株式会社三井住友フィナンシャルグループのシンクタンク株式会社日本総合研究所(小方尚子主任研究員)が、このほど「消費税増税後、前回の税率引き上げ時のような消費の腰折れはない」とするレポートを発表しました。
いま、4月の消費税率引き上げに向け、駆け込み需要が本格化する一方で、増税後の個人消費の減速が懸念されています。そこで、株式会社日本総合研究所(日本総研)がこのほど、消費税率引き上げが行われた前回の1997年と比較しながら、今回の消費税率引き上げに伴う個人消費への影響について整理し、先行きを展望したレポートをまとめました。
それによると、今回消費税率が5%から8%に引き上げられた後の個人の消費動向について「駆け込み需要の反動減と、消費税率引き上げに伴う物価の上昇が実質購買力を下押しすることによって、個人消費は大きく減速する見込み」があるとしながらも、「前回の消費税率引き上げ後にみられたような消費腰折れは避けられる」と分析しています。
その理由として、(1)税率引き上げのマイナス効果を緩和する政策の導入、(2)雇用・所得環境の方向性(前回はピークアウト、今回は改善方向)、(3)消費性向の上昇−、の3点を取り上げて、「こうした要因に支えられ、個人消費は、駆け込みの反動が一巡すれば、名目ベースでもリーマンショック前の水準を回復していく」と見ています。ただし、「所得拡大が期待外れに終わるとそうはいかない」とも指摘しています。
このほど、SMBCフレンド証券株式会社(本社:東京都中央区、團野耕一社長)が発売する外貨建仕組債について、東京国税局が「償還時の為替差損相当額の補填金に課税関係は生じない」とする見解を示しました。
同証券会社では、外国金融機関が発行する外貨建仕組債(所得税法上の公社債)を国内の個人及び法人に販売することにしているわけですが、この仕組債は発行が外貨で行われ、償還が円貨で行われるため、満期時に為替相場の変動による損益が生じることになります。
そこで、同証券会社では、満期日の5営業日前の為替レート(評価日為替レート)が、約定時為替レートよりも20%以内の「円高」であれば、生じた為替差損相当額を補填金で穴埋めして、円貨ベースの元本を保証することにしました。問題は、この補填金に所得税が課税される可能性があることでした。現状、外貨建債券の取引は、払込み、利払い及び償還がすべて外貨で行われていて、券面に表示された金額(元本)と同じ金額が同一の外貨で支払われるので、為替差損益は、単に債券購入時の円換算額と償還時の円換算額の評価差額にすぎません。
そこで、税務上も「同一の外貨である限り、為替差損益に相当する経済的価値が実現しているとは認められない」とされています。ところが、今回の仕組債は「同一の外貨」での取引ではないため、為替損失を穴埋めする補填金に経済的価値があると判断される恐れがあるわけです。そこで、同証券会社は「本件仕組債は、発行価額(額面金額)の円換算額と同額で償還することから、償還差損益は発生せず、本件補填金に係る課税関係は生じないことになる」と判断。その見解をこのほど東京国税局が容認しました。
平成26年2月22日(土)の午前6時30分から平成26年2月23日(日)の午前4時30分までの間、e-Taxと接続している外部システムのメンテナンスの影響で「納税証明書の手数料」について電子納付が利用できなくなります。
e-Tax(国税の電子申告・納税システム)は自宅や会社のパソコンを使ってインターネットを通じて国税の各種申告や納税ができる便利なシステムです。わざわざ税務署に出向かなくても良いことから利用者が急増しているわけですが、このほど、国税庁が納税証明書の手数料の電子納付について、平成26年2月22日(土)の午前6時30分から平成26年2月23日(日)の午前4時30分にかけてe-Taxが利用できないことを明らかにしました。外部システムのメンテナンスの影響だとしています。
そもそも、納税証明書の手数料を電子納付するのは、e-Taxを使って納税証明書の発行を税務署に請求した(郵送受け取りにする)場合のみで、税務署の窓口で納税証明書を発行請求して受け取る場合は、交付手数料を収入印紙又は現金で納付することになっています。
また、電子納付は、インターネットバンキングやATMからマルチペイメントネットワーク(MPN)が提供するペイジー(金融機関の税金・各種料金払込サービス)を利用して手数料の納付を行うので、ペイジーに対応した金融機関でなければなりません。
平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告がスタートしたが、東日本大震災の被災者支援に対する意識が薄れてきていることから国税庁が「復興特別所得税の記載漏れによる申告誤り」について再度注意を呼びかけています。
復興特別所得税は「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年12月2日公布)により、平成25年分の所得税から適用されているものです。復興特別所得税の課税標準は、その年分の基準所得税額で、それに2.1%の税率を乗じて税額を算出します。
あくまでも平成25年から平成49年までの各年分の確定申告について、所得税と復興特別所得税を併せて申告しなければならないことになっていて、申告書には、基準所得税額、復興特別所得税額など一定の事項を併せて記載することになっています。ただし、サラリーマンなどについては、給与から源泉徴収され、年末調整で税務処理が完了するので、個別に所得税について確定申告する場合を除き、復興特別所得税の申告を行う必要はありません。
