9月4日に婚姻関係にある男女間で生まれた嫡出子でない非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1する民法900条4号但し書きについて、最高裁判所が違憲とする判決を下したことを受け、このほど、国税庁が相続税の計算方法を改正しました。
国税庁がこのほど改正した相続税の計算方法の内容は、まず、平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、相続人が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正の請求書または修正申告書を提出する場合、嫡出に関する規定がないものとして、更正の請求または修正申告に係る相続税額を計算するとしました。税務署が行う更正または決定についても同じです。
一方、平成25年9月5日以後に、相続税の期限内申告書または期限後申告書を提出する場合も、嫡出に関する規定がないものとして、相続税額を計算するとされました。これにより、税務調査などで相続税の申告書を提出する義務があると認められる相続人が申告書を提出していなかったことが明らかとなった場合も、嫡出に関する規定がないものとして、決定に係る相続税額を計算するとしています。
国税庁がこのほど、毎年恒例の民間給与実態統計調査の結果を公表しました。それによると、アベノミクス第三の矢で示された「10年後には現在の所得水準より150万円アップさせる」という目標達成が危ぶまれるような内容です。
民間給与実態統計調査は、毎年実施されていて、今回で第64回目を数えます。国税庁が、民間の給与所得者の給与について源泉徴収義務者の支払額に着目し集計しているものです。
今回の調査結果によると、平成24年12月31日現在の民間事業所の源泉徴収義務者数は350万件で、前年より3万件(0.8%)増加しています。給与所得者数は5,422万人で、前年より5万人(▲0.1%)減少しました。
1年を通じて勤務した給与所得者数は4,556万人で、前年に比べ0.2%減少。これを男女別にみると、男性が2,726万人、女性は1,829万人で、前年に比べ、男性は0.2%減少、女性は0.3%の減少となりました。
1年を通じて勤務した給与所得者の給与総額は185兆8,508億円で、前年に比べ0.5%減少。これを男女別にみると、男性が136兆8,603億円で、女性は48兆9,905億円となり、前年に比べ、男性は0.5%減少し、女性も0.3%減少しています。
年間の平均給与は408万円で、前年に比べて0.2%減少。これも男女別みると、男性が502万円、女性は268万円で、前年に比べて、男性が0.4%減少したものの、女性は同水準でした。平均給与は2年連続で減少していて、一方で事業所数が増えていることから、給与の底上げにはかなりのインパクトのある施策が必要だといえます。
国税庁がe-Tax(国税の電子申告システム)の利用者にニセの「税務署からのお知らせ」メールに注意を呼びかけています。税務署からのメールを装い、個人情報を奪い取るソフトが組み込まれた添付ファイルを開かせようとする輩が出没しているからです。
e-Taxの利用者の中でメールアドレスを登録している人については、メッセージボックスに情報が格納された場合や、暗証番号の再設定のための秘密の質問と答えなどの登録を受付けた段階で、登録されているメールアドレスあてに「税務署からのお知らせ」メールが送信される仕組みになっています。
また、メールに表示する宛名をe-Taxに登録することで、お知らせメールの件名や本文に登録した宛名が表示されます。特に注意をしなければならないのは、「税務署からのお知らせ」メールでは、添付ファイルを添付することは一切ないということです。
ちなみに「税務署からのお知らせ」メールとしてe-Taxが送信するお知らせメールは、次のパターンのみとなっています。
「申告に関するお知らせ」、「代理送信可能となったことのお知らせ(税理士の方のみに送信されます)」、「e-Taxを利用して納税証明書の請求を行われた方へのお知らせ」、「ダイレクト納付の利用者の方へのお知らせ」、「e-Taxを利用して還付申告を行われた方へのお知らせ」、「振替納税のお知らせ」、「メールアドレス登録に関するお知らせ」、「『税務署からのお知らせ』メールに表示する宛名登録に関するお知らせ」、「秘密の質問等の登録・更新を行われた方へのお知らせ」、「e-Taxの暗証番号を再設定された方へのお知らせ」。
一般社団法人不動産協会(木村惠司理事長・三菱地所渇長)が、このほど平成26年度税制改正要望を取りまとめました。都市の国際競争力の向上や住宅投資の促進に対して、税の優遇措置を求めています。
今回の税制改正要望で、不動産協会は「我が国の経済を持続的な成長軌道に乗せるためには、内需主導による成長戦略の実現が不可欠であり、都市の国際競争力の向上や住宅投資の促進が重要である」としています。
