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租税特別措置の適用額明細書で国税庁が「よくある記載誤り」を公表

2012年12月25日

中小企業が租税特別措置を適用するときには、法人税の申告書に「適用額明細書」を添付することが義務づけられていますが、このところ、その適用額明細書で記入ミスが多いことを国税庁が明らかにしました。

 租税特別措置に対しては、多くの税の専門家から「事実上の補助金ともいえる減税措置が少なくなく、特定の業界を優遇するものである」と指摘され続けています。
 しかし、租税特別措置により財政上の基盤の弱い中小企業が救済されている側面もあることから、政府としては、適正に同特別措置が適用されていれば良し、という考え(適用状況の透明化)を示しました。それを具体的に判断するツールとして、平成22年度税制改正で義務づけられたのが「適用額明細書」の作成です。
 中小企業関係の租税特別措置と言えば、中小企業者等の法人税率の特例、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却、30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例などがあります。
 適用額明細書の中身ですが、記載する内容は「法人の行う事業の属する業種(主たる事業)」や「法人の事業年度の所得金額又は欠損金額」、「適用を受ける措置法の条項と適用額」などがあり、これらをきちんと記入していない場合は、適用したい特別措置が受けられない仕組みになっています。
 このほど、国税庁が明らかにした適用額明細書の「よくある記載誤り」を見てみると、法人税申告書別表からの転記誤りだけではありません。例えば、「区分番号」については、税制改正に伴い同一の措置であっても改正前後で区分番号が異なる場合があるのに、毎年国税庁が作成する「適用額明細書の記載の手引」を参照せずに記入しているケースが多いとしています。また、中小企業等の軽減税率の適用額については、所得金額年800万円が限度とされているわけですが、所得金額が800万円を超えている会社の間で適用額明細書に800万円を記入していないケースがよくあるとしています。

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国税庁が回答。「中途解任した取締役に支払う損害賠償金は源泉徴収不要」

2012年12月25日

このほど国税庁が「任期の途中で解任した取締役に支払う損害賠償金」の税の取り扱いを明らかにしました。長引く不況により、会社の業績不振で取締役が解任されるケースが多いときだけに、見逃すことのできない取り扱いです。

 会社法では「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」とされていることから、今回国税当局に問合せていた会社は、その規定に基づいてある取締役を解任しました。
 ところが、その解任した取締役が同法にある「その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」とする規定を持ち出して、会社を相手取って提訴。結果として裁判所がその取締役の請求を認めて、解任した方の会社に損害賠償金の支払いを命じたことから、今回の国税当局への問い合わせに至ったわけです。
 判決によると「同項(会社法に規定されている)の損害は、取締役を解任されなければ残存任期期間中及び任期満了時に得べかりし利益を失ったことによる損害を指すとされ、甲の損害は、解任された日の翌月から任期満了時までの報酬相当額」と説明しています。
 税務上、従業員の不当解雇が取り消された場合、解雇時に遡ってその身分が回復し解雇時に遡及して給与が支払われることになるので、雇用者はその支払の際に所定の源泉徴収をしなければならないことになっています。
 しかし、会社側は「取締役を解任された後、当社の取締役としての職務を行っていないことからすれば、本件損害賠償金に役員としての役務提供の対価たる役員報酬の性質は認められず、会社法の規定に基づき解任によって生じた逸失利益の賠償にすぎない」と判断。解任した取締役に支払う損害賠償金は、給与所得ではなく対価性のない一時の所得に該当すると考え、その支払の際には役員報酬(給与所得)として源泉徴収を行う必要はないと解釈したわけです。
 そういった解釈をした会社に対して国税庁は「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答しています。

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125万人の死亡者のうち5万人にしか相続税は課税されていない―平成23年の申告状況

2012年12月17日

平成23年中に親などから遺産を相続した人たちの相続税の申告状況を、このほど国税庁が取りまとめました。それによると、相続税を納めたのは遺産を相続した人たちのわずか4.1%でした。