国税庁では「確定申告書の作成に当たっては、復興特別所得税の記載漏れのないようご注意ください。また、国税庁ホームページ上の確定申告書等作成コーナーをご利用いただければ、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動的に計算され、計算誤りのない申告書を作成することができるので、是非ご利用ください」と呼びかけています。
このほど国土交通省が、国税庁と協議して定期借地権の設定による保証金の経済的利益への課税に係る平成25年分の適正な利率を決定しました。その利率は0.7%です。
地主が借地人との間で定期借地権を設定する際に預かった保証金を、家賃収入を得るための業務などに使ったり、一定の金融商品以外の商品で運用したりした場合の経済的利益に課税するときの適正な利率は、毎年、国土交通省と国税庁が協議して10年ものの長期国債の平均利率を参考に設定しています。
その経済的利益への課税に係る平成25年分の適正な利率が、このほど0.7%に決まりました。
なお、定期借地権の設定に伴い、地主が借地人から保証金などの名目で金銭を無利息で預かり、不動産所得や事業所得、雑所得を得るための業務に係る資金として運用されている場合や、そういった業務に使う資産の取得資金に充てられている場合は、その保証金を返還する日まで、保証金で得た経済的利益の額を毎年不動産所得として収入金額に算入するとともに、同額を各種所得の金額の計算上必要経費に算入(両建て経理)することになっています。
また、預かった保証金を、預貯金や公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産で運用した場合は、その保証金による経済的利益に係る所得金額の計算をする必要はありません。
2月4日、平成26年度税制改正関連法案が国会に提出されました。政府は、平成25年度末の3月末日までに衆参両院での可決を目指します。
平成26年度の税制改正は、法人税関連の減税が目立つ一方で、個人所得税関連で増税の傾向が強いという特徴が指摘されています。
その法人税の減税というと、一番に取り上げられるのが法人税額に対して10%追加課税されている復興特別法人税の1年前倒し(平成26年3月末)しての廃止です。また、資本金1億円以上の大企業の交際費について、現行は全額課税されていますが、飲食費について50%まで非課税とする改正もマスコミなどが盛んに取りあげていました。
アベノミクス効果を後押しする税制「賃上げ減税」も見逃せない新制度です。従業員に支払った給与総額の増加率(平成24年度比)が2%から5%であることなどの要件を満たした場合、増加額の1割を税額控除できるという制度で、これはサラリーマンにとっては、夏のボーナスなどに期待が持てる制度として注目されています。
一方、増税となる個人所得課税とは、なんといっても給与所得控除額が年収1,200万円超の会社員について平成28年から230万円、年収1,000万円超の会社員も平成29年から220万円に引き下げられることです。また、ゴルフ会員権やリゾート会員権の売却損失について、今は給与などの所得から差し引くことができますが、平成26年4月からは控除できなくなることも大きな改正と言えます。
東日本大震災の被災地で現在も国税の申告・納付等が猶予されている福島県の田村市や南相馬市など12市町村について、このほど、国税庁が猶予措置の終了とこれまで猶予してきた国税の申告・納付等の期限を発表しました。
東日本大震災の発生により、国税庁では国税通則法の規定に基づいて平成23年3月15日付けで青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県の納税者について、同月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限を延長する措置を講じました。
それ以後、国を挙げて被災地の復旧復興作業が続いているわけですが、国税庁では、活力を取り戻した地域から順次、国税の申告・納付等の期限延長措置の終了を告げてきました。そしてこのほど、地元自治体の意見などを踏まえ、福島県の田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の12市町村に対して、国税の申告・納付等の期限延長措置の終了を発表したわけです。
ただし、12市町村の納税者が複数年分の申告・納付等をしなければならないことなどを考慮して、約1年後の平成27年3月31日が申告・納付等の期限とされています。また、国税庁では「同日までに申告・納付等をすることが困難な方については、個々の事情を踏まえ、更なる期限延長を行う」と柔軟に対応する構えを見せています。
実際の商取引では、商品の本体価格と消費税の金額を分けて領収書(受取書)を商品購入者に交付するケースがあるわけですが、このほど、その場合の消費税分の受取書に係る印紙税の非課税枠を国税庁が引き上げました。
今回の改正は、平成26年1月21日付けで国税庁長官が全国の国税局長宛に発遣した「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」(法令解釈通達:平成元年3月10日付間消3-2)の一部改正に盛り込まれたもので、頻繁に領収書を発行している事業者などはとくに注意が必要です。
同通達にはこれまで、消費税額のみが記載された金銭(又は有価証券)の受取書については「消費税額等が3万円未満である場合は、非課税文書に該当する」とされていました。しかし、消費税率が5%から8%に引き上げられることが確定したことから、この非課税枠も実態に即したものにしなければなりません。そこで国税庁は「消費税額等が5万円未満である場合は、非課税文書に該当する」と改めたわけです。
なお、この改正について国税庁では、今年4月1日より適用するとしています。