埼玉県北本市が来年度1年間に限定して個人の市民税を10%減税することを9月24日に開催した市議会で決定しました。市民税減税は名古屋市、愛知県半田市に次いで全国で3例目ですが、国から地方交付税をもらっている自治体としては全国初です。
北本市議会が個人の市民税を減税することを決定するまでには、大半の議員から批判が相次ぎました。借金返済が必要な事業がある中での減税だからです。借金しながら減税を行うというのは市政の信頼を損なう可能性が出てきます。そのため、24日の議会では、この減税案について賛成10、反対8の小差で採決されました。
採決にあたり反対に回った議員は「市独自の減税が裕福と見なされ、国が財政支援や資金繰りの面で消極的な対応をしてくる可能性がある」と採決後も不安を隠せない様子でした。同市の職員も「地方交付税のうち、今年度の2億円の特別交付税が減額されるかもしれない。その減額があるか無いかも含めて予想すらできない」と危機感をあらわにしていました。
原則として、個人市民税は、住民税のうち1月1日に居住する市町村に支払う税金です。今回の減税で北本市民は、所得に関係なく納める「均等割」が3,000円から2,700円に、所得に応じて納める「所得割」の税率が6%から5.4%に、それぞれ引き下げられます。一方、同市では減税に伴う減収に備えて基金を設置し、見込まれる減収分3億7千万円を積み立てることにしています。
民主党の国会議員が役員を務めている施設管理会社「武翔総合管理」が2009年までの3年間で消費税約8,400万円を脱税したとして、東京国税局が消費税法違反容疑で東京地検に告発されましたが、脱税犯の罰則は今年度から一段と厳しくなっています。
納税は日本国憲法に定められている国民の三大義務です。脱税は、それに反する行為なので、厳しく罰せられて当然なのですが、じつは、いま国税庁では、今年3月に国会で成立した平成22年度税制改正関連法案で脱税犯に関する罰則が厳しくなったことをアナウンスしています。
これまで脱税犯に対する罰則は「5年以下の懲役もしくは500万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」とされていましたが、今回の税制改正で「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下(情状により脱税額以下)の罰金または併科」に変わりました。
国税庁では「多くの納税者の方々は適正な申告・納税を行っていますが、一部に悪質な脱税者がいることは非常に残念なことであり、脱税はいわば社会公共の敵というべきものです」として、罰則の強化を告知するとともに、脱税を摘発する査察調査に力を入れていく構えを見せています。なお、査察調査とは、国税局査察部(マルサ)による調査のことで、現場で調査に当たる査察官には、裁判官の発する許可状を受けて事務所などの捜索をしたり、帳簿などの証拠物件を差し押えたりする強制調査を行う権限が与えられています。
喫煙者の53.3%が「10月1日からのタバコ値上げで禁煙する」―。このほど製薬会社のファイザー株式会社が9,400人の喫煙者にアンケート調査を行ったところ、この驚く結果が出ました。
今年10月1日からタバコ1本につき税金が3.5円引き上げられます。この引き上げ額は、タバコ税の増税額としては過去最大のもので、喫煙者に大きな影響を与えることが予測されています。そこで、ファイザー(株)は、喫煙者の禁煙に対する意識などを把握することを目的として2010年8月13日から9月9日にかけて、全国47都道府県の喫煙者9,400人(各都道府県男女/各100人、計200人)を対象に、インターネットを使ってアンケート調査を実施しました。
その結果、今回の増税に伴うタバコの値上げ額を喫煙者の92.5%が高いと感じていて、53.3%が「10月1日からのタバコ値上げで禁煙する」と回答しました。しかも、禁煙意向のある喫煙者の半数以上(52.8%)が「増税前に禁煙する」と答えています。禁煙への挑戦方法としては、59.8%が「自分の意志のみ」としていて、禁煙に成功する自信がある喫煙者は52.5%もいました。ただし、46.0%がニコチン依存症の喫煙者でした。おもしろいのは、そのニコチン依存症の人たちは「増税でも禁煙しない」としながらも、32.2%が「本数を減らすことで対処する」としている点です。