 平成23年中に亡くなった被相続人の数(死亡者数)は約125万人(前年約120万人)でした。このうち相続税の課税対象となった被相続人の数は約5万1千人(同約5万人)で、課税割合は4.1%(前年4.2%)となっていて、前年より0.1ポイント低下しています。
 基礎控除額が現行の金額に引き上げられた平成6年以降で、もっとも課税割合が低かった平成21年の4.07%に続いて二番目に低い割合です。
 一方、今回の相続税の課税価格は総額で10兆7,299億円(前年10兆4,580億円)でした。被相続人1人当たりでは2億872万円(同2億962万円)となっています。税額は1兆2,520億円(同1兆1,754億円)で、被相続人1人当たりでは2,435万円(同2,356万円)でした。
 相続財産の金額の構成比は、一番多かったのが土地46.0%(同48.3%)で、二番目は現金・預貯金等24.2%(同23.3%)、三番目有価証券13.0%(同12.1%)の順となっています。
 なお、平成23年度の税制改正大綱で、「現行の『5,000万円+1,000万円×法定相続人数』である基礎控除を『3,000万円+600万円×法定相続人数』へ引き下げる」とされた経緯があることから、近いうちに相続税の課税対象が大きく広がることが予測されます。今後も相続税の申告状況には目が離せません。

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租税特別措置法は適正な課税ベースの構築を阻害している―日税連審議会が答申

2012年12月17日

日本税理士会連合会(日税連)の池田隼啓会長の諮問機関「税制審議会(金子宏会長)」が12月13日、平成24年度諮問「法人税における課税ベースのあり方について」に対する答申を取りまとめて会長に提出しました。

 今回の答申は、今年5月24 日に池田会長が「(法人税の)課税ベースが不必要に拡大されているものはないか、逆に本来課税ベースに取り込むべきものが不当に侵食されているものはないか、といった視点から、きめ細かく検証する必要がある」などとする諮問に対して同審議会が答えたものです。
 答申では、まず法人税の課税ベースの問題点をいくつか取り上げているわけですが、強く指摘しているのが「租税特別措置は、適正な課税ベースの構築を阻害する一因となっている」ということです。具体的には「課税ベースに関する現行の租税特別措置のうち、各種の特別償却制度や準備金制度は、その縮小・廃止をすべきであり、特別控除及び圧縮記帳制度については、収用、換地処分、特定資産の買換えなど、企業活動の継続・発展に資するものを除き、その見直しを行う必要がある」としています。
 そして、個別事項としては、役員給与税制について「恣意的な利益調整を目的とした役員給与についてのみ損金不算入とするという視点から制度設計をすべき」としています。また、交際費課税についても「中小法人の定額控除額以下の交際費等に係る10%相当額の損金不算入措置は、少額な必要経費にも課税しようとするものであり、適切な措置とはいえない。同措置を廃止し、定額控除額以下の交際費等は、その全額について損金算入を認めることとすべきである」とし、事業用資産の減価償却制度についても「いわゆる250%定率法が200%定率法に改正されたところであるが、改正後の償却方法であっても初期段階での償却限度額が大きく、企業会計の理念と乖離していると考えられる」見直しを求めています。

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国税庁が平成24年分の確定申告へ向け早くも事前準備を訴える

2012年12月10日

国税庁が来年2月18日からスタートする平成24年分の所得税の確定申告に備え、e-Taxホームページ上で「事前準備はいまから」と呼びかけています。

 e-Tax(国税の電子申告システム)を利用すると所得税が割安になるなどのメリットがある一方で、初めて利用する人については、住民基本台帳カードを市役所で取得したり、同カードに格納されている個人を特定する電子データを読み込むための機器ICカードリーダを購入したりする必要があります。そのため、準備にはそれなりの時間と労力がかかるかるため、国税庁ではいまから取り組んでほしいと呼びかけているわけです。
 このほど、国税庁がe-Taxホームページ上に掲載した「平成24年分確定申告特集(準備編)」では、単に事前準備の仕方だけの解説にとどまってはいません。e-Taxを利用すると所得税が3,000円割安になる(税額控除)ことや還付申告についてはスピーディに税金が戻ってくることなどのメリットを紹介しています。また、確定申告書を作成するツールとしてホームページ上の「確定申告等作成コーナー」を利用すると、案内に従って金額などを入力していくだけで誰でも簡単に申告書が作れることを動画で解説しています。
 さらに、今回の「平成24年分確定申告特集(準備編)」では、2月1日から始まる贈与税の申告についてもe-Taxを使って申告できるようになることを告知しています。

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福島原発事故の被害者が適用する雑損控除の被害割合を各国税局に指示―国税庁

2012年12月10日

12月3日、国税庁が全国の国税局・沖縄国税事務所に対して、原発事故の被害者について東日本大震災に係る雑損控除の適用における 「損失額の合理的な計算方法」を用いるよう指示しました。

