このほど国税庁が、今年11月に平成24年度第3回のインターネット公売を実施することを発表しました。今回、注目されているのは7.5カラットのダイヤモンドです。
公売とは、滞納となった税金を国税局・税務署が徴収するために差押財産を強制的に売却することです。そして、インターネット公売は、その公売手続のうち、買受申込みなどの手続について、インターネットを利用して行われるものです。
なお、平成24年度において実施するインターネット公売は、一般競争入札で決定した楽天オークション株式会社が運営するオークションサイト(官公庁オークション)で行われています。
今回の公売参加申込受付期間は、平成24年11月2日(金)13時から11月12日(月)17時までで、買受申込期間は、平成24年11月22日(木)13時から11月26日(月)13時までとされています。そして、最高価申込者の決定日は平成24年11月28日(水)10時の予定です。
今回のインターネット公売で、一番注目を浴びているのは、見積価額4,080万円のダイヤモンドで、装備されているGIAの鑑定書(発行年月日H16.11.12)によると、7.5カラット、カラーD、クラリティFとされています。また、いつも自動車も人気が集まるのですが、今回は、見積価額190万円の1996年6月型のフェラーリ365GT2+2です。ボディーカラーはワインレッドで、車検の有効期限が平成25年3月とされています。さらに、女性に喜ばれるブランド品も出展されていて、今回は、見積価額21万円エルメスのハンドバッグなどが話題を呼んでいます。
このほど、国税庁が今年6月までの1年間に実施した所得税に関する税務調査の事績を発表しました。それによると、前年と比べて3万件も申告漏れ件数が多く把握されています。
全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間に行った所得税の実地調査は、特別調査と一般調査を合わせると5万8千件(前事務年度5万7千件)でした。また、一定の経費が水増しされていないかなど着眼点を設けて行った調査は、4万1千件(前事務年度3万7千件)で、さらに、簡易な接触を行った件数は、67万6千件(前事務年度66万1千件)でした。
これらの調査の合計件数は、77万4千件(前事務年度75万5千件)にのぼるわけですが、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は、48万7千件でした。これは、前事務年度の申告漏れ件数(45万6千件)と比べると3万件も増えています。
一方、実地調査による申告漏れ所得金額は、全体で5,882億円(前事務年度6,013億円)でしたが、このうち特別調査・一般調査によるものは4,867億円(前事務年度5,036億円)、着眼調査によるものは1,015億円(前事務年度977億円)となっています。また、簡易な接触によるものは3,711億円(前事務年度3,588億円)となっており、調査等合計では、9,592億円(前事務年度9,601億円)の申告漏れ金額となっています。
実地調査による追徴税額は、全体で893億円(前事務年度995億円)でしたが、このうち特別調査・一般調査によるものは830億円(前事務年度929億円)、着眼調査によるものは63億円(前事務年度66億円)となっています。
また、簡易な接触による追徴税額は268億円(前事務年度245億円)となって、調査等合計では、1,162億円(前事務年度1,239億円)でした。
10月9日、全国建設産業団体連合会(北川義信会長)が、国土交通省に対して、建設産業関係の各種制度の改善に向けた要望活動を行いました。中でも、工事請負契約書にかかる印紙税の廃止については強く要望しました。
工事請負契約書の印紙税は、現在軽減税率が適用されているものの、1989年の消費税の導入にあたって物品売買契約などの文書の印紙税が廃止されながら、建設業・不動産業の契約書については継続されたという経緯があります。一方で、ここへきて電子契約の場合は印紙税が課税されないことになっていて、印紙税の課税根拠が不合理な形になっています。
とくに、建設関連産業では請負の形態が一次下請けや二次下請けといった重層請負になっていることから、それぞれの段階で契約時に消費税と印紙税が課税されるという二重課税どころか多重課税となっています。つまり、他の業種と比べると明らかに不平等な状態になっているわけです。
こういった状況があるにもかかわらず、政府の社会保障と税の一体改革で消費税の税率が引き上げられることが決まったことから、建産連では、恒例の国土交通省への要望活動で「工事請負契約書への印紙税の廃止」を新たに要望したわけです。
