過去のニュースを見る>>

退職所得の選択課税の特例で非居住者が後日追加支給を受けた一時金も退職金になる

2014年11月25日

退職金については、収入金額の半額に所得税が課税されることから、退職後に年金払いで受け取る一時金についても、退職金として申告したいものです。このほど、東京国税局が退職所得の選択課税の申告書を提出している非居住者が追加支給を受けた一時金も、退職金として取り扱えることを明らかにしました。

 今回の取り扱いは、社内退職金制度と確定給付企業年金制度という2つの退職金制度を持つ企業からの問い合わせに東京国税局が答えたものです。
 その企業の社員Aは、海外の勤務地で非居住者となったまま退職したわけですが、退職時に支給した社内退職金については、退職所得の選択課税の申告書で所得税の申告を行いました。というのも、2分の1課税となる退職金課税の特例は、原則として国内で勤務していた期間に対応したものに適用されることになっていて、海外で勤務した期間に対応する退職金も含めて退職金課税の特例を適用するには、退職所得の選択課税の特例(申告書)を利用するしかなかったのです。
 問題は、退職後に支払われる確定給付企業年金(一時金)でした。すでに、社内退職金については申告を終えているものの、退職所得の選択課税の申告書により、非居住者として海外で受け取る一時金も退職金に含めることができるのではないかと考えられたからです。
 具体的には「社員Aは、当社を退職することにより社内退職金及び本件一時金の支払を受けることとなるので、本件一時金は、これらの退職手当等のうち最初に支払を受けた社内退職金と同じ年分の退職所得となる。よって、本件一時金は、社内退職金に係る選択課税の申告書の内容に含めて所得税額を計算することになると考えられる」とG社は東京国税局に照会。それに対して、東京国税局は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しています。
 これにより、社員Aは更正の請求をして一時金を退職所得として申告することが可能となったわけです。

▲ページトップへ戻る

海外資産関連の相続税申告漏れが統計開始以来最多をマーク

2014年11月25日

全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間に実施した相続税調査の状況を国税庁がまとめました。それによると、海外にある相続財産の申告漏れ件数などが、統計開始以来最多をマークしています。

 国税庁のまとめによると、相続税の実地調査の総件数は1万1,909件(対前事務年度比97.5%)でした。このうち申告漏れがあった件数は9,809件(同98.5%)で、申告漏れ課税価格は3,087億円(同92.2%)といずれも減少しています。これは、昨年行われた国税通則法の改正で税務署サイドの事務作業が増え、1件当たりの調査期間が伸びたことなどが影響したものです。
 今回の特徴は、海外資産関連の調査事績にあります。実地調査件数が753件(同104.4%)と微増でしたが、海外資産に係る申告漏れが把握された件数は124件(同109.7%)で、申告漏れ課税価格が163億円(同620.0%)と急増しました。しかも、1件当たりの申告漏れ課税価格は1億3,146万円(同565.0%)と高額でした。いずれも、国税庁が統計を取り始めて以来最多の数値となっています。
 国税庁では「経済のグローバル化に伴う企業や個人の海外取引や海外資産の保有・運用形態の複雑化・多様化に対応するため、租税条約等に基づく情報交換制度の活用など、国際的な取り組みに努めている。また、昨年度からは、一定の条件を満たした国外財産について申告を義務づける国外財産調書制度も開始されており、今後も海外資産については積極的な調査を実施していく」としています。

▲ページトップへ戻る

消費税の税率引き上げ前の駆け込み需要で従業員の給料もアップ―国税庁調べ

2014年11月17日

国税庁が昨年12月31日時点のサラリーマン、OLの給与所得の実態調査(25年分の民間給与実態統計調査)の結果を公表しました。それによると、正社員で働いている男性は前年よりも年間で9万3千円アップしています。

