政府税制調査会の「納税環境整備プロジェクトチーム」が、このほど、税務署が行う税務調査で、事前通知を行なわない場合があることを規定する方針を示しました。
「納税環境整備プロジェクトチーム」がこのほど、検討結果の報告書を政府税制調査会の全体会合に提出しました。同報告書には、平成23年度税制改正に盛り込むべき事項として、「納税者番号制度」や「租税教育のあり方」、「税務調査の手続のあり方」、「納税者権利憲章(仮称)」の策定」、「国税不服審判所の改革」について一定の方向が示めされています。とくに、一番注目されているのは、税務署が行なう「税務調査の手続のあり方」に関する事項です。
基本的には、事前通知を行うものとしながらも、税務署長や国税局長、国税庁長官が税務調査の対象について「正確な事実の把握を困難にするおそれ 」があるときや「違法若しくは不当な行為を容易にし、又はその発見を困難にするおそれ」があるとき、「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があると認める場合は、「事前通知を行わないとすることを国税庁が定めている取扱い通達に明記すること」としています。
また、納税者がいったん税務署に申告した確定申告書について、多く納めすぎたことを訂正する「更正の請求期間」に関して、現行1年以内としているものを「5年に延長する」としました。これは現状でも、納税者が「嘆願」すれば、税務署長の権限で5年間遡って更正することを内密に行なっていることから、納税者の救済と課税の適正化とのバランスを図るために、「納税者が申告税額の減額を求めることができる更正の請求の期間(現行1年)を5年に延長するとともに、併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長する」と要請。これにより、「基本的に、納税者による修正申告・更正の請求と、課税庁による増額更正・減額更正の期間制限を全て一致させること」としています。
東京都税制調査会がこのほど、国の税制改革の方向性に関する平成22年度中間報告を行ないました。同報告からは、地方自治体が国から虐げられている実態を垣間見ることができます。
全国知事会などが、国に対して“地方分権”を要請していますが、それに歩調を合わせる形で東京都の税制調査会も、「基本的考え方」として、「自主財源である地方税の充実が不可欠。税収規模の大きい基幹税を国と地方で分かち合うことが適当」としています。
具体的には、地方消費税について「少子高齢社会の安定的な財源を確保するため、地方消費税の充実が必要。行政の無駄の見直しとともに、税率引上げの検討を直ちに開始すべき」であるとしました。また、法人事業税と法人と民税の法人二税については「①実効税率引下げは、財政状況や企業への影響を見極め慎重に検討をすべきである、②産業競争力強化等は国の責任で、地方法人課税はその手段に馴染まない」と指摘。とくに、法人企業が集中している自治体の法人事業税を過疎化している自治体に分配する地方財政調整制度について「法人事業税の一部国税化措置は、分権に逆行している」とし、この制度があるために「税制の抜本改革の早期実施という前提が崩れているので、法人事業税を直ちに復元すべきである」と強く要請しています。
一方、納税者にとって負担増となる「温暖化対策税」については、「全ての化石燃料を課税対象とし、燃料ごとに炭素含有量(CO2排出量)比例税率を上乗せする。ただし、揮発油、軽油(自動車用)は現行税率を維持し、本則税率を超える部分を温暖化対策税に振替えること」などを要望しています。
大阪国税局が管内のある自治体が実施している医師の修学資金貸与制度について、同自治体が修学資金の返済を免除した場合、たとえ条例で規定しているものでも、所得税の課税を行なうという見解を示しました。
同自治体では、「市立市民病院医師修学等資金貸与条例」を設けて、市内の医師不足の解消を図っています。修学資金を借りることができるのは、将来、同市立市民病院に医師として勤務する意思を持っている医学生や医師免許を有する大学院生、医師法に基づく臨床研修を受けている臨床研修医および初期臨床研修を修了した医師のうち専門領域に関する研修を受けている専門研修医です。
