最近、政府が法人税の課税ベースを拡大し続けていることから、5月24日、日本税理士会連合会(日税連、池田隼啓会長)が同会の税制審議会(金子宏会長)に諮問する形で調査を依頼しました。
増税というと税率アップがクローズアップされますが、課税対象を広げることも一種の増税です。日税連によると「課税ベースの拡大傾向が顕著になったのは、平成10 年度の税制改正で、減価償却制度の見直しだけでなく、賞与引当金や退職給与引当金の廃止など大幅な改正が行われた。また、平成23 年度の税制改正においても、貸倒引当金の廃止や減価償却制度における定率法の償却率の変更などが行われていて、今後もこうした方向が採られることが予測される」としています。
むやみに法人税を増税すると、国内の雇用の促進や国外からの投資の拡大、産業の空洞化に大きな影響を及ぼします。また、雇用の大半を担っている中小企業の発展を阻害する要因にもなりかねません。そこで、このほど日税連は、税制審議会に対して「法人税における課税ベースのあり方」をテーマとして平成24年度の諮問を行いました。
税制審議会は、日税連の会則に基づいて設置された学識経験者及び税理士によって構成されている日税連会長の諮問機関です。単年度ごとに発せられる会長の諮問に対し、税制や税務行政全般について調査・審議を行い、その結果を会長に答申。その答申は、日税連が、毎年、関係省庁に提出している税制改正建議書に反映されています。なお、今回の諮問については、今年12月を目途に答申が行われることになっています。
中小企業が購入した太陽光発電設備と風力発電設備を、100%即時償却ができる新しい「グリーン投資減税」の制度の詳細を資源エネルギー庁がPRしています。
グリーン投資減税は、青色申告法人が平成23年6月30日から平成26年3月31日までの間に対象設備を取得した場合、取得価額の30%特別償却または7%の税額控除(中小企業のみ)を適用することができるという制度です。適用対象設備には、電気自動車やハイブリッド建機、太陽光発電設備などがあります。
このグリーン投資減税が、平成24年度税制改正により、一定規模(太陽光発電設備10KW以上、風力発電設備1万KW以上)の太陽光発電設備と風力発電設備で、発電した電気を電気事業者が買い取る固定価格買取制度の認定を受けた設備については、取得価額の全額を即時償却できることになりました。ただし、この即時償却ができるのは、平成24年5月29日から平成25年3月31日までの間に取得したものに限られています。
そのため、資源エネルギー庁では「現行の余剰買取制度による売電または自家消費をご検討される場合や、10KW未満の太陽光発電設備や1万KW未満の風力発電設備の導入をご検討される場合には、平成24年5月28日までに設備を取得して頂かないとグリーン投資減税の適用が受けられませんのでご注意下さい」としています。
このほど、東京都が平成23年度の不正軽油の取締り実績をまとめました。それによると、燃料タンクから抜取調査を実施した都内ナンバーの車両の混和検出率は0.1%と3年連続で最低の水準をマークしています。
ディーゼルエンジンの車両に使う燃料は、必ずしも軽油の性状を満たしている必要はなく、A重油や灯油等でも動くとされています。このため、軽油引取税の古典的な脱税手法として、軽油とA重油・灯油を混和したり、A重油と灯油を混和するなどして軽油代替の燃料として用いるという不正が横行しています。
そこで、東京都では、悪質な脱税行為であるとともに大気汚染の元凶にもなっている不正軽油を撲滅するため、平成12年度から取締りを強化。路上や高速道路パーキングエリア、工事現場などで、車両・重機等からの燃料抜取調査を展開しています。
平成23年度の同取締りの実績は次の通りです。
(1)都内ナンバーに対する抜取調査本数は1981本で、混和本数は1本、混和検出率は0.1%
(2)他府県ナンバーに対する抜取調査本数は1891本で、混和本数は11本、混和検出率は0.3%
(3)重機等に対する抜取調査本数は2245本で、混和本数は8本、混和検出率は0.4%
トータルで抜取調査本数は6117本で、混和本数は20本、混和検出率は0.3%でした。また、東京都では、平成23年度に違法に不正軽油を販売したとして行った通告処分は1件、課税処分は4件(課税額等総額898万6千円)でした。
財務省が社会保障と税の一体改革について「副大臣がお答えします」というタイトルで、ホームページ上に「よくある質問コーナー(Q&A集)」を設けました。
消費税率引き上げ法案が国会に提出されたものの、審議が遅々として進まない状況に多くの国民がジレンマを感じ始めています。そのため、財務省ではホームページ上に「副大臣がお答えします」と題したコーナーを設けました。
財務省は、もう一度、社会保障と税の一体改革の必要性を説明する必要があると判断。五十嵐文彦副大臣(政府税調企画委主査)が国民から寄せられた質問に答えたものの中から、関心の高かったものを同コーナーに分かりやすくQ&A形式で掲載しています。
具体的には、「なぜ今一体改革が必要となるのでしょうか」という質問や、「経済成長すれば増税しなくても財政再建は可能という説がありますが、どのように考えていますか」、「なぜ所得税や法人税ではなく、消費税の引上げを行うのでしょうか」といった質問に対して、五十嵐副大臣が図表を使うなどして丁寧に回答しています。
現在、同コーナーには6問の質問に解答と解説したものを掲載しているわけですが、五十嵐副大臣は同コーナーのQ&Aの項目について、今後も更新していくことを5月14日に財務省内で行われた記者会見で明らかにしています。
e-Tax(国税の電子申告システム)を利用するときのネット上の窓口となっているe-Taxホームページで5月9日にサーバ不具合が発生。「電子メールによるお問い合わせ」を利用した人のメールが受信できなかったことがわかりました。