禁煙に成功する自信がある人を都道府県別に見てみると、宮城県(61.5%)が禁煙に成功する自信が最も高く、禁煙に成功する自信が最も低い県は徳島県(35.6%)でした。
なお、今年受動喫煙防止条例が施行された神奈川県の喫煙者は、49.5%が居住地域の受動喫煙対策を充分と感じていて全国でトップでした。また、喫煙者のニコチン依存症比率は、2008年の「70.8%」から「66.9%」と多少下がったものの、依然として高い水準で推移していて、ニコチン依存症の喫煙者は推計で1,534万人もいるとしています。
新設会社に対する消費税の優遇措置を使って、不当に儲けている人材派遣会社がクローズアップされています。財務省も何らかの法的措置を検討し始めました。
いま財務省と国税庁が注目しているのは、新設会社に認められている2年間の消費税免除の特典を使って消費税分を儲けにしている会社です。同特典を利用して新しい会社を作っては2年後に廃止し、また新しく会社を立ち上げるという方法で、消費税を食い物にしているといわれています。特に、この特典を悪用しているのは、人材派遣業で多く見られ、財務省も「盲点を突かれているところだ」としています。
そもそも、新設会社に認められている2年間の消費税免除は、中小事業者の納税事務負担などに配慮して設けられているもので、その課税期間の基準期間(2事業年度前)における課税売上高が1千万円以下の事業者について納税義務を免除するとされている事業者免税点制度のことです。新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となるわけです。
また、人材派遣会社の間でこの特典を悪用する例が多いのは、大企業などが非正規社員を増やしてきたことがひとつの原因となっています。社員を非正規に切り替える理由は、人件費削減が一番の目的ですが、派遣社員への報酬は消費税の仕入税額控除の対象となるため消費税の納付額を減らすことにも役立ちます。そのため、人材派遣会社が大企業などにうまく活用されていて、一方で、一部の人材派遣会社が、儲けを増やすひとつの手段として新設会社に認められている2年間の消費税免除を悪用しているといわれています。
9月9日、首相官邸で開催された新成長戦略実現会議(議長・菅直人首相)の席上、菅首相が出席者に対して2011年度からの法人課税の実効税率引き下げを検討するよう指示しました。
法人課税の実効税率引き下げは、今年6月に政府がまとめた日本経済の新成長戦略に盛り込まれたものです。具体的には「日本に立地する企業の競争力強化と外資系企業の立地促進のため、法人実効税率を主要国並みに引き下げる。その際、租税特別措置などあらゆる税制措置を抜本的に見直し、課税ベースの拡大を含め財源確保に留意し、雇用の確保及び企業の立地環境の改善が緊急の課題であることも踏まえ、税率を段階的に引き下げる」とされています。
折しも、8月30日に経済産業省が取りまとめた平成23年度税制改正要望には、この法人課税の実効税率引き下げが掲げられていました。同省の要望では、日本経済を取り巻く現状として「(日本の)法人税を含めたビジネスコストが高く、研究開発拠点等の海外流出の動きが顕在化」していることから、「我が国の企業立地上の競争相手となっている、中国、韓国、インド等の各国に対抗するためにも、日本国内のアジア拠点化、新しい研究開発拠点等の立地を促すことが重要」としています。
そして、「我が国の立地競争力を高めるため、法人実効税率を主要国並みに段階的に引き下げるべく、法人税率を5%引き下げる。その際、課税ベースの拡大を含め、財源確保に留意する」と具体的な引き下げ幅を明記。その根拠として、表面実効税率の国際水準はこの10年間で25〜30%の水準になっていて、2009年の時点を例にとり、EUが約27%、OECDは約26%、アジア諸国も約25%なのに対して日本は40.7%であることを指摘しています。
平成22年度第2回目のインターネット公売を実施することを国税庁が発表しました。今回もリゾートマンションや希少価値の高い洋酒など注目を浴びそうな物件が出品されます。
今回のインターネット公売には9国税局・27税務署から不動産38件、絵画や宝石、時計などの動産が124件、リゾート会員権2件などが出品されています。目玉となる物件としては、能登の自然が満喫できる石川県七尾市のリゾートマンション(1階部分1室、見積価額150万円)や六甲山麓の四季折々の豊かな自然を楽しめる温泉街にある兵庫県のダイヤモンド有馬温泉ソサエティのリゾート会員権(見積価額12万8,000円)、フランス・ボルドーのポムロール地区で作られた希少価値の高いワイン「シャトー・ペトリュス 1988」1本(見積価額3万6,000円)などが取り沙汰されています。