条例では、彼らに対して修学や研修に必要とする資金を無利息で貸与することにしているわけですが、大阪国税局が問題視したのは、同条例の規定の中で、一定の要件に該当した場合、修学資金の全額を返還免除すると規定していた点でした。特に「修学等資金の貸与期間終了後、直ちに市民病院において医師として採用され、かつ、市民病院に医師として在職した期間(ただし、臨床研修医及び専門研修医として勤務している期間は除く)が貸与期間に相当する月数に達したとき」に返済債務が免除されるとした規定に問題があるとしました。
同自治体では、所得税基本通達9−15に「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない」との取扱いを理由に返済免除による所得税の課税関係は発生しないと大阪国税局に説明しました。
しかし、大阪国税局は「修学生等に対する修学等資金の貸与及び免除については、医師の場合には、勤務医としてだけでなく、開業医として独立することも可能であるとともに、享受することになる経済的利益の額も多額(医科大学在学の6年間で1,200万円)であり、同通達の強いて課税しないこととしている趣旨、範囲を大きく逸脱することになる」などとして、返済免除された修学資金相当額に所得税が課税されることになると回答しています。
総務省が今年11月2日に環境自動車税の導入と軽自動車の自動車税を増税する考えを示しましたが、これについて、このほど政府税制調査会が検討を再来年度(24年度)に先送りしました。
総務省では、今年3月に立ち上げた「自動車関係税制に関する研究会」(座長:神野直彦・東京大学名誉教授)から、地球温暖化対策の一環としてCO2の排出抑制に役立つ車体課税のあり方と複雑な自動車関係諸税の簡素化に関する研究結果の報告を受け、11月2日に「環境自動車税(仮称)に関する基本的な考え方」を発表しました。
それによると、新たに導入する環境自動車税は、自動車重量税(国税)と自動車税(地方税)を一本化して、税額の算出方法をCO2排出量と連動する形にすることで地球温暖化対策に役立てるとともに、複雑な自動車関係税の簡素化を図るとしています。同時に、自動車重量税と自動車税の一本化により2000CC以下の小型自動車の税収が落ち込むことから、その分を軽自動車の自動車税の税率を引き上げて現状の税収レベルを維持するとしていました。
この方針に対して財務省が「総務省では、民主党マニフェスト2009に掲げられた『自動車重量税は自動車税と一本化』という部分のみ取り上げているが、同マニフェストには、他に『ガソリン税、軽油引取税は地球温暖化対策税『仮称と一本化』や『自動車取得税は廃止』とある。マニフェストの一部だけを取り出して議論するのは不適当」などと反発。そこで、政府税調では「車体課税全体を再編して、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を内容とする車体課税の抜本的な見直しを行なう必要がある」などとして、現在の平成23年度税制改正に関する議論から切り離して、再来年度改正で検討することにしました。
月26日にもお伝えしましたが、地方税ポータルシステム(eLTAX)が、11月18日(木)から11月25日(木)までの間、サービスを一時停止します。
政府の地方税ポータルシステム(eLTAX)は運用開始から5年経ち、機器の耐用年数、特別サポート期間の満了、さらには、全地方公共団体が会員となったことに伴う電子申告・届出のサービス利用件数が一挙に増加しました。これに対応するため、現在すべての機器を入れ替えているところです。
今回は、ハード機器等の全面入れ替えやデータの移行作業がメインとなります。具体的には、平成22年11月末に当システムのメーカー特別延長保守期間が終了するため、メーカー保証期間内に、これらに伴う膨大な各種試験作業を実施することが不可欠となりました。そこで、総務省では、これらすべての作業を安全、かつ、確実に最短のスケジュールで実施するために、一定の期間、サービスを一時停止せざるを得なくなったわけです。
注意しなければならないのは、新システムを稼動させる11月26日以降、利用者サイドで一部取扱い変わることです。まず、利用できる時間帯が1時間延長され、平日毎日8時30分から21時までとなります。次に、利用者の使用するパソコンがWindows7とInternet Explorer8でも利用できることになるということです。総務省では、利用者の使うパソコンについて、WindowsXP(SP3)/Vista(SP2)/7 と、Internet Explorer 7 /8に絞り、それ以外の環境では動作保証をしていません。
