2014年IEC東京大会に対して協賛者が支出する費用について、このほど、東京国税局が金銭協賛も物品協賛も「広告宣伝を目的として協賛するものは経費として取り扱っても差し支えない」とする見解を示しました。
IEC(国際電気標準会議)とは、電気・電子分野の国際規格を制定する国際機関。1906年創立で100年以上の歴史を有し、現在、日本を含め82カ国が加盟している組織です。毎年、電気・電子分野の国際規格を制定するための国際会議であるIEC大会を開催していて、その大会が、平成26年11月4日から平成26年11月15日にかけて東京で開催されることになっています。
同大会の開催に当たり、2014年IEC東京大会組織委員会では金銭協賛だけでなく物品協賛などを一般の企業及び各種関係機関・団体に参加(協賛)を呼びかけているわけですが、その協賛金や無償提供した物品について経費処理ができなければ、参加する企業などがあまり見込めないという問題がありました。
そこで、同組織委員会は東京国税局に対して「金銭協賛者が広告宣伝を目的として支出する協賛金については、広告宣伝期間のうち全ての金銭協賛者の広告宣伝が実施されており、かつ、協賛金の支出により最も長く広告宣伝を行うことができる期間である平成25年12月2日から大会Web広告終了日(平成26年12月12日)までの期間を基礎として期間配分し、損金の額に算入する。また、物品協賛者が広告宣伝を目的として物品協賛者の名称が表示された事務用品・文房具及び物品協賛者の名称又はロゴを印刷した会議バッグを無償で提供するために支出する費用については、最も長く広告宣伝を行うことができる期間である大会Web広告開始日(平成26年11月3日)から大会Web広告終了日(平成26年12月12日)までの期間を基礎として期間配分し、損金の額に算入する。こうした税務処理で構わないか」などとする質問を行っていました。
それに対して、このほど東京国税局が「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」とする回答をしたわけです。
このほど東京都税制調査会が、平成24年度の検討結果を集約した「中間報告」をまとめました。注目したいのは、今年8 月に国会で成立した社会保障・税一体改革関連法に対して、地方自治体の実情をいかに無視しているかを指摘している点です。
同調査会の基本的なスタンスは、税制の側面から社会経済上の課題にアプローチし、「税制の中長期的なあるべき姿」を提言することにあります。しかし今回の中間報告では「必要な財源を必要なところへいかに適正かつ効率的に配分するかを考えるには、国・地方を通じた財政制度や行政組織のあり方まで含めて論ずる必要がある」として、国と地方が抱える財政赤字や社会保障の分野まで踏み込んだ議論を行ったことを綴っています。
中でも厳しく指摘しているのが、社会保障・税一体改革関連法の内容についてです。消費税の地方への配分割合について「地方単独事業の取扱いを巡って、対人社会サービスの提供に直接従事する職員の人件費が、『給付』の担い手としての側面は評価するとされたものの、引上げ分の消費税収は全て国民に還元し、『官の肥大化』には使わないとの観点から『給付』に該当しないとして対象が限定された」ことに強く反論しています。
具体的には「地方自治体の実施する社会保障サービスのほとんどは、福祉サービス提供に直接従事する専門職員による現物給付であり、こうしたマンパワーの重要性の実態を踏まえた取扱いであるとは言い難い」として、専門職員への人件費こそが社会保障サービスの源になっていると強く訴えています。
一方、一体改革関連法では、消費税及び地方消費税の税率引上げにあたって、経済状況を好転させることを条件として実施することが明記されていますが、これについても「経済状況を勘案しつつ、行政の無駄を徹底的に見直し、行政に対する国民の信頼回復に向けた取組を進めることが特に必要である」と注文をつけています。
日本商工会議所(岡村 正会頭)が問合せていた「退職金共済事業に関する税務」について、このほど国税庁が回答しました。これにより、暴力団をはじめとする反社会的勢力は商工会議所が運営している退職金共済に加入することができなくなりました。
平成19年6月19日、政府の犯罪対策閣僚会議幹事会において「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(政府指針)が決定され、暴力団をはじめとする反社会的勢力との関係を遮断する方策が示されました。例えば、共済に加入を希望する相手方に対して、あらかじめ、「自分が反社会的勢力でない」という申告を求める条項を規約に設けておけば、うそをついて加入した場合は即時解約ができます。そういった規約の整備などを示したわけです。