これに対して国土交通省は、「来年度税制改正に向けた改正要望を今年9月に行ったわけだが、その中で、印紙税については、今年度末に期限を迎える現行の印紙税の特例措置を1年間延長するとともに、平成26年度以降については、消費税の税率引き上げなどを踏まえて負担額の軽減措置を講じるよう財務省に求めている」と回答しています。
国税庁が「平成24年版給与所得者と年末調整(リーフレット)」を作成しました。その中で、一番気を使っているのは、いわゆる住宅ローン控除の適用についてです。
通称、住宅ローン控除とは、一定の条件のマイホームを銀行ローンで購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事を同じく銀行ローンを組んで行うと、年末のローンの残高に応じて税金が安くなる制度のことです。同制度の適用は、初年度は確定申告で行うことになっていますが、次年度からは勤務先の会社の年末調整で適用することができることになっています。
ところが、住宅ローン控除制度(住宅借入金等特別控除)は、これまで数度にわたって改正されてきているため、その時々の制度適用者について控除額が異なる形になっています。そのため、今回のリーフレットでは、住宅ローン控除を適用する従業員について、どの時点で適用し始めたかで控除額がいくらになるかが分かるように説明されています。
例えば、平成11年1月1日から平成13年6月30日までに購入した住宅に居住した人については、1〜6年目までは年末残高の1.0%、7〜11年目までは年末残高の0.75%、12〜15年目までは年末残高の0.5%といった形で控除額が算出できるように一覧表で解説されています。
会計検査院が10月4日、「消費税の簡易課税制度」について検査した結果を公表しました。それによると、簡易課税制度上定められているみなし仕入れ率は、全業種区分で実質の仕入れ率よりも高く設定されていて、益税を生む温床となっていることが判明したとしています。
消費税の課税事業者は、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を差し引いた残りの税額を税務署に納める、いわゆる仕入れ税額控除を行うことが義務付けられています。ただし、中小零細事業者については、事務負担を軽減することを目的として簡易課税制度が設けられています。同制度は、課税事業者が基準期間(個人事業者では課税期間の前々年、法人では課税期間の前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の場合、それに対応する課税期間の消費税の算出方法について、課税売上げに係る消費税額にその事業者の営む事業の種類に応じた50〜90%のみなし仕入率を乗じて計算した金額を課税仕入れに係る消費税額とみなして控除することができるというものです。
同制度について、会計検査院が平成23年12月から翌年5月までの間に東京国税局及び44税務署を対象に、簡易課税制度を適用している3,075件の法人と1,624件の個人事業者、計4,699件の事業者を抽出して、消費税の確定申告書等の内容を分析して会計実地検査を行いました。
その結果、税法上定められているみなし仕入れ率は、全業種区分で実質の仕入れ率よりも高く設定されていることが判明。税法上のみなし仕入れ率が実際の仕入れ率よりも高ければ、納税額が少なくなり、益税として手元に残る消費税が多くなるわけです。検査院が平成22年に同制度を利用した事業者の決算書を調べたところ、みなし仕入れ率が高く設定されていることで益税を得た事業者は1,583件(法人840件、個人743件)で、その益税の額は5億352万円(法人計2億9,189万円、個人計2億1,163万円)にのぼりました。
さらに、設立2年以内の法人は基準期間が存在しないため課税売上高に関係なく制度を利用できるわけですが、その課税売上高が5億円超の12社も制度を利用していました。いずれも吸収分割などで親会社の事業を引き継いだ子会社で、うち11社で計3億4,542万円の益税が発生していたとしています。
今回発覚した益税について、会計検査院は「現行制度のまま税率が上がれば益税がもっと増えることが懸念される」とする検査結果を内閣と国会に報告しています。
消費税の免税事業者が、消費税の課税事業者の事業を相続した場合、原則として、相続のあった年の課税資産の譲渡等については、消費税が課税されることになっていますが、このほど、東京国税局が共同相続人の場合は必ずしも課税事業者になるとは限らないとの見解を示しました。
今回の東京国税局の見解は、納税者Aさんの質問に同国税局が回答する形で示されたものです。
