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所得税の確定申告期間が折り返し地点通過。e-Taxの利用者に国税庁が注意を喚起

2011年02月28日

 平成22年分の所得税の確定申告が折り返し地点を過ぎました。そこで、国税庁では、改めて国税の電子申告・納税システム(e-Tax)に関する注意点を利用者に呼びかけています。

 e-Taxは、パソコンを使うことにより、自宅や会社にいながら国税の申告や納税、各種届出ができる便利なシステムです。国税庁では毎年、所得税の確定申告期間に合わせてe-Taxの利用可能な時間帯を大幅に拡大しています。今年は、1月17日(月)から3月15日(火)まで毎日24時間利用できるようにしていますが、注意しなければならないのは、毎週月曜日の午前0時から午前8時30分はメンテナンスのため、システムの利用を停止しているということです。
 これについて国税庁では「利用可能時間内であっても、機器のメンテナンス等により、予告なくシステムの利用が停止、休止、中断または制限される場合があるので、必ず、“運転状況”をご確認ください」としています。さらに、電子納税や手数料納付については、e-Taxの利用可能時間内で、しかも、利用する金融機関のシステム(インターネットバンキングやATM等)が稼動している時間帯でなければ物理的に不可能です。
 特に、e-Taxの利用者の中でも、国税の還付申告者に多く見受けられるのが、還付金の受取金融機関の入力ミスです。例えば、受け取り金融機関の名称については、「○×銀行」ならば「○×」だけ入力して、「銀行」や「支店」、「出張所」などは、その名称の入力枠の横のプルダウンから選ぶことになっているのに、「○×銀行」と入力してしまうケースが少なくありません。また、金融機関の名称は漢字入力できるのに、わざわざ平仮名で入力する人もいるようです。
 国税庁では「3月16日(水)の午前0時を過ぎて受信した平成22年分の所得税確定申告のデータは、確定申告期限後に提出されたものとなる」としているので、余裕をもって早めに送信することを心がけたいものです。

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白血病治療のための移植医療―末梢血幹細胞移植に関する患者負担金も医療費控除OK

2011年02月28日

 白血病等の治療のために実施する移植医療として、昨年10月から非血縁者間末梢血幹細胞移植のあっせんが始まりましたが、このほど、非血縁者間の末梢血幹細胞移植のあっせんに係る財団法人骨髄移植推進財団に支払われる患者負担金についても、所得税の医療費控除の対象とする見解を国税庁が厚生労働省に示しました。

 昨年9月7日、骨髄バンク事業の一環として非血縁者間における末梢血幹細胞移植の導入が厚生労働省の厚生科学審議会で了承され、同年10月から非血縁者間末梢血幹細胞移植のあっせんがスタートしました。
 梢血幹細胞移植とは、ドナーの血液(末梢血)中に存在する造血幹細胞を薬剤投与により大幅に増加させた上で採取し、取り出した造血幹細胞をレシピエントに移植するものです。出産時のさい帯血を除き、ドナーの体内から造血幹細胞を採取する方法は、現在の医療技術では骨髄採取と末梢血幹細胞採取の2種類だけです。
 ただし、医師からの非血縁者間骨髄移植のあっせんを受け入れた白血病患者らは、骨髄移植推進財団に一定の枠組みで負担金を支払わなければならない仕組みになっています。末梢血幹細胞移植に関しても同様で、一定の枠組みによりそのあっせんを受け入れた患者は負担金を財団に支払うことになっています。そこで、厚労省では、末梢血幹細胞移植に関する患者負担金についても所得税の医療費控除の対象になるのではないかと国税庁に問い合わせていました。
 末梢血幹細胞移植のあっせんに係る患者負担金の額は、骨髄移植の場合と同額となっていることや、末梢血幹細胞移植の導入後は、骨髄移植と末梢血幹細胞移植のいずれか一方を選択する結果、骨髄移植が末梢血幹細胞移植に一部移行することになるので、医療費控除の総額に直接の影響を及ぼすものではないこと、財団への患者登録は、医師が患者の治療に必要不可欠であると認めた上で、医師を通じて行われるものであることなどから、同患者負担金も医療費控除の対象になると国税庁は判断しました。

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銀行が倒産して預金の一部が戻ってこなかった場合の税務明らかになる

2011年02月21日

 このほど、銀行が倒産したときに預金者を保護する預金保険機構(田邉昌徳理事長)が取りまとめた「金融機関が破綻した場合における預金保険制度による保護の対象外の預金に係る所得税及び法人税の取扱い」に対して、国税庁がその内容を容認しました。

