国税庁が国税の電子申告システム(e-Tax)の利用者に対し、インターネットエクスプローラー(Internet Explorer)の暗号化通信の設定を「SSL3.0」から「TLS1.0」に変更するよう緊急告知を行いました。「SSL3.0」を用いたままだと、通信を受け付けないとしています。
平成26年10月に、インターネットの通信暗号化に広く利用されているSSL3.0に深刻な脆弱性があることを米グーグル社が発表。Poodle(プードル)脆弱性と命名し、それがあると、暗号化された通信の内容が第三者に解読されてしまう可能性があるとインターネット利用者に警告を発しました。暗号化された通信の内容が解読された場合、個人情報漏えい、なりすまし、不正送金などの被害にあう可能性があると言われています。
そこで、国税庁もe-Tax(e-Taxソフト、e-Taxソフト(WEB版)及びNISAコーナー)と確定申告書等作成コーナーについて「システムを安全に利用してもらうため、平成26年12月8日に「SSL3.0」を用いた通信を受け付けないようにした」としています。その結果、現在SSL3.0を設定したままe-Tax等の操作を行おうとすると「このページは表示できません。」や「受付システムとの接続に失敗しました。」といったメッセージが表示されます。
国税庁では「e-Tax等は、SSL3.0の次のバージョンであるTLSに対応しているので、暗号化通信の設定を変更したうえで、e-Tax等をご利用ください」としています。
Internet Explorerの暗号化通信が有効となっているかどうかを確認する手順は、まず、Internet Explorerを立ち上げて、ブラウザのメニューバーから「ツール」→「インターネットオプション」を選択します。そして、「インターネットオプション」画面の「詳細設定」タブをクリックし、「セキュリティ」の中の「TLS1.0を使用する」にチェックがない場合は「TLS1.0を使用する」にチェックを入れて、「OK」をクリックしたら設定完了です。
美術品に係る減価償却資産の判定に関する法人税基本通達の一部改正について、国税庁が募集していたパブリックコメントには17通の意見が寄せられ、その意見に沿って改正内容が一部修正されたことが明らかになりました。
書画や骨とうなどの美術品は「時の経過によりその価値が減少しない資産」ですが、現行の法人税基本通達では歴史的価値または希少価値があり、美術関係の年鑑等に登載されている芸術家の作品を除き、取得価額が1点20 万円(絵画については1号あたり2万円)未満の美術品については、例外的に減価償却を行なうことができるとされています。
この取り扱いについて国税庁では「年鑑等への登載」という基準を廃止し、「取得価額が1点100万円未満のもの、さらには100万円以上のものでも『時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの』については、減価償却を認める」方向で通達を見直すことにしています。その見直しについて、パブリックコメントを募集したところ、全国から17通の意見が寄せられました。
その寄せられた意見を考慮し、見直し案に修正を入れながら通達を改正することにしているわけですが、具体的には次のような修正が行われました。
改正通達の原案では、適用時期を「平成27年1月1日以後に開始する事業年度において法人の有する美術品等について適用する」と規定するにとどめていました。しかし、今回の改正を受けて、資産区分が減価償却資産へ変更となる美術品の償却方法に不明確な点があるとの意見が寄せられたことから、当該減価償却資産については「適用初年度開始の日において取得をし、かつ、事業の用に供したものとする」との取扱いが新たに加えられています。
すなわち、すでに取得している美術品を平成27年度以降に減価償却資産として取り扱う場合には、平成27年度から償却を開始し、実際の取得日から平成26年度までの分の償却費を一括計上することなどは認められないということです。
このほど、医師が作成した診断書に類似する書類の発行手数料を、所得税の医療費控除の対象範囲とする見解を東京国税局が示しクローズアップされています。
これまで、医師が作成した診断書などの文書作成料については、通常、生命保険会社などへ給付金等を請求する際の提出書類として使用されることから、医師による診療や治療の対価に該当しないとして、医療費控除の対象にはならないと考えられていました。