全国の商工会議所が運営している退職金共済は、会議所の会員企業が従業員に支払う退職金の原資を確保するためのツールですが、現状では反社会的勢力の排除条項を共済規定に設けていないため、いわゆる企業舎弟などが簡単に加入できる状態になっているわけです。商工会議所サイドもすぐにでも同条項を共済規定に盛り込もうとしたわけですが、そこに立ちはだかったのが所得税法に規定されている「不当な差別的取扱いの禁止」規定でした。また、同法には、共済規定を変更する場合、所轄税務署長の承認を受けなければならないとする規定もありました。
そこで、日本商工会議所は、「共済契約の存続を困難とする重大な事由がある場合には、保険者である特定退職金共済団体はその生命共済契約を解除することができる」(保険法第57条第3項)という規定を示して反社会的勢力の排除は不当な差別には当たらないと説明。したがって、同勢力の排除条項を共済規定に設けるときに税務署長への承認申請は必要ないのではないか、と国税庁に問い合わせていました。この問い合わせに対して、国税庁がこのほど「貴見のとおりで差し支えない」とする回答を出したわけです。
全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間(平成23事務年度)に実施した相続税調査の結果を、このほど国税庁がまとめました。それによると、海外に遺産を隠す傾向が一段とエスカレートしています。
23事務年度中に実施された相続税調査のうち、実際に納税者のもとへ乗り込んで行う実地調査は、全部で1万3,787件(前事務年度1万3,668件)でした。
国税庁がまとめている相続税の申告状況によると、平成22年中(平成22年1月1日〜平成22年12月31日)に亡くなった人で、相続や遺贈などで財産を遺族に残した被相続人(死亡者数)は約120万人(前年約114万人)とされていて、このうち相続税の課税対象となった被相続人は約5万人(前年約4万6千人)でした。課税割合は4.2%(前年4.1%)とされています。すなわち、税務署は相続税の申告を行った人の約2割に対して、相続税の実地調査を敢行していることになります。
一方、実地調査が行われた人のうち、1万1,159件(前事務年度11,276件)から申告漏れなどの非違が把握されました。非違割合は80.9%(同82.5%)にのぼっています。これを税額で見てみると、申告漏れ課税価格は3,993億円(同3,994億円)で、実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は2,896万円(同2,922万円)でした。追徴税額(加算税を含む)は757億円(同797億円)で、実地調査1件当たりでは549万円(同583万円)追徴されています。
今回の相続税調査の特徴は、やはり海外に資産を隠して相続税を逃れるケースが増えていることです。
海外関連の相続に対する実地調査件数は、じつに741件(前事務年度695件)にものぼり、その中から111件(同116件)の申告漏れなどの非違が把握されています。その申告漏れ課税価格は総額で72億円(同59億円)で、非違1件当たりの申告漏れ課税価格は6,478万円(同5,047万円)となっています。
デスクトップからスタートボタンが消えたことで話題を集めている米マイクロソフト社のWindows8について、このほど、国税庁が「現時点でe-Taxの推奨環境外とさせていただいている」というコメントを発表しました。
米マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が、10月26日発売した新OS(基本ソフト)「Windows8」について、販売本数が全世界で400万を突破したことを10月30日の段階で明らかにするなど、今回のOSは、かつてない人気を集めています。
そこで、慌てたのがインターネットを通じて自宅や会社のパソコンから国税の申告や各種届出、納税まで行えるシステム(e‐Tax)を提供している国税庁です。
11月9日、国税庁は「平成24年10月26日に発売されたWindows8及びInternet Explorer10は、現時点でe-Taxの推奨環境外とさせていただいている」というコメントを発表。「現在、動作検証を進めており、対応が完了次第、e-Taxホームページ上でお知らせします」と告知しました。
現時点でe-Taxを利用する場合の国税庁が推奨する環境は、ハードウェアはCPU:Pentium4(1.6GHz) 以上(又はその相当品)、メモリが512MB 以上、ハードディスクドライブ(HDD)は2GB以上の空きエリアで、画面解像度は1024×768以上となっています。
オペレーティングシステム(OS)は、Microsoft Windows XP、同Windows Vista、同Windows7で、ブラウザについても、Microsoft Internet Explorer6、同Internet Explorer7、同Internet Explorer8、同 Internet Explorer 9とされています。
中小企業金融円滑化法が来年3月末に適用期限を迎えるにあたり、多くの企業から期限後の対応について質問が寄せられていることから、このほど金融庁が金融担当大臣の談話という形で同法の期限到来後の検査・監督の方針を明らかにしました。
