国税庁が第65回目となる平成25年分民間給与実態統計調査の結果を公表しました。それによると第二次安倍内閣が進めているアベノミクスの効果が如実に表れています。
平成25年分民間給与実態統計調査で、まず注目されているのが「平成25年12月31日現在の民間の事業所の源泉徴収義務者数は349万件で、前年より1万件減少したにもかかわらず、給与所得者数が5,535万人となり、前年より113万人(2.1%)も増加」している点です。
1万件も事業所が減少しながらも、就業者がグンと増えたということは、業績を回復している会社が増えていることを意味します。
次に、確認しておきたいのは、やはり平均給与です。調査の結果、一人当たりの年間の平均給与は414万円となり、前年に比べて1.4%増加しました。これを男女別にみると、男性の平均給与が511万円で、女性の平均給与は272万円でした。前年に比べて、男性は1.9%増加し、女性も1.4%増加しています。
さらに、正規社員と非正規社員について見てみると、正規社員の平均給与は473万円で、非正規社員の平均給与は168万円となっています。前年に比べ、正規社員は1.2%増加したものの、非正規社員は0.1%減少しました。非正規社員の平均給与が減少したのは、非正規社員の数が1,040万人と前年よりも5.3%増加したことが大きく影響したものと思われます。
企業の業績を改善し、雇用拡大や所得上昇につなげて、さらなる消費の増加をもたらそうというアベノミクスは、着実に効果をあげていることを今回の調査結果が裏付ける格好になっています。
このほど、国税庁が「平成26年分年末調整のしかた」を作成しましたが、その中で留意事項として昨年の年末調整で「復興特別所得税」の計算漏れが目立ったことを大きく取り上げています。
国税庁によると、平成25年分の所得税の確定申告で、同年分から申告がスタートした復興特別所得税の税額を空欄のまま申告する事例が多発し、なんと記載漏れの件数は45.7万件もあったとしています。
原則として、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に、事業者は従業員に給料を支給する際、源泉所得税を徴収するとともに復興特別所得税を徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならないことになっています。
したがって、年末調整において年税額を計算する際にも、復興特別所得税を含めた年税額(年調年税額)を算出する必要があるわけです。具体的に年調年税額は、算出所得税額から住宅借入金等特別控除額を控除した後の税額(年調所得税額)に102.1%を乗じて算出するしくみになっています。
国税庁では、25年分の所得税の確定申告で復興特別所得税の税額を空欄のまま申告してきた事業者を中心に、記載漏れがないよう今後税務署単位で開く説明会などで指導していくことにしています。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF、小栗七生会長)は、今年7月7日から8月31日にかけて行った「自動車税制に関するアンケート調査」の結果を公表しました。それによると、回答者の98%が自動車にかかる税金を負担(きつい)と感じています。
今回のアンケートは、全国の18歳以上の自家用乗用車を保有している人を対象に行ったもので、前年の2万4729名を大きく上回る3万598名から回答を得たものです。
主な調査結果を見てみると、まず、本来の税率を上回る税率が「当分の間」として維持されていることについて、9割以上が「反対」と回答。しかも、自動車重量税は9割以上が廃止すべきと回答しています。
次に、自動車取得税廃止に合わせて、自動車税に環境性能課税が上乗せされることについては、8割以上が「自動車取得税を廃止した意味がなくなるので反対」を表明。ガソリン税のTax on Taxの是正を9割以上の回答者が望んでいることもわかりました。
また、地方ほど大きな負担を強いる現行の自動車税制を、国や地方の財政状況が厳しいという理由で維持することについて、回答者の85%が「自動車関係諸税を軽減し、必要な財源はその趣旨に応じて別途検討すべき」と考えています。初期登録から13年経過車に自動車重量税および自動車税の重課が強化されたことについては、8割以上が反対しました。
いずれにしても、回答者の98%が自動車にかかる税金をきついと感じていることがわかりました。この比率は3年連続で変わっていません。JAFは、こうした自動車ユーザーの声を来年度の税制改正に反映させるために「本アンケート結果に基づいた要望書をとりまとめ、自動車関係諸税の簡素化・負担軽減と公平、公正な税制の実現に向けて、今後さまざまな要望活動を展開していく」としています。
財務省・国税庁が国税の電子申告システム(e-Tax)をもっと使いやすいものにするために「改善取組計画」を発表しました。注目されているのは、納税者番号制度(マイナンバー制度)への対応です。
e-Taxの改善取組計画は、「オンライン手続の利便性向上に向けた改善方針」(平成26年4月1日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づいて、財務省・国税庁が、オンライン手続の利便性向上に向けて今年9月18日に決定したものです。