ところが、今回東京国税局が示した見解は、医師が作成した文書の作成料も、医療費控除の対象となる医療費に該当するというものです。
今回出された見解は、ある納税者が「私は、右手人差し指の切創の診療に際し、当初診療を行ったA市民病院からいわゆる紹介状を受け取り、紹介先のB整形外科医院に本件紹介状を交付して引き続き治療を行った。本件紹介状の作成料として、A市民病院に健康保険が適用される文書料を支払っているが、この文書料は、紹介先のB整形外科医院での治療に必要な費用と考えられるので、医療費控除の対象となる医療費に該当するのではないか」とした照会に東京国税局が答えたものです。
その納税者は「本件紹介状は、A市民病院が、今後運動障害が出現する可能性もあると判断したため、その後の診療をB整形外科医院で継続して適切に受けることができるよう作成されたものであり、B整形外科医院での診療に当たりB整形外科医院に交付されたものであることからすれば、本件紹介状に係る文書料は、B整形外科医院による診療を受けるために直接必要な費用と考えられる」などと説明。それに対して東京国税局は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。
国税庁が、平成25年分の相続税の申告状況について発表しました。それによると、申告税額が平成13年以来となる1.5兆円を上回ったことがわかりました。相続税の課税強化がスタートする来年からの申告税額の増加が早くも大きな話題となっています。
国税庁の調べによると、昨年1年間で亡くなった人(被相続人)の数は約127万人(前年比約1万2,000人増)で、このうち相続税の課税対象となった被相続人の数は約5万4,000人(同約1,800人増)でした。課税割合は4.3%(同0.1ポイント増)で、こちらも平年並みでした。
課税対象者が1,800人ほど増えたことから、相続税が課税された相続財産の総額(相続税の課税価格)は11 兆 6,253 億円にのぼり、前年より約8,000億円(同7.8%増)増えています。被相続人1人あたりの課税価格は2億 1,362 万円(前年比4.2%増)でした。
今回、大きな変化があったのは申告税額です。平成14年から平成24年までの11年間では、その申告税額は1.1〜1.3兆円で推移していました。ところが、平成25年は1兆 5,367 億円と、前年に比べ22.8%増加し、1.5兆円台をマークしたのです。被相続人1人あたりの税額についても、18.4%増の2,824 万円にまで増えています。
また、相続財産の種類にも変化が見られます。今回も一番多かったのが土地で、全体の41.5%を占めました。2番目が現金・預貯金等の26.0%で、3番目は有価証券の16.5%の順となっています。ただし、この相続財産の種類について過去の推移を見てみると、不動産の割合は明らかに減少していて、対照的に金融資産の割合が上昇しています。ちなみに、現在の基礎控除額が定められた平成6年では、土地が70.9%を占め、現金・預貯金等が9.4%、有価証券が8.3%でした。
来年1月5日から国税の電子申告システム(e-Tax)の使い勝手が一段と良くなります。
e-Taxソフト(WEB版)で送信できる法定調書の上限枚数が100枚から一挙に5000枚に拡大されます。
e-Taxソフト(WEB版)を利用して法定調書を作成・提出する場合、法定調書に記載しなければならない情報を1枚ずつ入力して提出する方法と、エクセルなどのソフトで作成したデータをCSVファイル(ファイル名.CSV という形式で保存すること)にして提出する方法の二通りがあります。
このほど、国税庁はその二通りの提出方法で送信できる法定調書の合計枚数の上限を拡大しました。具体的には、現在、二通りの提出方法で提出できる法定調書は、給与所得の源泉徴収票など6種類あるわけですが、送信できる枚数が各調書につき100枚が上限とされています。この法定調書の送信容量について、平成27年1月5日(月)から6種類の法定調書の合計枚数の上限が、5000枚かつデータサイズ10MBまでと大きくなるわけです。
