用)を差し引いて算出します。すなわち、裁判所への申し立て費用も譲渡費用ならば納める税金が少なくなるわけです。
東京国税局としては、譲渡費用を極力抑えたいところですが、家庭裁判所の許可がなければ被後見人の居住用不動産を売ることができないことから、問い合わせてきた成年後見人が示した「裁判所への申し立て費用も譲渡費用である」とする見解を東京国税局は容認しています。
このほど、民間の調査会社(株)帝国データバンクが「2015年全国社長分析」の結果を公表しました。それによると社長の平均年齢は59.0歳で過去最高を更新し、経営者の高齢化や後継者不足で休廃業に追い込まれるケースが増加しているとしています。
「2015年全国社長分析」は、社長の年齢と2014年の1年間における社長の交代状況に関して調べたものです。分析の対象となったのは、帝国データバンクの企業情報データベースから抽出された「株式会社」と「有限会社」の114万4167社でした。
この調査結果を見てみると、社長の平均年齢は1990年の54.0歳から一貫して上昇していて、2014年には59.0歳となりました。年代構成比を見ても、社長の半数以上が60歳以上であり、社長高齢化の実態が浮き彫りとなっています。
社長交代率を見ると、昨年度より0.16ポイント増の3.83%と、2年連続で僅かながら上昇しました。しかし、リーマン・ショック前は4%台で推移していたことから、社長高齢化の進行速度よりも遅れていて、この数字は未だ低い水準といえます。
年商規模別の平均年齢を見ると、「1000億円以上」の60.7歳が最も高く、「1億円未満」の59.9歳がこれに続きました。「1億円未満」の小規模企業は70歳以上の社長が多く、同社が実施した全国「休廃業・解散」動向調査でも、70歳以上の代表者の企業が休廃業や解散に至った割合は上昇し続けています。
こうした中小企業の事業承継がうまくいっていない状況については、政府も問題視していて、先の税制改正で相続税を80%納税猶予される事業承継税制を改正したばかりです。これまでは、事前に経済産業大臣の確認が必要とされていて、事前に納税猶予制度を利用することを想定していなければ適用できませんでした。ところが、平成25年度税制改正で、経済産業大臣への事前確認が不要となり、相続が発生した後に、納税猶予制度を選択することができるようになりました。新たな事業承継税制が社長の交代シーンにどれだけ効果を発揮するのか、注目が集まっています。
成年後見人が、その後見事務に対する報酬をいつ受領したことにすればよいのか、このほど、名古屋国税局が「家庭裁判所による審判の告知によってその効力が生じた時」とする見解を示しました。
成年後見人とは、精神障害者である成年被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表するなどの後見の事務を行う人のことです。税理士などがその任にあたることができることになっていて、報酬を受け取れることも民法で定められています。
今回、名古屋国税局が、成年後見人が成年被後見人から受け取った後見事務に対する報酬の計上時期について見解を示したわけですが、その前提として、成年後見人は給与所得者であり、受け取った報酬は雑所得として確定申告することになっていました。
雑所得である以上、他人のお手伝いをして得た報酬(人的役務の提供による利益)の収入すべき時期は「役務提供を完了した日」と法律で定められています。したがって、成年後見人の場合は、成年被後見人が判断能力を取り戻すか、または、亡くなるまで、成年後見人として責任を負うと考えられることから、役務提供の完了した日は、その任期満了日である成年被後見人の死亡日などになると思うものです。
しかし、今回問い合わせてきた人が、家庭裁判所の審判により報酬が確定し、その告知を受けて成年後見事務の報酬を得ていることから、名古屋国税局は「その審判の告知によってその効力が生じた時において収入すべき事由が生じたものとして取り扱うことが相当である」という見解を示しました。
定期借地権を設定した際に預かった保証金から得られる経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率を、国土交通省が国税庁との話し合いにより決定し、公表しました。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預かる保証金は、賃借人から返還請求があるまでは、事業投資や金融投資の運用資金に充てることができることになっています。しかし、保証金を無利息で預かっている場合には、経済的利益を受けることになるため、この経済的利益に対して課税する必要性が生じます。
