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税務代理権限証書が交わされていても直接納税者に「お尋ね」する場合がある!?

2010年12月27日

税理士が納税者との間で「税務代理権限証書」を取り交わしている場合でも、税務署が直接、納税者にハガキや電話で「お尋ね」を行う場合があることを東京国税局が東京税理士会との定例協議会で明らかにしました。

 今回の東京国税局の見解は、今年10月25日に大手町サンケイプラザホールにおいて行われた同国税局と東京税理士会との定例協議会で示されたものです。
 そもそも、税務代理権限証書を納税者が申告書に添付している場合には、税務署は、納税者に税務調査を行う事前通知について、まずは、その代理権限を有する税理士に対して通知することが税理士法第34条に規定されています。そのため、同税理士会は「所得税の申告書に税務代理権限証書を添付している場合には、納税者に直接、ハガキや電話で『お尋ね』等をせず、税理士を介していただきたい」と要望。それに対して同国税局は「住所地や還付金の振込口座の確認など単に事実関係を確認するものについては、税務代理権限証書が添付されている場合であっても納税者本人のほか当該税理士にも照会等させていただいている。また、添付されるべき書類の提出を依頼するものや、申告された内容の見直しや再確認を求めるものについては、申告書に税務代理権限証書が添付されている場合には納税者本人のほか、当該税理士にも連絡することとしている」と回答しました。
 つまり、納税者に対して実地調査を行う事前通知以外は、税務代理権限証書が申告書に添付されている場合であっても、税務署が直接納税者との間でやり取りする場合があることを認めたわけです。ただし、「仮に、こうしたケースにあって、税務代理権限証書を添付された税理士に連絡がきちんと行われていない場合があるのであれば、各種研修等の際に適切に行われるよう指導を徹底してまいりたい」と同国税局は付け加えて説明しています。

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税務調査の日数が長期化する傾向にある―東京税理士会の会員アンケートで明らかに

2010年12月27日

税務調査の日数が「5日以上にわたった」との税理士の回答が過去3年間で最も多い数字を示した―。このほど東京税理士会が、会員1,482名(うち税理士法人56件)による税務調査アンケートの結果を発表しました。

 今回発表した税務調査アンケートは、同税理士会が昭和43年から毎年実施しているもので、今年は7月30日から8月23日にかけて、会員6,000人の税理士に行った顧問先への税務署の調査内容に関するアンケートです。回答してきたのは1,482人(うち税理士法人56件)の税理士でした。
 今回もアンケートの質問で最も注目されたのは「調査日数」でした。結果は「1日で終了したものは、日数が明記してあるもの2,357件のうち、516件で21.9%(前回調査結果比1.9%減)、2日で終了したものは1,125件で47.7%(同比4.5%減)となっており、合計で約7割となっている。一方、3日〜4日が431件で18.3%(同比1.6%増)、5日以上が285件で12.1%(同比4.8%増)で、特に5日以上の割合は過去3年間で最も高い数字となった」としています。税務調査が長期化している実態を垣間見ることのできる数値といえます。
 さらに、調査内容についての質問も見逃せないものがあります。今回は新たに「パソコン等」を設けたところ、パソコンの中身のデータなどがチェックされたのは245件(10.5%)にのぼりました。これは、調査関連役員等のプライバシー的部分の調査と同程度に当たります。反面調査の内容については、13.7%にあたる319件(前回比0.3%増)に行われた、模様です。そして、その反面調査では、92.2%が帳簿・証憑を調査の基本としていると回答しています。

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「相続税申告水準が過去16年間で最低に」。増税決定と同時期に国税庁発表

2010年12月20日

政府が決定した平成23年度税制改正大綱には、相続税の増税が盛り込まれていますが、時を同じくして国税庁が平成21年分の相続税の申告状況を発表しました。それによると、被相続人114万人のうち、わずか4.1%(4万6,000人)にしか相続税は課税されていません。

 国税庁の調べによると、平成21年中の被相続人(亡くなった人)のうち、相続税が課税されたのはわずか4.1%(前年4.2%)でした。これは、税制改正により基礎控除額の引上げなどが行われた平成6年分以降、最低の水準であるとしています。
 その相続税の課税対象額(課税価格)は、10兆959億円(前年10兆7,254億円)で、被相続人1人当たりの課税価格は2億1,744万円(前年2億2,337万円)でした。そして、実際に課税された税額については、1兆1,632億円(前年1兆2,505億円)で、被相続人1人当たり2,505万円(前年2,604万円)の相続税が課税された形となっています。相続財産の金額の構成比を見てみると、土地49.8%(前年49.6%)、現金・預貯金等22.2%(前年21.5%)、有価証券12.1%(前年13.3%)の順となっています。
 今回の国税庁の発表は、相続税の申告水準がいかに低いかを実数で示した形となっていて、まさに相続税の課税強化を行うべきタイミングであることを示唆したといえます。ちなみに、平成23年度税制改正大綱には、相続税について法定相続人1人当たりの基礎控除額6,000万円を3,600万円に引き下げるとともに、税率構造を見直して、最高税率を50%から55%に引き上げる改正が盛り込まれています。