中小企業庁が「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査」の結果を発表しました。それによると、「中小企業の会計を知っている」と回答した企業は42.0%と、ここへ来て伸び悩んでいます。
会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査は、平成17年4月に取りまとめた「中小企業の会計の質の向上に向けた推進計画」(中小企業政策審議会企業制度部会)で示された中小企業の会計ルールの認知度向上目標に関する確認調査です。その向上目標は、平成17年度当初で2割程度だったものを平成19年度末までの3年間で5割まで引き上げるというものでした。
ところが、今回の調査(総数1万件に平成21年12月7日〜平成22年1月8日にかけて郵送でアンケートを実施)の結果を見てみると、42.0%(平成17年度末26%、平成18年度末35%、平成19年度末44%、平成20年度末42%)と伸び悩んでいます。これは経理財務担当の人員が事業主を除くと93.4%の企業が「5人以下」で、しかも、そのうち、人員が「1人」だけという企業が31.6%も占めていて、人員体制の惰弱なことがひとつの要因となっています。
これは、経理財務に関してほぼ全企業が会計専門家(税理士80.3%、公認会計士18.7%)に依頼していて、会計事務に力を入れていないためだといえます。ちなみに、会計専門家への支払い報酬を見てみると、「100万円以上〜200万円未満(月額約16万円未満)」が32.8%と一番多く、次いで、「50万円以上〜100万円未満(月額約8万円未満)」が32.4%、「50万円未満(月額約4万円未満)」は18.7%の順になっています。
11月5日、会計検査院が平成21年度決算検査報告を菅直人首相に行ないました。その報告書には、財務省が約20億円のムダ使いをしていることが明らかにされています。
会計検査院は、国の行政機関のムダ使いを洗い出す検査機関です。その会計検査院がこのほど行った平成21年度決算検査報告では、総件数は986件について総額1兆7,904億8,354万円のムダ使いが明らかになっています。
注目したいのは、やはり歳入歳出を司る財務省のムダ使いです。支出について不当事項として1件530万円が指摘されましたが、収入面において会計検査院が「意見を表示し又は処置を要求した事項」として3件、総額20億8,584万円もあったことが注目されます。
その3件のうち、誰もが驚かされたのは、法人税と消費税の還付金の計算誤りで、約10億円もの払い戻し過ぎが指摘された点です。会計検査院では、54税務署が平成20年1月から21年12月までの間に支払った更正に基づく法人税及び消費税の還付金298件を検査したところ、還付加算金の計算期間が、還付金に係る場合と過誤納金に係る場合とで大きな差が生じていて、中間納付額の還付金に係る還付加算金の計算期間の平均はいずれも申告納税額の過誤納金に係る還付加算金の計算期間の平均を大きく上回っていました。
このため、中間納付額の還付金に係る還付加算金の支払額が多額となっていて、具体的には「更正に基づく中間納付額等の還付金に係る還付加算金18億3405万余円について、確定申告後における還付加算金の計算期間を申告納税額の過誤納金に係る還付加算金の計算期間と同様にして修正計算すると、還付加算金の額は7億6,895万余円となり、10億6,509万余円節減できたと認められる」と指摘しています。
こうした状況について会計検査院は「確定申告により確定した法人税及び消費税が更正に基づき中間納付額等の還付金として還付される場合における還付加算金の計算期間について、申告納税額の過誤納金に係る還付加算金の計算期間との均衡を考慮した適切なものとするように」と財務省に意見しています。
総務省が軽自動車の自動車税を増税する考えを示しました。環境問題と絡めた理論を展開しているため、実現する可能性が非常に高いといわれています。
総務省の「自動車関係税制に関する研究会」(座長:神野直彦・東京大学名誉教授)がまとめた9月15日の報告書を基にして、このほど総務省が「環境自動車税(仮称)に関する基本的な考え方」をまとめました
それによると、「小型自動車との税負担の格差を一定程度縮小するよう軽自動車の税負担の引上げを行う」という方針を打出しています。