6種類の法定調書とは「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」のことですが、注意しなければならないのは、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(社会保険診療報酬基金用)」については今回の上限拡大の対象外とされていることです。
また、e-Taxのシステム上、CSVファイルを読み込み、受付可能なxtx形式に変換するため、データサイズが増加します。よって、合計5000枚以内でもデータサイズが10MBを超えることがあるわけです。それについて国税庁では「例えば、給与所得の源泉徴収票であれば、4000枚程度を目安に作成することをお勧めします」としています。
国税庁がこのほど、平成26年度(第64回)税理士試験の結果を発表しました。それによると、またも受験者数や合格者数が前年度を下回っていて、将来の業界の担い手不足が顕著になっています。
今年の税理士試験の受験者数は、前年の45,337人から約9.5%減の41,031人でした。この受験者数については平成18年度より下降し続けています。とくに、今年は受験申込者数が49,876人で5万人の大台を割ったということも大きな特徴といえます。
受験者数が減った分、合格者数も減っていて、前年の8,348人から約17.2%減の6,909人でした。
一方、合格率については、前年の18.4%から16.8%に下落し、過去の実績と比べても低い数値となりました。国家資格試験の中でも難関になりつつあるといえます。税目別に見てみると、消費税法の合格率が1.5ポイント減の10.3%、住民税の合格率が3.3ポイント減の8.7%と極めて低い水準になり、他税目の合格率もそれほど伸びていないことから、試験問題の難易度も全体的に上昇していると考えられます。
受験者数を年齢別に見ると、41歳以上の層では前年と比較して大きな変動はなかったのですが、40歳以下の各年齢層ではいずれも1,000人近く減少し、最も受験者数の少なかった25歳以下の層は僅かに5,547人に留まりました。また、科目別では、初学者が受けることの多い簿記論と財務諸表論の受験者数が大きく数を減らしています。
このように、若年層で深刻な税理士試験離れが見られ、新規の受験者を獲得することができていない状況があることから、国税庁では「税理士業界の人手不足や高齢化が懸念される中、今後いかに若い人材を業界に呼び込むかが大きな課題である」としています。
このほど、国税庁が平成26年分の所得税確定申告期間中のe-Tax(国税の電子申告システム)の利用時間と、システムの使い方に関する相談窓口のe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間を発表しました。
通常e-Taxを使って確定申告が行える時間帯は、毎週月曜日から金曜日までの8時30分から24時までとされています。しかし、国税庁では、所得税の確定申告期間について、混雑緩和と納税者サービスの一環として、これまで利用可能時間(確定申告書の送信可能時間)を拡大してきました。
今回も利用時間の拡大を行うことにしているわけですが、具体的には、平成27年1月13日(火)から3月16日(月)までの全期間 (土日祝日を含む)24時間利用可能にすることにしています。
ただし、初日の1月13日(火)は、午前8時30分からの利用となるほか、3月16日(月)以外の毎週月曜日午前0時〜午前8時30分については、メンテナンスを行うため、利用できないとしています。さらに、3月16日(月)の24時を過ぎて受信した平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告・贈与税申告のデータは、確定申告期限後に提出されたものとなるので注意が必要です。
e-Taxの利用開始手続やe-Taxソフト、確定申告書等作成コーナーのパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応してくれる専門窓口のe-Tax・作成コーナーヘルプデスクについても利用時間が拡大されます。
通常、同デスクの利用時間帯は月曜日から金曜日までの9時から17時とされていますが、平成27年1月13日(火)から3月16日(月)までは、基本的に2月11日(祝日) を除く月曜日から金曜日までと2月22日、3月1日・8日・15日の日曜日について、9時から20時まで受け付けることにしています。