※追伸
平成22年12月20日に配信しました「『相続税申告水準が過去16年間で最低に』。増税決定と同時期に国税庁発表」と題したトピックスは、平成23年度税制改正大綱が公表される前に作成したため、記事中にある「相続税について法定相続人1人当たりの基礎控除額6,000万円を3,600万円に引き下げる」のくだりは抽象的に記述させていただきました。そこで、同大綱に盛り込まれた改正内容を再度お知らせいたします。具体的には「相続税の『基礎控除を3,000 万円+600 万円×法定相続人数』へ引き下げる」とされております。

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変額個人年金保険の予定利率を用いない定期金の評価で特別な取扱い示す―国税庁

2010年12月20日

平成22年度税制改正で定期金給付契約に関する権利の評価方法が見直されましたが、変額個人年金保険については、その改正後の評価方法では、評価できない契約がありました。それに対して、国税庁が新たな取扱いを示し話題となっています。

 変額個人年金保険は、契約者が払い込んだ保険料のうち年金の支払原資となる部分を株式や債券などで運用し、その運用実績により受け取る年金額や解約返戻金が増減する個人の保険商品です。超低金利が続いていることから老後の資金準備の手段として注目されているものです。
 ところが、平成22年度税制改正で定期金給付契約に関する権利の評価方法が見直され、同権利を取得した時において定期金の給付事由が発生しているものに関する権利の価額については「解約返戻金の金額」、「定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金の金額」、「予定利率を基に複利年金現価率等で計算した金額」のうちいずれか多い金額で評価するとされました。じつは、変額個人年金保険には、年金額の算出に当たって、予定利率を用いないものがあり、改正後の定期金に関する権利の評価の取扱いでは評価できない場合が想定されました。
 そこで、(社)生命保険協会が国税庁に対して文書での回答を要求。同協会が示した「予定利率を用いない変動型年金方式の定期金給付契約に関する権利の価額については、改正後の相続税法第24条第1項各号に規定するハの計算ができないため、イの『解約返戻金の金額』又はロの『一時金の金額』のうちいずれか多い金額」で評価すべきではないか、とする見解を容認する形でこのほど国税庁が回答を出しました。

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国税庁が来年の所得税の確定申告期で配慮。今回もe-Taxは24時間利用可能

2010年12月13日

このほど、国税庁が「平成22年分の所得税の確定申告期におけるe-Taxとe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間」を発表しました。今回も申告データの受付については24時間体制で臨む予定です。

 e-Taxは、自宅や会社にあるパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や届出、納付ができる便利なシステムです。通常、国税の申告については、月曜日から金曜日(土、日曜、祝日及び12月29日から1月3日を除く)までの午前8時30分から午後9時がe-Taxの受付時間(送信可能時間)となっていますが、確定申告期は利用者が殺到することから、国税庁では特別にその受付時間を拡大しています。
 平成22年分の所得税確定申告期については、次のような対応が行われます。所得税の確定申告期間である平成23年1月17日(月)から3月15日(火)までは24時間(メンテナンス時間を除く)。所得税の還付申告を行う人のために1月4日(火)から1月14日(金)までの月曜日から金曜日(祝日を除く)にかけては午前8時30分から午後10時30分まで送信できるようにする予定です。
 なお、1月17日(月)は、午前8時30分からご利用可能で、3月16日(水)は、午前0時を過ぎて国税庁サイドのシステムが受信した所得税の申告のデータについて、申告期限後に提出されたものとして処理されるので注意が必要です。これについては、送信した申告データが、即時通知及び受信通知に表示される「受付日時」が到達時刻となるので、それで確認することになります。また、メンテナンスが行われる時間帯は、毎週月曜日午前0時から午前8時30分となっています。
 一方、e-Taxの利用開始手続きや確定申告書等作成コーナーを利用する際のパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応してくれる窓口「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク」の受付時間についても拡大されます。通常は、土、日曜、祝日及び12月29日から1月3日までを除く毎週月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時までが受け付け時間となっていますが、平成23年1月17日(月)から3月15日(火)までは、毎週月曜日から金曜日(祝日を除く)と2月20日と27日、3月6日と13日の日曜日は午前9時から午後8時まで利用できるようになります。

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タバコ増税後、禁煙チャレンジャー36%、そのうち6割が失敗―J&J社調べ

2010年12月13日

肌に優しいベビーパウダーで有名なヘルスケア商品のジョンソン・エンド・ジョンソン(株)(J&J、本社:東京都千代田区)が、今年10月のタバコ税増税後の喫煙に関する調査結果を発表しました。それによると6割が禁煙に失敗しています。