例えば、銀行口座に預金している場合や金銭信託などに運用している場合には、利息等から所得税が源泉徴収されるので経済的利益を気にする必要はありません。しかし、不動産所得や事業所得を生むための資金とした場合や自宅の改修など個人的な目的に使用した場合には、その経済的利益の額をどのように算定するかが問題となります。
そこで、政府は保証金に「適正な利率」を乗じた金額を経済的利益の額と定め、これに所得税を課税することにしています。この適正な利率は、10年長期国債の平均利率によることとなっており、平成26年度中の同利率が0.57%であることから、国税庁は、平成26年分の適正な利率を過去最低となる0.5%としました。
この結果、保証金が事業等の運転資金や事業用資産の取得資金として運用されている場合について、経済的利益の額の計算に用いられる適正な利率は、平均的な長期借入利率の他、0.5%としても差し支えがないことになります。なお、算出された経済的利益の額は、各年分の不動産所得の収入金額と必要経費に同額ずつ算入されることになるため、課税関係は発生しません。
また、上記の場合に該当せず、かつ、保証金が預貯金や公社債、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のときについては、適正な利率を0.5%として求めた経済的利益の額を、各年分の不動産所得の収入金額に算入することになります。
国民総背番号制度、いわゆるマイナンバー制度で税務署などに義務付けられている国税関係の申告書や法定調書に関する本人確認について、税務署などが照合するのに適当と認める照合書類の種類をこのほど国税庁が告示しました。
いよいよマイナンバー制度の導入に向け、今年10月から国民ひとり一人に背番号の配布が始まります。これにさきがけこのほど国税庁が、納税者が提出してくる申告書などに記載された納税者名と申告者が一致しているかどうかを税務署などが確認する際の照合書類を告示しました。
この本人確認については、納税者が提出してきた申告書や法定調書を税務署がチェックする場合と、給与などの支払者が使用者に交付する源泉徴収票などを作成する場合などが想定されています。そして、本人確認には、記載された個人番号が正しい番号であるかどうかの確認(番号確認)と申告書などを提出してきた人がその番号の正しい持ち主であるかどうかの確認(身元確認)が義務付けられています。
その本人確認を行う際に照合する書類について、法律上は「個人番号カード(番号確認と身元確認)」や「通知カード(番号確認)と運転免許証(身元確認)」、「個人番号が記載された住民票の写し(番号確認)と運転免許証(身元確認)」で行うとされていますが、この原則による本人確認が困難な場合があることから、番号利用者(公的機関)サイドで照合書類を別途定めることを可能としています。
そこで、このほど国税庁がその照合書類として適当だとして「パスポートなどの身分証明書」や「写真付き公的資格証明書」、「税務署から送られてきたプレ印字申告書やお知らせハガキ」、「代理人の電子証明書」、「自身の個人番号に相違ない旨の申立書」などを告示したわけです。
大阪府の中央府税事務所で、法人府民税・事業税・地方法人特別税の確定申告書類のうち3件を紛失していることが判明しました。大阪府によると、1月22日の時点ではその3件の書類の外部への流出は確認されていないとのことです。
同府税事務所が紛失した申告書類には、法人とその法人に関与した税理士に関する個人情報が記載されていて、受付処理及び申告納付については完了していました。
今回の不祥事の経緯について大阪府は、昨年11月に申告書の電子データ化を委託している業者から府へ申告書類が引き渡されたものの、翌月にそのうち3件の申告書類の紛失が判明。全担当職員が一斉捜索を行い、委託業者にも捜索を依頼しましたが発見に至らず。今年1月に紛失した申告書類の提出者である3法人に対して謝罪を行なったとしています。
また、大阪府では「電子データ化した申告書情報の一覧表をチェックリストとして出力し、書類の引渡しの際には随時チェックリストによる照合確認を行うことになっていたが、本事案においてはその照合確認が行われていなかった」と説明。電子データ化処理以降いずれかの段階で紛失した可能性が高いとみています。
この不祥事について大阪府は当事者だけでなく府民に対してホームページなどで謝罪し、「各担当職員及び委託業者に対して注意喚起を行うとともに、チェックリストによる管理の徹底など、今後の再発防止に向けて取り組んでいく」としています。