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相続税調査件数大幅ダウン。課税強化前の弾力運営か?

2013年11月25日

このほど、全国の国税局と税務署が今年6月までの1年間に実施した相続税調査の状況を国税庁が取りまとめました。2015年からスタートする相続税の課税強化を前に、相続税批判が高まるのを避けたのか、今回の調査結果はかなり低調なものとなっています。

 国税庁によると、今回取りまとめた相続税の実地調査は、平成22年と23年中に発生した相続を中心に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっているものなどを対象に全国の国税局、税務署が実施したものとしています。
 実地調査の総数は12,210件(前事務年度13,787件)で、このうち申告漏れなどのミス(非違)が把握された件数は9,959件(同11,159件)でした。非違割合は81.6%(同80.9%)でしたが、調査件数が大幅に減っている事情について、税理士などから「消費税率のアップで税に対する国民の関心が高まっていて、ここでさらに相続税まで増税されてはたまらないという批判が出始めると相続税の課税強化にブレーキがかかる可能性がある。だから、相続税調査も大口、悪質なものに絞って実施しているのではないか」という声が聞かれます。
 ちなみに、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等1,236億円(前事務年度1,426億円)が最も多く、続いて土地560億円(同630億円)、有価証券431億円(同631億円)の順となっています。また、追徴税額(加算税を含む)を見てみると、610億円(前事務年度757億円)で、実地調査1件当たりでは500万円(同549万円)でした。

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国税庁が「復興特別法人税はまだ廃止されていません」 

2013年11月25日

自民党税制調査会が「復興特別法人税」を1年前倒しで廃止する方針を固めたことから、復興特別法人税の前倒し廃止が決定したかのような情報が飛び交っています。これに慌てたのが国税庁です。急きょ復興特別法人税の申告・納付を周知し始めました。

 復興特別法人税とは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地復興のために必要な財源の確保することを目的として創設された税制です。税額は、法人の各事業年度の法人税額に10%の税率を乗じて計算した金額から、利子など一定の所得に課された復興特別所得税を控除して算出することになっています。
 問題は、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度が「平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の事業年度」とされていることです。これについて、自民党では、1年前倒しで廃止する方針を固めたため、来年の4月以後から復興特別法人税の申告は必要ないと錯覚する法人が出てくることが考えられるわけです。
 国税庁が危惧しているのは、国税の電子申告システム(e-Tax)を利用する場合です。復興特別法人税についてe-Taxでは、法人税の申告とは別の手続となっているため、復興特別法人税の送信漏れが相次ぐ可能性が考えられるわけです。そのため、国税庁はホームページなどで送信漏れのないよう注意を呼びかけています。

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定住奨励金と住宅ローン控除の関係で東京国税局が見解示す

2013年11月18日

人口の減少にブレーキをかけようと、いま全国の市町村が定住対策に躍起になっていますが、このほど、その定住策の中でポピュラーな奨励金の交付に関する税務の取り扱いで、東京国税局が新たな見解を示しました。

 今回、東京国税局が示した取り扱いは、管轄内のある市からの問い合わせに答えたものです。
 その市では、市外から転入してきた人で、新たに住宅を購入した人について、その住宅に課税される固定資産税相当額(上限18万円)を定住奨励金として7年間にわたって交付することにしています。ところが、問題になったのが、住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)の計算上、その奨励金をどのように扱えばよいのかということと、奨励金を7年間にわたって交付することから所得区分が一時所得ではなくなるのではないか、ということでした。
 同市では、東京国税局に問い合わせるに際し、次のように独自に見解をまとめてみました。まず、住宅ローン控除については「住宅の取得と交付を受ける奨励金の間には相当の因果関係があると考えられることから、本件奨励金は、住宅借入金等特別控除の額の計算上、住宅の取得の対価の額から控除する必要がある」としました。ただし、7年間分の固定資産税相当額は未確定であることから「奨励金の見込総額を住宅の取得の対価の額から控除して住宅借入金等特別控除を適用し、後日、本件奨励金の確定額と見込総額とが異なることとなったときは、遡及してその控除の額を訂正(修正申告又は更正の請求)することとなると考える」としました。
 一方、奨励金の所得区分については「最高7年間にわたり継続的に交付を受けるものであることから、雑所得に該当すると考える」という見解を示しました。
 この考え方に対し、このほど、東京国税局が「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答したわけです。

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相続税節税にご執心な方必見。国税庁が国外財産調書でFAQ作成

2013年11月18日

基礎控除が4割も引き下げられるなど、相続税の課税強化が2015年からスタートすることから、いま、資産家の間で国外に財産を移す動きが目立ち始めています。そこで、このほど、国税庁が国外財産に関する調書について質疑応答集(FAQ)を作成し公表しました。

 国外財産に関する調書は、平成24年度税制改正で決まったもので、毎年12月31日において、総額5千万円を超える国外財産を保有する居住者について、翌年の3月15日までにその国外財産の種類や数量、価額など必要な事項を記載した「国外財産調書」を所轄税務署長に提出しなければならないとされました。
 富の再配分機能を高めるため、資産課税を強化したい政府は、2015年から相続税の基礎控除を引き下げるなど相続税の課税対象を拡大します。都心に土地を持つ人は、ほぼ全員が課税対象になるとまでいわれていることから、都心で開催される相続税の節税セミナーはどこも大盛況です。節税手法として主流になっているのが、軽課税国への財産移転。そのため、「国外財産調書」の存在は資産家らが一番気にしているものなのです。
 今回、国税庁がまとめたFAQは、国外財産調書提出制度の概要だけにとどまらず、「土地と建物の価額を区分することができないコンドミニアムについて、国外財産調書にはどのように記載すればよいのか」という質問や、「外国で加入した保険会社の生命保険の価額はどのように算定するのか」といった具体例まで解説されています。海外だからわからないだろうと思って、いい加減なことを書いてしまうと痛い目にあう可能性が感じ取れるFAQです。