公売参加申込期間は、平成22年9月10日(金)午後1時から9月22日(水)午後5時までで、買受申込(せり売り)期間は、10月1日(金)午後1時から10月4日(月)午後1時までとなっています。
この公売参加申込みと買受申込(せり売り)は、ヤフー株式会社の「官公庁オークションサイト」サイトで受付けていて、最高価申込者(落札者)の決定日は10月6日(水)午前10時です。注意したいのは、公売保証金の提供方法。公売保証金額が50万円以下の物件については、クレジットによる提供方法のみで、公売保証金額が50万円超の物件は、クレジットによる方法と現金振込による方法があるという点です。
架空口座を使っている事業者に関するタレこみを国税局が受け入れることになりました。国税庁が「公益通報関係事務取扱要領(外部の労働者からの通報編)の制定について」(事務運営指針)を改正したことによるものです。
商品の仕入代金や業務請負代金の支払い口座の名義が正しい社名ではなく架空口座や借名口座の場合、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)に使われている可能性があります。しかし、架空口座や借名口座については、実際に取引きを行なって代金の振込みをしなければ把握することは困難。そこで、国税庁は公益通報、いわゆるタレこみ制度の取扱いを改正し、国税局が受け入れることのできるタレこみ情報のひとつに「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」の関連を同事務運営指針に付け加えました。
「犯罪収益移転防止法」は、名義貸しや借名口座などについて税金の問題がなくても、口座を開設しただけで借りた者だけでなく貸した者も処罰できる法律です。これまで、全国の国税局が受け入れることのできるタレこみ情報は、税金や酒類行政で不正を行なっていることがある程度説明ができるものに限られていました。そのため、架空口座を使っているだけでも立派な証拠としてタレこみを受け入れることができるよう、国税庁が関係する法律のひとつに犯罪収益移転防止法を付け加えたのです。
なお、今回の事務運営指針の改正で、実際に架空口座の使用者をタレこむことができるのは、その架空口座を使っている使用者の取引先の従業員であることが条件とされています。
個人事業者や自宅を所有するサラリーマンなどによく利用される相続税の特例「小規模宅地の評価減」について、国税庁が「相続税の申告書の記載例」と題して資産課税課情報を全国の国税局・税務署に流しました。
今年4月に施行された平成22年度税制改正では、小規模宅地の評価減の特例について、相続人たちが事業や居住を継続しない宅地を同特例の適用対象から除外するなどの見直しが行われました。そのため、居住や事業を継続する人と、しない人が宅地を共同相続した場合には、取得した人ごとに適用要件を判定する必要が出てきました。また、居住用の部分と貸付用の部分があるマンションの敷地については、それぞれの部分ごとに按分して軽減割合を計算しなければならなくなったのです。
そもそも、小規模宅地の評価減の特例は、被相続人の所有していた土地が自宅や商売をやっていた店舗の敷地だけしかない場合、それに対して高額の相続税がかかってしまうと自宅や店舗を売って相続税を払わなくてはならないという結果を招く可能性があることから、それを防止するために設けられた優遇措置です。具体的には、居住用の場合は240uまで、事業用などの場合には400uまで一定の要件を満たせば最高80%まで評価を減額することができることになっています。
こうした特例の適用要件が改正されたことを受け、このほど国税庁では「相続税の課税価格の計算の特例に係る相続税の申告書の記載例」を全国の国税局・税務署の資産課税課に情報として流しました。その中身は、「複数の利用区分が存する場合」、「被相続人の共有する土地が被相続人等の居住の用と貸付事業の用に供されていた場合」、「特定同族会社事業用宅地等と貸付事業用宅地等が混在する場合」など9事例について計算の仕方などを詳しく説明しています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/100713/index.htmをご参照ください。