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東京国税局が「ヨコハマいきいきポイント」に対して雑所得課税を行うことを通告

2011年03月28日

このほど、横浜市が実施している「ヨコハマいきいきポイント」に対して、東京国税局がポイントをもらった人に所得税の雑所得課税を行うことを通告しました。

 横浜市の「ヨコハマいきいきポイント」の正式名称は、横浜市介護支援ボランティアポイント事業と呼ぶもので、平成21年10月から実施されている事業です。
 この事業は、65歳以上の横浜市民が、介護施設などでボランティア活動を行うとポイントが付与され、付与されたポイントは換金するか、または、寄附できることになっています。高齢者にポイントを付与するというインセンティブを与えることで、ボランティア活動に積極的に参加するようになり、本人の健康増進や介護予防に役立つだけでなく、地域にも貢献できることから生きがい作りにもなると横浜市では考えています。
 ポイントの付与基準は、30分以上のボランティア活動1回につき200ポイントがもらえて、ポイント付与の上限はありません。1ポイントのレートは1円で、換金可能なポイントは、年間8,000ポイントを上限としています。
 ただ、ボランティア活動を行った人に付与したポイントについて、所得税が課税されるとなるとインセンティブ効果も半減することから、横浜市は、東京国税局に対して「所得税の課税の対象ではないのではないか」と伺いを立てていました。
 こうした「ヨコハマいきいきポイント」について、東京国税局は「ボランティア活動を行った者がポイントを付与され、これを換金することにより得られる収入は、本件事業の実施目的、付与されるポイントはその活動の内容や量にかかわらず一律1回200ポイントとされていること及び換金しないポイントは失効することからすると、ボランティア活動に対する役務提供の対価として交付されるものではないと考えられる。他方、ポイントは個々のボランティア活動に参加することによって付与され、付与されたポイントが累積しこれを換金することにより収入が得られるものであることから、当該収入は、ボランティア活動への参加という継続的行為から生じたものであって、臨時、偶発的に生じた一時の所得とはいえない。したがって、ボランティア活動を行った者が付与されたポイントを換金することによる収入は、雑所得に該当することになる」などと回答しています。

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名古屋国税局が「優良住宅地特例」と「居住用財産の3,000万円控除」の併用認める

2011年03月28日

名古屋国税局が、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例と居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除を併用しても良いとする見解を示し、話題となっています。

 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例とは、個人が所有期間5年を超える土地等を優良住宅地等のために譲渡した場合、分離課税の長期譲渡所得に対する税率について2千万円以下に10%、2千万円を超える部分には15%で課税するというものです。一方、居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除は、マイホームを売った場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができるという制度です。この2つの制度は、原則として売却した一つの土地にダブルで適用できないことになっています。
 ところが、このほど名古屋国税局がその2つの制度の併用を認めたのです。具体的には、個人甲は、所有していた隣接する宅地A及び宅地Bを、平成22年に法人乙に1億円で譲渡。その際、乙は、購入した宅地上に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象となる建築物を建築することを条件として提示していました。そこで甲は、売却した土地について、その半分を居住用家屋の敷地として使い、残り半分を月極駐車場の敷地として利用していたことから、居住用部分について居住用財産の3,000万円の特別控除が適用され、月極駐車場部分については、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例が適用できるのではないかと考え、所管する名古屋国税局に問い合わせていました。
 問い合わせの中で、甲は、「個人がその有する土地等につき、措置法第35条の規定(居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除)の適用を受けるときは、当該土地等の譲渡は、措置法第31条の2の特例(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例)の譲渡に該当しないものとみなすと規定していることから、措置法第35条の規定の適用を受けない土地等(非居住用部分)の譲渡については、重複適用を排除する措置法第31条の2第4項の規定は適用されないものと考える」などと説明。「したがって、居住用部分について居住用財産の譲渡所得の特例の適用、非居住用部分について措置法第31条の2の特例の適用を受けることができるものと考えます」としていました。

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東日本大震災の発生により始まった計画停電。国税の還付金支払いが遅くなる