 民間給与実態統計調査は、国税庁がランダムに選定した標本事業所の給与台帳を基にして、一定の抽出率により標本給与所得者を抽出したものです。今回も平成25年12月31日現在の給与所得者の実態を調査したわけですが、給与所得者の総数は、5,535万人で前年よりも2.1%増(113万人の増加)えています。
 また、平成25年中に民間の事業所が支払った給与の総額は200兆3,597億円で、これも前年よりも4.8%増(9兆2,600億円の増加)しました。源泉徴収された所得税額も8兆7,160億円(対前年比11.4%増、8,920億円の増加)となっています。
 注目されている正社員として1年を通じて勤務した給与所得者ですが、総数は、4,645万人(対前年比2.0%増、90万人の増加)で、その平均給与は414万円(同1.4%増、5万6千円の増加)でした。男女別にみると、男性が2,754万人(同1.0%増、27万人の増加)で、女性は1,892万人(同3.4%増、63万人の増加)。平均給与は男性が511万円(同1.9%増、9万3千円の増加)で、女性は272万円(同1.4%増、3万7千円の増加)となっています。
 安倍政権がスタートして1年目ですが、給料が増えたのは、消費税の税率引き上げ前の駆け込み需要などによる好景気が反映したといえます。

▲ページトップへ戻る

消費税率10%への引上げに企業の約7割が否定的−帝国データバンク調べ

2014年11月17日

2012年に成立した改正消費税法では、来年10月に税率を8%からさらに10%へ引き上げることが明記されていますが、企業の約7割が予定通りの引き上げに否定的であることが帝国データバンクの調査で分かりました。

 帝国データバンクは、今年10月20日から31日にかけて、全国2万3,327社を対象に「消費税率再引き上げに対する企業の意識調査」を実施。1万755社(回答率46.1%)から有効回答を得たとしています。
 その調査結果によると、「時期を延期して引き上げるべき」と回答した企業が32.1%で最多となり、3割以上の企業が税率再引き上げの先送りを求めました。
 次に多かったのが、現行の8%を維持すべきとする「引き上げるべきではない」と回答した企業は27.4%です。3番目の「予定通り引き上げるべき」と回答した企業は25.3%でした。すなわち、「延期」「現行維持」「引き下げ」を合計すると、企業の66.1%約7割が来年10月の10%への引き上げに否定的だったわけです。
 規模別にみると、税率再引き上げに否定的な声は企業の規模が小さくなるほど大きくなり、賃金の上昇が税率の引き上げに追いついていないなど、中小企業や小規模企業が政府の経済政策による景気回復を実感できていない現状を訴える意見もみられました。
 財政や社会保障といった将来の世代が受ける負担に関して理解を示す企業は多いものの、そのタイミングについて見解が分かれる結果となっています。また、延期を望む企業のなかには、国の歳出の不透明感や議員の定数削減など他の問題を指摘する声もあり、帝国データバンクでは「政府には広い視野をもって決断することが求められている」としています。

▲ページトップへ戻る

消費税の転嫁拒否等調査で国税庁が「個別の税務情報は横流ししていません」

2014年11月10日

税務署から「消費税の転嫁拒否等に関する調査」と題する調査票が送られてきて、多くの事業者が戸惑っています。税務署に申告している会計データを、税務署が中小企業庁などに漏らしているのではないかと不安を抱いているわけです。

 「消費税の転嫁拒否等に関する調査」が税務署から送られてきて、会社経営者がまず思うのが、毎年申告している法人税や消費税の確定申告データが公正取引委員会や中小企業庁などに横流しされているのではないかということです。
 これについて国税庁では「今回の書面調査に関しては、中小企業庁から消費税転嫁対策特別措置法第16条第2項に基づき、『消費税の転嫁拒否等に関する調査』に係る調査票の送付についての協力依頼があったので、税務署から送付しているだけです。納税者の個人情報等については、税務署から中小企業庁等に一切提供していません」としています。
 具体的には、「今般の消費税率の引上げに伴う消費税の円滑かつ適正な転嫁については、政府全体で取り組むこととされています。その取組の一環として、公正取引委員会及び中小企業庁では、商品又は役務(サービス)を供給している事業者が、取引先事業者(買手事業者)から消費税の転嫁拒否等の法律上問題となる行為を受けていないかを把握し、問題となる行為の是正につなげるため、書面調査を実施しているところです」(国税庁)としています。
 そして、その説明でも疑いがはれない人もいることから、「回答用紙の回答者氏名欄等の記載は、任意とされています」として、匿名での回答も可能であることを示唆しています。