 預金保険制度は、金融機関が破綻して預金や金融債などの預金保険制度の対象となる預金の払戻しができなくなった場合などに預金者等を保護することを目的として設立された機関です。
 ところで、金融機関が破綻した場合、預金保険制度により預金等の一部は保護されることになるわけですが、保護されない部分の預金等については、破綻した金融機関に対して倒産手続が適用される結果、その全額が破産配当・弁済金により弁済されるとは限らず、一部が切り捨てられることがあります。問題は、そのように預金であっても元本の一部の返済が受けられない場合における預金に係る税務上の取扱いが、これまで整理されていませんでした。
 そこで、預金保険機構では、預金者が破綻した金融機関に預け入れている預金に対する税務上の取扱いを明確にしておく必要があるとして、同機構内で検討し、整理したものを国税庁に提出していました。その整理した内容は、金融機関が破綻した場合、個人預金者及び法人預金者における税務上の取扱いについて「民事再生法における再生手続開始の申立てが行われた場合」、「概算払率が決定した場合」、「再生計画認可の決定が行われた場合」の3段階に立て分け、それぞれについて所得税と法人税の取扱いが示されています。
 例えば、民事再生法における再生手続開始の申立てが行われた場合、所得税の取扱いについては「個人預金者の有する事業用預金は、所得税法第52条第1項に規定する個別評価貸金等に該当することから、同法施行令第144条第1項第3号に定めるところにより、当該事業用預金の額の100分の50に相当する金額に達するまでの金額を、貸倒引当金として再生手続開始の申立てがあった日の属する年分の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入することができる」などと解釈しています。

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贈与税の軽減措置はどうなるの?税制改正法案年度内不成立に多くの納税者が苛立つ

2011年02月21日

 民主党の小沢一郎元代表に近い若手衆院議員16人の同党会派の離脱問題などで、2011年度予算案・予算関連法案の年度内成立が非常に難しくなったことから、2011年度税制改正法案に盛り込まれた贈与税の緩和措置の適用者が危機感を感じています。

 氷河期と言われる大学生の就職戦線を勝ち抜き、志望する企業に内定を取り付けた学生の家族の間で卒業旅行をプレゼントするなどお祝いムードが広がっています。それも、2011年度税制改正法案に「20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率」について4,500万円以下の税率が5〜10%引き下げられるという軽減措置が盛り込まれていて、今年1月1日にさかのぼって適用できることになっているため、資産家の間で先取りする人が出てきています。
 東京都内に住むK大4年生の親は、子どもが大手マスコミに就職することが決まったことから、銀行に預けていたお金500万円をポンッとその子どもにプレゼント。「これまで500万円に対する贈与税の税率が30%だったものが、20%になることから受け取った子どもも欲しかった自動車を買えると喜んでいます」と笑顔で語っていました。
 ところが、このほど2011年度予算関連法案である税制改正法案の年度内成立が難しくなり、場合によっては、菅直人内閣は衆議院解散に打って出る可能性も出てきたため、贈与税の軽減措置もお預けになるかもしれなくなったのです。財務省内では「首相になったからには、予算成立は命をかけても成し遂げるというのがこれまでの慣わし」として解散総選挙を否定していますが、現実的に衆議院すら法案可決できない状況にあることから、多くの納税者から「税制改正で大盤振る舞いして、またもできないことをぶち上げたものだ」と冷ややかな声が聞かれます。

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与謝野大臣の「消費税率引き上げで地方配分考えていない」に知事会が激怒

2011年02月14日

 2月8日、公明党の坂口力副代表・元厚労相が、衆議院予算委員会で消費税率を引き上げた際の増収分の地方配分上乗せについての質問に対して、与謝野馨経済財政担当相が「今のところ地方にという考え方は誰も言わない」と否定的な見解を示したことが大きな波紋を呼んでいます。

 全国知事会会長の麻生渡・福岡県知事は、2月9日の記者会見で「坂口さんが消費税を上げる際、地方に対してはどうするのかという質問をしたところ、与謝野大臣は、今のところ地方にという考え方は誰もおっしゃらないという我々にとって極めて心外な答弁をされた」と憤りをあらわにしました。実際の社会保障は、そのほとんどを地方自治体が担っているからです。
 たとえば、医療や介護については社会福祉協議会などと連合組織を作りながら地方自治体が実際にサービスを提供しています。また、子育て関係では、乳幼児医療、障害者福祉、子育てのための保育園の整備など、地方自治体が中心となって幅広い福祉行政を展開しています。こうした現状を顧みない与謝野大臣の発言に麻生会長は「福祉行政や社会保障行政を担っている地方の現実を無視したような、誰も言っていないからいいではないかというこの答弁は、全く我々は受け入れられない」と怒りを爆発させたわけです。
 いつも冷静な麻生会長がここまで激怒した背景には、もうひとつ理由があります。政府が行なっている“社会保障と税の一体改革の議論”で、地方の意見を積極的に聞く体制が整っていないことに対して不満を募らせていたわけです。
 麻生会長は急遽、2月26日に臨時の全国知事会議を開くことを決定。「皆さん議会が多くて大変ですが、社会保障と税の一体改革、そして、我々の地方消費税問題、これについての議論を行い、我々の立場や政府の改革議論への地方の参加を明確に主張していきたい」と強い口調で語りました。

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減税掲げた地方議員が圧勝。それでも野田財務大臣は「財政健全化を進める」

2011年02月14日

 2月6日に投開票が行なわれた名古屋市長選と愛知県知事選は、市長に河村たかし氏が、知事には大村秀章氏(前自民党衆院議員)が当選しましたが、両氏はいずれも「減税」を公約に掲げていることから、政府、民主党の首脳はいたたまれない思いをしているようです。