中小企業金融円滑化法が来年3月末に適用期限を迎えることから、期限到来後の金融機関や金融庁の対応について、現在、多くの中小企業から金融庁に問合せが殺到しています。そのため、金融庁が金融担当大臣の談話という形で、このほど円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針を明らかにしました。
まず、その談話では、金融検査マニュアル等で措置されている中小企業向け融資に当たり、「貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件は恒久措置であり、円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません」としています。
そして、その要件について「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」や「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」は、不良債権に該当しないとしました。その上で、個々の借り手の経営改善に具体的にどのように密着して取り組んでいるのかについては「検査・監督において従来以上に光を当てていく」としています。
具体的には、「借り手が抱える経営課題は様々であり、また、そうした課題の解決には相応の時間がかかることは十分認識している。借り手が引き続き課題の解決に向けて努力していくことは重要だが、全ての借り手に対して来年3月末までに何らかの最終的な解決を求めるというものではない」と説明。一方、金融機関に対しては「自らのコンサルティング機能を積極的に発揮し、それぞれの借り手の経営課題に応じた最適な解決策を、借り手の立場に立って提案し、十分な時間をかけて実行支援するよう促していく」としています。
いま各事業所が、年末調整へ向けて保険料控除申告書を従業員に作成させているところですが、今年から生命保険料控除の控除限度額が改正されているので注意が必要です。
所得税の生命保険料控除については、平成22年度の税制改正により、今年1月1日以後に締結した新しい保険契約に係る控除限度額が4万円とされました。そのため、平成23年12月31日よりも前から加入している古い生命保険については、控除限度額は従来通りの5万円が適用されるという2つのパターンが存在するのです。
注意したいのは、新しい生命保険と古い生命保険の両方に加入している人の生命保険料控除の控除限度額です。例えば、今年中に加入した新しい生命保険の保険料を4万円支払い、古い生命保険の保険料についても10万円を支払ったという人の場合、新しい生命保険の保険料の控除限度額は3万円(4万円×1/2+10,000円)で、古い生命保険の保険料の控除限度額は5万円(10万円×1/4+25,000円)となります。そして、新旧二つの生命保険の保険料について、保険料控除を適用するとなると限度額は4万円(二つの控除限度額をプラスすると8万円になるが、限度額は4万円)になります。
このように、新旧二つの生命保険の保険料について保険料控除を適用すると、古い生命保険だけを適用した場合(控除額は5万円)よりも限度額が安くなる場合があるのです。これについて国税庁では「一番大きい金額となる旧生命保険料だけによる控除額を一般の生命保険料控除額とすることもできる」という見解を示しています。
3月決算法人に続いて件数の多い9月決算法人の申告に備え、11月27日から11月30日までの間、国税庁では国税の電子申告システム(e-Tax)の利用時間を拡大する予定です。
e-Taxは、自宅や会社のパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や納付ができる便利なシステムです。便利なものなのですが、法人については平成19年度の時点で約50万件しか利用していませんでした。それが平成23年度には約170万件と利用者が急増。その背景には、国税庁が所得税や法人税の申告が殺到する時期にe-Taxの利用時間を拡大するなどの柔軟な対応をし始めたからです。
通常のe-Taxの利用時間は、平日の午前8時30分から午後9時までとされていますが、今回も国税庁では9月決算法人の申告が集中する11月27日(火)から11月30日(金)までの4日間について、午後10時30分まで利用できるようにすることにしています。これは、e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー及びe-Taxソフト(WEB版)の利用可能時間についても同様に延長する予定です。
ただし、電子納税と各種手数料の納付については、今回のe-Taxの利用可能時間内で、しかも、利用している金融機関のシステム(インターネットバンキングやATM等)が稼動している時間でなければ利用できないので注意が必要です。