2011年03月22日

国税庁が国税の電子申告・納税システム(e-Tax)を使って還付申告を行った人に対して、還付金の支払いが遅れる可能性があることを明らかにしました。東日本大震災により電力不足が発生。計画停電の実施が各税務署の事務処理に大きな影響を与えています。

 e-Taxは、パソコンを使って自宅や会社にいながらインターネットを通じて国税の申告や納付などができる便利なシステムです。国税庁もe-Taxについて、その便利さだけでなく、「e-Taxで申告された還付申告は書面申告と比べて早期処理(3週間程度に短縮)をしている」ことをひとつのウリにしていました。
 しかし、3月11日に発生した東日本大震災の影響で東京電力と東北電力の発電所設備などが破損し、電力の供給量が大幅にダウン。これを受け、東京電力と東北電力がグループ別に3時間程度停電する計画停電を始めました。その計画停電が実施される地域内の税務署も1日3時間程度停電することになり、それにより税務署の機能が大幅に制限されている状況です。
 国税庁も計画停電の実施により「現金領収事務、納税証明事務、還付金支払事務について、納税者の皆様には大変ご不便をおかけしますが、なにとぞご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします」としています。
 具体的には、還付金支払事務について国税庁は「計画停電が断続的に継続されますと、e-Taxによる還付申告を含め、還付金処理が迅速に行えなくなる可能性がある」とし、「税務署においても可能な限り迅速な処理に努めていますが、通常通りの早期還付は難しい」と説明しています。
 また、各税務署内で行う現金領収や納税証明書の発行については「税務署の業務時間内において停電となった場合は、税務署での納税証明書の発行が行えません。納税証明書の発行を希望する方は、所轄税務署の計画停電時間を避けて来署していただくなどの対応をお願いします。納税については、金融機関の窓口で納付してください」としています。

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大震災被害者への義援金詐欺が横行。国税庁が「寄附金控除適用団体の確認を」

2011年03月22日

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被害者への義援金を騙った詐欺がいたるところで起きていることから、国税庁が正規の寄附先への義援金でなければ寄附金控除が適用できないことを多くの人に呼びかけています。

 野球の米国メジャーリーグ「シアトル・マリナーズ」に所属するイチロー選手が、自身のマネジメント会社「バウ企画」を通じて日本赤十字社に1億円を寄附するなど、東日本大震災の被害者に対する義援金が全世界から殺到しています。
 しかし、その善意を悪用してひと儲けをしようと義援金を募る架空の団体を作って、お金を騙し取る詐欺が横行していることも事実です。そこで、国税庁では「義援金は、税制上の寄附金控除が受けられる団体を調べた上で提供するのが一番安全で確かです」と多くの人に呼びかけています。
 税制上の寄附金控除とは、「その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(所得金額の40%が限度)から2,000円を差し引いた金額が年間所得金額から控除できる」というものです。個人が義援金を寄附した場合には、その義援金が「特定寄附金」に該当するものであれば寄附金控除の対象となります。その「特定寄附金」については、例えば、「国又は地方公共団体に対して直接寄附したもの」、「日本赤十字社の『東北関東大震災義援金』口座へ直接寄附したもの」、「新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附したもので最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの」、「社会福祉法人中央共同募金会の『各県の被災者の生活再建のための義援金』として直接寄附したもの」、「社会福祉法人中央共同募金会の『地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金』(平23.3.15財務省告示第84号)として直接寄附したもの」というふうに指定されています。

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国税庁が岩手や福島を災害地指定。所得税や贈与税の申告期限を延長

2011年03月14日

マグネチュード9.0という未曽有の大地震が東日本で発生したことから、このほど、国税庁が被災地指定を行い国税の申告や納付について期限の延長を行いました。

 3月15日は、平成22年分の所得税と贈与税の申告・納付期限です。ところが、3月11日に東日本大地震が発生。岩手県や宮城県、福島県の太平洋沿岸の市町村は壊滅的な被害を受け、多数の死傷者が出ました。
 そこで、国税庁では当面の対応として、甚大な被害を受けていると報道されている青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の納税者に対して、国税通則法の規定に基づき、国税に関する申告・納付の期限の延長を行いました。これらの地域に納税地を有する納税者については、大地震が起きた平成23年3月11日以後に到来する全税目の申告などの期限が自動的に延長されたわけです。
 さらに、国税庁では「指定された地域以外の地域に納税地を有する納税者についても、交通途絶などにより、申告等が困難な方については、申告等の期限延長が認められるので、状況が落ち着いた後、所轄の税務署にご相談ください」としています。
 なお、申告等の期限をいつまで延長するかについて国税庁は「今後、被災者の状況に十分配慮して検討していく」としています。また、こうした災害地指定を受けていない地域の被災者については、税法上「災害により申告・納税等をその期限までにできないときは、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2カ月以内の範囲でその期限が延長される」といった救済制度があります。こうした制度を十二分に活用したいものです。

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吉川英治文学新人賞の賞金は一時所得―東京国税局が見解示す