そこで、最初に取り上げているのが「都市の国際競争力の向上に必要な特例の創設」です。世界中からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込む魅力的なまちづくりを推進するために、国家戦略特区における税制支援措置の創設や都市再生促進税制の拡充を行うことを要請しています。具体的には、誘致が必要な国際企業等の法人税や事業所税及び高度外国人材の所得税等の軽減を要求。また、高度外国人材の生活支援や国際企業等の誘致に関連する外国語対応医療施設・教育施設等の整備や運営を行う者に対する投資税額控除等の特例の創設を求めています。
次に、国際戦略総合特区内における法人税の特例(指定を受けた法人の認定事業に係る所得の20%控除、または認定事業の用に供する投資の15%(建物は8%)税額控除等)について、控除率の大幅な拡充や適用要件の改善を行ったうえで、特例措置の期限(平成26 年3 月31 日)を延長すべきだとしました。
目新しいところでは、帰宅困難者対策に係る投資促進のための特例の創設があります。災害時の帰宅困難者対策等を促進し、都市における安全・安心を確保するために、都市再生安全確保計画に記載された非常用発電設備等に対する投資税額控除等の特例措置の創設などを求めています。
このほど公正取引委員会と消費者庁、財務省が消費税転嫁対策特別措置法(消費税転嫁対策法)のガイドラインを正式に決定し、連名で公表しました。7月25日から約1カ月間募集したパブリックコメントにより原案が一部修正されています。
消費税転嫁対策法とは、大口の小売業者などが、その優位な立場を利用して消費税を支払うのを拒否することを規制する法律です。同法は今年10月1日に施行されますが、その詳細な取り扱いを定めたガイドラインがこのほど決定しました。
そのガイドラインは(1)「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法,独占禁止法及び下請法上の考え方」、(2)「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」、(3)「総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方」、(4)「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方」の4項目で構成されていて、今回国民から寄せられたパブリックコメントにより原案が一部修正されています。
例えば、消費税の税率引上げに際して、大手小売業者が商品納入業者に対し、税率引上げ分の転嫁を拒否する行為を禁止していますが、納入業者の範囲について、店舗で販売する商品の納入業者だけでなく、店舗で使用する什器などの販売業者や店舗の清掃業者など役務を供給する事業者も含まれると修正されています。
また、消費税分を値引きする宣伝や広告などが法律で禁止されていますが、ガイドラインの原案では禁止されない表示の具体例が示されています。この具体例に、たまたま消費税率の引上げ幅と一致するだけの「3%ポイント還元」と、たまたま消費税率と一致するだけの「8ポイント進呈」が、禁止されない表示に追加されました。
JAF(一般社団法人日本自動車連盟、小栗七生会長)が、このほど実施した「自動車税制に関するアンケート調査」の結果を公表しました。それによると98%のドライバーが自動車に係る税金を負担と感じています。
JAFでは、現状の自動車税制に対するユーザーの意識を把握することを目的として、今年7月5日から8月31日の間、自動車ユーザーを対象に「自動車税制に関するアンケート調査」を実施しました。24,729名から回答を得ています。
調査結果で注目されるのは、まず、回答者の98%が自動車にかかる税金を負担と感じているということです。「自動車関係諸税を軽減し、必要な財源はその趣旨に応じて別途検討すべき」(87%)と回答者の多くが考えています。値上がりが続いているガソリンについても、本来の税率を上回る税率が「当分の間」として維持されているのはおかしいと9割近くが「反対」を表明。自動車重量税も9割以上が廃止すべきと回答しています。
ガソリン税という間接税に、さらに間接税の消費税が上乗せ課税されるTax on Taxの是正についても、9割の回答者が望んでいました。
JAFでは、今回のアンケート結果に基づいた自動車ユーザーの声を「平成26年度税制改正に関する要望書」にとりまとめ、各政党・国会議員・関係省庁・自治体などへ提出するなど「自動車関係諸税の簡素化、負担軽減と公平、公正な税制の実現に向けて、今後さまざまな要望活動を展開していく」としています。
このほど、日本医師会が第5回理事会において「平成26年度医療に関する税制改正要望」を承認しました。今後は、その要望項目のうち19項目を重点項目として、実現に向けて政府や与野党、関係方面に働き掛けを行っていくことにしています。
日本医師会の平成26年度税制改正要望では、次のような要望項目が注目されています。
まず、福島原発事故対策として「原子力損害賠償金は、国税・地方税の課税上、収入・所得とみなさないよう立法措置も含めた特別の取扱いを行うこと」を要望している点です。
次に、焦点の医業経営については、やはり消費税に関するものです。一つは「社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を、仕入税額控除が可能な課税制度に改めること。その際、ゼロ税率・軽減税率を適用するなど患者負担を増やさない制度に改善すること」を求めています。また、「自由診療について軽減税率を適用すること」や「簡易課税制度の見直しは慎重に行うこと」などを要望。医業経営に消費税が与えている影響がいかに大きいかを垣間見ることができます。