改善促進手続には、国民・企業等が広く利用するオンライン手続のうち、利用頻度が高い年間申請等件数が100万件以上のもの及び主として企業等が反復的または継続的に利用する手続として国税関係15手続について改善していく方針を打ち出しています。
平成18年度から取り組んでいる「税理士等が納税者の依頼を受けて税務書類を作成し、電子申告等を行う場合、納税者本人の電子署名を省略」することや、平成19年度から取り組んでいる「所得税の医療費控除について、医療費の領収書や給与所得の源泉徴収票等は、記載内容を入力して送信することにより、添付を省略できる」としたことなど、ほとんどが今後も継続して便利なものに改良していくとされています。
そういったなか、新規の取り組みとして注目されているのが納税者番号制度への対応です。具体的には「番号制度の導入に向けた詳細設計を踏まえ、給与所得の源泉徴収票等について、電子的提出先を地方税当局へ一元化することを検討」としています。
国税庁では「同計画に基づいて、更なる利用者の利便性向上を図りつつ、e-Taxの一層の普及及び定着に取り組んでいく」構えを見せています。
国税庁が9月26日(金)と同月29日(月)に一部の時間帯で、一部の電子納税が利用できなくなることを告知しています。7月決算法人などは要注意です。
国税庁によると「9月26日と同月29日は、e-Taxと接続している外部システムのメンテナンスの影響で、一部の時間帯において情報リンク方式を利用したインターネットバンキングでの国税の納付が利用できなくなる」としています。
情報リンク方式とは、「受信通知」や「納付区分番号通知確認」画面から、収納機関番号や利用者識別番号などを入力することなく、利用している金融機関のインターネットバンキングの税金・各種料金払込みにリンクして納付する方式のことです。
このインターネットバンキングが利用できない時間帯は、9月26日が18時から24時で、29日が8時30分から9時までの間です。ただし「利用制限時間がメンテナンス作業の進捗状況によって前後することもあるので、あらかじめご了承ください」(国税庁)としています。
基本的にe-Taxの利用可能時間は、月曜日から金曜日までの8時30分から24時(祝日等及び12月29日から1月3日を除く)までとなっていて、電子納税については、このe-Taxの利用可能時間内で、かつ、利用している金融機関のシステム(インターネットバンキングやATM等)が稼動している時間となっているため、今回のようなことが起きるわけです。
9月下旬に国税を納めるのは、主に7月決算法人で、法人税と消費税の確定申告だけではなく、今年は納付のタイミングにも気を付けたいものです。
東京都が「地方法人課税を巡る動向と東京都の主張〜今こそ地方自治の原点に立ち返った議論を〜」を作成し、世論を喚起しています。
この秋に政府・与党が、法人税改革に向けた議論を行うことにしていることから、東京都では、これまで行われてきた税制度の不合理な変更を含め、地方法人課税に関して見直しを迫る重要な局面と捉えているわけです。
そこで、今回の主張をまとめたわけですが、まず、地方財政制度について、現在、国と地方の歳出比率が4:6なのに対し、国民が負担する租税収入の配分における国と地方の比率は、6:4と逆転した状況となっていることから、東京都は「地方消費税の拡充をはじめとする地方税の充実・強化により、国と地方の税収比率を歳出比率に見合うものにしていかなければならない」と訴えています。
次に指摘しているのが、度重なる地方法人課税制度の変更です。平成20年度には法人事業税の一部が、地方法人特別税として国税化され、その税収は地方法人特別譲与税として課税根拠と無関係に配分されるようになりました。また、平成26年度には、法人住民税の一部が地方法人税として国税化され、その税収は、全額が地方交付税の原資とされています。東京都には、地方交付税が配分されないため、この二つの改正で年間1兆1800億円も財政が削られた格好になっているわけです。
しかも、この秋の法人実効税率の引き下げの議論では、東京都などに超過課税の廃止などを要請する構えを政府が見せていることから、東京都は「景気動向に左右されやすく、不安定な構造を有した法人二税に大きく依存する都財政において、確実な代替財源なき税率の引下げは、将来に深刻な影響を及ぼす」と危機感をあらわにしています。
国民総背番号制いわゆるマイナンバー制度の導入に備え、このほど国税庁が個人番号の取り扱いの詳細を記した特定個人情報保護評価書を公表するとともに、同評価書に対するパブリックコメントの募集を開始しました。
税と社会保障の一体改革で政府が目指しているのは、個人の収入や所有する資産を正確に把握したうえで、真の弱者に対して経済的支援を行うことにあります。そのためには、膨大な情報を瞬時に処理できるコンピュータを駆使しなければならないことから、マイナンバー制度を導入せざるを得ませんでした。