 J&Jは、禁煙補助剤「ニコレット(R)シリーズ」を販売していることから、今年8月時点で喫煙していた日本全国の男女316名を対象に、10月に実施されたタバコ税増税で喫煙者にどのような変化があったのかを調査しました。増税前の今年9月に実施した喫煙者の意識と、増税後の実態にどのような違いがあるのかも、調査の結果(12月7日発表)から明らかになっています。
 まず、今年8月時点で喫煙をしていた人に、10月のタバコ税増税をきっかけに禁煙にチャレンジしたかどうかを尋ねたところ、「はい」と回答した人は36.1%でした。J&J社のタバコ税増税前の喫煙者に対する調査(2010年9月)では、タバコ増税を機に「禁煙しようと思う」と回答した人は57.9%でしたが、実際は4割以下に止まったわけです。
 そして、10月のタバコ税増税で禁煙チャレンジした人に、現在も禁煙が続いているかを質問したところ、57.0%が「禁煙していない」と回答。2010年9月の調査では「禁煙に成功する自信がある」と回答した人は53.0%もありました。これについてJ&J社は「禁煙は、思ったほど簡単ではなかったことがうかがえる」としています。
 さらに、禁煙にチャレンジした際に、試した禁煙グッズや治療を尋ねたところ、半数以上が「特にない」(53.2%)と回答。次いで電子タバコ(23.9%)を利用した人が多かったとしています。禁煙するための手段は多様化していますが、未だに禁煙グッズや治療に頼ることなく、禁煙にチャレンジする人が多いようです。

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政府税調が死亡保険金に関する相続税の非課税枠で「配偶者を適用対象外に」

2010年12月06日

死亡保険金に関する相続税の非課税枠が見直される可能性が高まっています。11月25日に開かれた第13回政府税制調査会で、非課税限度額の適用者について、障がい者や未成年者に絞る方向が示されました。

 現在、相続税では、死亡保険金について「500 万円×法定相続人の数」の金額が非課税限度額とされています。これについて第13回の会合で、法定相続人全員を対象とするのではなく未成年者や障がい者に適用対象を絞るべきだという案が財務省政務官から示されました。
 この案に対して、同調査会の委員からは「死亡保険金は、被相続人が遺族の生活の安定のために保険に加入した結果、その相続人が得たものである。死亡した夫の妻に死亡保険金が全額渡らないというのは全く理解できない」といった反論が相次ぎました。その反論に対して財務省政務官は「配偶者については、配偶者の取得遺産額が1億6,000 万円以下であるか、あるいはそれを超える場合であっても、配偶者の取得遺産額が法定相続分、子がいるようなケースでは2分の1ですが、これ以下であれば、配偶者の税額はゼロとなります。つまり、ここで配偶者に対しては相当の配慮をしているのです」と配偶者を適用対象とする必要がない理由を説明。さらに、「会計検査院も死亡保険金の非課税措置を悪用して、節税目的で年を取られてから(保険を)かけられる人がいると指摘しています」と制度が不適正に使われている実情を語りました。
 その説明でほぼ全員の委員が納得、死亡保険金に関する相続税の非課税枠が見直されることになりました。

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ウマの合わない大阪府と大阪市が税の滞納整理で共同戦線張る

2010年12月06日

大阪府(橋下徹知事)では、この12月を「税収確保重点月間(アタックス2010)」と定め、徹底した滞納整理をスタートさせました。それに歩調を合わせるように大阪市(平松邦夫市長)も市税の滞納整理強化月間をスタートさせています。

 アタックス2010について、大阪府は「税の公平性の確保」と「自主財源である府税収入の確保」を図ることが目的としていますが、確かに府税収入の決算額を見てみると平成20年度は1兆3,567億3,200万円だったものが、平成21年度では1兆946億3,100万円と20%近く落ち込んでいて、台所事情は火の車だといわれています。そのため、府税の滞納者にきちんと税金を納めてもらうことに力を入れざるを得ないわけです。
 大阪府では「税金の滞納者に対し、直接交渉を主眼とした催告を行うことで自主納税を促し、納税に応じない滞納者に対しては、預貯金などの差し押さえに着手する」としています。しかも「悪質な滞納者に対しては、事業所や自宅の捜索を実施するなど徹底した財産調査を行うとともに、判明した財産の差し押さえを実施する」と強気の姿勢を崩していません。
 橋下知事と平松市長との不仲説が取り沙汰されている大阪市も、財政状況が逼迫していることから、税収確保では大阪府と共同戦線を張っていて、現在、市税の滞納整理強化月間を展開しているところです。大阪市財政局では「平日夜間の電話による納税催告、自宅への訪問、実地調査などの滞納整理に関する取組みを強化している。同時に税収確保に向けて市・大阪府で連携した取組みを行っているところだ」と説明します。
 ただ、心配されるのは、税務職員を騙った詐欺が横行することです。大阪市財政局では「市税事務所の職員が自宅等を訪問する際には、顔写真付きの身分証明書(徴税吏員証)を携帯しているので、必ず確認してほしい」と呼びかけています。

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