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所有していた非上場株と同じ銘柄の株式を相続。一部売却でもみなし配当課税の特例適用OK

2012年04月30日

東京国税局が、相続した非上場株式と同一銘柄の株式をすでに持っている人が、その非上場株式を売却した場合、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例だけでなく、相続した非上場株式を発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例も適用できるという見解を示しました。

 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例とは、相続税の申告期限から3年以内に相続財産を譲渡した場合に、その譲渡した財産に係る相続税額を譲渡所得の計算上、取得費に加算することができるというものです。一方、相続した非上場株式を発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例とは、平成16 年度税制改正で導入されたもので、相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合、譲渡益に対してみなし配当課税が行われる部分について、そのみなし配当課税を行わず、譲渡所得の収入金額として取り扱うというものです。
 問題は、相続した非上場株式と同一銘柄の株式を相続人が以前から所有している場合にも、同みなし配当課税の特例が適用できるのかどうかが不透明だったことです。今回、ある納税者が、自己所有していた非上場株式2万株と同一銘柄の株式を1万3,333株相続して、合計3万3,333株のうち3,600株を株式発行会社に譲渡することにしました。そこで発覚したのが、今回の問題でした。
 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例には、合算した株式を譲渡した場合は、相続した株式を優先的に譲渡したものとみなす規定があるのに、同みなし配当課税の特例には、そういった規定がありません。そこで、その納税者は東京国税局に対して「同取得費加算の特例が、相続税納付のための相続財産の譲渡に係る所得課税の負担軽減を目的とするものであることからすれば、同みなし配当課税の特例も同様に取り扱うべきではないか」などとする質問を文書で行いました。それに対して、東京国税局が「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答したわけです。

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今年の路線価は7月2日に発表。気になる大震災被災地の動向

2012年04月30日

土地の相続税・贈与税の評価算定基準となる路線価について、国税庁が平成24年分は今年7月2日(月)に公開すると発表しました。

 7月2日から全国の国税局と税務署に備え付けられているパソコンで、平成24年分の路線価図等が閲覧できる予定です。なお、その路線価図等は、自宅や会社にあるパソコンでもインターネット(http://www.rosenka.nta.go.jp)を通じて見ることができます。
 路線価は、地価公示価格や売買実例価額及び不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見価格を基にして、地価動向に応じて毎年改定作業が行われています。したがって、今回も3月に国土交通省が発表した地価公示価格が大きく影響すると予測されています。
 国土交通省では、3月22日に平成24年地価公示価格を公表。それによると、全国平均の地価は、住宅地が前年比で2.3%、商業地が3.1%の割合でそれぞれ下落し、また、工業地なども合わせた全用途では2.6%と平成20年秋のリーマンショック以降4年連続で下落しています。ただし、昨年より下落率は縮小傾向を示しました。
 注目されていたのが、東日本大震災の被災地の地価です。48地点で選定替が行われ、17地点で調査を休止。変動率については、津波の被害が甚大であった地域では10%以上下落している地点も見られましたが、石巻市や気仙沼市では上昇していて、二極化している状況です。なお、東京都心に近い千葉県浦安市については、液状化現象により10%以上下落している地点が多数ありました。
 ちなみに、全国の標準地25,494地点のうち上昇したのは546地点でした。このうち413地点(約75%)が東京、名古屋、大阪の三大都市圏に占められていて、昨年と同様に都市部を中心に持ち直しの動きがみられました。

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国税庁が外部業者に委託して白色申告者への記帳指導を始める

2012年04月23日

平成26年1月から事業所得や不動産所得などを得ている白色申告の個人事業者も日々の取引の内容を記載した帳簿を備え付けることが義務付けられることから、国税庁が記帳指導の希望者を募集しています。

 白色申告者については、前年または前々年分の所得が300万円を超える者以外は記帳義務とその記帳した帳簿の保存義務はありません。ところが、平成23年度税制改正により、すべての白色申告者について平成26年1月から青色申告者と同等の記帳義務と帳簿保存義務が課されることになりました。
 この制度改正を受け、国税庁では個人事業者を対象に記帳指導を行うよう全国の税務署に指示を出しました。ただし、その記帳指導は、日々の取引の記帳だけでなく、一般的な決算における処理や確定申告書の作成まで指導を行うことになっていて、基本的には各国税局が外部の事業者に委託して実施することになっています。
 つまり、今回の記帳指導は、新たに青色申告を行う予定の人で正規の簿記の原則に従った記帳を行う人や新たに消費税の課税事業者となる人を対象にしているわけです。
 記帳指導を受けたい人は、最寄りの税務署の所得税担当に5月14日(月)までに電話で申し込まなければならない(受付時間は平日の午前8時30分から午後5時まで)ので注意が必要です。

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北海道のある町の「医師研究資金貸与制度」に対して札幌国税局が雑所得課税

2012年04月23日

地方の医師不足が問題となっていますが、このほど、ある町が行っている「医師研究資金貸与制度」について、札幌国税局が全額返済免除を受けた医師に対して免除額相当を雑所得として課税するという見解を示していたことがわかりました。