2011年03月14日

このほど、東京国税局が吉川英治文学新人賞の受賞に伴って受領した賞金について、半額課税される一時所得であるという見解を示しました。

 書店で販売されている税法解説書では、事業に付随して生じる収入について「事業所得の総収入金額に含まれる」と説明しているものが多いことから、吉川英治文学新人賞を受賞した作家が、副賞として受領した賞金について「一時所得に該当すると解して良いか」とする質問を東京国税局に投げかけていました。
 その質問に対して「貴見のとおりで差し支えない」とする回答を東京国税局がしていたことがこのほど分かりました。
 質問をしていた作家は、今回の賞金について「振興会という著作に係る対価を支払うべき出版社以外からのものであるとともに、既に出版されている多数の作品の中から選考委員によって選ばれた作品に対して与えられるものであって、作品を応募するといった私自らの何かしらの働きかけにより与えられるものではない。また、この賞金について原稿の報酬として源泉徴収がされていないのは、直木賞、芥川賞、野間賞、菊池賞の賞金と同様に、今回の賞金が著作に対する直接の対価として支払われたものではないことによるものと理解している」と説明。「文筆活動を行う中で一般的に受領し得る性質のものとも言い難く、むしろ予期せぬ事情により臨時・偶発的に生じた収入と考えることが相当で、対価性のない一時所得に該当する」という考えを示していました。
 なお、今回受領した賞金に対する消費税の取扱いについても、東京国税局は「不課税取引で課税対象外である」という見解を示しています。

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府税滞納者から12億800万円を徴収―大阪府の昨年12月の税収確保重点月間

2011年03月07日

昨年12月に実施した税収確保重点月間の実績を大阪府が公表しました。府税の滞納者から266件の財産を差押さえたことなどを明らかにしています。

 大阪府では、昨年12月を税収確保重点月間と位置づけ、府税の積極的な滞納整理を実施しました。まず、滞納者に対して「直接交渉を基本とした催告を行うことで、自主納税を促した」とし、それでも納税に応じない滞納者に対しては「預貯金などの差し押さえを行った」としています。
 さらに、「特に悪質な滞納者に対しては、事業所や自宅の捜索を実施するなど徹底した財産調査を行い、財産を見付け次第差し押さえた」といいます。これにより266件、税額にすると2億8,500万円の財産を差押えました。自主納税分などを含めると総額で12億800万円の府税収入を確保しています。
 大阪府では、傘下の市町村の税収確保にも支援を行いました。昨年11月26日に府内全市町村と合同で研修会を開催し、滞納整理に関する手法の向上を図るとともに、11月30日には、府内市町村と合同公売を実施しています。
 こうした取組みを生かすため、大阪府では「年度内のさらなる税収確保を図ることを目的として、この3月も『税収確保重点月間』と定めた。現在、徹底した滞納整理と府内市町村と連携した取組みを展開している」としています。

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「税制支援で自助努力を促す」―全銀協研究会が新たな社会保障制度を提言

2011年03月07日

このほど、全国銀行協会の金融調査研究会の第2研究グループ(主査:井堀利宏東京大学大学院教授)が、「超高齢社会における社会保障制度と財政のあり方」について政策提言を取りまとめました。自助努力を有効に機能させるため税制支援の必要性を訴えています。

 この第2研究グループは、同研究会の中で財政・公的金融分野をテーマとして研究を進めているグループです。
 同提言では、政府に対して「社会保障の財源不足額が拡大している。社会保障制度の諸問題をさらに先延ばしすることは、将来の社会保障給付の水準の大幅な切下げなど、より厳しい改革を余儀なくされるということをまず明確に認識しなければならない」などと忠告しています。
 社会保障制度の抜本的な見直しを行うに当たっては、「社会構造の変化に即した持続可能性の高い制度としなければならない。このためには、世代間・世代内の公平性の確保、社会保障の最低保障機能の強化、一体的な制度設計、地域間格差の排除・国と地方の役割分担、簡素で効率的な制度設計、能力に応じた負担等の観点から議論を行う必要がある」とするとともに、財政との一体改革について「社会保障の負担は、共助、公助、自助のいずれかにより賄われるべきものであり、安定的な制度として持続可能性を高めるためには、いずれかに負担が偏ることがないことが重要である」とする方向性を示しました。
 とくに、自助努力については、「公的年金を受給するまでの間は、個人が拠出した個人勘定からの給付を受けることとし、一定の税制優遇措置を講じることで個人の自助の努力を支援する」ことや、少子化に歯止めをかけるための方策として「教育資金形成を目的とする貯蓄などに対する優遇税制の措置を講じる」ことといった税制支援を行うことを提言しています。

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