証券取引場に上場されている株式を売買した時の譲渡所得と、その株式を所有している人が得る配当所得に係る10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率の特例が、まもなく廃止になることを国税庁がアナウンスしています。
上場株式の譲渡所得及び配当所得に係る10%軽減税率の特例措置が、平成25年12月31日をもって廃止されます。いずれも平成26年1月1日以後、本則税率の20%(所得税15%、住民税5%)が適用されることになっています。
ただし、そのままでは、低所得者の投資意欲を削ぐことになりかねません。そこで、政府は来年からNISA(ニーサ=少額投資非課税制度)をスタートさせることにしています。NISAとは、株や投資信託などの運用益が一定額まで非課税になる制度です。具体的には、平成35年までの10年間、毎年新たに100万円の非課税枠が追加されます。非課税の期間は、それぞれ最大5年間となっていて、途中で売った場合は、非課税枠を使ったとみなされ、再利用はできません。さらに、非課税枠を使っての投資総額は合計500万円までとなっています。それ以上の金額は非課税の対象とはならない仕組みなのです。
例えば、2014年に100万円を株に投資したとします。5年後、その株価が2倍の200万円になったとすると儲けは100万円です。この場合、税金は普通であれば、100万円の20%(20万円)となりますが、NISA口座で取引をすると、税金はゼロになるわけです。
国税庁が消費税の簡易課税選択届出書の提出期限について、個人事業者に注意を呼び掛けています。所得税の確定申告書の提出期限(来年3月15日)と同じだと勘違いしている人が多いからです。
平成24年分(基準期間)の消費税の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成26年分は消費税の課税事業者に該当します。ただし、その基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、平成25年1月1日から6月30日までの期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、平成26年分は消費税の課税事業者となります。速やかに消費税課税事業者届出書を税務署に提出しなければなりません。
なお、その場合、簡易課税制度を選択した方が有利なケースがあります。それは個々の事業者によって、年間の利益率等で異なることから、「売上などで預かった消費税」から「仕入や外注、資産の購入などで支払った消費税」を控除した差額が「納付消費税」となる実額課税と、「売上などで預かった消費税」にみなし仕入率を乗じて計算した額(みなし控除税額)を比べてみればわかります。
ただ、簡易課税制度を選択するためには、提出期限を守る必要があります。個人事業者が平成26年分から簡易課税制度を適用するためには、平成25年12月31日までに、納税地の税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。特に、はじめて適用する人の多くが、この簡易課税制度選択届出書について所得税の確定申告と同じだと思っているといわれています。
場合によっては、来年4月から消費税の税率が5%から8%に引上げられる可能性が高いことから、事業計画などを勘案して簡易課税制度を選択しておいた方が有利な場合があります。国税庁もそれを見越して簡易課税制度選択届出書の提出期限について注意を喚起しているわけです。
このほど広告代理店の(株)博報堂(本社:東京都港区)が、消費増税の「価格表示の方法」について生活者がどのようにとらえているかを調査しました。すると、「税抜表示」を指示する人はほとんどいませんでした。
原則として、小売り段階でサービスの提供や商品を販売するときに表示する価格は、消費税込みの総額表示をしなければなりません。しかし、さきごろ国会で成立した消費税転嫁対策特別措置法で、2014 年4月に5%から8%に消費税率が引き上げられた場合、その「総額表示」だけでなく、条件を満たせば「税抜価格」の表示もできるようになりました。
そのため、さまざまな価格表示が出回ることになります。そこで、博報堂では、想定される「価格表示」の9つのパターンについて、20歳から60歳までの男女1,000名にどのような表示が最も良いかを聞いた(今年7月19日〜22日インターネット調査)ところ、生活者が最も支持したのは「税込価格」に「本体価格」と「税額」を加えた3要素の表示となりました。