 札幌国税局が見解を言い渡したのは北海道にあるA町です。医師不足はA町にとっても深刻な問題だったことから、医師の資質の向上及び確保等を目的として、「A町医師研究資金等貸与条例」を制定。それに基づき、A町では、町内にある公立病院に勤務する医師に対して、申請により研究資金及び就業支度金を無利息で貸与する制度をスタートさせました。
 同制度上の貸与額については、医師免許取得経過年数に応じて研究期間が1年間の場合は、100万円から400万円、研究期間が2年間の場合は150万円から600万円、研究期間が3年間の場合は200万円から800万円という設定になっています。そして、研究資金等の返還義務について、(1)勤務期間が貸与期間に達したとき、(2)勤務期間中に死亡したとき、(3)勤務期間中に公務に起因する心身の故障のため公務を継続することができなくなったと認められる場合には、被貸与者の申請により免除され、さらに、災害、疾病その他やむを得ない理由により公務を継続することができなくなったと認められる場合には、町長の裁量により免除される規定も設けています。
 A町では、こうした債務免除について所得税が課税される可能性があると判断。「債務免除益については、医師に対する給与所得でもなければ、一時所得でもないことから雑所得に該当すると考えられる。また、研究資金等の無利息貸付けによる経済的利益についても、債務免除益と同様に雑所得に該当すると考えられる」などという見解を示して、札幌国税局に相談を持ちかけていました。それに対してこのほど、同国税局がA町の見解を容認する回答を出したわけです。

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消費税の税率引き上げ法案に盛り込まれた所得税と相続税の増税案に注意

2012年04月16日

年度末ぎりぎりの3月30日に政府が国会に提出した消費税の税率引き上げ関連法案に、所得税や相続税の増税案が盛り込まれていることが物議を醸しています。

 「社会保障と税の一体改革」に関するこれまでの民主党内のドタバタ騒ぎや国会の論戦では、現行の5%の消費税率を2014年4月に8%に、そして、2015年10月に10%に段階的に引き上げることばかりが取り沙汰されてきました。ところが、実際に国会に提出された法案には、消費税以外にも増税の内容が盛り込まれていたことから、多くの納税者が度肝を抜かされました。
 具体的には、所得税と相続税、贈与税の最高税率の引き上げなどがチャッカリ盛り込まれていたのです。所得税については、これまで年間所得1,800万円超の人に課せられていた税率40%が最高税率でしたが、法案では年間所得5,000万円超の人に45%の税率で所得税を課税すると明記されています。一方、相続税の最高税率も課税価額6億円超について55%の税率を新たに設置。贈与税では、相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の最高税率が課税価額3,000万円超について税率55%になるとされています。
 こうした税率の引き上げだけではありません。注目したいのは、相続税の基礎控除の縮小です。定額控除を現行の5,000万円から3,000万円に引き下げ、法定相続人ごとにある1,000万円の控除を600万円に引き下げるとしています。被相続人の配偶者については、税額軽減による高額な非課税枠があるため、納税しなくて済む場合があるものの、被相続人の子供については、同法案成立後は増税となる可能性が高くなります。

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「中小企業の会計に関する指針」のチェックリストの取り違いに注意を―信用保証協会

2012年04月16日

銀行から融資を受ける際に中小企業をバックアップする(社)全国信用保証協会が、税理士が作成する「中小企業の会計に関する指針」の適用を確認するチェックリストについて注意を呼びかけています。

 全国の信用保証協会では、中小企業の銀行融資の保証を審査するに当たり、その中小企業が作成している計算書類について、税理士・税理士法人から「中小企業の会計に関する指針」に準拠していることが確認できるチェックリストが提出された場合、信用保証協会の保証料率を0.1%割引く制度を平成18年4月からスタートさせています。
 問題は、そのチェックリストに誤ったものを使用するケースが発生していることです。正しくは、日本税理士会連合会が制定するチェックリストを利用する場合は、「『中小企業の会計に関する指針』の適用に関するチェックリスト」を使わなければなりません。ところが、「『中小企業の会計に関する要領』の適用に関するチェックリスト」を使って、それを提出してくるケースがあるというのです。
 全国信用保証協会では「たとえ日本税理士会連合会が制定したものでも『中小企業の会計に関する要領』の適用に関するチェックリストは、『中小企業の会計に関する指針』の準拠を確認するチェックリストには該当しません」として、税理士だけでなく、信用保証協会を利用する中小企業にも注意を呼びかけています。

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身体障害者専用自動車に関する自動車税の減免申請期限に注意