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東京都が「地方法人課税のあり方検討会」の報告書にダメ出し

2013年11月11日

総務省の地方財政審議会に設置されている地方法人課税のあり方等に関する検討会(座長:神野直彦東京大学名誉教授)が取りまとめた報告書に対して、東京都が強く反発しています。

 地方法人課税のあり方等に関する検討会が取りまとめた報告書には、「地方消費税率の引上げにより、不交付団体の財源超過額は拡大し、不交付団体と交付団体間の財政力格差が拡大することから、偏在是正のための措置が必要」とし、「法人住民税法人税割の一部の交付税原資化を図ることを検討すべき」などとしています。
 すぐさまこれに反論したのが、東京都です。「地方間の財政力格差の是正を名目に、地方自治体の課税権や受益と負担の関係を無視して都市の財源を地方に回しても、真の地方の自立にはつながらない」とする反論書を総務省はじめ、政府与党に配布しました。
 同反論書では、法人事業税の暫定措置(一部国税化)について「税制の抜本的改革までという総理との約束で国に協力してきたもの。今回の消費税率引上げと同時に暫定措置撤廃・法人事業税の復元を行わないことは、重大な信義則違反である」としています。
 また、法人住民税法人税割の一部の交付税原資化については「地方の財政自主権を切り崩すもの」、「地方分権に大きく逆行する」、「交付税の総額に繋がる保障はない」として、「都市の活力を削ぐような税制の見直しが実行されれば日本経済全体が停滞する恐れがある」と強く反発しています。

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平成25年分の所得税と消費税の振替納税の振替日決まる

2013年11月11日

このほど、国税庁が平成25年分所得税と個人事業者の消費税の振替納税の振替日を公表しました。振替納税は税金の納付期限が実質延長できることから、納税資金の準備期間がとれるとして人気のあるシステムです。

 所得税と個人事業者の消費税は、納付期限日までに現金で一括して納めることが原則とされています。しかし、納税者の申請により指定した金融機関の預貯金口座から振替納税する方法も選択できることになっていて、じつはこの振替納税により、多くの納税者が急場をしのいでいるといわれています。
 納税者が指定した金融機関との間で口座確認などの手続きに時間がかかるため、どうしても振替日が納付期限よりも遅くなります。そこで、納税者は振替日までにゆっくりと納税資金の準備を進めることができるわけです。
 国税庁によると平成25年分の所得税と復興特別所得税の振替日は平成26年4月22日(納付期限は平成26年3月17日)としています。また、個人事業者の消費税の振替日は、平成26年4月24日(納付期限は平成26年3月31日)です。
 なお、国税庁では「振替納税を利用している方で、転居等により申告書の提出先税務署が変更となった方は、新たに振替納税の手続が必要となります」として注意を呼びかけています。

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消費税率引上げに備えてか?税務署が厳しい調査を展開中

2013年11月05日

来年4月に消費税の税率が引上げられますが、このほど、全国の税務署が事業者に対して厳しい消費税調査を行っている実態が明らかになりました。調査によって把握される申告漏れに対する1件当たりの追徴税額が高額化しています。

 このほど、国税庁が公表した個人と法人に対する平成24事務年度の調査事績によると、消費税について全国の税務署が大口、悪質な申告者に絞り込んだ調査を行っていることがわかりました。
 まず、個人事業者に対する消費税調査の状況を見てみると、電話等で申告内容の確認を行なうなどの簡易なものを含め全国で8万4000件(前事務年度9万9000件)の調査が行われ、そのうち申告漏れ等のミスが把握されたのは5万8000件(前事務年度6万7000件)でした。前年よりも調査件数が減っているのに、調査によって把握された申告漏れの1件当たりの追徴税額は41万円で、前事務年度の34万円を大きく上回っています。
 一方、法人に対する消費税調査を見てみると、全国で8万8000件(前事務年度12万件)に対して実地調査が行われました。このうち、何らかのミスが把握されたのは5万件(前事務年度6万6000件)でしたが、調査によって把握された申告漏れ金額に対して課税された追徴税額は総額474億円(前事務年度458億円)となっています。とくに、この追徴税額については、1件当たりの金額が53万6000円(前事務年度38万1000円)となり、過去10年間で最高額をマークしています。
 いずれにしても、1件当たりの追徴税額が高額化傾向にあるということは、大口、悪質な申告者に絞り込んで徹底した調査が行われているといえます。

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通達に規定されていない賃貸マンションの修繕積立金の取り扱い明るみに

2013年11月05日

都心や湾岸沿いに建築されるタワーマンションの売れ行きが好調ですが、分譲マンション購入後に賃貸に回して家賃収入を稼いでいる人たちの間で、修繕積立金の税務処理が問題となっています。

 居住用の分譲マンションを他人に貸して得る家賃収入は、通常、不動産所得として税務署に申告しなければなりません。不動産所得を計算するとき、損害保険料や修繕費などの経費を総収入から差し引くことができるわけですが、いま問題となっているのがマンションの管理組合に毎月支払わなければならない修繕積立金です。
 国税庁の通達を見てみると、修繕積立金は実際に修繕等が行われるなど、具体的な給付すべき原因となる事実が発生しない限り、必要経費に算入できないことになっています。しかし、修繕積立金はマンションの区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであり、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者には返還されないのが一般的です。
 そこで、国税庁では相談者に対して口頭で「一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えない」と説明しています。その一定の要件とは「修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿っている規約に定められていて、修繕積立金が将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないことや、修繕積立金の額が、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること」などを意味しています。

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