具体的には「税込表示」がメインで、これに「本体価格」「税額」が補助的に表示されているものです。理由としては「商品を手に取る時点で消費税額を含む支払金額すべてを把握したい」(81.9%)が最も多く、また、87.7%の人が「店によって表示方法が異なると混乱する」と考えていました。
大和証券グループのシンクタンク(株)大和総研(本社:東京都江東区、深井崇史社長)が第178回日本経済予測を発表しました。それによると、消費税増税の是非を多面的に検証した結果、「消費税増税を予定通り行うことが十分可能な経済環境が整った」と判断しています。
今年8月12日に内閣府が発表した2013年4‐6月期GDP一次速報を基に、大和総研では経済見通しを改訂。実質GDP予想を2013年度が前年度比+3.0%(前回は同+3.1%)、2014年度は同+1.2%(前回は同+0.7%)としました。今回から前提条件として、3兆円規模(真水ベース)の2013年度補正予算編成を想定するなどして、2014年度の経済見通しを上方修正しています。
これをベースに大和総研では、日本経済について「今後も着実な景気拡大が続くとみられる。安倍政権の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)は日本経済再生の起爆剤となり得る適切な経済政策であり、とりわけ金融政策は着実に成果を上げている」としています。具体的には「(1)米国経済の拡大、(2)復興需要の継続と大型補正予算の編成、(3)日銀の大胆な金融緩和を受けた円安・株高の進行、などに支えられて景気拡大が継続する」と読んでいます。
今年10月までには安倍晋三首相が消費税の税率を引き上げるかどうかを判断するわけですが、大和総研では今回の経済予測を基に「消費税増税を予定通り行うことが十分可能な経済環境が整った」と判断しました。理由としては、「前回増税が実施された1997年当時と比較すると、内需の堅調な推移が見込まれる」からだとしています。
さらに、大和総研は今後の課題として「安倍政権は、(1)社会保障制度の抜本的な改革などを通じて財政規律を維持すること、(2)規制緩和、法人実効税率の引き下げを断行し本格的な成長戦略を強化すること、などに積極的に取り組むべき」と指摘しています。
大和証券グループのシンクタンク大和総研(深井崇史社長)が、このほど、消費税増税が家計に与える影響を年収別にシミュレーションしました。それによると、今回の消費税増税で負担が一番軽いのは中間所得層でした。
大和総研がこのほど行ったシミュレーションは、年収300万円と年収500万円、1,000万円の片働き世帯(いずれも妻と子供2人)について、その年収が2011年から2016年まで変わらないと仮定して、実質可処分所得(可処分所得<税引き前給与収入−〔所得税・住民税+社会保険料〕+児童手当>から消費税増税による物価上昇分(消費税率1%につき0.72%)を差し引いたもの)の動向を調べたものです。
それによると、年収300万円の世帯の実質可処分所得は、2011年から2016年にかけて24.09万円減少します。比率にして8.56%少なくなります。年収1,000万円の世帯も、実質可処分所得は2011年から2016年にかけて58.28万円減少しますが、比率にすると7.59%の減少で、年収300万円の世帯よりも負担が軽いことがわかりました。
驚かされたのは年収500万円の世帯です。2011年から2016年にかけて実質可処分所得は31.22万円減少するものの、比率にすると7.19%で一番負担が軽いことがわかりました。
今回のシミュレーションの結果により、低所得者ほど負担が大きくなるという単一税率の消費税制度の欠陥を垣間見ることができるとともに、所得税の累進税率が年収500万円の中間所得者層よりも高所得者の方がきつい設定になっていること。さらに、児童手当の所得制限が低所得者よりも中間所得者層に有利に働いていることがわかりました。
不動産売買の仲介業務を主力事業としている住友不動産販売株式会社(本社:東京都新宿区、田中俊和社長)が、この8月から三井住友銀行と提携して、相続税の立て替え融資サービスをスタートさせました。