▲ページトップへ戻る

国民年金保険料の2年前納制度始まる。社会保険料控除の適用方法明らかに

2014年11月10日

今年4月から国民年金保険料の2年前納制度がスタートしましたが、いま多くの納税者が来年の所得税の確定申告でどのように社会保険料控除を適用すればよいのか戸惑っています。

 所得税の確定申告では、年間に納めた国民年金保険料を社会保険料として年間の所得から控除することができることになっています。そのため、国民年金保険料を2年前納した場合の所得控除に関する取扱いが問題となるわけです。
 国民年金については、保険料をまとめて前払いすることで割引を受けることができる前納制度があり、今年度からこれまでの6カ月前納と1年前納に加えて、さらに割引額が大きくなる2年前納がスタートしました。
 そこで、このほど国税庁では、2年前納された国民年金保険料を所得から控除する場合の取り扱いを明示。「全額を納めた年に控除する方法」と「各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法」のどちらかを選択できることにしました。
 ただし、後者の分割控除の方法で申告を行う場合は、所得者自らが各年において「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を作成することとし、確定申告により控除を受ける場合は税務署に、そして、年末調整により控除を受ける場合は給与等の支払者に、日本年金機構が発行した控除証明書とともに提出することとしています。
 気を付けなければならないのは、控除証明書は翌年に自動的に発行されないということです。適用する人は、翌年は再発行を依頼しなければなりません。

▲ページトップへ戻る

会社経営者らが早くも消費税率引き上げ時の経過措置に注目

2014年11月04日

安倍首相が12月10日以降に、消費税の税率を来年10月に10%に引き上げるかどうかの判断をするとみられていますが、早くも10%に引き上げられた場合の経過措置が会社経営者らの間で取り沙汰されています。

 消費税率を現行の8%から10%へ引き上げるにあたり、市場の混乱を避けるための経過措置については、今年9月に消費税法施行令が改正され、消費税率を8%へ引き上げた今年4月の場合と同じ様に、具体的な措置が図られました。
 例えば、電気料金などの公共料金については「継続供給契約に基づき、平成27年10月1日前から継続して供給している電気、ガス、水道、電話、灯油に係る料金等で、平成27年10月1日から平成27年10月31日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するもの」は、現行の8%の消費税率が適用されるとしています。
 また、建設業などの請負工事などについては「平成25年10月1日から平成27年3月31日までの間に締結した工事(製造を含む)に係る請負契約(一定の要件に該当する測量、設計及びソフトウエアの開発等に係る請負契約を含む)に基づき、平成27年10月1日以後に課税資産の譲渡等を行う場合における、当該課税資産の譲渡等」について、8%の税率が適用される措置が講じられています。
 いずれにしても、この経過措置を把握しておかなければ、10%の消費税率が課税される可能性があるため、会社経営者らにとっては、いまから対策を練る必要があるわけです。

▲ページトップへ戻る

マイカー通通勤手当の非課税限度額が引上げられた

2014年11月04日

今年10月17日に所得税法施行令が一部改正され、自動車や自転車などで通勤するサラリーマンに支給されている通勤手当の非課税限度額が引き上げられています。

 税法上、会社が従業員に支給する通勤手当については、一定の限度額まで所得税を課税しないとしています。通勤手当の種類には、「交通機関(電車やバスなど)や有料道路を使用する人に支給する通勤手当」や「交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券」などがありますが、今回は「自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当」が改正されました。
 そもそも自動車や自転車などで通勤している人に支給する手当の1カ月当たりの非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて段階的に定められています。
 例えば、片道30キロメートルの距離を自動車で通勤している従業員に月額1万8,000円を支給した場合、改正前の非課税限度額は、通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満の場合は1万6,100円が非課税限度額だったので、超過した1,900円に所得税が課税されていました。
 今回の改正で、その非課税限度額が1万6,100円から1万8,700円に引上げられました。したがって、支給額1万8,000円の全額が非課税となるわけです。
 今回の通勤手当の非課税限度額の引上げは、8月の人事院勧告を踏まえ、国家公務員の通勤手当が引き上げられたことから行われたものです。
 なお、改正後の非課税限度額は今年4月まで遡及適用されます。すでに支払われた今年4月から10月までの7カ月間の通勤手当については、今年の年末調整で精算することになっています。

▲ページトップへ戻る