2012年04月09日

東京都が身体障害者専用自動車を所有している人に、自動車税・自動車取得税の減免申請の申請期限に注意するようアナウンスしています。

 身体障害者のために使用する自動車については、自動車税・自動車取得税が減免される制度があります。ただし、同減免制度には申請期限が定められているため、期限内に申請手続きをしなければなりません。申請期限を過ぎると、自動車税・自動車取得税の減免が受けられなくなるので注意が必要です。
 申請期限については、次のようになっています。まず、新規登録による取得については、申請期間は登録(取得)の日から1ヵ月以内とされています。名義変更で移転登録をした場合も、申請期間は登録(取得)の日から1ヵ月以内です。さらに、従来から使用している自動車の自動車税に関する減免を受けるときには、4月1日から納期限(5月31日)までが申請期間とされています。
 なお、平成21年度に自動車税・自動車取得税の減免制度が改正されています。具体的には、平成20年度まで自動車税・自動車取得税は全額免除されてきましたが、平成21年度からは減免額の上限が自動車税について45,000円に、自動車取得税については課税標準額300万円相当分までとされ、その上限を超える場合には上限額との差額分を納付しなければならなくなりました。また、自動車を取得して、一度自動車取得税の減免を受けると、同じ年度内に自動車を買い替えても新たな取得した自動車に対する自動車取得税の減免は受けられません。

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相続した未上場株の強制的買取りで「譲渡所得の取得費加算特例適用OK」

2012年04月09日

このほど大阪国税局が、相続で取得した未上場株式が株式発行会社から強制的に買い取られた場合は、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例が適用できるという見解を示しました。

 大阪国税局に相談を持ちかけていた納税者X氏は、平成23年3月に死亡した被相続人Y氏から、未上場会社A社の株式を相続しました。
 A社の株式の発行済株式総数は100万株で、その内932,205株(議決権割合約93.2%)はB社が所有していて、このほど、B社がA社を完全子会社化する目的で、会社法の規定に基づき、少数株主排除の手続を実施すると伝えてきました。
 少数株主排除の手続上、普通株式であるA株式は、定款変更により、全部取得条項付種類株式に変更された後、全部取得条項付種類株式の取得決議によりA社に買い取られ、株主にはその取得の対価としてC種種類株式が交付されます。しかし、X氏をはじめとするB社以外の少数株主に交付されるC種種類株式は1株未満の端数となることから、会社法の規定に基づき、A社がそれを買い取り、少数株主に対しては、その端数に応じて買取り代金が払われることになります。
 ところで、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」とは、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合、譲渡所得の計算上、その譲渡資産が土地以外のときに、課された相続税額のうち譲渡した資産に対応する部分の金額が取得費に加算されると規定されているものです。
したがって、X氏が取得するC種種類株式は、X氏がY氏から相続により取得した資産とは異なることから、A社によるC種種類株式の買い取りに係るX氏の譲渡所得の金額の計算においては、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用はないとも考えられました。
 しかし、B社によってA社を完全子会社化する目的で行われる少数株主排除の手続は、少数株主であるX氏の意思が何ら反映されないかたちで強制的に行われるものであることから、X氏は「換地処分等により取得した資産を譲渡した場合の取扱い」と同様と判断。今回のA社の株式によるC種種類株式の買い取りについて、X氏は大阪国税局に「Yの相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡に該当するものとして、Xの譲渡所得の金額の計算上、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用があるのではないか」と質問していました。これに対して、さきごろ同国税局がX氏の見解を容認する回答を行いました。

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会社が長期保有している上場株式の評価損計上で国税庁が新たな見解

2012年04月02日

会社が長い間持ち続けている上場株式の評価損の計上で、国税庁が「証券アナリストなどによる個別銘柄の分析や業界動向の見通し、株式発行法人の企業情報などを用いて、株価が近い将来回復しないことが証明できれば評価損を計上してもよい」とする見解を示しました。

 会社が長期保有している上場株式について評価損を計上する場合、原則として、「価額が著しく低下していること」と、「その法人が評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき」にはじめて、帳簿価額とその価額との差額までの金額が損金に算入できる形になっています。
 問題は「価額が著しく低下していること」について、国税庁の通達では「上場有価証券等の事業年度末の価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り」、かつ、「近い将来その価額の回復が見込まれないこと」が条件とされていることです。帳簿価額のおおむね50%相当額を下回っているかどうかはすぐにわかりますが、近い将来その価額の回復が見込めるかどうかはまったく見当がつかないため、評価損の計上に戸惑う会社も少なくありません。
 ところが最近、国税庁・国税局などは、「近い将来その価額の回復が見込まれないこと」に関する納税者からの質問に対して「専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などを用いて、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば、これらに基づく判断は合理的な判断であると認められる」と回答しています。

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社内の蛍光灯をLEDランプに交換。国税庁「費用は修繕費でOK」

2012年04月02日

折りからの節電ブームで、社内の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに交換する会社が増えていますが、国税庁では納税者からの相談に対して「LEDランプへの交換費用は修繕費で処理する」と説明していることがわかりました。

 LEDランプは高価で、4万時間も持つ長寿命のランプもあるため、会社の電球をすべてLEDランプに交換するとなると100万円を超えるケースなど珍しくはありません。したがって、これまで消耗品として取り扱ってきた蛍光灯と同じようにはいかないと思っている会社が数多くあります。
 基本的に、「会社がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち固定資産の通常の維持管理のため、または、き損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額は修繕費となる」とされています。一方、「会社がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の価値を高め、または、その耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額は資本的支出となる」と定められています。
 社内の蛍光灯をLEDランプに取り替えることについて、国税庁では「蛍光灯は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられるので、修繕費として処理することが相当」としています。

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