「非営利性の徹底」や「公益性の確立」などを理由に、第5次医療法改正で平成19年4月から「出資持分のない医療法人」しか設立できなくなりました。既存の出資持ち分のある医療法人については、出資持ち分のない医療法人への移行が義務づけられています。そこで、今回の税制改正要望では「移行時において,出資者にみなし配当課税を課さないこと」と「医療法人に人格のない社団又は財団等に対する課税(相続税法第66条第4項)の適用により贈与税を課さないこと」を強く求めています。
このほど国税庁が国外財産調書の合計表を公表しました。現金や預金だけでなく、土地・建物や山林、株式などの有価証券や保険契約の権利、株式に関する権利、貴金属、書画骨董品まで国外に所有している財産をつぶさに記載する形になっています。
相続税逃れや法人税の課税を回避する手法として、海外の軽課税国に自分の財産などを移転するケースが増えています。そこで政府が、課税逃れを防止するために導入したのが国外財産調書の提出制度です。平成24年度税制改正で「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」が一部改正され、同制度が導入されました。
具体的には、「平成25年12月31日以後、毎年12月31日において有する国外財産の価額の合計額が5千万円を超える一定の居住者は、その年の翌年3月15日までに、一定の事項を記載した国外財産調書を税務署長に提出しなければならない」とされています。今回国税庁が公表した合計表は、その調書に必ず添付しなければならないものです。
国外財産調書を提出しなければならない人は、資産家だけではありません。給与所得しかないサラリーマンや年金所得者も対象です。その年の1月1日から12月31日まで日本国内に居所がある人で一定の要件を満たす人が対象で、国籍の有無のみで判定するものではありません。
仮に、調書に虚偽記載をした場合や正当な理由がなく調書を提出期限までに提出しなかった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになっています。
日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)が、全国47都道府県に政府が今年3月に設置した「経営改善支援センター」の活用を中小企業に呼びかけています。
中小企業や小規模事業者を対象として専門性の高い支援事業を行う「経営革新等支援機関(認定支援機関)」を認定する制度が昨年8月に創設されました。税務、金融及び企業財務に関する専門的知識を持つ専門家というと税理士や公認会計士です。すでに、全国に1万5884機関が認定を受けていて、その大半が税理士事務所や税理士法人です。
そして、経営改善支援センターはどのような事業を行っているかというと、独立行政法人中小企業基盤整備機構を総本部として全国47都道府県にある商工会議所などに同センターが設置されていて、中小企業や小規模事業者が認定支援機関に経営改善計画策定作業を依頼した場合、その計画策定費用と フォローアップ費用について3分の2(上限200万円)を負担してくれる組織です。
借入金の返済や資金繰りなど、現在多くの中小企業が財務上の問題を抱えています。とくに金融支援が必要な会社の多くは、自力で経営改善計画などを策定する余裕はまったくありません。そのため、税理士事務所の多くが認定支援機関となっていることもあって、日税連では経営改善支援センターの活用を盛んにPRしているわけです。
経済産業省が平成26年度税制改正要望を公表しました。今回は、中小企業の投資促進税制の拡充と消費税の税率アップに伴う自動車税の軽減措置の導入が目玉です。
経済産業省の来年度税制改正に向けた要望事項が発表されました。「日本再興戦略の強力な推進〜産業の新陳代謝・民間投資の喚起〜」が一番の柱となっています。その中で注目されているのは、企業のベンチャー投資促進税制の創設です。事業拡張期のベンチャー企業への資金供給を拡大するため、経営・技術指導を行うベンチャーファンドへ出資する企業に税制上の支援措置を講じるとしています。
また、中小企業投資促進税制の拡充も魅力的です。現行制度は「一定の設備投資を行った場合に、税額控除(7%)又は特別償却(30%)が選択適用できる」とされていますが、要望では、ソフトウエア、または、ソフトウエアが組み込まれた設備等を導入した場合、特別償却は「即時償却」とし、税額控除は「12%(資本金3000万円以下)」にすることを要望しています。しかも、税額控除・特別償却は3年間繰越しができるようにするとしています。
そして、自動車税の軽減措置ですが、自動車取得税の税率を消費税8%に引上げた時点で3%引下げて、消費税10%時点で廃止するとしました。さらに、消費税率引上げの影響の緩和と、環境性能に優れた自動車の普及促進を図るため、ハイブリッドカーなどのエコカーは車検1回目が免税で、2回目は50%軽減することを要求しています。