Aさん、および、Aさんの実母、そして、Aさんの実妹は、それぞれに事業を営んでいる個人事業者です。Aさんの説明によると、平成23年4月に実母が亡くなり、平成24年2月に相続人であるAさんと実妹で遺産分割協議が成立し、被相続人が営んでいた事業の全てをAさんが承継することになりました。すなわち、今回の消費税の課税問題となっている「遺産分割協議が成立するまで」の期間は、Aさんと実妹が被相続人の事業を共同して営んでいたわけです。
Aさんと実妹のそれぞれの事業収入を見てみると、平成21年分と平成22年分のいずれの年分も消費税の課税売上高は1千万円以下でした。したがって、相続がなければ、これらの年分を基準期間とする平成23年分と平成24年分は、二人とも免税事業者になるはずでした。
ところが、消費税法第10条によると、免税事業者である相続人が、一定規模以上の事業を相続した場合には、納税義務は免除されないとされています。被相続人の事業収入を見てみると、経常的に課税売上高が1千万円を超える課税事業者であったことから、二人とも、同規定の適用を受けるものと当初思っていたようです。
しかし、いざ申告時期が近づいてきて見直してみたところ、遺産の分割が行われるまでは、被相続人が行っていた事業を共同で営んでいたことに気がつきました。そこで、平成23年分と平成24年分に係る消費税については、国税庁の通達(消費税法基本通達1-5-5共同相続の場合の納税義務)を適用して、被相続人の基準期間(平成21年分及び平成22年分)における課税売上高を法定相続分(それぞれ1/2)であん分して、課税事業者かどうかを判定することにしました。すると、二人とも基準期間の課税売上高が1千万円以下となったことから免税事業者に該当すると判断したそうです。
この判断についてAさんが東京国税局に問い合わせたところ、同国税局が「免税事業者に該当すると取り扱って差し支えない」と回答してきたわけです。
国税庁がこのほど、平成23年分の民間給与実態統計調査の結果を公表しました。それによると、全業種の中で「電気・ガス・熱供給・水道」業に従事する人の給与が一番高いことがわかります。
今回の調査結果は、民間の事業所に勤務している人が会社からもらっている給与について、昨年12 月31 日現在の実態を明らかにしたものです。それによると、全国の給与所得者数は、5,427 万人(対前年比0.2%増、12 万人の増加)でした。
そして、1年を通じて勤務した給与所得者数は、4, 566 万人(対前年比0.3%増、14 万人の増加)で、その平均給与は409 万円で、昨年よりも3万円(同0.7%減)減少しました。これを男女別に見てみると、男性の給与所得者数は2,731 万人(同0.1%増、2万人の増加)で、女性が1,835 万人(同0.6%増、12 万人の増加)でした。平均給与は男性が504 万円(同0.7%減、36 千円の減少)で、女性は268 万円(同0.5%減、14 千円の減少)となっています。
平均給与を業種別に見てみると、電気・ガス・熱供給・水道業の713 万円が最も高く、2番目が金融業,保険業の577 万円でした。最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の230 万円です。これは、東日本大震災で爆発事故を起こした福島第一原発の賠償問題で揺れている東京電力の社員の給与がどんなものなのかを垣間見ることができるデータといえるでしょう。
大阪府と大阪市が10月1日、全国初の府・市の重複滞納事案を合同で処理する「大阪府・大阪市合同滞納整理特別対策チーム」を発足させます。同時に、法人の新規事業所を捕捉するための共同調査も実施する予定です。
合同滞納整理特別対策チームは、大阪府税務室徴税対策課特別整理グループの職員11名と大阪市税務部収税課収納対策特別チームの職員9名で構成されます。そして、彼らは大阪府と大阪市の重複滞納事案のうち、滞納税額が100万円以上の滞納事案(府・市ともに平成24年8月末時点を確定分で66件9兆4,900万円)の整理にあたる予定です。
具体的には、大阪府と大阪市で分担を行い、イニシアチブ(主担当)を決定して滞納整理を行うとしています。大阪府のイニシアチブ分は、30件、税額(府・市滞納額計)4兆2,600万円を受け持ち、大阪市のイニシアチブ分は、36件、税額(府・市滞納額計)5兆2,300万円を受け持つとしています。
一方、法人関係の調査は、大阪市内府税事務所の法人課税担当職員と大阪市船場法人市税事務所の法人市民税(調査)担当職員がタッグを組んで実施する予定です。大阪府と大阪市それぞれが保有する調査資料に記載のある法人で、府市に法人設立の届出書を提出していない法人約39,000件に申告慫慂を行うことにしています。なお、24年度は既に調査を進めているため、10月以降に申告慫慂等を行う法人は約300件(見込み)です。