 政府では、菅直人首相の肝いりで、消費税率の引き上げを主眼にした“社会保障と税の一体改革の議論”を進めようとしているところです。そのようなときに、住民税の減税を公約に掲げた河村氏と大村氏が、民主党と自民党などが推す候補を大差で退けたことに内閣においても衝撃が走りました。
 増税案を具体的に練り上げる野田佳彦財務大臣などは、2月8日の定例記者会見で、民主党が推す候補が愛知県の選挙で、減税を掲げた地域政党に大差で敗れたことについて「敗因はよく分析をしなければいけないというふうに思いますが、これはひとつの民意ですから、それは謙虚に受け止めて、きちっと節目節目で結果を出しながら政権交代をして良かったと思えるような、そういう実績を作っていくことが何よりも大事だというふうに思う」と複雑な心境を語りました。
 とくに、減税という公約が多くの有権者の支持を得たことについて野田財務大臣は「国民世論で税制の抜本改革をやることについて、色々ご意見はあるけれども結構賛否は拮抗しているというふうに思うし、その中で減税と言えば耳当たりがいいのですが、それで例えば国政レベルにおいて責任ある態度かどうか、もちろん今回法人税の減税などをやりますが、基本的には歳出と歳入の改革を続けながら財政健全化の道筋をたどるというのがベースですので、その線について私は国民のご理解は必ず得ることが出来ると思っている」と消費税率の引上げが茨の道であることをにおわせました。

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平成23年度税制改正法案が国会へ。年度内成立が不透明で納税者に広がる不安

2011年02月07日

 1月25日、法人税率の引き下げや所得税の所得控除の縮減を柱とする「所得税法等の一部を改正する法律案」(平成23年度税制改正関連法案)が通常国会(第177回)に提出されました。3月31日までの年度内成立を目指し、審議が行われます。

 1月24日に開会した第177回国会は、早くも混迷の度を深めています。「最強の布陣」という菅直人首相の改造内閣に対する評価は、野党はおろか民主党内からも疑問が投げかけられています。特に、たちあがれ日本を離党した与謝野馨氏を経済財政担当相に起用したことが火種となりました。また、小沢一郎元代表の「政治とカネ」をめぐる問題でも管首相が依然として指導力を発揮できていません。
 このような状況の中、平成23年度税制改正関連法案が国会に提出されました。今回は、中小企業の法人税率の引き下げや年収1,500万円以上のサラリーマンの給与所得控除の縮減、相続税の最高税率の引き上げなど、歴代政権が数年かけて審議を重ねたうえで出してきたような大改正がいくつも盛り込まれています。それだけに、年度内成立が絶対条件となっているわけですが、現状の菅内閣の国会運営は先行き不透明。識者の間では、税制改正関連法案の年度内成立を危ぶむ声が出始めています。
 法案が年度内に成立しなかった場合、納税者が心配しているのは不利になる制度改正の施行期日です。例えば、今年5月に税制改正法案が国会を通ったとすると納税者に不利となる改正はいつから施行されるのかが気になるところです。法案によると相続税の基礎控除の引き下げなどは、今年4月1日を施行日としています。そのため、5月に法案が国会を通った場合、その施行日が4月1日にさかのぼるのではないか、と心配する人がいるわけです。財務省では「過去の例を見ても分かりますが、納税者に不利になる改正はさかのぼって適用されるようなことはないのでご安心下さい」としています。

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上場企業の役員が自社の株式を自社に売って発生した損失も繰越控除の特例適用OK

2011年02月07日

 上場企業の役員が所有している自社の株式を自社に無償譲渡した場合も、譲渡所得の損益通算と譲渡損失の繰越控除の特例は適用できるという見解を国税庁が示しました。

 上場企業S社の元代表取締役K氏は、S社の業績悪化についての経営責任を明確にするため、所有するS社株式を相対取引によりS社に無償譲渡(贈与)しました。  ところが、その無償譲渡を行ったときS社株の時価がS社株式の取得費及び譲渡費用の合計額に満たなかったため、譲渡損失が発生しました。
 そこで、K氏はS社株式の相対取引による無償譲渡は、S社の自己の株式の取得であることから、租税特別措置法に規定されている「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例が適用できるのではないか、として国税庁に問い合わせることにしました。その際、適用できる理由として、次のような説明をしています。
 まず、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用は、措置法に規定されている「上場株式等の譲渡」を適用事由としていること、そして、法人の株主等がその法人の自己の株式又は出資の取得により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額を適用対象としていることを指摘。したがって、個人が上場株式発行法人に対してその上場株式を相対取引により無償譲渡した場合も、その法人の自己の株式の取得に当たるため「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例の適用事由に該当すると説明しています。
 このK氏の問い合わせについて、国税庁はこのほど「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しました。
 ちなみに、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、証券会社などを通じて上場株式を売却したことで生じた損失について、その年分の上場株式等に係る配当所得と損益通算ができ、さらに、損益通算してもなお控除しきれない損失金額については、翌年以降3年間にわたり、株式等に係る譲渡所得や上場株式等に係る配当所得から繰越控除することができるという制度です。

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