民間の事業者が太陽光発電設備の認定業者から設備を購入して売電事業を行う場合においても、再度設備認定を得る必要なく即時償却ができることを、このほど東京国税局が明らかにしました。
特別措置として、青色申告書を提出する法人と個人が、太陽光発電設備を平成27年3月31日までに取得し、その日から1年以内に事業を開始した場合、その事業年度において設備の取得費用の全額を損金算入することができる即時償却制度がさきごろ創設されました。条件としては太陽光発電設備について、再生可能エネルギー特別措置法に基づく設備認定を受けなければならないことになっています。
ところで、再生可能エネルギー特別措置法では、まったく別の事業を行っている人でも、太陽光発電設備の認定を受けている会社からから太陽光発電設備を購入して売電事業を行なえることになっています。そのため、売電事業を検討している人たちの間では、認定事業者から太陽光発電設備を購入した場合も、認定手続を再度経ることなく即時償却が可能なのだろうか、という疑問がありました。今回は、その疑問をダイレクトに東京国税局に照会した事業者に対して同国税局が答えたものです。
結論として東京国税局は、事業に使用される前に設備の譲渡が行われ、売買契約書や軽微変更届出書などにより事業者の変更が行われた事実が確認できるのであれば、認定者と事業者が異なっていたとしても、即時償却の適用を受けることができるものと解して差し支えないと判断。設備の所有者の変更は、省令上「軽微な変更」に該当することから、質問した事業者は軽微変更届出書を提出すれば足りることになり、再び設備認定を申請し直す必要はないという見解を示しています。
東京都など首都圏の9都県市がこのほど、「個人住民税の特別徴収推進に関する9都県市共同アピール」を宣言しました。
今回の共同アピールは、9都県市が連携協力して安定的な税収の確保を図るために行ったものです。というのも「首都圏では、多くの通勤者が都県域を越えて行き交っており、特別徴収を効果的に推進するためには、9都県市が一体となって取り組むことが必要である」からです。
通常、サラリーマンは個人住民税について、自分で申告納税する普通徴収と、給料から勤務先が天引きする特別徴収とを選択適用できることになっていますが、原則として、地方税法では事業主を特別徴収義務者と定めています。しかし、この原則がなかなか理解されておらず、特別徴収を実施していない事業主が少なくないわけです。
個人住民税は、平成19年度から開始された税源移譲によって、地方自治体の貴重な自主財源となっていて、その確保は非常に大きな課題となっています。 そのため、9都県市では、これまで特別徴収の推進に個別に取り組んできたわけですが、あまり効果が上がっていません。その要因として、首都圏の個人住民税特別徴収の対象となる納税者が都県域を越えて活動しているという実情があったわけです。今回の共同アピールでは「9都県市が一体となって、より適正かつ円滑な制度の運用を目指す」などとしています。
先ごろ、会計検査院が安倍首相に報告した平成25年度決算検査報告がクローズアップされています。とくに全国の税務署が取りこぼした法人税が1億4,518万円もあったことが問題視されています。
いま、衆議院選挙で最大の争点となっているのはアベノミクスの継続の是非ですが、そのアベノミクスの目玉といわれているのが法人税の減税。現在35%程度の実効税率を来年度から5年で20%台に引き下げることを目指しています。
ところが、ここへきて会計検査院が平成25年度決算報告書で不当事項として全国の税務署が年間で2億5,733万2,901円も取りこぼしていたことを指摘。なかでも一番多かったのが法人税で約50法人から年間1億4,518万4,500円も取りこぼしていました。
こうした状況について、多くの納税者が「今後、税率が引き下げられて税収が少なくなる可能性のある法人税だけに、取りこぼしがこんなにあると法人だけが優遇されているように思えてならない」と苦言を漏らしています。
ちなみに、今回の会計検査院の決算報告書では、1年間で国の公的機関が使った税金について402件の不当事項を把握し、総額2,831億7,398万円がムダな使われ方をされたと指摘しています。一番不当事項の多かった行政機関は厚生労働省で、支出だけを見ても206件総額847億1,195万円を浪費しています。