しかし、マイナンバー制度により付された番号を搾取した者が、すぐさま個人の収入や所有資産の情報を把握できるようでは、行政への信頼を大きく損なうことになります。そこで、政府は個人番号を取扱う官公庁に対して個人情報の入手から保管、使用、消去までをどのような方法で、また、どういったシステムで行うかを書面で明らかにして、国民にその安全性を宣言する特定個人情報保護評価書の作成を義務付けたわけです。
今回、国税庁が公表した特定個人情報保護評価書には、納税申告書や源泉徴収票などの法定調書をマイナンバーで管理することや、マイナンバーを税務調査や税金を徴収する際などに使用すること、そして、現在稼働している国税の電子申告システム(e-Tax)や国税庁の内部システム(KSKシステム)にも連動して使えるようにすることなどが事細かに記載されています。
このほど、中央省庁の平成27年度税制改正要望が出そろいました。想定されていた通り、経済産業省が法人税率の引き下げを求めてきましたが、国土交通省などからの想定外の改正要望も注目を集めています。
中央省庁が政府に提出した平成27年度税制改正要望で、やはり一番話題を集めているのは、経済産業省の法人税率の引き下げ要望です。法人税の実効税率について「来年度から法人実効税率の引下げを開始し、数年で20%台まで引き下げる」ことを要望しています。
そして、中小企業者等に係る法人税の軽減税率(年800万円以下の所得金額に適用。本則19%・租税特別措置15%)についても「法人実効税率の引下げの検討状況を踏まえつつ、その引下げを目指す」ことを求めています。
想定外だったのは、国土交通省の「住宅資金贈与の特例の拡充」要望です。直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一般住宅で500万円まで、質の高い住宅の場合は1,000万円まで贈与税を非課税とする特例について、平成29年12月31日までの間の贈与は、最大3,000万円まで贈与税を非課税とするなどの拡充を求めています。
一方、愛煙家にとっては、また耳の痛い改正要望が厚生労働省から出されています。国民の健康の観点からたばこの消費を抑制するため「たばこ税及び地方たばこ税の税率を引き上げる」ことが要望されています。
8月29日、自民、公明の与党両党が、7月8日から続けてきた消費税の軽減税率導入に関する各種業界団体へのヒアリングを終了しました。最終日に参加したのは19団体で、これで全部で62団体から意見を聴取したことになります。
29日は衆議院第2議員会館で与党税制協議会は開かれ、生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率の導入に向け、19の団体にヒアリングが行われました。
この日、参加した日本チェーンドラッグストア協会は、消費税率10%引き上げ時の軽減税率導入に賛成すると表明。食料品全般を0%に近い税率にすれば、購買活動が活性化され、日本経済の発展につながるとの考えを示しました。
一方、全国知事会は、軽減税率の導入による税収減が社会保障の安定財源確保に影響を与えるとして、「導入は慎重に検討してほしい」と要請。これについて公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、「社会保障の財源確保に影響が出ることはない」ことを説明しています。
なお、マスコミの報道によると軽減税率導入に賛成したのは24団体で、26団体は反対を表明したとされています。
国税庁が白色申告者に対して、全国の国税局・税務署が開催する記帳説明会に積極的に参加するよう呼びかけています。同説明会は、10月10日が申込みの締切日で、参加者が集まった段階で開催日時・場所を決める方式で開催する予定です。
今年1月から個人の白色申告者で事業や不動産貸付業などを営んでいるすべての人に、記帳と帳簿書類の保存が義務付けられました。これまでは、白色申告者でも前々年分あるいは前年分の事業所得などの合計額が300万円を超えた人だけが記帳と帳簿等の保存制度の対象者でした。
したがって、ここ数年、確定申告を行っていない白色申告者もいるため、国税庁も実態が把握できていないといわれています。そこで、全国の税務署を主催者として記帳説明会を開催し、未掌握の白色申告者の把握に努めているわけです。
なお、記帳説明会の対象となる人は、事業所得、不動産所得又は山林所得を生じる業務を行う全ての人です。所得税及び復興特別所得税の申告が必要ない人も、記帳・帳簿等の保存制度の対象となります。
そして、説明会では税務署の職員が講師となり、売上げなどの収入金額や仕入れと経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額などの記帳方法を解説することになっています。一方、帳簿・書類の保存期間については、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿が7年間で、業務に関して作成した任意の帳簿や業務に関して作成した書類、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類は5年間保存しなければならず、その保存の仕方も教えてくれることになっています。