e-Taxは、国税庁が運営しているシステムで、インターネット上に国税庁が立ち上げているサイト「e-Taxホームページ」を介して、国税の申告や各種届出、国税の納付まで行える仕組みになっています。そして、それら行うときにシステムの使い方がわからない人のために、同ホームページでは「電子メールによるお問い合わせ」ができる窓口が設置されています。
その窓口は、同ホームページ上の「サポート情報など」のコーナーの中にある「お問い合わせ・よくあるご質問」の欄をクリックすると、3項目目に用意されているもので、利用開始のための手続やe-Taxソフトの操作などに関するお問い合わせを、電子メールで受け付けているものです。
ところが、平成24年5月9日水曜日の午前9時から午前11時までの間、サーバ不具合により、その問い合わせメールを受信することができませんでした。国税庁では「誠にお手数をおかけしますが、その期間中にいただいたお問い合わせにつきましては、再度、お問い合わせいただきますようお願いいたします」としています。
このほど、国税庁がe-Tax(国税の電子申告システム)の利用可能時間を5月下旬の一定期間について拡大することを発表しました。これは、法人税の申告・納付が一番多い3月決算法人のために行う臨時的な措置です。
e-Taxは、税務署に行かなくても社内のパソコンでインターネットを通じて国税の申告や各種届出だけでなく、国税の納付も行うことができる便利なシステムとあって、法人税の申告だけでも約170万件が利用しています。
一方、毎年、5月下旬は全国約250万社の3月決算法人が法人税の申告・納付を行う時期です。そのため、国税庁では毎年その3月決算法人の申告・納付に合わせてe-Taxの利用可能時期を拡大してきました。今年も、国税庁では次のように利用可能時間の拡大を実施する予定です。
通常、e-Taxの利用可能時間は、平日の午前8時30分から午後9時までですが、5月28日(月)から31日(木)までは午後10時30分まで延長するとしています。
なお、今回の利用時間の拡大措置の発表では、6月決算法人(申告期限を延長している法人含む)と9月決算法人のために「8月28日(火)から31日(金)」と「11月27日(火)から30日(金)」についても午後10時30分まで利用時間を延長することも明らかにされています。
東京都が、インターネットを通じてクレジットカードで自動車税を納付する人に注意を呼びかけています。車検の際に必要な納税証明書の発行が、都税事務所の窓口受け取りでも支払い手続きが完了した日から約3週間後になるからです。
原則として、車検を行うときには自動車税の納税証明書が必要です。その納税証明書は、都税事務所から送られてくる自動車税納税通知書とセットになっていて、銀行やコンビニで納付した時に納付印が押され、それが納税証明書となる仕組みになっています。
したがって、自宅のパソコンや携帯電話からインターネットを通じて、クレジットカードで自動車税を納付すると、納付印が押されないため、後日、都税事務所まで納税証明書を取りに行くか、または、都税事務所から送られてくるのを待つしかないわけです。問題は、都税事務所の窓口で納税証明書が発行できるのが、クレジットカードの場合は支払手続きが完了した日から約3週間後になるということです。つまり、その間は車検を行うことができないわけです。
東京都では、すでにクレットカードで納付した人もいることから、都税事務所の窓口での納税証明書の発行可能日と発送日を主税局ホームページで明示しています。例えば、支払手続き完了日が5月1日から5月5日の場合、都税事務所の窓口での発行可能日は5月17日になり、納税通知書の発送日は5月22日になるとしています。
また、これから納付する人に対しては「車検等のため、納税証明書が至急必要となる場合には、クレジットカード納付ではなく、金融機関等の窓口又はコンビニエンスストアにてご納付ください」(東京都主税局)と呼びかけています。
4月27日に国税庁が終身保障タイプのガン保険を使った法人税の節税規制をスタートさせたことが物議を醸しています。「複雑な計算式による課税の仕方を通達で決められるのか」「租税法律主義に反するのではないか」といった声が国税庁に寄せられた模様です。
ガン保険(終身保障タイプ)を使った法人税の節税とは、会社を契約者及び保険金受取人、役員や従業員を被保険者とする契約を結び、一定の要件をクリアすれば支払保険料の全額損金算入が認められるというものです。保険期間が長期にわたり、高齢化すればガンの発生率が高まるにもかかわらず、平準化した保険料を算出していることから、保険期間の前半において中途解約または失効した場合、かなり多額の解約返戻金を受け取ることができるという会社にとっておいしい保険商品なのです。
そこで、国税庁では、平成13年に法人税の取扱い通達でもって法人契約のガン保険については「終身払込の場合にはその支払の都度損金の額に算入、有期払込の場合には保険期間の経過に応じて損金の額に算入する」としました。しかし、「以後10年が経過し、保険会社各社の商品設計の多様化等により、がん保険の保険料に含まれる前払保険料の割合や解約返戻金の割合にも変化がみられることから、その実態に応じて取扱いの見直しを行うことになった」として、国税庁は今回の節税規制に踏み切ったわけです。
具体的には、平成13年に通達で定めたガン保険に関する取扱いを廃止した上で、新たに「法人が支払う『がん保険』(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて」と題する法令解釈通達を4月27日付で出しています。その新しい通達では、例えば、保険料が終身払込の場合は「前払期間について、加入時の年齢から105歳までの期間を計算上の保険期間とし、当該保険期間開始の時から当該保険期間の50%に相当する期間を経過するまでの期間にあっては、各年の支払保険料の額のうち2分の1に相当する金額を前払金等として資産に計上し、残額については損金の額に算入する」などとしています。