 昨年3月11日に発生した東日本大震災の被災地では、徐々にではありますが復興・復旧が進んでいます。しかし、東京電力(株)福島第一・第二原発の爆発事故の被害者は、依然として避難生活を余儀なくされていて、まさに住む家を失った状況にあると言えます。
 そこで、国税庁では、原発事故の被害者については、特別な対応が必要であると判断。来年2月18日からスタートする所得税の確定申告では、災害により家財などを損失した場合に適用できる雑損控除について昨年4月に定めた有利な取り扱いを、今回も原発事故の被害者に適用することにしたわけです。
 具体的には、その有利な取り扱いに基づいて原発事故の被害者が雑損控除の適用を受ける場合、損失額の計算に使用する「被害割合」については、帰還困難区域にある宅地・建物は原発事故発生前の価値の全額としています。また、居住制限区域及び避難指示解除準備区域の宅地・建物については、原発事故時点から6年(72カ月)で全損とし、避難指示の解除までの期間に応じた割合を被害割合とすることになっています。

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「棚卸資産の損害で受け取る賠償金は事業所得」―国税庁が原発事故で取扱い示す

2012年12月03日

福島第一・第二原子力発電所の事故の被害者が受け取る賠償金の所得税法上の取扱いで、これまで明らかにされていなかった「財物価値の喪失又は減少等」に対する賠償金の取扱いを、国税庁が明確にしました。

 「財物価値の喪失又は減少等」に対する賠償については、原子力損害賠償紛争審査会が今年3月16日に取りまとめた「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補」及び7月20日に政府の方針として公表された「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」を踏まえて、東京電力(株)が「避難指示区域の見直しに伴う賠償の実施について」(賠償基準)を定め、7月24日に公表しています。
 その賠償基準では、精神的損害や就労不能損害、個人事業主の営業損害について、被害を受けた人たちの生活の再建や生活基盤の確立に向けて、まとまった賠償金が早期に受け取れるよう、将来分を含めた一定の期間を対象として一括して請求できる包括請求方式(一括払い)が選択できるようになっています。
 今回、国税庁が示した所得税の取扱いは、個人が受け取る「財物価値の喪失又は減少等」に対する賠償金だけでなく、その包括請求方式によって受け取る「営業損害」又は「就労不能損害」に対する賠償金に関する課税関係を明示したものです。
 具体的には、「家事用資産の損害に対する賠償金は、非課税所得に該当し、所得税の課税関係は生じない」とし、「棚卸資産以外の業務用資産の損害に対する賠償金は、非課税所得に該当し、所得税の課税関係は生じない」としています。ただし、「その業務に係る事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入される当該業務用資産の損失額は、賠償金の額を控除した金額となる」ということに注意が必要です。
 また、「棚卸資産の損害に対する賠償金は、事業所得に係る収入金額となる」とされていて、「一括払いによる賠償金は、その対象期間中の時の経過に応じて金額が最終的に確定していくものであるため、その対象期間中の各年分の収入として、営業損害に対する賠償金は事業所得等の収入金額に算入し、就労不能損害に対する賠償金は一時所得の収入金額に算入する」としています。

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マネー・ローンダリング阻止で法改正。警察庁がリーフレットでPR

2012年12月03日

来年4月1日にスタートする改正犯罪収益移転防止法を解説したリーフレットを警察庁が作成しました。脱税資金などを洗浄して表社会で使えるようにするマネー・ローンダリングを阻止する措置を分かりやすく解説しています。

 犯罪収益移転防止法は、脱税や麻薬販売などの犯罪により得た収益を隠そうとする行為やテロ行為への資金供与を防止するための法律です。いったん他人名義の預貯金口座に入金して一般的な取引を行い正当な資金に変身させたり、ペーパーカンパニーを利用して正当な事業収益を装うといったマネー・ローンダリングを行わせないよう金融機関などの特定事業者に本人確認を厳格に行うよう義務づけています。
 特定事業者には、金融機関だけでなく、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁護士などが指定されていますが、今回の改正では、弁護士や税理士などの士業を除く特定事業者について、取引時の確認事項を増やしています。具体的には、「取引を行う相手」や「職業または事業の内容」、「実質的支配者」、「ハイリスク取引の資産および収入の状況」といったことが確認事項に付け加えられました。なお、ハイリスク取引とは、なりすましや偽りの疑いのある取引のことです。

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