2013年度の税制改正で相続税の「基礎控除」が縮小することが決定されています。相続財産の評価額から差し引くことができる現行の基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」で算出することになっていますが、これが2015年から「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算することになるわけです。
こうした課税強化により、東京都内に土地を持つ人たちはいま相続税対策に頭を悩ませています。そこに目をつけたのが住友不動産販売です。相続税は現金一括払いが原則であることから、すでに相続が発生している人について、所有する不動産を売却することを条件に相続税相当額の融資が受けられるサービスをスタートさせました。
不動産はすぐに売れるとは限りません。もたもたしていたら相続税の納期限が過ぎてしまい、延滞税が課税される恐れがあります。また、不動産をそのままの形で相続税として納める物納を選択しても許可が下りるまでに時間がかかるため、その間、精神的に落ち着かない毎日を送ることになります。
こうしたことから、住友不動産販売が提供する今回のサービスは相続が発生している人にとってはありがたいサービスといえるのです。相続税立て替え融資サービスのしくみは、不動産売買契約を同社と締結した後、三井住友銀行から相続税相当額の融資を受けて相続税を納付。その借金は不動産売却代金で返済するという流れになっています。
一般社団法人全国地方銀行協会(谷正明会長)がこのほど、内閣情報通信政策監(政府CIO)と総務省、国税庁に対して、地方税の電子納付の推進に関する要望書を提出しました。
全国約1100の地方公共団体の指定金融機関として、地方税の収納業務を行っている地方銀行では、原則として納付書などの書面により地方税を納める仕組みになっていることから、「膨大な事務負担を背負っている」と同協会は説明します。
そこで、同協会は、銀行だけでなく地方公共団体や納税者のコストと事務負担を軽減するために、さらなる電子納付(ペイジー)の利用者拡大につながる施策の展開を政府CIOと総務相、国税庁に要望しました。とくに、国税庁に対しては、ペイジーの利用者拡大のために次の3つの措置の検討を求めました。
(1)電子申告の利用者や税理士に対して、ペイジーの利用申込の勧奨を積極的に進めていただきたい。
(2)電子申告とペイジーによる電子納付の利用促進のために、納税者や取扱金融機関に対するインセンティブ付与を検討いただきたい。
(3)ペイジーを利用するためには事前に書面による利用申込が必要となっているが、電子的方法による申込みなど手続きの簡素化を検討いただきたい。
このほか、ペイジーと銀行口座振替にかかる経費負担の適正化や国税の電子申告システム(e-TAX)と地方税システム(eLTAX)との一元化も要望しています。
国税庁がこのほど、平成24年度の国税の滞納状況を取りまとめました。それによると、滞納整理中のものの額は、前年度よりも916億円減り、14年連続で減少しています。
平成24年度は、まだ民主党政権が続いていたことから、円高株安の影響で企業倒産が相次いでいました。そのため、税金を滞納する人も多かったのではないかと推測されたのですが、国税庁のまとめによると、平成24年度の新規発生滞納額は5,935億円で、平成23年度(6,073億円)よりも138億円(2.3%)減少しています。消費税の滞納についても新規発生額は3,180億円で、前年度(3,220億円)よりも40億円(1.2%)減少していました。
平成24年12月に発足した第二次安倍内閣によるアベノミクス効果により、平成24年度後半にひと儲けして税金を払うことができた人が多かったのかもしれません。
一方、すでに国税を滞納している人に対する税務署や国税局の対処の仕方は、かなり厳しいものでした。国税庁では「大口・悪質事案や処理困難事案に対して厳正・的確な滞納整理を実施するとともに、消費税滞納の残高圧縮に向けて確実に処理することに重点を置いて滞納の整理促進に努めた」と説明しています。その結果、平成24年度の整理済額は6,850億円となり、前年度(6,657億円)より194億円(2.9%)も多く整理していました。消費税の滞納整理額を見てみると3,390億円で、全整理額の約半分を占めています。
そうした滞納整理により、「滞納整理中のものの額は14年連続で減少していて、ピーク時(平成10年度、2兆8,149億円)の45.1%になった」(国税庁)としています。