総務省が「環境自動車税に関する基本的な考え方」をまとめた経緯は、地球温暖化対策に役立てる観点からCO2の排出抑制に寄与する自動車に対する課税のあり方や、複雑な自動車関係諸税の簡素化を進めることにありました。
環境自動車税を創設する目的とその効果について同方針では、「自動車重量税(国税)と自動車税を一本化(地方税)し、複雑な自動車関係税の簡素化を図る」ことで、「CO2排出量と税額が連動する仕組みとし、地球温暖化対策に資する」としています。
そして、環境自動車税の税額については、自動車重量税と自動車税(地方税)の二本立てを無くして、CO2排出量を課税標準とする「CO2排出量割」と排気量を課税標準とする「排気量割」をプラスしたものから割り出す方法を示しています。
ところが、こうした環境性能を満たす自動車となると、2000CC以下の小型車が主流となるため、総務省では、「軽自動車の税負担を引上げ、その増収分を小型自動車等の税負担軽減に充当して、全体として税収中立とする」としたわけです。この軽自動車の増税については、平成24年4月の導入を目指しています。
国税庁が平成22年度第3回目のインターネット公売を実施します。今回もブランドの時計や希少価値の高い絵画、地方銀行の株券など注目を浴びそうな物件が数多く出品されます。
今回のインターネット公売には9国税局・30税務署から不動産51件、絵画や宝石、時計などの動産が220件、リゾート会員権1件などが出品されます。目玉となる物件としては、日本画「葉柳」(堀泰明の作品、見積価額10万5,000円)や腕時計「ROLEX OYSTER PERPETUAL DATE JUST」(見積価額42万円)、平成16年型トヨタのクラウンマジェスタ(見積価額53万円)、株式会社筑波銀行の普通株式600株(見積価額12万5,000円)などが取り沙汰されています。
公売参加申込期間は、平成22年11月5日(金)午後1時から11月17日(水)午後5時までで、買受申込(せり売り)期間は、11月26日(金)午後1時から11月29日(月)午後1時までとなっています。
この公売参加申込みと買受申込(せり売り)は、ヤフー株式会社の「官公庁オークションサイト」で受付けていて、最高価申込者(落札者)の決定日は12月1日(水)午前10時。買受代金の納付期限は12月13日(月)14時となっています。注意したいのは、公売保証金の提供方法。公売保証金額が50万円以下の物件については、クレジットによる提供方法のみで、公売保証金額が50万円超の物件は、クレジットによる方法と現金振込による方法があります。
クラブなどで働いているホストやホステスの皆さんに朗報です。お店からもらっている給料に課税される源泉所得税の計算方法が変わり、新しい方法で計算してみて源泉所得税が多く徴収されていた場合は、その多く納めた分の税金が戻ってきます。
今年3月2日に最高裁判所が下した判決によって、このほど、クラブなどで働いているホステスに支払われている報酬に課税される源泉所得税の計算方法が変わりました。
国税庁によると、原則としてホステスなどにお店が給料などを支払うとき、{一回の支払金額−(5,000円×「その支払金額の計算期間の日数」)}×10%で計算した金額を源泉所得税として徴収することになっています。この計算式の中にある「計算期間の日数」について、3月2日に最高裁判所が「営業日数」又は「出勤日数」ではなく、「ホステス報酬の支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数による」とする判断を示したのです。
その判断に従って取扱いが変わったわけですが、国税庁では「これまで『計算期間の日数』について『営業日数』または『出勤日数』により計算したため納付した源泉所得税が過大であった場合には、過大に納付された源泉所得税を還付します」とアナウンスしています。
具体的な還付請求手続については、源泉所得税の納付の日の翌日から5年以内のものについて取り扱っていて、税務署が用意している源泉所得税の誤納額還付請求書に必要事項を書き込んで提出するだけです。その請求書の内容について税務署が確認を行い、正しければ納め過ぎている部分の税金を税務署がお店(源泉徴収義務者)に還付し、その還付金額を各ホステスに返金するという流れになっています。
なお、返金を受けたホステスは源泉徴収された税額が変わるので、平成21年以前の所得について再度確定申告をする必要があります。